TS金髪ロリになる、デュエルアカデミアに入学している   作:紙吹雪

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今更ですけど、日常回的なのは積極的に飛ばして行く方針です。



励まし/課外授業(強制)

 

 近日、ノース校とやらの対抗デュエルと言うのがあるらしい。

 先日聞いたノース校と言うのはライバルの学校みたいなものらしい。

 今年は向こうが一年生を出すのでこちらも一年生が、となっているんだそうだ。

 

 へ〜、そうなんだ〜。

 

『何ですかご主人様、その興味なさそうな顔は……』

 

「だって、私は出るつもりないし」

 

『ご主人様の実力なら、出られそうなのに……』

 

「嫌だね」

 

 だって、原作壊しちゃうもん……

 絶対重要イベントじゃん。

 なので、私は見ているだけにしておくよ。

 

『……だったら、お部屋の掃除とかしたらどうですか?』

 

 何が"だったら"なのか……

 たしかに、ベティの言う通り若干散らかっている気がしないでもない。

 この世界で目覚めた時から掃除をしてなかったから当然そうなるよね。

 最近は調べ物に行き詰まったりしてたからなぁ。

 ううん、掃除か……

 

「面倒臭いなぁ」

 

『言うと思いました、はぁ……』

 

『掃除なら、お任せください!』

 

「お、ベティやってくれるの?」

 

『え? いや、私はやるとは一言も……』

 

 あれ、なんか今……

 私が振り向くと、そこには見知らぬ少女の姿が!

 だ、誰ぇ!?

 

 全体的に薄汚れた、ボロっぽい服を着ている女の子だ。

 この汚れは……多分、灰かな?

 手には箒を持っていて、頭には三角巾。

 つまり、この子はまさか……!

 

「シンデレラさん!? あの意地悪三姉妹によく虐められていた……」

 

『本名はエラです。灰被りって言われるの、実は結構嫌なんですよ?』

 

 あ、そこ気にしてるんだ……

 まあ、悪口みたいなものではあるか。

 

「でも、なんで今現れたの?」

 

『最近、ようやくこうして動ける程度の力が溜まったのです』

 

『久し振り、エラ』

 

『あなたもです、赤ずきんさん』

 

『今ではベティって名前があるから、そう呼んでね』

 

『分かりました、ベティ』

 

 二人は既に知り合いのような振る舞いだ。

 シンデレラと赤ずきんちゃんが手を取り合ってるのは、中々シュールな絵な気がする。

 

「シンデ……こほん、エラが精霊として実体化出来たって事は、他の子も?」

 

『その通りです、ご主人様。ただ、このペースだとそれなりに掛かりそうです』

 

 ほむほむ。

 ご主人様呼びにあまり違和感を感じない自分がいる。

 ベティで慣れたのかな?

 

「とにかく、めでたいって事で良いかな?」

 

『はい、そうですね』

 

「じゃ、エラには掃除を頼めるかい?』

 

『……めでたい日に掃除……自分はやらずに人に任せて……う、あ……』

 

 エラは身体を痙攣させながらその場で膝を付いてしまいます。

 明らかにトラウマを抉られているのが分かりました。

 

「ごめん、私が悪かったから」

 

 ちょっと今のは私の配慮が足りてなかったかもしれない。

 そうだよね、舞踏会行きたかったんだよね……

 

『……まあ、元々精霊である私は物理的な干渉が出来ないので掃除なんて出来ませんけど』

 

 心配して三秒で後悔した。

 そうだね!

 よく考えればそうだよねこんちくしょう!

 

 

 

⬛︎ ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎

 

 

 

 エラが目覚めた翌日。

 

 今日はいよいよノース校との対抗デュエルらしい。

 

『行きましょう、ご主人様』

 

「ああ」

 

 私はエラと一緒にデュエルスペースへと向かう。

 邪魔なので箒は仕舞ってもらった。

 

 ベティは今日お休みだ。

 何人も実体化するのにはエネルギーがそれなりにかかるらしい。

 どうにも、私のエネルギーを使っているらしく……それ先に言って欲しかったね?

 

 と言う訳で、どちらが一緒にデュエルを見に行くかを話し合った結果、エラになった。

 

『まあ、ベティが譲ってくれたんですけどね』

 

「そうなのか……」

 

 仲が良いようで何よりだ。

 それよりも、結構遅れている気がする。

 今日は明日香に起こしてもらえなかったからだろうか?

 

「よし、こっちなら近道の筈……ん?」

 

 廊下の曲がり角を通ると、そこに万丈目君がいた。

 心なしか、あまり落ち着かない様子に見える。

 緊張……と言うよりは、何かしら迷いでもある風か。

 

 え、いつの間に帰ってきたんだ?

