沈みゆく旭日   作:ダージリン旭

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中国の謀略によりエチオピアとスーダンの間でナイル戦争が勃発。日米は中国のアフリカ進出を防ぐべくナイル戦争に参戦し、中国の傀儡となったエチオピアを降伏させた。戦争が終結したことでようやく桜乃は自身の目玉政策、大蛇計画を実行する。


大蛇計画 始動

大蛇計画とは桜乃が総理大臣の期間に実行する八つの政策をまとめたものである。

一項目 自国製SLBMやAI兵器の配備による抑止力強化

二項目 軍需産業や先端技術産業への積極投資

三項目 被選挙権年齢の引き下げ

四項目 インド太平洋諸国の軍事同盟設立

四項目 食料、資源、工業製品輸入国の分散

五項目 老朽化インフラの大規模整備

六項目 政府が懸念国に対し日本企業の買収を禁止する特定国買収禁止法の制定

七項目 企業の内部留保を課税する内部留保税の導入

八項目 文化産業従事者への支援と内部調査

この計画は主に国力の増強が目的となっている。

 

総理執務室

 

「ところで総理、まずはどの項目を実行するつもりですか?」

 

「そうですね…一項目、二項目、五項目は既に進めていますから今度は国民の支持を得やすい政策にしておきたいですね。」

 

「飴と鞭戦法でいくんですね、まぁ就任早々戦争してましたからそうしないと厳しいのでしょうけど。」

 

「決めました、八項目を実行しましょう。文化産業は日本経済を支える柱の一本ですからね。」

 

「日本の文化産業というとアニメがメインですかね、それにしても支援はわかりますが内部調査というのは一体?」

 

「アニメーターの給料が少ない理由の一つとして中抜きが大きな問題でしてね、ただ給料を増やすだけでは上層部が更に私腹を肥やすだけですから各会社の実態調査を行ってから支援をするのです。」

 

「なるほど、業界構造の抜本改革が狙いでしたか。」

 

「ええ、こんな状況が続いていたら中国企業に引き抜かれるだけですからね。」

 

「ただ、私としては三項目を先にしたほうが良いと思いますが。」

 

「それは特大級の鞭に対する特大級の飴なのでね。まだ実行するときではありません。」

 

「好きな時にやりたい政策ができない、政治って大変なんですね。」

 

桜乃総理は文化産業に対する補助金等の支援と定期的な内部調査を行う政策を閣議決定した。この政策は大半の国民の支持を集め、桜乃に対する戦争の印象をある程度払拭することができた。

 

総理執務室

 

コンコンッ「失礼します」ガチャッ

 

「京町さんですか、まさかまた戦争をすることにはなりませんよね?」

 

「いえ、流石にそれほどのことではありませんよ。ただ我が国としては見過ごせないことではありますが。良いニュースと悪いニュースどちらから先に聞きます?」

 

「まずは良いニュースからお願いします。」

 

「日英の軍需企業が共同開発していた四足歩行無人兵器が運用段階に入ったとのことです。」

 

「それは素晴らしいですね。偵察、地雷撤去、救助活動など幅広く使えるため、非常に有用性がありますね。それで悪いニュースはなんでしょう。」

 

「ベトナム国家主席と中国外相が会談を行っており、その会談の中ではベトナム側が中国の南シナ海の支配を認めるような言動をしていたとのことです。」

 

「あのベトナムがですか?やはり去年国家主席が変わってからかなり中国に寄っていますね…」

 

「ええ、突然の体調不良からの辞任でしたからね。中国側の圧力が掛かって今の国家主席になったと考えるのが自然でしょう。ベトナム国民の間では北属だと非難し、中には大規模デモを起こす事態になっているそうです。」

 

「ベトナムが中国の南シナ海支配を認めるのは本当に不味いですね。引き続き諜報を継続してください。」

 

「了解です。ところで総理、今夜時間がありましたら一緒に飲みませんか?総理の好きな若波も用意してますよ。」

 

「なんと素晴らしい!それでは波音さんも呼んで三人で飲みましょう。今夜が楽しみですね。」

 

(先週も飲んでたのに…この二人ほんとに酒クズだなぁ)

 

