【エクシヴァロン 格納庫】
「くそっ!何度やってもあのガンダムに勝てない…これじゃあいくらパイロットの質が上がっても焼け石に水だ!!」
「ソレスタルビーイングのガンダムめ…俺たちがダイムザント達のような独裁政治を行う奴等を倒す事がそんなにいけない事なのか…!?」
「仮にソレスタルビーイングが紛争根絶のために動いてるとしたらそのせいで勝てない訳があるのかもしれないわ」
「そうだよ、息詰まってるからと言ってすぐに八つ当たりするのは以ての外だよ…」
中々上手く行かない事に対して業を煮やしがちなユウキとライネスだがマユラとミセリアに諭されると、二人は冷静さを取り戻す。そもそも自分達XVGSはダイムザントと言う名の独裁者による独り善がりからグランストライアを取り戻すために結成した組織であり、それを邪魔する者がいるならば戦うしかないのだ。しかし突如現れたソレスタルビーイングのガンダムによる武力介入でグランストライア奪還どころか、自分達の存在意義すら否定されてしまったような気分だった
「その為にも私達はある場所へと向かわなければなりません、何故なら今のままでは勝てない気がしますから」
「ティアナちゃんの言う通り今の私たちでは到底及ばない気がする…ユウ君の言う通りパイロットの質を上げるだけじゃなくて、もっと根本的な何かを変えないと駄目なのかも知れない」
「何かを変えるって言ったらやっぱりアレかしら?」
「そうだね、恐らくそれしか無いと思うよ」
ティアナとヒマリ、ユカリとリンクは何かを閃いたように呟いていた。確かにパイロットの質を上げても今の戦力ではソレスタルビーイングのガンダムに到底及ばない、だからこそエクシヴァロンはその場所へと向かっているからだ
【エクシヴァロン ブリッジ】
「まもなく目的地に到着するわ、それにしてもあそこに訪れるのは久しぶりね…」
「ああ、俺達にとっての重要な施設だからな…」
ミネリコとクーランはエクシヴァロンが向かっている目的地について語りだす。それは5年前、ダイムザント達首相派に反旗を翻した王族派が試作型ブレイブマシンと多くのアストルムドライヴを命からがら輸送艦ごと奪取し、その秘密拠点があるブラント地方の人工島へと向かっていた。そしてアストルムテクノロジーを得てからXVGSという独裁者撲滅組織を結成したが、未だにグランストライアを取り戻す事も出来ずにいた
「この所彼等のパイロットの質を上げているが今のブレイブマシンではソレスタルビーイングのガンダムに到底及ばない……そのためにはブラント地方にあるあそこしかなさそうだね…」
「そうだな、これまで以上にしておかないと勝ち目がないのは目に見えてるからな。ニルヴァーナとユースベルクの改修は勿論、あのガンダムに敢然と立ち向かえるブレイブマシンも作らないとならない」
ヘレーナとフリーデルはパイロットだけ強くなっても搭乗機の性能差で負けてしまう事は明白なので、より強力な機体の開発も急務だった。そのためにはXVGSの秘密拠点へと向かわなければ意味がないからだ。そしてエクシヴァロンはその目的地である人工島、MGアイランドへと到着する。一見絶海の孤島に見えるがその下には海中都市が存在する、つまりこの人工島自体がXVGSの本拠地であり、エクシヴァロンとグランストレーガーは移動拠点となっている
「こちらエクシヴァロン、MGアイランド応答願う、どうぞ」
『こちらMGアイランド、エクシヴァロンを確認、入港を許可する』
「こちらエクシヴァロン、MGアイランド応答願う、どうぞ」
『こちらMGアイランド、エクシヴァロンを確認、入港を許可する』
クーランはMGアイランドにいる人物達に連絡を入れる。エクシヴァロンの接近を確認した後、港に入れる許可を出した。それからエクシヴァロンはMGアイランドにある艦艇ドッグに停泊し、ユウキ達ブレイブマシンパイロットはクーラン達と共にMGアイランドへと向かう
////////////////
「何だか里帰りの気分だな」
「今思えばそうに違いないだろう、ここは俺達にとって大事な居場所の一つなんだからな」
「この海底都市で5年間私たちは来るべき時に向けて準備してきたんだから」
「居住区だけではなくパイロット養成の訓練施設にブレイブマシン開発工場に研究施設…教育や娯楽施設…改めて見ると凄い設備だと思います…」