 

「げっ、お前は……」

 

「いつの間に帰って来てたの? デュエルアカデミアから離れたって聞いてたけど」

 

「ふん、耳が遅いなお前は。ノース校代表何だよ、俺は」

 

「……へー」

 

「なんだその反応はっ!? もう少し驚け!」

 

「どっひゃ〜! こいつぁぶったまげた〜!」

 

「ふん、まあ良いだろう」

 

 良いのかよ。

 

「それで、何でそんな辛気臭い顔してるの?」

 

「うるさい、お前には関係ない!」

 

「ふっ、本当にいいの? 答えてくれるまで私はこの場でひたすら前転を繰り返しちゃうよ?」

 

「お前は何故毎回毎回意味不明な行動をするんだ!?」

 

 芸人魂が疼いて……つい。

 

「冗談はこれくらいにして。まさか、君の事だから緊張した訳でもないし」

 

「……」

 

「まあ、何となく予想出来なくはないけどね。そうだね……誰かの期待が重いとか?」

 

「っ!」

 

「その顔は当たりだね。その誰か……ああ、さては兄達だね。政界財界で成功を収めたんだとか」

 

 偶然にも、私のこの身体の両親を探る過程で万丈目グループについては調査済みだ。

 金持ちやお偉いさんが怪しいと辺りをつけて結局収穫無しだった調査が、まさか今役に立つとは思わなかった。

 

「……だったら、なんだ!」

 

「別に何も? 私は君と別に友達でもなんでもないし。ただ、酷い顔してたから話しかけたってだけ」

 

「お前は相変わらず鬱陶しいな!」

 

「それほどでもない」

 

「褒めてない!」

 

 ああぁぁぁぁ……と、髪を掻きむしる万丈目君は見てて面白いけど、流石にそろそろふざけるのはやめよう。

 

「私はね、万丈目君」

 

「あ?」

 

「その人の気持ちは、その人だけが大切にする物だと思ってる。他人には理解されない、安易に理解されたくない領域があるって」

 

「……」

 

「自分の感情を押し殺してまで何かを続けていても、きっと悪い結果にしかならないと思う。だからって、自分の感情を曝け出すのは恥ずかしいよね、あはは」

 

「結局、お前は何が言いたいんだ」

 

「貴方の感情は貴方だけの物で、貴方の痛みは貴方だけの痛み。分かち合える仲間を持てとは言わないよ。ただ……自分を押し殺してまでらしくない振る舞いを続けるなら……」

 

「続けるなら?」

 

「蹴っ飛ばしてあげるよ。何うじうじしてるんだって」

 

「……お前は、よく分からない奴だな」

 

「私も、私の事がよく分からないから」

 

 記憶のなくて、学園からは特別扱いで、家族も不明。

 そんな不思議存在が私だ。

 私の事を詳しく知る人に会えるなら会ってみたいよ。

 

「……自分の感情は自分だけのもの、か」

 

「どうかな、美少女からの励ましは?」

 

「ふん、ちびの癖に生意気な口を叩く!」

 

「素直じゃないねぇ」

 

 憎まれ口を叩かれてはいるけど、彼の表情は少しはマシになったと思う。

 少しはいい顔できるじゃん。

 

「ところで、ずっと気になっていたんだが」

 

「ん、何?」

 

 

 

 

「そこの、お前の後ろにいる女は誰だ?」

 

「えっ」

 

『えっ』

 

 

 

 

 ……え、どゆこと?

 エラが見えてるの、この人?

 

「なんか、見覚えのある姿な気がするな」

 

「えっと……」

 

 私がなんて答えるか迷っていると、エラが先にこう言いました。

 

『あなたは、精霊が見えるのですか?』

 

「は? 精霊……」

 

『……ご主人様以外にも、素養のある方がおられるとは』

 

 流石の万丈目も訝しげな視線に変わった。

 と言うか、精霊って知られても良いのかな?

 ……別に問題ないかも。

 

「お前……何だか、シンデレラのような格好だが」

 

『そのお話に登場する、主人公の本当の名前はエラと言うのですよ?」

 

 エラは置いてきた筈の箒を取り出して万丈目君に向けて牙突の構えをする。

 振り上げるでもなく棒の部分で突こうとする辺り、殺意が高い……

 と言うか、そこまで気にしてたのかよっ!

 

「そ、そうか……」

 

『ひぃ、怖いわ〜ん』

 

 ……ん?

 なんだこの黄色くて気持ち悪い生物?

 何処かで見たような……はっ、そうだ!

 

「お前は決して万人受けはしないだろう容姿に定評のあるおジャマ・イエロー! 決して万人受けはしないだろう容姿に定評のあるおジャマ・イエローじゃないか!」

 

『このお嬢さんはおいらの事が見えるのね〜ん……って、その枕詞は余計よん!』

 

 そうだ、そう言えば万丈目と言えばおジャマだった!

