密かにアイドルを目指していたら「君となら命の重さを知れるかもしれない!」と半狂乱の大看板俳優に狙われ始めた   作:SUN'S

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私の悪女演技の鬼気迫るそうだが「僕は素敵だと思うよ、とってもね」と言ってカミキヒカルは微笑んだ。けれど、少なくとも私は悪女ではないはずだ

私は「劇団ララライ」の女優だ。

 

殺人鬼、ストーカー、悪女、破綻者など悪役の仕事をもらうことが多い。ときおりヒロインの取り巻きや親友の役をもらうこともあるけど。やっぱり、私に与えられるのは悪役ばかりだ。

 

神木さんの策略だろうかと悩んだりするが、彼の私に対する執着はそういうのじゃない。むしろ崇拝に近しい感情のようにさえ感じる。…まあ、彼の真意を見抜けるほど私は神木さんと仲良しではない。

 

その彼と上原さんが一緒にいる。

 

なにか言い合っているようだけど。遠すぎて聞こえないし、端から見ればは上原さんが一方的に神木さんに詰め寄っているように見える。ほんとに演技が上手いと感心する。

 

ほどなくして怒ったまま逃げるように離れていく上原さんを見下ろす。もうちょっとだけ我慢すれば私の演技の糧にできるはずたったんだけど。結局、私は神木さんに邪魔されてしまった。

 

「何したんですか、神木さん」

 

「ちょっと秘密をね、教えてあげたんだ」

 

そう言うと神木さんはニコニコと笑って私の横を通り抜け、とても楽しそうに鼻唄を歌いながら練習場に戻ろうとする神木さんを追いかける。

 

それから数日後して上原さんが死んだという話を聞かされた。ああ、やっぱりか。と納得しながら残念そうに眉間に皺を寄せている神木さんを見つめる。少なくとも私は殺される可能性はあるだけで、今すぐ殺される心配はしなくていい。

 

ほんとに私は自分勝手だ。

 

そんなことを思っていると神木さんが「ごめんね、君が狙っていたのにさ」と小声で話し掛けてきた。いや、私は殺そうなんて思ってなかった。

 

「神木さん」

 

「なんだい、泉?」

 

「なんで………」

 

ああ、うまく言葉にできない。

 

「『なんで上原さんを殺したのか』って聞きたいんだろうけど。少なくとも僕は殺してないよ。あの人が君と関係を持とうとしていたから止めるように注意しただけなんだ」

 

「そうですね、上原さんは自殺ですもんね」

 

「まあ、奥さんが浮気のことで(・・・・・・・・・・)喧嘩しているのは知っていたし、それなりに上原さんから話は聞いていたんだけどね。結局、だめだったか……」

 

そう言うと神木さんは黙ってしまった。どこか懐かしむように上原さんと奥さんが無理心中したという報道を続けている。だが、一言も奥さんの浮気について報道はされていない。

 

ああ、なるほど、そういうことですか。

 

私が辿り着くと分かっているから、神木さんはわざとらしく印象付けて話している。上原さんを殺したのは僕である。

 

そう私にアピールしているのだ。

 

 




〈無理心中事件〉

事件。

上原清十郎氏と姫川愛梨氏の自殺事件として連日報道されている。姫川愛梨氏の頭部には打撲痕が残っており、口論の末に撲殺してしまったことを悔いて自殺したということで解決しているが………。

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