「無理もないわよ、ここは首相に反旗を翻した王族派と将軍派の人間の手によって建造されたシェルター基地なんだから」
「それだけじゃなく更なる秘密があるのかもしれないんだよ。私達の知らない何かがね……」
モロハとトウマ、サツキとシズノ、リシアとコトナはMGアイランドに関する事をしみじみと語る。そう彼らはここが生まれ故郷ではない、元々はセイロス地方にいる王族派と将軍派の人間が首相派に反発して、秘密裏に建造した要塞基地である。つまり首相派の人間に対しては立ち入る事も出来ないセキュリティーの高い場所であり、グランストライア奪還作戦の要となる場所である
「里帰り気分はその辺にして我々はある人物に出会わなければならないんだぞ。特にヒュウガとナナミ、お前にとっては馴染み深い人物でもあるはずだ」
「馴染み深い人物…?」
「それってまさか…?」
「会えば分かるさ」
クーランはブレイブマシンパイロット達に今は里帰り気分ではないと釘を刺す。しかしその一方で、ある人物に会わせるために敢えてこのような言い方をしたのだ。その事を聞いたヒュウガとナナミは何なのかよくわからなかったがクーランは会えば分かると返答した。一行が向かった先は海底都市の中心部である巨大なビル、つまりXVGSの本拠地にして御用達の企業であるミソロインダストリー本社である
【XVGS本部・ミソロインダストリー本社・社長室】
「将軍様、エクシヴァロンの艦長とブレイブマシンパイロットの一行が来ています。如何いたしましょうか?」
「若社長、彼等の事だから何かあるに違いない…しばらくの間顔を見せなかったが、ある程度の事は大目に見てあげよう。通したまえ」
その人物こそがミソロインダストリーの若社長であるリョウマ・ミソロヴェイル。その彼が話しているのはグランストライアの上層部である将軍派のトップ、シゲノブ・トクザワ。つまり彼等はこのMGアイランドを根城にしており、グランストライア奪還のために備えていた。そしてクーラン達一行がその目の前に立つ
「将軍様、暫くお会いしない間に色々と申し訳ございませんでした」
「父上、お久しぶりです」
「久しぶりだな、クーラン。相変わらず生意気な口を聞くものだな、それからナナミ、元気そうで何よりだ」
「それとヒュウガ、エクシヴァロンでもバカな事でもやってるんじゃないのか?」
「茶化さないでくれよ兄さん!俺達は今大変な事になってるんだから!」
クーランと将軍の娘であるナナミが言った後、シゲノブは返答する。更にリョウマは弟であるヒュウガに対して小馬鹿にしたような態度を取る。それに対してヒュウガは反論するが、それはただの言い訳にしか聞こえなかった
「冗談はここまでにしよう。君達がここに来た理由は分かっているつもりだ。このような敗北は我々にとって大きな痛手となると同時に重大な情報を得られたのかもしれない…あのガンダムが百年以上前に遭ったレガシードルの錬金術を使えるという事はつまり創設者であるアレス・ルセディスに関する情報があると…」
「はい、そうだとしたらレガシードルの錬金術は我々にとっては貴重な情報かもしれませんが、我々はソレスタルビーイングのガンダムに対抗する術を持たなければなりません。これまで他国の技術に手を出す事など無くこれまで5年かかったアストルムテクノロジーを最大限に活かす事を考えた我々ですが、この件で彼等のブレイブマシンをさらに改良しなければいけません」
「ああ、その通りだ……しかしソレスタルビーイングのガンダムは我々にとっても脅威だ。GJSもそれらに手を焼いてしまうのも無理もない…我々も負けてはいられないな。ユウキにライネス、君達はそのガンダムと一戦交えてみてどう思った?率直な感想で構わない、言ってみたまえ」
「俺は……強いと思います。俺達も負けていられません」
「僕も同感です。あいつらは今まで戦った奴等とは比べ物にならない程の強さを感じた。しかもまだ全力を出してないようにも見えました」
シゲノブは一行がここに来た理由がブレイブマシンを更に強化する事にあると推測し、ライネスとユウキに問いかける。二人は今までとは違う強敵の存在を感じ取った
