密かにアイドルを目指していたら「君となら命の重さを知れるかもしれない!」と半狂乱の大看板俳優に狙われ始めた   作:SUN'S

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神木ヒカルは「僕は【鮮烈なる漆黒の殺意】と【燦々と輝く一番星】のどちらも欲しいんだ」と爽やかに言った。尚、すでに片方は攻略済みであるらしい

私は「劇団ララライ」の悪役女優だ。

 

ほんとはアイドルをやりたいけど。団長いわく「お前の強すぎる性悪説みたいな振る舞いでアイドルやれるわけねえだろ」とのことだ。性悪説を唱えるのは普通だと思うのだが役的に考えればだけど。

 

人は生まれながらに悪である。殺意、悪意、敵意、憎悪、嫉妬、憤怒、色んな負感情を持っているわけで私だけが異質というわけではない。

 

「初めまして、アイです!」

 

「初めまして、私は泉です。これは芸名なので覚えなくていいですから」

 

「わかったよ!イガミちゃん!」

 

「イガミじゃないです、イズミです」

 

そんなわけで私が若手トップアイドルのアイに興味を抱くのは当たり前だ。というよりも、なんで神木さんとアイドルが知り合いなのだろうかと考えてしまう。だって、明らかに神木さんと彼女には接点といえるものがないのだ。

 

ふと視線を感じて後ろに振り返ると。

 

いつものごとく神木さんがいた。

 

しかもニコニコと笑っている。いつも思うのだが神出鬼没すぎませんか?なんて密かに考えながら楽しそうに話す神木さんとアイさんを眺める。

 

「アイさん、紹介するね。彼女は僕や君と同じなんだ。だから仲良くしてあげてほしいんだ。ふふっ、なんだか居心地がいいね」

 

「へーっ、そうなんだ!」

 

私の話題で盛り上がっている二人を見つめる。

 

神木さんのアイさんを見る目は崇拝や信仰、いわゆる偶像に向けるような視線だ。アイさんの私を見る目は期待や不安、どこかすがるような視線だ。

 

「ねえ、イビキちゃん」

 

「なんですか?あとイズミです」

 

「愛ってわかる?」

 

すごい哲学的な質問ですね。

 

しかし、よくよく考えてみると愛ってなんなのだろうか?私は本物の愛というものを知っているわけじゃないし、アイさんの期待する答えを伝えることは絶対に出来ないと断言できる。

 

「ねえ、どうなの?」

 

「私は知りませんよ」

 

「えっ、あ…」

 

「だって私の愛は否定ですからね、貴女のように求めているわけじゃないですし、貴女のように愛されたいと思っているわけじゃない。とある格言があります。『愛されたいなら口を慎みなさい。愛の心を開く鍵、それは【秘密】です』と。少なくともウソまみれでアイドルをやっていけば見つけられるんじゃないですか?」

 

「……愛されたいなら口を慎みなさい…愛の心を開く鍵、それは秘密…」

 

「ええ、そうです。それでも分からないなら神木さんに執着してみるのもありですね。ほら、愛着ってあるでしょう?それが好きすぎてそれを大切にすればいずれ愛に変わる」

 

アイさんは私の言葉に困惑する。

 

「まあ、分からないのであれば結婚するなりすればいいんですよ。貴女の事を『愛している』や『大好き』と言ってくれる愛情溢れる人とね」

 

そう言うとアイさんは黙り込み、ゆっくりとお腹を擦っている。神木さんはいつも通りにニコニコと笑っているだけで何も言わない。

 

 

 




〈アイ〉

若手トップアイドル。

神木ヒカルの知り合いで泉と出会って以降、少しだけ「劇団ララライ」の稽古場にやって来ることが多くなった。どこか期待の視線を向けることがあるが、その心意は不明のままである。
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