 何で今まで忘れてたんだろうか。

 

「ちっ、そろそろ時間だ。俺はもう行く!」

 

 むむむ、たしかにもうそろそろ始まりそうだ。

 私も早く向かわなくちゃだ。

 

『え、おいらを紹介してくれないのん?』

 

「却下だ」

 

『そんな〜!?』

 

 時間ないのにコントを始めるなよ……

 私が言えた事でもないけど。

 

「それじゃあ頑張ってね、万丈目君」

 

「万丈目"さん"だ!」

 

「じゃ、万丈目って呼ばせてもらうね」

 

「悪化してるじゃねぇか!」

 

『うふふ、仲がよろしいのですね』

 

「何処がだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なお、結局万丈目は十代とのデュエルに負けた。

 流石の主人公力である。

 

 その後。

 どうやら授業の出席日数が原因で、万丈目はオシリスレッドに住む事になったらしい。

 私が負けた事を揶揄いに行ったら、おジャマ・イエローを投げつけられたのでエラでガードした。

 そのまま二人で仲良く喧嘩して、仲良く偶然居合わせた明日香にお説教された事を追記しておく。

 

 ……なんだかんだ、気が合う友人になれそう。

 

 

 

⬛︎ ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎

 

 

 

「課外授業?」

 

 放課後に突如明日香が来たと思ったら、いきなりそんな事を口にした。

 この島にある古代遺跡に行くんだとか。

 普段は火山の近くにある為立ち入り禁止のエリアにあるんだったっけ。

 一応この島の地理は大体頭には入れたから多分あってる筈だ。

 

「ええ、そうよ。一緒に行くわよ」

 

「決定事項なの!?」

 

「最近は結構外に出る事が多くなってきたみたいだから、これは私からのテストみたいなものよ」

 

 私の教師かおめぇはよォ〜!?

 

 くっ、動揺のあまり思わずギアッチョになってしまった。

 なんで明日香がそれに参加するのかとか気になる事はあるけど、先に考える事がある。

 頑張れ私、ピンク色の脳みそをフル回転して何とか断る方法を探るんだ!

 

「アリス。貴女、最近出歩きながら何してるの?」

 

「別に、変な事はしてないよ?」

 

「……港で懸垂するのは変な事でしょう?」

 

 何故バレてるし。

 まさか万丈目の野郎がゲロったか?

 許さん、後でおジャマ・イエローを50枚くらい送り付けてやろう。

 

「貴女の事だから、特に何も考えずにやってるのかなとも思ったけど……」

 

 いやいや、私はそこまで馬鹿じゃないよ……馬鹿じゃないよね?

 

「何だか目的がありそうに思えるの。聞いてもいい?」

 

「別に大した事じゃないよ? でも……明日香の秘密と言うか、お兄さんを探してるって事を知ってるのに、話さないのは道理に合わないかな」

 

 私は掻い摘んで私の目的や事情を話した。

 記憶が殆ど無くなっている事と、以前は恐らくだけど大人の男だった事。

 後者を話すかどうかは悩んだけど、結局伝えた。

 勿論だが、OCG次元とか言う修羅しかいない世界の話をするのはやめておいた。

 

「……えっ、男なの?」

 

「うん、今まで黙っててごめんね?」

 

「全然そう見えないわ。実は勘違いなんじゃない?」

 

 酷くない?

 そんな事言われた私、泣くよ?

 でも、まあ……いいか。

 男だって知られて距離を取られたりするよりかは。

 

「私、明日香はお節介な友達だと思ってたけど」

 

「そうね、私もアリスは手のかかる友達だと思ってる」

 

「なら、今の関係のままでいてくれると……嬉しいな」

 

 私は明日香に向けて、手をそっと差し伸べた。

 握手を求めたんだけど、これもセクハラになってしまうのだろうか?

 

「っ……貴女って時々……いえ、何でもないわ」

 

 そう言って、明日香はそっと顔を逸らしながらも握手に応じてくれた。

 よく見ると、ちょっとだけ頬が赤くなっている。

 ははーん?

 

「さては私が友達だって言ってくれて嬉しかったのかな、明日香?」

 

「う、うるさいわね! とにかく明日、忘れないように!」

 

 バタン。

 つかつかつか。

 

「え、ちょっと!?」

 

 まるで逃げるように明日香は素早く扉を閉めて早歩きで去って行った。

 恐ろしく早い退出、私は見逃しちゃうね!

 

 課外授業、断るつもりだったのに言いそびれちゃった。

 こうなったらもう腹を括って参加するしかない。

 すっぽかしたら親の顔よりも痛い腹パンで頭に三段アイスみたいなたんこぶが出来る。

 

 それにしても……

 

『友達だと認めてくれて自分も嬉しい癖に、それを隠して相手をおちょくるご主人様って……』

 

「シャラップ、ベティ」

 

『まあ、友達だって認め合った直後に申し出を断る程ご主人様は人でなしではないですよね?』

 

 後でベティにはネットで拾ってきた大量の毛虫が蠢いている画像を見せてやる。

 ベッドで布団を被って顔を隠しながら、私はそう心に決めた。

 

 





次回こそデュエルします。
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