「やはりか……しかし、パイロットの質を上げるだけでは足りないな。今のブレイブマシンには更なる力が必要だ、エクシヴァロンからブレイブマシンを降ろし、製造エリアでの改修と新たな戦力を増強させる必要がある。期間は一週間となるがその間に君達はこれからバージョンアップしたシミュレーターで今まで勝てなかったソレスタルビーイングのガンダム01に勝つために君達の個性を活かしたカスタマイズをする。その一週間たった後、今後の君達の行く末は既に把握済みだが改めて言うぞ、我々はこのグランストライアを取り戻すために必ず立ち上がらなければならない。その覚悟があるのなら君達の答えを聞きたい」
そう言ったシゲノブに対しブレイブマシンパイロットの代表してユウキが前に出る
「僕達の気持ちはもう決まっています!ソレスタルビーイングのガンダムに打ち勝つだけじゃなくダイムザント達首相派を打倒し、絶対にグランストライアを取り戻します!!」
「結構、それと君達に会わせたい人物がいる」
ユウキが言った後、シゲノブは彼等に合わせたい人物がいる事を告げる。そして現れたのは緑のメッシュが入った茶髪の男性、桃色ロングヘアーの女性、青色セミロングの女性、金髪ロングの女性の4人だった
「今日からエクシヴァロン隊に配属する事になったキクルト・マインダールと申します」
「チームメイトのブルメデ・ルミナステリアと申します」
「モンドナ・ジュリエールです」
「シュニル・アンジェナスです…」
キクルト、ブルメデ、モンドナ、シュニルの4人は一行に自己紹介を行う。彼らはユウキ達と同じXVGSメンバーと同時にブレイブマシンパイロットとしての訓練生である
「彼等は君達の動機であるが未熟な部分がある為、自ら望んでここで鍛え上げて貰う事になってから今日と言う日を待っていた。たった今から彼等はチームユウキとチームライネス、チームツカサのいるエクシヴァロン隊に加わる。それからクーラン、この間レガシードルで滞在していたグランストレーガーにいるギンユウと話していたそうだな?」
「はい、彼は仲間たちと共にレガシードルの傀儡政権側にスパイとして潜入しています。そのためには彼等が必要となります」
「つまりチームモロハにチームトウマ、チームヒュウガにチームタクヤを同行するつもりだな。リョウマ、一週間後に完成した彼等の機体を輸送艦に積み込むように手配してくれ。それと彼等の乗機となるブレイブマシンの開発と改修も急ピッチで行う」
「了解しました」
シゲノブはチームモロハにチームトウマ、チームヒュウガにチームタクヤをグランストレーガーに派遣させる事をリョウマに命じ、その為のブレイブマシンの強化改修を行う事にした。グランストレーガー側はレガシードルの反傀儡政権勢力として活動し、エクシヴァロン側は引き続きグランストライアにおける首相派撲滅と対ソレスタルビーイング調査を行う事になる
////////////////
【XVGS本部・ミソロインダストリー本社・第1シミュレーションルーム】
「話は聞いたけどユウキとライネスがソレスタルビーイングのガンダムに挑んで惨敗したそうだな」
「そうなんだよ、僕とライネスはソレスタルビーイングのガンダムに歯が立たなかったんだ……」
「ああ、俺もあいつらとの実力差を思い知らされたよ。でも俺達はもっと強くなってあいつらに勝とうと思っている。その為に今俺達はシミュレーターで特訓しているところなんだ」
「確かここのシミュレーターは自分好みのカスタムが出来るんだったね。それってどんな感じになるのかな?」
キクルトはユウキとライネスがソレスタルビーイングのガンダムに敗れた事を話し、ツカサはミソロインダストリーのシミュレーターについて問い出す
「エクシヴァロンにいた時はブレイブマシンのコクピットを流用していたのは言うまでもないが、ここは新型ブレイブマシンのアイディアを形にするために造られた最新シミュレーターだからかなり本格的なものだと思うわ。ブレイブマシンに乗りながら自分の感覚でカスタマイズ出来るし、シミュレーターの中でなら好きなだけ戦えるそうよ」
「リョウマ社長の事だからソレスタルビーイングのガンダムに対抗するどころか、レガシードルとデザストロイアに負けない位、自分だけのアストルムテクノロジーを使ったブレイブマシンを開発しようとしているんだよ」
