バサリ、バサバサ……。
紙束、紙束、紙束……。
「おかしくないかしらこれ」
「何がでしょうか? 女神様」
「いや……転生者の数……最近多すぎない? 私一応偉いのよ? なんか資料覗いてハンコ押してみたいな作業一生やってる気がするのだけど」
「まぁ転生管理の女神なんてそんなものですよ、小規模の工場の社長みたいな」
わぁいい笑顔、こいつほんとに私の部下か?
「しっかしなんでこんなに多いわけ? 死因も似たようなのばっかだし……トラックトラックたまに殺人鬼、こんな殺伐とした世界だったかしら私の管轄してるとこ……というか私の覚えにないのも多いし……」
死後、残った魂を転生させるのが私の仕事のはずだがだいたい覚えがない、というか八割ぐらいはない。
死因も治安悪すぎみたいなレベルだし。
「まぁ最近は異世界転生物が流行りですからね、そんな死因も増えるでしょう」
「そんなファッショントレンドとか季節の風物詩みたいな軽いノリで言わないで頂戴、頭が痛くなりそうだわ」
「というかあれじゃないですか? 異世界側の神が女神様に許可得ずに勝手に人員引っ張ってるんじゃ?」
そんな馬鹿な話……いや、ありえる。
切迫溜まってるんです! 世界のエネルギーが! とか言いながらいわゆる学校のひとクラスまるまる運んで事後報告したやつもいたはずだ。
あ、頭痛くなってきた。
「もうマジで何なのあの駄神供、私のが神格上なんだけど? すりつぶそうかしら」
「いっぺんお灸を添えるのはいいかもしれませんねー……あ、これなんてすごいですよ、転生先が人ですらないです」
「スライム……こんな不定形な存在に人の魂乗っけてどうすんのよ……しかも洞窟スタートって……能力与えればそれでいいと思ってる節ない?」
「ゴブリンもいますね、すでにだいぶ経っててオーガに進化してますけど」
「よく人の意識のまま……あーこの人は前世に戦闘やってたタイプね、次元が違うと転生前の世界もまた変わってくるし」
というかだいぶ経ってるって……その書類来たの最近じゃなかったかしら。
目も疲れてきたかなぁ……。
「……女神様? 頭痛薬と目薬と胃腸薬です」
「ありがとう、神には必要ないんだけどね……この子は蜘蛛だけど〜中身がぼやけてるわね、他の神から干渉受けてるわ」
「また書類来そうですね、取ってきます」
「ええ、お願いね」
これは悪役令嬢でこれは魔王……魔王に転生じゃなくて魔王が転生って……。
職業すらとんでもないことになってるじゃない。
こいつは何回転生するのよ、この名前一回じゃないしするたびに能力与えてるから存在が人かすら怪しく……あ〜すでに人じゃない……。
ここは……神じゃなくて人が転生やら転移させてるじゃない、いつからそんなに強い立場になったのかしら、人間って。
というか異世界側から現実に行って殺そうとするな。
反則技にも限度があるでしょう限度が。
……どの世界の帝国も大概クソねぇ、帝国はクソじゃないといけないルールでもあるのかしら。
「追加の書類です、あと飲み物も」
「ありがとう、そこにおいとい……テ?」
気のせいかな、山が見えるんだけどなぁ。
この書類は……ゲーム世界への転生?
「この転生どういう理屈なのかしらね? 私は転生しか把握してないからあれだけど」
「その土地の女神とかがその世界に似せて作ってリリースしてるとかあるみたいですよ」
「あぁ……だからあんなに見知った状態なのね……」
ゲームと現実の区別ついてない人多いわね……。
死亡届がちょくちょく来るのよねこのタイプ。
「……これ転生じゃないじゃない、これも多いわね」
「似たような世界が多いですからねぇ、どっかの馬鹿が異世界漫画! アニメ! ゲーム! みたいなノリで売り出したりでもしてるんじゃないですか?」
「だとしたら普通に迷惑だからやめて欲しいわね……」
書類の山がバサバサと崩れていく、順番も規則性も全てバラバラになってしまった……。
「あぁ……本当にいつになったら私は休めるのかしら」
女神の仕事はまだ終わらない。
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