エクシヴァルワールド フューチャー戦機XVGS   作:銀祐

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エクシヴァルワールドにある大陸国家グランストライアは2年前に上層部トップとして君臨した首相ダイムザントによる国防組織GJS(グランジャスティストライア)とグリフォギィラが生み出した機械生命体ヒュドラグルムによるマッチポンプで利権の限りを尽くしていた。しかし、グリフォギィラの正体が虚構の存在であり、機械生命体と呼ばれるヒュドラグルムはグリフォギィラが作り出した虚構の悪である事を知る グリフォギィラの正体が虚構である事が明らかになった今、独立部隊XVGS(エクシヴァル・ヴァンガード・セイヴァー)はダイムザントの独裁に敢然と立ち向かう。全ては国民に真実を明かし、グランストライアの歪みを正すために…


第1章:竜の勇者と破天の騎士

多目的汎用母艦エクシヴァロン、それは国王夫妻直属にしてXVGSの活動拠点である。居住施設に艦橋やブリッジ、艦載機となるブレイブマシン格納庫や研究施設、緊急時のために食料生産プラントなどの農業設備や培養肉を生産するための生産プラントなども搭載されている。居住施設は最大1000人以上収容できる上に医療施設も完備されており、更には訓練用のトレーニングルームに食堂も備えている

 

【エクシヴァロン チームユウキの部屋】

 

「ふわぁ~あ、よく寝たぁ…」

 

その艦内の一室で目を覚ました少年の名はユウキ・コンドウ。紺色の髪が目立つ17歳の少年である

 

「ユウ君おはようございます!今日もいい天気ですよ!」

 

「今日は何の日か知ってるよね?それは私達がXVGSとしての活動を開始する初日だからね」

 

「そのためにはまず朝の身仕度をしないとね。私達の他にもう一つのチームがいるから馴れ合いはしないけど挨拶だけはしておかないとね」

 

そこへ現れた3人の美少女はユウキのチームメイトであるヒロイン達だった。オレンジのロングヘアのはグランドストライア王族の姫君であるユースティアナ・グレースヴァルト。桃色のセミロングのはユウキの幼馴染みであるヒマリ・ウエハラ。そして黒髪と金髪のメッシュのロングヘアのは礼儀正しい苦労人にして常識人のマユラ・カサンドリア、いずれもXVGSの主要メンバーだ

 

「もう一つのチームとしたら一体何だろうか……とりあえず馴れ合いは避けておこう。僕達はあくまでもやるべき事を成し遂げなければならないし」

 

「そうですね。では、早速朝ごはんを食べに行きましょう!」

 

ユウキとティアナがそういった後、朝の身仕度を済ませて朝食を摂るために部屋を出て行った

 

【エクシヴァロン 食堂】

 

チームユウキの4人は今日の朝食となるフレンチトーストにスクランブルエッグ、ソーセージにベーコン、コールスローとマカロニのサラダ、そしてカフェオレという洋食メニューをリクエストしていた為、目の前に用意された事で早速席に座り込んで食べようとしたその時だった

 

「まさかよりによってユウキ達と一緒になるとは思いもしなかったな」

 

そう言ったのはユウキ達と同じ17歳でXVGSの同期メンバーであるライネス・ブランシュバリアだった。勿論彼のチームメイトである青髪で二つ結びしている尾高であるが感情豊かなミセリア・クーランジュとユウキとヒマリの幼馴染である赤髪ツインテールのユカリ・タカサキ、そして金色セミロングツートップで底抜けに明るく、いつも前向きだが意外と真面目で正義感が強いリンク・アインフェルトも一緒である。彼等はユウキ達と違ってパンケーキだがそれ以外は同じだった

 

「そう言うと思ってたよ、僕はてっきり君とは考える事が同じだったからね。どうせ、馴れ合うつもりはないだろう?」

 

「まぁな。俺はお前とは違うんだ、馴れ合ったって何の意味もないだろ?XVGSの目的はあくまで独裁者まがいの首相から世界を救う事だからな。それにミセリアたちの事は守るべき大切なものとして見ているからな」

 

「僕だってティアナ達の事は守るべき大切なものとして見ているんだからね。だけど周囲だけじゃなく何の関係もなく巻き込まれて被害に及んだ人たちを救うのも目的の一つなんだからさ」

