TS金髪ロリになる、デュエルアカデミアに入学している   作:紙吹雪

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私、マスターデュエルはあんまりやってないんですけど、今時珍しい決闘者なんですかねぇ?
何と言うか、目の前の友人とネタを挟みながらわいわいやるデュエルの方が好きなんですよね。

友達いないけど。



寝不足/野次馬

 

 万丈目君は結局三沢君とのデュエルに負けた。

 それで、プライドの高さ故かデュエルアカデミアを去ったらしい。

 ……何となくと言うか、アニメ的には戻って来そうだなぁ。

 

 それ以外は特に大きな事件もなく過ごせている。

 小さな事件をあげるとそれなりに多くなるので、ここでは言及しない事にする。

 

 最近ではこの身体やデッキにも大分慣れて来た。

 デュエルの事を考えてはベッドで横になっている生活が向いているらしい。

 ……明日香はそんな私の生活を正そうとしてくるけど。

 

 ここ最近は大きな事件もなく過ごせている。

 そんな日々が続いて欲しいけど、悲しい事に遊戯王ワールドでは叶わぬ夢だろう。

 なんでカードが原因で世界が滅びかけたりするんだか……

 

 カーテンの隙間から微かに眩しい光が漏れ出している。

 ああ、もうそんな時間なのかと察して私は思い切り伸びをする。

 そして私は、パソコンのあるデスクの前からひとっ飛びでベッドにダイブした。

 

「ん、もう朝か……さて、そろそろ寝るとしようかな」

 

「起きなさい! もう朝よ!」

 

「来るのが早いね明日香。今日は何かイベントでもあるの?」

 

 本当に宣言通りに毎日続けて来ている明日香は何気に凄いと思う。

 願わくば、その情熱をもっと別の事に使って欲しいものだけど。

 

「ええ、何か騒がしそうにしてたわ。一緒に見に行きましょう」

 

「わざわざ私を誘わなくても……」

 

「残念だけど、強制的に来てもらうわ。だって貴女、最近はまた引き篭もり気味ですもの」

 

「熊が冬眠するように、私がずっとダラダラしているのは習性なのに」

 

「寝言は寝てからいいなさい?」

 

 明日香が無言で拳を握り締めるのを見て、私はサッと血の気が引いた。

 不味い、気絶する程痛い無言の腹パンが来るっ!

 あれはもう二度と喰らいたくないよ。

 ぐぬぬ……

 

「……いいよ、行こう」

 

「分かったなら着替えなさい。それとも私が着替えさせてあげましょうか?」

 

「いや結構、遠慮させてもらうよ」

 

 私はせっせと寝巻き(実質的な普段着)を脱いでこの前購買で買った制服に着替える。

 私の体格は翔君より少し大きいくらいなので、明日香と比べると大分小さい。

 鏡を見たら分かるけど、中学生じゃなくて小学生にしか見えない。

 ……明日香も学生の筈なんだけど、改めて考えると発育良過ぎだと思う。

 

「へぇ、中々似合ってるじゃない?」

 

「そう? なら、買った甲斐もあったね」

 

 そう言えば実際に袖を通したのは今日が初めてだったね。

 若干スカートの丈が短い気もするけど……

 まあ、別にいいか。

 

 明日香に連行されて人の多いところまで向かうと、ポスターが貼ってあった。

 髪型が特徴的な、とある人物が描かれている。

 そう、初代デュエルチャンプこと武藤遊戯である。

 

 はえー、すっごい。

 あの髪マジでどうなってるんだろう……

 気にしたら負けか。

 

「それで、何があるの? もしかして武藤遊戯さんがこの学園に来るの?」

 

「いえ、どうやらデッキの展示みたいね」

 

「ほほう……?」

 

 それはそれは、中々面白そうなイベントじゃん。

 流石に神は入ってないようだけど、それ以外は完璧に再現されているらしい。

 ちょっと見てみたいけど、見られるのはどうやら明日みたい。

 

「仕方ない、今日は明日に備えて早目に寝ようかな」

 

「あら、いい心掛けね」

 

「それじゃ、私は今から寝るので部屋に帰るね」

 

「待ちなさい、流石にそれは早過ぎるでしょう」

 

 ちっ、腕を掴まれた。

 何とか逃げられないか……?