「そうなんだね。他国に負けたくないという気持ちが強いみたいなのがミソロインダストリーの強みでもあるよね」
「ブレイブマシンはパーソナルトルーパーを元に進化したグランストライアの技術の結晶とも言えるマシンだけど、そのグランストライアのマシンよりも優れた技術を持つソレスタルビーイングのガンダムに勝つためには、この国の技術を結集させなければならない。それにここに集まったのは言うまでもなく首相の独裁に反発する者達の集まりだろう……」
モンドナとシュニルはミソロインダストリーのシミュレーターについて説明し、その事を納得したミセリア。ブルメデは他国の高性能メカやソレスタルビーイングのガンダムに対抗するには本土の技術の結集、更に自分達XVGSはグランストライア全土における反首相勢力の集まりである事を話した
「ソレスタルビーイングのガンダムもそうだけどGJSの奴等、今頃何をしているのかしら…?」
「どうせあいつ等の事だからもっと強力なブレイブマシンを作ってソレスタルビーイングのガンダムに対抗しようとか考えているんじゃないのかな?」
「あー言えてるわね、あの連中は無駄にプライドが高いし、自分達のやっている事が常に正しかったり何をしても許されるとか思っているのかもしれないし」
マユラとリンク、チサトはGJSのGJS面々の話題を出し、彼等が正義であるかのように振る舞い、自分達が正しい行いをしていると思い込んでいる節がある事を気に入らない様子であった
「皆さん、無駄話はその辺にして私たちはこれからシミュレーターを使って更に強くしておかなければなりませんのよ?それに三日三晩だけじゃ物足りないですし、例えもしユウ君とライネス君が戦ったガンダムが1体だけじゃないとしたらそれは何なのか分かりますよね?」
「これから一週間このシミュレーターで仮想敵であるあのガンダムと戦わなければならなんですよ、例え負けたとしても次に勝てばいいんですから」
ティアナとナナミはこんな所で立ち往生している場合じゃないと言い、シミュレーターで訓練を続ける事を提案した。彼女達の言う通りソレスタルビーイングのガンダムは1機だけではない事は確かなので、負け戦だとしても立ち止まるわけにはいかないのだ
「ティアナちゃんとナナミちゃんの言う通りだよ、私たちはソレスタルビーイングのガンダムに勝てるようにするためにはこの一週間で少しでも強くなりたいんだから!」
「あの黒い奴の他にも何やら長距離狙撃の方がいるのは気になるけど、それでも私たちは諦めないわ!」
「その通りです!ユウキ達もそうでしょう?」
「勿論そのつもりだよ、戦った僕とライネスから見れば想定外に等しい強さだったし、まだ僕たちの戦いはこれからだっていう展開なんだよ」
「俺もユウキと同じだ、ここで引き下がる訳にも行かないしな」
「僕も同感よ、あんな強い奴にこのまま負けっぱなしなんて嫌だし」
ヒマリとユカリ、タキナは黒いガンダムの他にもう一機ガンダムがいる事を言及し、その黒いガンダムと戦ったユウキとライネス、そしてツカサはまだまだ戦いは終わっていない事を実感していた
「みんな、やる気満々みたいだな。俺達だって同じ気持ちよ、あのガンダムと一戦交わえなければ気が済まないし、敗北から何かを学ぶ事もある。だから俺達は強くなるために特訓するぞ!!」
『おー!!』
キクルトの号令に一同は応えた。その頃モロハやトウマ、ヒュウガとツカサの方はと言うと…
【XVGS本部・ミソロインダストリー本社・第2シミュレーションルーム】
「レガシードルにいる父さんたちが色々大変になってるけど俺たちはその為にも強くならないとダメなんだ。だから俺達は今よりももっと強くなってみせる」
「だけどソレスタルビーイングのガンダムは1体だけじゃない気がします……この間の狙撃した方の事なんですけど、あれは多分、長距離狙撃用の機体だと思うんです……」
「そういえばそうだったな。今シミュレーターの仮想敵はユウキとライネスが戦って惨敗させた黒い奴1体だけなんだぜ」
「他にまだいる可能性はあると思うわね、ソレスタルビーイングのガンダムは確かに規格外だけど戦ってみなければ分からない事だってあるのも事実だから」