 

「その事は想定してる以上、対応を怠る訳には行かないし、無様な姿は晒したくもない。それはユウキも同じ事だろうな」

 

ユウキとライネスは会話をしてると言うかお互いの事は知っているかのように話しており、他の者達は不思議そうな顔を浮かべていた

 

「何かいがみ合ってるような気がしますけど大丈夫でしょうか…?」

 

「大丈夫だと思います、あの二人は重要な任務になると真剣に向き合いますから」

 

ティアナが不安げに呟いたのに対してミセリアが宥めるように話す

 

「グランストライア各地でヒュドラグルムとGJSによる戦いを繰り広げて利益を貪り尽くし、国民を良い様にするなんて最早狂ってるわ…」

 

「そのせいで可哀想な目に遭った人達がどれだけ苦しんだか分からないまま逃げる政治家なんて最低最悪だよ!」

 

「首相を始めとした連中は国民を道具としか思ってないのは明白よ、しかも自分達の無為無策を正当化するために都合の良い言い訳ばかり並べて責任転嫁する奴らに国を任せられるはずがないわ」

 

「そうだよ!私もあんなクソみたいな政治屋共なんか信用できるわけないし、そもそもあいつらは権力や金を使ってやりたい放題、それで悪事を働いてるのならそれこそただの悪人だし、そんなのがトップに立つ資格なんてないよ!」

 

ユカリとヒマリ、マユラとリンクは首相派が嫌いなようで憤りを感じる、それだけじゃなく首相派のトップであるダイムザントに殺された国王夫妻の娘であるティアナにとっては特に怒りを感じずにはいられなかった

 

「私達だってこんな事に巻き込まれるとは思わなかった、でも今ここで逃げたら死んだお父様とお母様、そして多くの犠牲になった人々が報われません。だから私達は戦うんです、これ以上の悲劇を生み出さないためにも!」

 

「ダイムザントの独裁が正しいと言うのは絶対に間違っている。いくら利権のためとはいえ虚構の悪を生み出して自分にとっての正義の味方で退治するようなマッチポンプを平気でやってのけるような奴が国家を統べる存在とはとても思えない。だからこそ私達は正義より真実を貫いてみせます」

 

ティアナが言った後、ミセリアは決意を込めた眼差しで語る。そして朝食を食べ終えたチームユウキとチームライネスはエクシヴァロンのブリッジへと向かった

 

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【エクシヴァロン ブリッジ】

 

「待っていたぞユウキにライネス、朝食を済ませたそうだな」

 

「今日はお前たちにとっての記念すべき日になる、そう遠くないうちに大きな戦いが起こる事になりそうだ」

 

チームユウキとチームライネスの面々に向かってそう言ったのは王族派のメンバーでXVGSの教官、そしてエクシヴァロンの艦長であるクーラン・ランピード。同じく代々王族派のバスラー家の当主にしてクーランと共にユウキ達を導くフリーデル・バスラーである。彼等はダイムザントの独裁に反旗を翻した王族派メンバーの生き残りで、XVGSの創設者となっている

 

「この2年の間、エクシヴァルワールド各地でヒュドラグルムとGJSによる自作自演の諍いでダイムザント達首相派の連中は利権を貪ってきた。そのダイムザントがトップとして君臨したのは他でもなく国王夫妻を亡き者にした事だ」

 

「ヒュドラグルムを使って国王夫妻を殺したのも首相派の自作自演であるが、それを未知の侵略者の襲撃という言い分で真実を覆い隠して、自分の都合のいいようにしている。だがワシ等王族派は騙されん、ヒュドラグルムの正体が虚構の悪だとわかった以上、ダイムザントを許す訳にはいかない!」

 

クーランとフリーデルの言葉に全員が真剣な表情を浮かべる。そこへユウキとライネスが口を開く

 

「確かに首相派の言っている事は虚構の悪です。だけど僕達もこのまま黙って見ているわけにもいきません。例え虚構の悪であってもそれが事実なら止めなければならない、僕はそう思います」

 