クレムリン

ここではロコソフスキー大統領とドルフ国防相が今後の対外戦略について話し合っていた

 

「ドルフ、我が国はウクライナを手にすることができず挙句の果てには中国にウラジオストクに使用優先権を与えるほど落ちぶれてしまった。今や残ってるのは資源と軍だけだ!」

 

グラスノヤ・ロコソフスキー 81 大統領 オリキャラ

ソ連時代の栄光を忘れられない理想家 彼に反抗する部下は既に刑務所に入れられているため誰にも彼を止められない

 

「はあ…それで今後はどうされるのですか?」

 

「欧州はベラルーシしか同盟国は残っておらず、もはや勢力圏を広げることはできん。そこで我が国は極東を中心とした政治体制に移行しようと思うのだ。」

 

「極東ですか…何故そのようなことを?」

 

「君はそんなこともわからんのか!」バンッ!

 

大統領は癇癪を起こし机を叩いた ドルフは唖然としていた

 

「いいか、欧州連邦の奴らはわざわざ統一国家になってまで我が国を追い込もうとしている。そして次々に我が同盟国を飲み込み、完全に孤立させようとしているのだ!」

 

(お前がずっと武力で脅してたからこうなったんだよ!なんで自業自得だってことに気付かないんだ…)

 

「だが極東の敵は米国の犬である日本一国だ。しかも朝鮮や中国といった同盟国もいる。だから私は近々イルクーツクに首都を遷都しようと考えている。」

 

「しかし中国は共通の敵を持つから協力しているのであって、そう長く続かないかと…」

 

「何を言っているんだ!中国は欧米と戦い続けるに決まってるだろう。それにイルクーツクは近くにモンゴルという緩衝国があるのだから安全面も抜かりはない。そしてこの政策の一環として君に任務がある。」

 

「何でしょう?」

 

「太平洋艦隊と極東陸軍を増強し、北海道を占領せよ!」

 

「はい!?大統領、正気ですか?日本に宣戦布告しようものなら米国が黙っていませんよ。しかも近々日本はSLBMの配備を行うとも…」

 

「この臆病者が!いいか?米国が介入する前に勝てば良いのだ。それに奴らは北海道のためだけに僅かな数の核兵器など使えまい。」

 

「そもそも碌な大義名分もないじゃないですか。」

 

「そうだな…日本は我がロシア領土のクリル諸島のロシア住民を迫害している。我が国は住民の保護のため、そして北海道で迫害を受けている住民を解放するため特別軍事作戦を実行する。」

 

(駄目だこいつウクライナから何も学んでないな、むしろ悪化した。)

 

「これで我が国は再び大国としての威厳を取り戻すことができるだろう。覚悟しろよ、ハルノ。」

 

首相公邸

ここでは桜乃、京町、波音がそれぞれ好みの酒を楽しんでいた。

 

「若波を飲むと大学生の頃を思い出しますね。よくお父様から貰ったものを友人と宅飲みしていたものです。」

 

「若波をよく貰うだなんてよほど裕福な家庭だったんでしょうね〜」グビグビ

 

「総理も京町さんもよくそんなに日本酒飲めますね…私なんかワイン二杯で酔うというのに。」

 

「まぁ私もそこそこ飲める程度ですけどね。京町さんが規格外なんですよ。」

 

京町)グビグビグビ

 

「それは間違いないですね。それで総理、中国以外の外交をどのようにするつもりですか?」

 

「波音さん、この時くらいはそんな堅苦しい話し方はやめましょう。私としてもあなたの本音が聞きたいです。」

 

「そうですね…米英印豪欧とはこれまで通り連携を強化。朝鮮やロシアに対しては現状維持。そしてベトナムはあなたがなるべくこちら側につくように交渉してますが…」

 

「残念ながら中国側につくのは避けられないかもしれませんね。そうなった場合ベトナム国民が何をしでかすかはわかりませんが。」

 

波音の言葉を聞いた京町は緩みきった表情を戻し瓶を机に置いた。

 

「それに関してですが、現在はCIAがプロパガンダや世論扇動を行っており更には民主化活動団体に資金提供や武器密輸を行っているそうです。」

 