モロハは父であるギンユウがレガシードルで傀儡政権側のスパイとして情報収集し、自分達もその為には今まで以上に強くならなければならないと決意するがシズノはある事に気付く、それは今まで仮想敵として戦った黒いガンダムだけじゃなくもう1体いる事を確信しており、それを聞いたトウマとリシアはソレスタルビーイングのガンダムは複数いる事を話す
「成程、あの時の目に見えない攻撃は黒いガンダムの他にまだ1機いるという事ね…それら全てのガンダムと戦わなければソレスタルビーイングのガンダムに勝つのは難しいわね」
「ああ、いくら強化改修しても完全とは言い難い。何故ならこれから実戦でのデータ収集こそが本当の意味での強化改修だ」
「つまり実戦での経験を積めば積むほど強くなるのは大体予想は付くと思うわ」
「考えてみればどんなに有能たからといって人である以上決して完全ではないからな。 人である限りは多かれ少なかれ一度の人生において失敗をしないなんて事はありえないものだろ」
ルイジアはソレスタルビーイングのガンダムは2体だけじゃない事から全てのガンダムと戦わなければ勝つのは難しいという事、ヒュウガは自分達のブレイブマシンが強化改修しても決して完全ではない事を聞いたチサキとタクヤは実践データを収集する事こそが真のブレイブマシンの強化改修である事を理解できた
「まあそんな所だな。しかし、俺達がこれから戦うのは全てあの黒いガンダムと長距離狙撃の機体だけだとは思っていない、恐らく他にもいる筈だ。それにソレスタルビーイングは武力による戦争の根絶を掲げていながらも、武力行使を躊躇わず、俺達がダイムザント達首相派と戦っている最中に介入する素振りを見せたので俺達としては奴等のやり方が気に入らないんだ」
「ダイムザント達は大甘予測がもたらした災厄の元凶なのにそれらと戦う私達を武力介入の対象と看做すなんて筋違いもいいところよ」
「私たちはあくまで首相に反旗を翻している以上甘い考えを持つのは以ての外だ。それにソレスタルビーイングが掲げる武力による戦争根絶が本当かどうかを確かめる必要があるからな」
「もし奴等が戦う以外で平和を実現する事が出来るなら私達は奴等と手を組む事も辞さないつもりだが、奴等はどう見ても話し合いで解決出来るような連中じゃない。ならばソレスタルビーイングと全面衝突してでも為すべき事を成し遂げるしかないんだ」
モロハはソレスタルビーイングの目的が本当に「武力による戦争の根絶」なのか確かめる必要があると口にし、サツキは自分達が大甘予測がもたらした災厄の元凶と戦うこと自体が武力介入の対象と看做すのが筋違いと判断する。カエデとレイサは自分達がダイムザント達に反旗を翻している以上甘い考えを持つ事は絶対にあってはならない事である以上自分達の目的であるグランストライア奪還を成し遂げる障害となるのであれば例えソレスタルビーイングと全面衝突してでもその目的を果たさなければならないと決意を固めていた
「だから私達はこれからソレスタルビーイングのガンダムと一戦交えてデータ収集する事が本当の意味での強化改修なんだね…」
「負け戦を経験し、そこから何かを学ぶ事が大切なのはよう分かる。ウチらも強くならなきゃならんっちゅう事やな」
「何度も挑戦して失敗を繰り返して情報集め、それが本当の意味で強くなれる方法ってわけね」
「それなら話は早いよ、あのガンダム達のデータを収集すればいいんでしょ?」
「ああ、その通りだ。俺達はこれからソレスタルビーイングのガンダムと戦ってその情報を集める。奴等を倒さなければこの世界の未来は永遠に闇の中だ。その為にはまずシミュレーターでパイロットの質を上げよう!」
マシロナとロッカ、レオナとミュウルはソレスタルビーイングのガンダムと何度も叩かってデータ収集するのが大事だと言った後、トウマはそうだと返答し、その後一同はシミュレーターでパイロットの質を上げる訓練を始めた。そんな様子を傍らでシミュレータ更新作業をする風花、アルス…野暮ったい分厚い眼鏡に隠れた眼が鋭くモロハ等を見据えていた事を誰一人気づいてなかった
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【グランセイロス セイロス城・ブレイブマシン開発】
「ダイムザント首相にご報告します、例の対ガンダム用ブレイブマシンの開発は順調となっています。グランセイロスの技術力を以てすれば1週間後に完成するとの事です」