「俺も同感です、首相派の連中に好き勝手させるつもりはありません。俺達が今やるべき事はグリフォギイラとヒュドラグルムを殲滅する事、そして首相派の野望を打ち砕く事です」

 

ユウキとライネスが言うと、そのことを理解したクーランは両チームにあるミッションを通達する

 

「ならば話は早い、今からお前たちに任務を与える。ケテルナ地方の平原にGJSの機動部隊とザーカブタイプのヒュドラグルムの大群が出現した。今から30分後に出撃しろ、健闘を祈る」

 

「「「了解!!」」」

 

クーランの命令に応じた両チームは格納庫へと向かった

 

【エクシヴァロン 格納庫】

 

XVGSのブレイブマシンは王族派が命からがら強奪した試作機を改修した第一世代はエースチームが所有しており、ユウキ達が乗る第2世代は強奪した輸送艦から多数のアストルムドライヴを中心とした試作機で男性メンバーはワンオフ型の隊長機、女性メンバーは同じスペックの物が3機製造され、それぞれα、β、γの3タイプと呼ばれている

 

ユウキのニルヴァーナは万能型でどんな状況でも対応できるように、様々な機能や武器を装備させるようにと設計されている。ティアナ、ヒマリ、マユラが乗る3体のテグリアノーンは多目的汎用でどんな状況にも対応可能なオールラウンダー。ライネスのユースベルクは超高性能機だが、機体性能を極限まで引き出すにはそれ相応のパイロットの腕が求められる。ミセリア、ユカリ、リンクのグラムグレイスはどのような戦況にも対応できる高機動型。各チームの面々は強化パイロットスーツであるXV(エクストラバーサリティー)スーツを身に纏い、搭乗するとそれぞれのコクピットハッチが閉じ、起動シーケンスが作動し、発進準備に入る

 

『カタパルト、スタンバイ。進路クリア、ニルヴァーナ、テグリアノーン3機、発進どうぞ』

 

「チームユウキ、行きます!!」

 

エクシヴァロンのオペレーターの声がコックピットに木霊する中、電光掲示板らしきものから「BRAKES」、「THROTTLE」「CATAPULT」の順で右の列が「CLEAR』に変わった瞬間、反電磁反発作用による加速Gに耐えながらニルヴァーナと3体のテグリアノーンが出撃する

 

『続いてユースベルク、グラムグレイス3機、発進どうぞ!』

 

「チームライネス、出ます!!」

 

オペレーターの掛け声と共に、こちらも同じように「BREAK」の文字が浮かび上がると、ユースベルクと3機のグラムグレイスが出撃し、目的地であるケテルナ地方の平原へと向かう

 

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ケテルナ地方の平原では大勢のザーカブが進軍し、その先にはGJSのブレイブマシン部隊が待ち構えていた。どうやらマッチポンプを行うらしい

 

『隊長、このような事をして本当に世界は一つに纏まるんでしょうか?』

 

機動部隊の一人がそう訊ねると、隊長機は冷静に答える

 

『心配はない、元々ヒュドラグルムは首相様が世界を一つに纏める為の道具に過ぎない。それに我々にはこのアストルムテクノロジーがあるのだ。さぁ行くぞ、我々の未来のために!!』

 

機動部隊の隊長機がそう言うと、部下たちは納得した様子だった。そして自作自演の諍いを行おうとしたその時、上空からニルヴァーナ、ユースベルク、テグリアノーン3体とグラムグレイス3体が降り立つ

 

『何者だ貴様等は!?まさかダイムザント様に仇なそうとする愚かな偽善者か!?』

 

『偽善者はお前たちの方だ!国王夫妻を始めとした善良な人々を殺戮し、正当化するためにこんな自作自演をするなんて……!』

 

『我々は世界を正しい方向へと導く為に戦っているのだ!!そんな事などあるわけがない!!』

 

ニルヴァーナのパイロットであるユウキの言葉に対して、機動部隊の隊長はそう反論する

 

『それが自作自演だって言ってんのがわからないのか?ダイムザントはグランストライアだけじゃなくこの世界を自分の思い通りに操ろうとしている、自分のやり方が常に正しいが為にな!』

 

『あくまでも我々GJSに歯向かうというのだな……。ならばここで消えてもらうまでよ!!ヒュドラグルムたちよ!我が命令に従いダイムザント様に仇なす愚か者共を皆殺しにしろ!!』

