銀河赤旗伝説:革命篇   作:松コンテンツ製作委員会

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 思いつきで書きました。お楽しみください。


第1話『ローエングラム公よ、公はなぜマルクスに魂を売ったのか!?』

 銀河帝国皇帝フリードリヒ四世に寵姫として奪われた姉を奪還するため、ゴールデンバウム王朝に対する階級闘争をたたかい、リップシュタット貴族連合に無慈悲な懲罰を加え、銀河帝国労働大衆を宇宙艦隊革命武力で改革解放なされたラインハルト・フォン・ローエングラム最高司令官同志は、この日、白頭山の白きかがやきに勝るとも劣らぬ戦艦ブリュンヒルトにおいて、共に専制主義に対する階級闘争をたたかう自由と民主主義を僭称する資本主義国家の歴史家提督ヤン・ウェンリー同志元帥と対峙した。

 

 こうべを深く垂れて金髪の元帥様が紡いだのは、

 

「私の銀河系革命武力闘争を目撃する歴史家になってくれ」

 

 とのことである。

 

 ヤン・ウェンリーはラインハルトの絶妙な政治センスに唸った。

 アーレハイネセンが蟹工船よろしくドライアイスの炭鉱に落とされた時に抱いた思想とラインハルトのそれがひとしいものであったからである。

 イオン・フォゼカス号は宇宙暦の蟹工船であった。

 

 すなわち──共産主義革命。

 

 実は自由惑星同盟は共産主義国家と見做せるのではないかという学説は巷のごく一部である。星系から代議員を選び、代議員からさらに最高評議会が選出される政治体制が、旧社会主義国家でみられた民主主義的中央集権制と解釈できるからだ。

 

 ヤンのティーカップには、共産主義よりも赤い酒がばかみたいに注がれていた。

 

「おっとっと、こりゃどうも」

「ヤン提督、いける口か」

 

これが歴史家提督の判断力を狂わせたのだと本人は老齢を迎えたのち揺り椅子で孫に語った。

 

「ヤン提督、予は、いや、私はハイネセンを殲滅するがごときを望まぬ。そも戦争とは講和に向けた折衝を意味する。私は歴史学者としての卿の知見を欲しているのだ。市民が主役となる政治、それを共に作ろうではないか!」

 ヤンはラインハルトの赤い甘美な夢に酔わされた。

「構想はわかった。具体的にはどうするんだ」

 ここからはベリヤも真っ青な冷徹官僚オーベルシュタインが語る。

「トリューニヒト一味を排除して、レベロを最高評議会議長に推戴するがいい。レベロには銀河帝国がゴールデンバウム王朝を廃嫡し共産主義国家、共和制国家になる旨を伝え、イーブンな条件で講和した体裁をとる。すなわち、同盟は専制主義を打倒せしめ、帝国は同盟の兵力を打ち枯らしたのだ。悪くない話だろう」

 オーベルシュタインとラインハルトが目線を交わし、ラインハルトが話を続ける。

「銀河帝国は廃嫡後、一切の君主、貴族の地位を捨てる。銀河帝国は銀河連邦第二共和制に名を変え、私は別の国家元首を立てて当分行政府の長の位に収まる。連邦議会、連邦議会常任委員会、常任委員会政治局……」

「待った!」

 ヤンが平手で制する。

「これは僕の権限で判断しかねる。持ち帰り、アイランズ国防委員長・議長代理に早急に報告する」

「了解した。だが長くは待てない」

「ところでローエングラム公、ゴールデンバウム王朝に革命を起こしたあなたがフリードリヒ四世から賜ったローエングラムを名乗るのはいかがなものかと」

「ふむ、それもそうか、ラインハルト・ミューゼルに戻そう」

 

 ……ヤンは自艦隊幕僚陣を集め、諸々の采配を始めた。

「これは、ローエングラム公の突然の思いつきです!」

 ムライが眉間に皺を寄せる。

「同志ラインハルト、ラインハルト書記長、ラインハルト主席、ラインハルト委員長、う〜ん、妙な響きですなあ」

 パトリチェフが肉厚な顎をもごもごと動かす。

 

「さしずめこれでは、銀河赤旗伝説じゃないか!」

 

 歴史家提督はベレー帽を床にたたきつけた。

 




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