「報告ご苦労だったザイアローン、最近の民衆については何か変わった事がないか?些細な事でも構わんぞ」
グランセイロス城内にあるブレイブマシン開発研究所でダイムザントは部下であるザイアローンに対ガンダム用のブレイブマシンの完成予定日を報告しつつ、グランセイロスの現状について尋ねる
「はい、最近は我々に反抗的なレジスタンス活動が目立っています。このままでは我々の政策に支障をきたしかねません」
「そうであろうな、あの忌々しい民衆が我々を裏切った報いはいずれ受けてもらうとしよう……ところでトウハクとサクラ達は今のところどうしている?」
「彼等ならユニフォーマスでシミュレーターを使った訓練を行っております。そして完成したブレイブマシンを積み込む準備も出来ております」
「そうか…あのソレスタルビーイングのガンダムに対して自らを磨き上げるのは見事なものだ。我が子とその仲間たちの成長ぶりが実に喜ばしい」
ザイアローンは自分達首相派が金の亡者に等しき富裕層で構成された独裁者を打倒するために立ち上がったレジスタンスの活動を懸念する事を言い、ダイムザントは快く思わず感情的なまでに歪みや暴走を抱えた愚民共を蔑みながら自身の子供であるトウハクとサクラ達の事をザイアローンに伝える。彼はトウハクとサクラ達が自らの成長のためにシミュレーターで訓練を行っている事を返答し、その事を聞いたダイムザントは感心する
「しかし、あのソレスタルビーイングのガンダムのパイロットは一体何者なのでしょう?いくら調べても正体が全く掴めず、奴等はガンダムを複数所持しています。この場合は如何いたしましょうか?」
「新型ブレイブマシンが完成次第奴等の戦闘データを収集しろ、どんな相手であろうと決して油断するなよ、奴等は世界を一つに纏める為の礎として消えてもらうとしよう……」
「承知しました、ダイムザント首相閣下。必ずや奴等の戦闘データを集めて参ります!」
ダイムザントにソレスタルビーイングのガンダムとの戦闘データを収集するよう命じられたザイアローンは敬礼した後、謁見の間から立ち去った
「…トウハクもサクラもそうだがザイアローン達も紛れもなく私の家族である以上、私は己の責務を果たさなければならない。全ては愛する妻を失った十四年前の事件から始まったのだ、あの時私が妻を守れなかった責任を取らなければならない……例えどのような結果になろうとも私は決して後悔しない。その為に私は自らの正義で世界を一つに纏めるなら敢えて独裁者に成り下がってもいいのだ…」
ダイムザントはトウハクとサクラを始めとした子供達と部下に自分の正義を貫き通すために独裁者になる覚悟と決意に満ちた表情で世界を一つに纏めようとしていた。まるで自分達の目的の為なら国民を蔑ろにしても構わないように…
////////////////
【MGアイランド・社長室】
「3手に分かれて行動するんですか…?」
「そう、ダイムザント達首相派はグランストライアの支配だけじゃなくレガシードルやデザストロイアにまで及ぼそうとしている。どうやら奴の言う世界を一つに纏めるという事は独裁政治による支配を意味するみたいだ」
「やはりそうでしたか…そのためにヒュドラグルムという架空の侵略者と自らの私兵であるGJSで戦わせようとしてたんですね…ですが問題はどうやって3手に分かれるんでしょうか?」
「レガシードルに滞在しているグランストレーガーに向かうのはモロハとトウマのミカドグニル兄弟のチーム、デザストロイアに向かうのはタクヤとヒュウガ、残りはグランストライアでダイムザントのいるセイロス地方へと向かわなければならない」
クーランとフリーデル、シゲノブからダイムザント達首相派の目的を聞き出した後、3手に分かれる事となった。その時リョウマはある事を言い出す
「将軍様、我々の母艦はエクシヴァロンとグランストレーガーだけとなりますがこの場合はどうしたらいいんでしょうか?」
「そう言うと思って既に考えてある、エクシヴァロン、グランストレーガーの他にもう一隻用意してある。それがこれだ」
シゲノブはそう言って懐からタブレット端末を取り出し、タッチパネルを操作して画面を映し出して操作し、一隻の船のデータを表示する。それはエクシヴァロンやグランストレーガーと同じトリマラン(三胴)戦艦であった