 

ユースベルクのパイロットであるライネスにそう言われた機動部隊の隊長は業を煮やし、ザーカブ軍団に敵対者皆殺しの命令を下す。するとヒュドラグルムの大軍も一斉に動き出し、戦闘が始まった

 

『ユウキ、奴等はダイムザントのやり方が正しいと言う考えに凝り固まっている。情けは無用なのは分かっているな?』

 

『勿論そのつもりだよ。GJSとヒュドラグルムがグルだった以上徹底的にやるまでだ!!』

 

ライネスとユウキが通信で会話を交わした後、各チームはゲシュペリオンとザーカブの軍勢に立ち向かう。ザーカブの1体が剣を両手で構えると、そのまま突撃して切りかかるが、ニルヴァーナは背面に装備されている専用の大剣、ドラゴンブレイバーで切り裂き、ザーカブとゲシュペリオンの群れに突撃しながら切り刻んでいく。相手が機械生命体とそれらを使役する性根が腐った連中である以上容赦はしないといった感じで次々と撃破していく

 

続いてユースベルクが背面に装備された両刃の槍、ユースメガランサーでザーカブとゲシュペリオンを徹底的に切り刻んでいく。GJSが余りにも独善的で自作自演を正当化するためならどんな非道でも平気で行う事がわかった今、同情の余地は一切ない

 

『ダイムザントのやり方が正しいと凝り固まった時点で既に貴方達は人間失格です!!』

 

『そうだよ!不信感や絶望感でも例外なんて無いんだから!!』

 

『やるっきゃないよね!!』

 

ティアナ、ヒマリ、マユラがそれぞれに言うと、テグリアノーンのタイプαはグランディアソードで真っ二つに両断したり、タイプβはカレトヴルッフを元にし、双剣と銃剣を合わさったグロウブラスティアによる砲撃と斬撃で、そしてタイプγはリアノーンセイバーで悉く切り裂くなどザーカブとゲシュペリオンを圧倒していた

 

『いくら許されなことをしでかしても人である以上殺して解決するわけには行かない…!』

 

ミセリアのグラムグレイス・タイプαは両手銃であるメルクストレイターで遠く離れていたゲシュペリオンとザーカブ破壊。更には近づいてきた所でレーザーブレードを展開させて斬りかかり、撃破していく

 

『グランストライアを好き勝手やるような輩は許さないけど殺さないで済ませてもらうわ!』

 

『その通りだよ!私たちはあくまでグランストライアを取り戻すためにやってるんだから!』

 

ユカリのタイプβは太刀サイズの銃剣であるグラムブラスティア、リンクのタイプγはチャージアックス型の武器であるセイクリッドバスターでザーカブとゲシュペリオンを容赦なく撃破していた

 

『くそっ…これ以上奴等の好きにさせるな!残る部隊はあの機体を包囲して攻撃しろ!!』

 

GJSの機動部隊長は焦った口調で言うと、残った部隊は全てニルヴァーナとユースベルクを包囲する。そしてザーカブ達がビームライフル、ゲシュペリオン達がGブレイブシューターで攻撃しようとしたその時だった

 

『……』

 

ユウキとライネスは包囲されても静かなまま、周りを見渡して状況を把握し、ニルヴァーナの背部に4基装備されたグレイルビット、ユースベルクの左右背面に装備されたルシファービットによる遠隔誘導兵器が射出され、大勢のザーカブとゲシュペリオンを撃破していく

 

『う、嘘だろ!?』

 

機動部隊長が動揺している間、ニルヴァーナとユースベルクがゲシュペリオンの指揮官機の目の前に立つ

 

『どうやらここまでのようだね』

 

『残るは指揮官機であるお前だけだ。ダイムザントが一体何を企んでいるか話してもらうぞ?』

 

『黙れ偽善者共が!貴様等のような子供に話す事など何もない!!』

 

機動部隊長がそう言った後、ゲシュペリオンの指揮官機がGブレイブソードで攻撃するが、ユースベルクはメガランサーによる高速斬撃でGブレイブソードを打ち破る。往生際が悪くGブレイブシューターで攻撃してもすぐさまニルヴァーナのドラゴンブレイバーで破壊されて無力化されてしまう