 

「……ねぇ、実は提案があるんだけど」

 

「え、何?」

 

 明日香は小声で私の耳元でこう囁いた。

 

「今日の夜、こっそりデッキを見に行かない?」

 

「……本気?」

 

「ええ」

 

 マジですか……明日香もそんな一面があるとは。

 まあ、遊戯王世界における武藤遊戯とは本当に凄い人なんだよね。

 そんな人のデッキに引かれるのも当然って事かな。

 ……ううん、そこまでしなくても翌日見れるんだから別に良くない?

 

『私は見たいです!』

 

 別に聞いてないよベティ。

 あと突然出て来ないで、びっくりするから。

 

 ううん……まあ、いいか。

 変に断って何かされても嫌だし。

 それに、覚えてないけどこのイベントは原作にもある筈。

 気楽に死人は出ないと信じたいけど、嫌な事件が起きるなら阻止したいところ。

 

「しょうがないなぁ……起こしに来てくれるなら、一緒に行くよ」

 

「……しょうがないは、私のセリフよ。どれだけ寝るつもりなのよ?」

 

「昨日はあまり寝てないからね」

 

「え、寝る事以外に何かやる事が?」

 

「ひ、酷くない?」

 

 だが、客観的に見た私の評価としてはまあ妥当かもしれない。

 

 寝てないのは調べ物をしているからだ。

 とは言え、気の向いた時にだけするようにしているけど。

 自分の正体は何なのか、私をこの学園に入れたのは何者なのか。

 そして……何故私が不二木アリスになったのか。

 

 今のところ収穫は殆ど無いに等しい。

 分かった事は、この学園の理事長にやや後ろ暗い噂があるって事くらい。

 これでも必死にパソコンをカチャカチャしたんだけど……

 

「どうかしたのアリス? 急に考え込んじゃって」

 

「ん、何でもない。それじゃあ私はこれから寝るから。おやすみっ!」

 

「っ、いつの間に手を解いて!?」

 

 へへっ、詰めが甘いね明日香!

 これでも手先は器用な方だもん、気を引けたならこれくらいは軽い軽い!

 

 と、調子に乗って前をよく見ずに走っていたからか。

 私は廊下を歩いていた一人の男子生徒に気付くのが遅れて、ぶつかりそうになってしまう。

 

「アリス、前!」

 

「分かってる!」

 

 だが、しかし!

 まるで全然!

 この私を倒すには程遠いんだよねぇ!

 

 常人の三倍の反射神経を持つ決闘者の私には、この距離からでも見てから回避余裕でした。

 寝不足なのを感じさせない鋭い動きで上方に高く跳躍。

 そのまま宙で二回転程ふつくしい回転をキメ、ひらりと華麗に男子生徒の背後で着地した。

 

「ふっ、10点」

 

「お前は……」

 

 振り返って男子生徒の顔を見てみると、どっかで見た事のある気がした。

 ええと……確かアレだ、サイバー流の人だ。

 丸藤亮、通称カイザーだったかな?

 

「アリス……その格好であまりアクロバティックな動きはしない方が良いわよ」

 

 明日香はジトっとした目で私の方を見ている。

 その格好……ああ、制服ね。

 

「心配しなくても、ちゃんと下にはスパッツ履いてるよ。見る?」

 

 私はスカートの裾をほんの少しだけ上げて見せる。

 カイザー亮はサッと視線を晒している。

 明日香は恐ろしく早い速度で腹パンの構えをしていた。

 

「……何でもないです」

 

「分かればよろしい」

 

「随分と仲が良いな、明日香」

 

 サラッと女の子と現女の子の会話に入れるのはイケメンだからかな?

 カイザーは若干……分かり辛いけど多分……興味深そうに明日香を見ていた。

 

「別にそんな事ないわ。アリスは何と言うか……手の焼ける妹みたいなものよ」

 

「それにしては結構親しみの深そうなやり取りだったが」

 

 えっ……今のが?