「XVGS三番艦クロスドラグナーだ。フリーデル、今から君をこの艦の艦長に任命する」
「わ…私がですか?」
「良かったなフリーデル、お前はこの艦を任される程に成長したってわけだ。これからはしっかり頑張れよ!」
「あぁ、ありがとう……!将軍様、クロスドラグナー艦長フリーデル・バスラー、必ずやご期待に応えて見せます!!」
「うむ、頼んだぞ」
シゲノブはクロスドラグナーの艦長を任命し、それを聞いたフリーデルは感激のあまり涙を浮かべ、クーランが彼の肩に手を置いて激励の言葉を送る
「俺は我が社の経営が忙しくなるけどこの8チームならきっと大丈夫だと思いますね…」
「そうだと思ったか?実はもう一つチームがいるんだよ、XVGSが誇るエージェントがね…」
リョウマはXVGSが8チームいると想定したがシゲノブの言うもう一つのチームが気になっていた。それからシミュレーターで惨敗続きのユウキ達は…
「一体いつになったら僕達はソレスタルビーイングのガンダムに勝てるんだ!?いくらシミュレーターでもここまで負け続けるなんておかしいんじゃないか……?」
「あのガンダムにはグランストライアの知らない技術が持ち込まれてる以上現時点では勝ち目ないのが目に見えてるからな」
「そうなんだよ…って誰が言ったんだ?ライネス?」
「俺じゃないぞ」
「それともキクルト?」
「俺でもない」
何者かに言われたユウキはライネスとキクルトかと思っていたが当人は違うと返答した。するとそこへ青髪をベースに後ろ髪等が水色髪という配色になったグラデーションのある髪型をした男性と金色のロングヘアーの女性、更には黄色と茶色の中間色のロングヘアーの女性と青が掛かったセミロングの女性の1男3女が現れる
「君達は確かクーランさんの息子であるソウエン、フリーデルさんの娘であるトワマリなのか…?」
「その通りだ。父さんたちが久しぶりに戻っていたとしたら何故か俺たちの知らない所で新しいブレイブマシンのシミュレーションをやっていると聞いたからな。それで興味本位で見に来たって訳だ」
「兄さん達がいない分私たちはキクルト達と共にここで訓練しているのよ。それとこの二人は私達のチームメイトよ」
「シェリン・コハグラットと申します」
「ユージア・トゴスミール……以後お見知りおきを…」
ユウキが言った後、クーランの息子であるソウエン・ランピード、フリーデルに娘であるトワマリ・バスラー、そしてそのチームメイトであるシェリン・コハグラットとユージア・トゴスミール、彼等こそがXVGSのセキュリティエージェントであるチームソウエンだ。ユウキ達はソウエン達に自分達がシミュレーターをやってる事を教えた
「ソレスタルビーイングのガンダムに勝つためのシミュレーションか……何度やっても負け続きでいい加減うんざりしてきたところで悩んでいるみたいだが……だったら俺たちも協力してやるぜ」
「大丈夫なんですか?あのガンダムは私たちですら手も足も出なかったんですよ」
「要は勝つ事が全てじゃないわ。負けから何かを学ぶ事だって出来るはずだから」
「それはもうわかってるけど何度やっても駄目なんだよ……!」
「何度やっても駄目だからと言って諦めるなんてらしくありませんよ!!それでもあなた方はXVGSとしての誇りがあるのですか!?」
「ダイムザント達と倒してグランストライアを取り戻す事が国民達の希望なんでしょ?だったら貴方達はそんな奴らの前で無様な姿を晒すつもり!?」
ソウエンが言った後、ティアナはソレスタルビーイングのガンダムは自分達ですら手も足も出ない事を言うが、トワマリは勝つ事が全てじゃないと反論する。しかしミセリアは今の自分達の無力さによって弱音を吐いてしまうが、そこへシェリンとユージアは心が折れそうなユウキ達に一喝した
「そうだったな…俺たちはグランストライアを取り戻す為に戦おうとしているんだ。なのにこんな所で挫けてたらダメだよな」
「そうだよね、僕たちはグランストライアの未来の為に戦うんだ。それを忘れていたかもしれない」
「二人の言う通り私たちがここで挫けたらグランストライアの人達に示しがつかないものね」
「えぇ、そうです。例え相手が強敵であろうとも我々は決して諦めてはいけません!!」