 

『くそっ…我々GJSがこんな奴等に…』

 

『もう一度だけ言う、ダイムザントが一体何を企んでこんな自作自演の政策をしているのか話せ!』

 

ライネスの問答によって観念した機動部隊長はダイムザントが何故GJSとヒュドラグルムによるマッチポンプ政策を行ったのか話し出す

 

『ダイムザント様はこの世界を統一するためには共通の敵が必要不可欠であるためグリフォギィラやヒュドラグルムを生み出し、俺達GJSがそれらを倒す正義の味方を演じ、そのやり方が正しいと言う考えに凝り固まっていたんだ……後の事はいずれお前達にもわかるはずだ、俺達はただこの世界を救うために戦っているんだと。それを仇なしたお前達はいずれ思い知る事になるのだと、GJSに刃向かったお前達にとっての過ちをな……さぁ、話は済んだのだろう?さっさと俺を逃がしてくれよ』

 

機動部隊長の言い分を聞いたユウキとライネスの返答は言うまでもなかった

 

『残念ながらそうはいかない。僕達はお前達のような自作自演の戦争で正当化する奴等に手を差し伸べるほど寛容ではないし、許すわけには行かないからね』

 

『それに、お前達の行いが例え正しい事であったとしてもそれはあくまで第三者から見た場合の話であって当事者からすれば理不尽極まりない。だから俺達はそんなお前達に一切容赦はしない!!』

 

『ま、待ってくれ!俺はただ……』

 

ニルヴァーナはドラゴンブレイバー、ユースベルクはメガランサーで機動部隊長の乗ったゲシュペリオンを両断すると、そのまま爆発四散する

 

『あ、ああ……助けてくれよぉおおっ!!死にたくない、まだ生きていたいんだよおおお!!』

 

機動部隊長が最期に叫んだ言葉を聞き流しながらチームユウキとチームライネスは戦闘に勝利した。それから敵ブレイブマシン及びヒュドラグルムの残骸を回収し、エクシヴァロンへと帰還した

 

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【エクシヴァロン ブリッジ】

 

「皆御苦労じゃった、初陣とはいえ首相派の連中が同じ人間とはとても思えないのは分かったとしてもそれらにかける情けは無用なのは知っているはずだろう」

 

フリーデルは帰還したユウキやライネス達にある事を告げた、それは自分達XVGSが一体何をしたのかというものである。確かにダイムザントの独裁は許されないがそれ以前に最も重要なのは人の命を奪ったという事実だった

 

「我々XVGSはダイムザントの独裁政権を止めようとした、しかしそれは奴等を敵に回すだけでなく人という存在そのものを否定される可能性がある。つまりは人を殺しても仕方ないという結論に至ったわけだ。人が死なない戦争などなく、寧ろ戦場で戦う兵士はいつだって死と隣合わせであり、それが現実なのだ」

 

クーランの言う通り、人はどんな理由であれ人を殺す事はあってはならない。それは当然の事であり、その罪を背負って生きていかなければならない。だがユウキ達にはその覚悟がある。何故なら相手は国民を苦しみ悲しませる無策や愚策を強行するような独裁者と利権しか能のない無能な政治家、それに賛同し、追従している者達である。そのような奴等は人としての道を踏み外してしまっており、仮に自分が殺されそうになった時に何も躊躇う事はなく、自分を殺そうとするのであれば迷わず殺せるからである。故にユウキ達は自分の信念を貫くためにもダイムザントとその取り巻きである内閣とGJSは倒さなければならない

 

「死にたくなければどうするか、奴等の悪政を止めるためには葬るしかない。だからこそ我々は今までそうやって生き延びてきた。たとえそれで恨みを買う事になろうとも私達が生きるためならば致し方がないのだ。これから先、我々XVGSは多くの血が流れるであろう、しかし全員生き延びなければ真の平和は来ないし、誰も本当の意味で救われる事はない」

 

「しかしそれだけではなく今回は人気のない場所での戦闘を行っていたのは幸いだがこれがもし市街地や民間人が大勢いるところでの戦闘になれば我々も無傷では済まず、最悪の場合死者が出てしまう。それが何なのか分かるか?」