「まさか米国は内戦でも起こす気か?それではベトナム戦争の二の舞いになるぞ。総理もこんなことは望んでいないでしょう?」

 

「望んではいませんよ。しかし今のベトナム政府を放っておけば中国の南シナ海の優位は確実なものになるでしょう。それに前回と違って現地民の多くはこちら側に味方するでしょうしね。」

 

「はあ…内戦が起きる前提か、それで我が国はどうするつもりですか?」

 

「恐らく我が国も参戦することになるでしょうね。」

 

「やはりそうなりますか…それで勝算はあるのですか?」

 

「現在日米両軍が会議を行っているところです。」

 

「もし仮に第二次ベトナム戦争が勃発したら政府軍は必ず中国義勇軍が味方するでしょうから戦争が長期化すると思いますね。」

 

「それは間違いないでしょうね…」

 

「波音ちゃん、ワイン余ってるなら私が飲んでもいい?」

 

「いい加減にしてください。」

 

「京町さんはお酒をもう少し抑えましょう。」

 

国家主席執務室

 

コンコンッ「失礼します王主席。」ガチャッ

 

劉瑁(りゅうぼう)74 国家主席 オリキャラ

2013年に就任して以降任期制限を撤廃し12年間国家主席の座に居座り続けている。中国を世界の覇権国にするため一帯一路や中華統一を掲げている。米国やその同盟国と冷戦を繰り広げている。

 

「どうされたかな?張国防相。」

 

張徳懐 69 国防相 オリキャラ

中国国防部の部長を務めている。基本王主席に忠実ではあるが稀に意見が合わないときもある。

 

「ベトナムへの軍事支援体制ができました。来年には99式戦車を送ることができるでしょう。」

 

「ご苦労さま、しかし日米にはとっくに知れわたっているのではないか?」

 

「ええ、既にCIAは民主化活動家支援や世論扇動を行っており、JSA(日本特務庁)も加担しています。」

 

「ふむ…また奴らはエチオピアのように我が国を妨害してきているのか。米国も憎いが何より日本如きがその立役者となったのが厄介だ。しかもハルノ首相はインド太平洋での軍事同盟を築こうとしている。」

 

「王主席、もしベトナムでも負ければ南シナ海の実行支配は今よりも困難になります。ですが我が国の義勇軍と戦車ならば鬼畜日米を海に叩き落とせます。」

 

「ああ、我が国はなんとしても勝たなければならん。張国防相、あのとき(ベトナム戦争)と同じ結果にしてやりなさい。」

 

2025年11月28日 ポルトガルの航海者マゼランが太平洋に出た日、東京では日米豪印英比の六カ国による会議が行われていた。中国のインド太平洋情勢の一方的な現状変更を防ぐため同地域における共同防衛の重要性を共有し、将来的に防衛同盟を設立することを全会一致で賛成した。中国は野蛮な国家の集まりだと非難した。

 

割烹金ふじ

ここでは波音と風見が会食をしていた

 

「桜乃くんもインド太平洋の防衛同盟の設立に向けて六カ国で会議を行うとは中々やるものだな。あのとき波音くんはどう感じた?」

 

「ニュースで言っている通り皆肯定的な雰囲気でしたね。」

 

「ふむ…やはりそうか。まぁ、中国もあれほどやりたい放題しているのだから当然ではあるな。」

 

「風見さん、これは京町さんから聞いたことなのですがベトナムでは中国寄りの政府を倒すためにCIAが内戦を起こすつもりらしいです。」

 

「だろうな。中国に南シナ海の支配を認めるものなら米国が黙って見ているはずがないからな。しかし第二次ベトナム戦争となれば中国義勇軍も多く派遣されるだろう。日本は参戦する予定なのか?」

 

「恐らく参戦することになるかと。」

 

「ベトナムはエチオピアとは違い、森が多くゲリラ戦法との相性が抜群だ。もちろん代理戦争でクラスター爆弾、ナパーム弾、枯葉剤なんて使おうものなら世論の反発は避けられない。到底勝てるとは思えんが…」

 

「そこで総理の提案として英国にも参戦させるというものがあります。」

 

「英国だと?確かに安保協定を締結しているが奴らは戦力になるのか?」

 