二人の一喝によってライネスとツカサ、ミセリアとナナミはやる気を取り戻し、シミュレーターを起動させて再びソレスタルビーイングのガンダムにリベンジする。ソウエン達はその様子を見て微笑んでいた事でシミュレーターに参加する
「敗北から学ぶ事も大事なのはわかる…それでも僕達は絶対にあいつらには負けられないんだ……!ダイムザント達を倒し、グランストライアを取り戻すために……ッ!!」
ユウキは強い決意を持って再度シミュレーターを起動させた。敗北続きであったとしてもユウキ達は諦めず、仮想エクシェスに勝つために立ち向かう……
//////////
同時刻、宇宙
ラグランジュⅢ周辺宙域。多くのデブリ漂うココは未だに開発が進まない。しかしココに資源衛星に偽装された私設武装組織ソレスタルビーイング極秘ドックの一つが在るとは誰も知らない…
「GNAバーニア異常なし、各種艤装及び火器点検完了……次は〜新装備搬入しないと。ハロ、あとはおねがい」
「「「リョウカイ、リョウカイ」」」
私設武装組織ソレスタルビーイング所属万能戦闘輸送航行艦“プトレマイオス・ラー“の定期メンテナンスを終え、搬入し始めたのはガンダムの新装備が収められた6つのコンテナだ…レーザガイド誘導をハロに引き継がせデッキに戻る…固定されたブレイドハート、ブライド、フェアリー、アルテミスを見ながらブリッジに向かう通路を軽く蹴りグリップを掴み移動し到着した
「アケノ、お帰り」
「よ、アケノ。ちょうどいいタイミンだ。さっきヴェーダから予測が下りた」
「え?やっと整備終わったのに…ま、しかたないよね〜で、アルスからの戦術予報は?」
「まだだ…」
ユーマ、ルナに出迎えるとブリッジに声が響く……白地のコートに軍帽を深々と被る六十代ぐらいの老人。プトレマイオス・ラー艦長シュトレーゼン・沖田がキャプテンシートに座ると佇まいを正したアケノ、ユーマ、遅れてリオ、プレラ、サンジェルマンが入った時、電子音がなる。メインスクリーンに暗号化されたリアルタイム通信が開いた
『みんな、久しぶり』
「よう、元気だったか?アルス、風花も」
『うん。じゃあ早速だけどヴェーダの予測を見たけど間違いないね……セイロス、レガシードル、デザストロイアでXVGS、GJS両組織による戦争が起こる可能性が高い……今回は三手に別れての武力介入をやります』
「三手か……ツーマンセルで武力介入しろってわけだな。ま、問題無いぜ」
「そうね、あ〜しのガンダムも初お披露目になるし」
「で、メンバーの振り分けはどうする?」
『レガシードルはユーマ兄さん、プレラさん。デザストロイアは僕、風花。セイロスはリオさん、サンジェルマンさんで。長期化が予想されるためプトレマイオス・ラーを降下、今回は新装備運用テストも含まれてるのでデータ収集を並行して行うように』
「新装備か…ま、使いこなしてやるさ……アルス、風花は?」
『いまは表向きの仕事してる。帰ったらミッションプランも渡しておくつもりさ。沖田さん、プトレマイオス・ラー降下スケジュールは48:00に。アケノさんもいいかな?』
「まあ私の造った新装備だし、対処できるのはあたしだけだしね〜いいよ〜」
「了解した……これより各資材搬入完了後、48:00に当基地を抜錨…グランストライアへ降下する」
『じゃあ降下後はミッションプランES25を施行。じゃあとで』
アケノ、沖田が応えガンダムマイスター達も頷いた。アルスも返すと通信を切る…数時間後、プトレマイオス・ラーは拠点から出港。一路グランストライアへ進路をとた
//////////
エクシヴァロン
同居住区画 アルス私室
「…ふう…」
野暮ったい眼鏡外しハロを通じ新たなミッションプランを組み直したアルスが背を伸ばした…レガシードル、デザストロイア、セイロスに起こるであろう紛争への介入。それぞれの陣営の戦術予報は確実にやらなければならない…民間人への被害を最小限に抑え戦闘行為を沈静化する
戦術予報とは早期解決をも含めているのだ…ふと写真立てに目を向けた…五年前のデザストロイアで両親と姉を亡くしてから取られたモノ
「……ユーナおばさん……貴方の言う通りXVGS、GJSは歪んでる……彼らは何もわかってない……」
銀髪に赤い瞳が目立つ軍服姿の女性の名を呟き、再びミッションプランを練り直し始めた