 

クーランとフリーデルの言う通り今回の戦闘で人気がなかったのが良かったものの、もし市街地だったら一般市民に犠牲者が出てもおかしくはなかった。それはいままで当たり前だった日常が崩れ、それらが死に奪われ泣き遺された人も生まれるかもしれない、そんな悲劇だけはなんとしてでも防がなくてはならないのだが場合によっては防ぎきれない可能性もあるのだ

 

「大事なものを奪われて全てを失った者はやがて憎悪に呑まれる事でしょうか…?」

 

「奪われた憎しみはいつまでも心の中で生き続け、復讐という名の狂気となって襲いかかってくる。大切な家族、友達、恋人、仲間、そういった人たちが傷つけられるのは耐えられないでしょうけど怒りに呑み込まれた瞬間、自分もまた狂ってしまうというものですよね?」

 

「そうだ。お前達の言う通り憎しみが募れば募るほど感情は制御できなくなってしまい、理性を失ってしまうものだ。それに憎しみの連鎖はどこまでも続いていく……我々はそんな悲しみを生み出さない為に、そして未来ある少年少女を守るためにこの身を捧げようと思っている」

 

「仮にもしも我々XVGSが戦争を引き起こす存在に過ぎないことを身をもって思い晒される事、何よりも存在する限り憎しみを生み続ける存在として排除を目論む者が必ずいるという事があるとしたらどうするべきか、それはまだわからない…ただ一ついえる事はダイムザントの独裁をこのまま放置する事は即ち世界にとって破滅をもたらす。だからXVGSは己の信念を貫き通し、正義の味方になるか悪の軍団となるか……それを決断しなければならない。その時が来る前に」

 

ユウキとライネスが言った後、クーランは返答する。更にフリーデルの言う通り自分達XVGSが戦争を引き起こし、何よりも存在する限り憎しみを生み続ける存在として排除を目論む者がいるとしたらその時はどうするか、それは彼等自身にも分からない。話を終えた後、各チームはそれぞれの部屋に戻り、今回の戦いの疲れを癒し、次なる戦いに備えていた……

 

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【エクシヴァロン チームユウキの部屋】

 

「ユウ君、私達は戦場に降り立った以上、もう普通には戻れません…ヒマリちゃんやマユラちゃんもそうですよ…」

 

「わかってる、ダイムザントがティアナの両親である国王夫妻の仇であることは既に判明している。だから僕は絶対に奴を討たねばならない」

 

「私もユウ君と同じだよ。それにマユラちゃん、こんな事になった以上貴方の弟と妹が見たら辛い思いをするのは間違いないからね……」

 

「それもそうだけど…後戻りできない所まで来てる以上お父さんやお母さんの無念を晴らすためにも戦わないとダメだって思うわ……」

 

ティアナがそう言った後、ユウキ、ヒマリ、マユラは引き返す事はできない程に深い場所まで降りてしまった以上、覚悟はすでに決まっていた

 

【エクシヴァロン チームライネスの部屋】

 

「ダイムザントがクズなのはわかるけど、私達とんでもない事をしてしまったんだよね……」

 

「国民を苦しみ、虐げる独裁者を抹殺する。確かにそうなんだけど……なんだか間違ってるような気がして仕方がないわ……」

 

「まるで始末屋みたいな事しちゃったけど、大丈夫かな?下手したら捕まるんじゃないかな……怖いよ……」

 

「例えそうだとしても俺たちは進み続けなければならない、例え憎まれても嫌われても恐れられても世界と対峙する必要がある。それがXVGSというものだ」

 

リンクとユカリ、ミセリアは自分達のやるべき事が独裁者を中心とした取り巻き連中の抹殺だと理解したとはいえその罪悪感に圧されていた。しかしライネスはクーランの言う通り、悪しき独裁者と政治家は殺さない限りは永遠に消えはしない以上、迷いなく戦う決意をしていた……

 

エクシヴァル・ヴァンガード・セイヴァーはこれから先、ダイムザント率いるGJSと戦わなけばならない以上、常に命の危険にさらされている。それでもなお彼らは前に進み続ける、明日へ繋ぐ希望がある限り……

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