「英海軍は日本の要請でクイーンエリザベス率いる空母打撃群をいつでも太平洋に派遣する準備ができています。海戦、上陸作戦、海上航路防衛など様々な任務をこなしてくれるでしょう。」

 

「随分太っ腹なものだな、なにか裏があるのではないのか?」

 

「英国は地政学的な理由だけでなく威信も重要視する国ですからね、インド太平洋に影響力を持つことが最大の利益と考えているのではないでしょうか?」

 

「波音くんがそこまで言うのならそうなのかもしれんな。」

 

「しかし…我が国は太平洋戦争が終わっても未だに平和が訪れないどころか、より戦争をすることが多くなってるような気がします。やはりあのとき国防軍を設立させたのが大きな転換点になったのでしょうか。」

 

「波音くん、この世界は戦勝国だろうが敗戦国だろうが大国になったからには戦争が付き物なのかもしれない。そして日本はアジアの経済大国として繁栄したばかりに西側陣営の軍事大国としての責任を負わされる。」

 

「もし国防軍ができなかったらここまで戦争に巻き込まれずに平和な国になったのですかね…」

 

「さあな…そんな世界があったら迷わずそこに住むだろうが、昔のことを考えてもこの世界はどうにもならない。我々は今、そして未来のことを考えなければならんからな。」

 

佐藤家

 

佐藤ささら 24歳 会社員 チェビオ

幼なじみの鈴木つづみと同棲している一般人 男友達の高橋は軍人であるため中々会えない 

 

鈴木つづみ 24歳 国家公務員一般職 チェビオ

佐藤ささらと同棲している一般人 ちなみに二人には恋愛感情はない

 

「ねぇ、つづみちゃん。今年はなんかあんまり良いことなかったよね〜」

 

「まぁ戦争があったからね、良かったことなんて万博ぐらいしかなかったわよ。」

 

「高橋くんは今後はより戦争が増えるって言ってるし、私達生まれてからきな臭いことばっかだよね。」

 

「ほんとうに…税金も重いし、物価が高くなるのに給料は上がらない。おまけに停電が起きても知事は秋くらい節電しろで終わらせる。ささらの会社って確か超小型原子炉開発してるんでしょ?あれでどうにかならないの?」

 

「まだまだだよ〜政府が支援してくれてるけどそれでも本格的な運用は28年からになるだろうね。三菱重工としても安全性を最大限保証しないと信用に関わるからね。」

 

「そうなのね…そもそもその原子炉はどういう点で安全だと言われてるの?」

 

「私も細かいことはよくわかんなかったけど、ざっくり言うなら水なしで冷却できる原子炉といったところかな。」

 

「水なしで?どうやって冷却してるの?」

 

「黒鉛系の物質で密閉されているから冷却水を入れる必要がなくて、仮に事故が起きても自然冷却できる機能も備わっているから従来の小型原子炉を凌駕する安全性を持つということ。しかも燃料交換なしで25年間も使えるのよ。」

 

「そんなものが既にできているのね。」

 

「それでも第三者による厳正な審査を何度も受けないといけないから実用化はかなり時間が掛かるのよ。」

 

「もし実用化されたら電力問題は解決するかしらね。ちなみにそれはどれくらい小さいのかしら?」

 

「トラックで運べるくらい。」

 

「本当に小さいわね。」

 

二人は話し終えた後テレビをつけた。するとニュース番組で速報が流れ、彼女らはその内容に驚愕した。

 

「速報です!午前11時頃東京千代田区でインド太平洋会議に反対するデモ隊およそ4万人が暴徒化し首相官邸前で機動隊と衝突しています。またその多くが鈍器を装備しており火炎瓶や爆竹を投げつけています。警官170人が怪我を負っており、拘束者は現在2千人程確認されています。千代田区にお住まいの視聴者の皆様は戸締まりをして家から出ないようにしてください。」

 

「うそでしょ…現代でも安保闘争みたいなこと起こるんだ…怖いねつづみちゃん。」

 

「……」

 

「つづみちゃん?」

 

デモに参加している人たちは必ずしも自分の意思で参加しているのではない。あれだけの数が集まるのは背後に誰かがいてそれに踊らされているからだ

                    -岸信介




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