 

「まるで、あいつと接している時のような……」

 

「……」

 

「……すまない、失言だったな。忘れてくれ」

 

 それだけ言うと、カイザーは行ってしまった。

 あいつ?

 んーと、んーと……あ、もしかして?

 

「……兄さん」

 

 やっぱりか……カイザーと友人だったんだ。

 

「行方不明なんだっけ」

 

「ええ」

 

「……寂しい?」

 

「……少しだけね」

 

 そう言う明日香の横顔は立派な憂いのある美少女で、私は少しだけ見惚れてしまった……

 

 こう言うところはヒロインチックだよね、ほんと。

 

 

 

 

 

 

 なお、夜に明日香が起こしに来てくれたが、あまりにも私が起きなかった為に置いて行かれてしまった事を追記しておく。

 

 遊戯さんのデッキを使ったラーイエローの生徒と十代がデュエルしたそうだ。

 何それ、録画とかないのっ!?

 普通にちょっと見てみたかった……しょんぽり。

 

 

 

⬛︎ ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎

 

 

 

 私はパソコンの電源を落とした。

 駄目だ、完全に手詰まりですわ。

 やはり、ネットの魑魅魍魎から情報を拾い集めるのには限界があると見た。

 別の方法を考えないといけないかも……

 

『ご主人様、パソコンのやり過ぎは身体に良くないですよ!』

 

「ああうん、分かった分かった」

 

 パソコンを落としてベッドに寝転がる。

 ……暇だ。

 

「何もしてない時間も、いいかもね」

 

『それはそうかもしれませんけど……そんなに暇なら授業に出たりとかしないんですか? 学生なのに」

 

 中身は大人の男性……なんだけど、ね。

 私の記憶に関しても、イマイチ分からないところが多い。

 今でこそ少女が板に付いて来てしまったけど、私は男の筈なのだ。

 ……記憶がない所為か、気を抜くと忘れるけど。

 

「授業なら別に受ける必要性は今のところ感じないかな。幸い、デュエルに関する知識ならそれなりにあるから」

 

『むむむ、たしかにご主人様は強いですけど……』

 

「あーあ、外に出るのも面倒だなぁ……なんか面白い事ないかなぁ」

 

 私がそんな事を言った、その時。

 ふと、窓の外の知っている顔が目に入りました。

 あれは……十代だ。

 オシリスレッドの服装をした子を追いかけているっぽい?

 

 ……あっ、あの子、木を伝ってオベリスクブルー寮に入っちゃった。

 あの部屋が誰の部屋なのか分からないけど、ちょっと気になるし見に行こう。

 決してこれは野次馬じゃない、いいね?

 

『ご主人様、急に何処行くの?』

 

「ちょっと野次馬……もとい、野次馬に行ってくる!」

 

『や、野次馬?』

 

 私は急いで侵入された部屋までダッシュする。

 位置的には、男子寮の場所だから結構遠い。

 でも、私の身体の身体能力ならそこまでかからないね。

 

 そして、目的の部屋の前にまで来たところ。

 カイザーとその取り巻きっぽい人達と遭遇してしまった。

 

「カイザー、奇遇だね」

 

「お前は授業に出ないし、殆ど部屋に引き篭もっているからな。それで、そんなお前が何故俺の部屋の前に?」

 

 え、ここカイザーの部屋なの?

 カイザーはイケメンだし、まさかストーカーの類かあの子……?

 

 いや待てよ、オシリスレッドの服装ならあの子は男の子だよね。

 つまり……アーッ!?

 いやいや、まだ分からないから!

 もしかしたら男の娘とか男装した女の子かもしれないし!

 

「いや、窓の外を眺めてたらこの部屋に侵入するオシリスレッドの人が見えたので」

 

「何?」

 

「カイザーの部屋に泥棒が!?」

 

 取り巻きの一人がドアを開ける。

 すると、中にはデッキを握っている十代の姿が!

 

 ……あれ、もう一人は?

