密かにアイドルを目指していたら「君となら命の重さを知れるかもしれない!」と半狂乱の大看板俳優に狙われ始めた 作:SUN'S
私は星野アイ、妊娠三ヶ月のアイドルだ。
今日はヒカルくんとお見合い(ほんとはイララギちゃんの考えた『ヒカルくんの逃げ道を無くして責任を取らせよう大作戦』の決行中なの)だ。
苺プロの社長、戸籍上は私の義理のお父さんになるサイトーイチゴさんがヒカルくんを物凄く睨み付け、イライラとしているのが丸分かりだ。私のために怒ってくれてるのはわかる。ヒカルくんにはパパになってもらわないと困るんだけどなあ………。
「アイ、俺はお前の意思は尊重する。だがな、せめて先に報告するなり出来ただろ?少なくとも俺は………俺はお前の父親のつもりだった」
「……ごめんね………」
「いや、お前は謝るな。まずはお前と交際してすらいねえのに手を出したクソガキにたっぷりと説教して、お前と子供のために死ぬ気で尽くすように徹底的に言い聞かせる」
そう言うとサイトーさんは対面のソファに座ってキンダチザブロウさんに押さえ込まれているヒカルくんに向き直った。やばあ~っ、すごい顔でヒカルくんのこと見てるよ。
「おい、テメーだ。なにウチの可愛いアイドルに手ェ出してるんだ?しかも未成年同士じゃねえか。そっちの座長さんと話させてもらったが、普段は穏和な少年を気取ってるみてえだが。ただの年上好きのマセガキ、それも聞いたところによると重度の中二病を拗らせてるバカじゃねえか!」
「ああ、泉ですねそれ」
それ言ったの、絶対にイノミちゃんだ。
そんなことを考えているとヒカルくんは「僕は中二病?」とか「僕は病気だったのか?」なんて的はずれなことを呟いている。ウ~ン、ひょっとして私も中二病ってやつなのかな?
ちらりとキンダブノさんを見る。いつもと違った雰囲気のヒカルくんに驚いているのか。ウキウキしながらサイトーさんに怒られているヒカルくんが珍しいのか。すごく変な顔をしている。
「神木ヒカル、お前には絶対アイと結婚してもらう。しっかりと父親になってアイを幸せにしろ。こいつは命令じゃねえ、俺の頼みだ。はっきりと言えばテメーみてえな胡散臭いマセガキにアイを預けるのも嫁入りさせるのも気に食わねえし、今すぐぶちのめしたい………」
サイトーさんは私とヒカルくんを見比べて、ゆっくりと息を吸い込むとまたヒカルくんを見つめる。なんだったらサイトーさんは私よりヒカルくんを見てるかもしれないね。
「だが、アイの気持ちを俺は尊重する。ただし!!お前がアイを傷つけたり泣かせるようなことをしたら迷いなくお前をぶちのめす」
「………わかりました……」
「あ゛ぁーーっ、そういうわけだ。アイもアイドルを止めるのは心苦しいが、お前の進みたいように進んでくれていい。俺はお前の父親だからな、お前のやりたい事はなんでも応援してやる」
そう言ってサイトーさんは照れくさそうに私の頭を乱暴だけど優しく撫でてくれた。ふふっ、頭を撫でられるのはなんだか嬉しい気持ちになるね。
〈斎藤壱護〉
義理の父親。
苺プロ社長。星野アイのことを実の娘のように可愛がっており、依怙贔屓や格差をつけてB小町を押し出したりするなど子煩悩なところもあるため、よくB小町メンバーや妻の斎藤ミヤコに呆れられることが多いもののメンバーそれぞれに適した仕事はちゃんと割り振るし、フォローも欠かしていない。