 

「あっ! デッキが!? 貴様ノースのスパイだな!」

 

「違う!」

 

 十代……あのさぁ。

 多分、あの子を追いかけて来ただけなんだろうけどさ。

 幸いにもカイザーが取り成してくれたお陰で十代は無事に解放された。

 

 ところでノースって何?

 

「やれやれ……」

 

「ところで、お前が見たオシリスレッドの者とは十代の事か?」

 

「いや、もう一人いたね。結構背の低くて華奢な体格の子だったけど、もしかして心当たりでも?」

 

「いや……」

 

 カイザーは会話の途中で何かに気付いたような表情になった。

 気になって視線を追ってみると、そこには髪留めが落ちてあった。

 ……ふむ。

 

「カイザー、髪留めを床に置いたままにするのは関心しないよ?」

 

「違う。俺のじゃない」

 

 こやつ、ボケてもあまり突っ込んでこないな……

 若干天然の気はありそうだけども。

 

「十代の物でもないだろうし、私の物でもない。つまり……」

 

「なるほどな」

 

 例のもう一人の子の持ち物って訳だ。

 私はいらないし、持ち主に返しに行ってあげないとかな?

 

 

 

⬛︎ ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎

 

 

 

「……で、今十代とその子がデュエルしていると」

 

「そうよ。全く、カイザーと言う男が……」

 

「……すまない」

 

 どうやら、整理するとこう言う事らしい。

 

 侵入して来た子……早乙女レイちゃんはカイザーのファンと言うか、カイザーの事が好きでこの島までやって来た子らしい。

 ちなみに普通に女の子だったらしい、なんかちょっと残念に思っている自分がいる。

 それで、カイザーの部屋に忍び込んだと……一歩間違えたら普通にストーカーじゃん。

 

 今は十代とデュエルしていたが、丁度今終わったようだ。

 フレイムウィングマン、生で見ると格好良いな。

 

「出番よ!」

 

 明日香はそう言って、カイザーを前に出そうとする。

 普段は堂々としているカイザーも、何だか落ち着かない様子。

 見ているだけで面白い空間になって来た。

 

 その後、レイちゃんはカイザーに告白するが断られてしまった。

 デュエルが全てって……まあ、健全なのかな?

 しかし堂々とフッたなぁ……

 

「ちょっと、男子ぃ〜?」

 

「茶化さないの、アリス」

 

「アッハイ」

 

 明日香に睨まれたので、大人しくしておく。

 んで、早乙女レイちゃんはまだ小学生らしい。

 なので、デュエルアカデミアには入学出来ないそうだ。

 

「うぅ……なんでその子には入学出来て私には出来ないのよっ!」

 

「いや、私は小学生じゃないから!」

 

 おのれこやつ、私を小学女児体型と言い張るか。

 

「しかも、亮サマにそんな近くまで……!」

 

 ……気付けばカイザーと割と近い距離感になっていたようだ。

 ううん、なんだこれ?

 

「あらアリス、まさか貴女……?」

 

 精神的ボーイズラブやめろ!

 カイザーも戸惑ってるじゃないか!

 

 しかし……なんかカイザーの態度には安心感を覚えるような。

 ……何か、あるような。

 

「っ、そうだ!」

 

「え、急になんだ?」

 

 十代がポカンとして聞いて来るが、今私はそれどころじゃない。

 

 ……少しだけ、思い出したんだ。

 私の失った、過去の事を。

 

「私には、昔カイザーのような態度の友人がいた」

 

「亮サマみたいな態度の友人?」

 

「うん」

 

「昔って、貴女……」

 

 貴女そんなに年齢高くないでしょって視線が明日香達から注がれるけど……

 うん、確かにいた記憶が蘇って来た。

 そんな感じの友人が。

 あっ、でも向こうからは友人と思われていなかった気がする。

 

「カイザーみたいな友人……なぁ、そいつもデュエル強いのか!?」

 

「言われてみれば、強かった気がするな……パワボンリミカサイエンをカタパで射出して来る人だった気がする」

 

「なんだそれは……?」

 

 





※この友人は話の大筋には全く関わりがありません

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