沈みゆく旭日   作:ダージリン旭

4 / 14
桜乃はインド太平洋会議を開催し日米英豪印比の六カ国が価値観を共有をした。しかし中国は裏でベトナムなどの様々な国に干渉し、日本でも本格的に中国の世論扇動の効果が表面化した。これに対し米国はベトナム国民に反政府活動を支援。ベトナム政府と国民の対立は苛烈を極め、今にも第二次ベトナム戦争が勃発する勢いである。紅い津波を止める堤防としての役割を負わされた日本は果たしてどのような道を歩むのであろうか。


紅い津波

総理官邸

官邸前では暴徒化したデモ隊とそれを鎮圧する機動隊が衝突しており、官邸内にいる桜乃と東北は戦慄していた。

 

「まさかこのようなことが起こるとは…敵が多いのは承知していましたが安保闘争レベルに達するのはどういうことなのでしょう?」

 

「先程警視庁から連絡がありました。暴徒化したデモ隊を構成している人の多くはSNSで活動している日本解放革命隊という組織から大金を貰ったと証言しているそうです。また、火炎瓶や鈍器などもその団体から支給されたとのこと。」

 

「大勢の人に大金と装備を支給できる程の財力を持っている組織なんてあるのですか?」

 

「ええ、ありますよ。しかしその組織の本部は中国にありますので警察が捜査することはできません。公安によるとその組織はMSS(中華人民共和国国家安全部)職員との繋がりがあるそうです。」

 

「中国もここまで露骨に干渉してくるようになりましたか。やはりMSSは厄介ですね。」

 

「また、伊織委員長はこの団体を監視対象にすると仰っております。」

 

伊織結弦 52 国家公安委員長 ボイスロイド

正義感が強く、己の信念を貫くことを大切にしている。国防軍や特務庁をあまり信用しておらず一部を監視対象に含めている。

 

「まぁ当然ですね。それにしても衆議院選挙が近い中でこのような事件が起きるのは少々まずいですね。」

 

「ええ、自民党は党内改革後は保守層の支持を再び集めましたがその効果も既に薄まり、緩やかに議席を減らしていますからね。更に減少する要因になりかねません。」

 

オーストラリア キャンベラ 

 

トーマス・ゴールドン 53 首相 オリキャラ

常に困り顔で目に光がないためアンクルエンプティネス(虚無おじさん)と呼ばれる不憫な首相である

 

「失礼します。」

 

「ああ秘書くんか、なにか用かな?」

 

「はい、どうやら日本では中国の工作で大規模暴動が発生したようです。幸い首脳陣には被害は出ておりません。」

 

「はあ…あの日本もか。うちも中国系一世による暴動が起きているからな、せっかく多文化共生を成し遂げようとしているところにこんなことをされてはまたアジア人差別が広がってしまう。」

 

「また、ベトナムでは米国が支援する民主化団体が近々内戦を起こす可能性があるため、その際は参戦するよう米国から要請されました。日本や英国も参戦する予定とのことです。」

 

「第二次ベトナム戦争か…正直大量の中国義勇軍に勝てるとは到底思えないのだがね、まぁ日英も参戦しているなら一応勝算はあるのだろう。では陸軍を歩兵二万人、ヘリ20機、M1A1エイブラムス30輌を送ることにしよう。」

 

「戦車を30輌も送るのですか?」

 

「ああ、最新型のM1M2が既に75輌調達できたからな。30輌なら然程国防には影響しないだろう。」

 

佐藤家

 

「つづみちゃんの言ってたことが当たってたのは驚いたよ〜暴徒が外国の組織に踊らされていただなんてね。」

 

「まるで多くの国民が不満を持っているかのように思わせる典型的な工作よ。まぁこれを口実に自民党を非難する人も少なくないから議席減少に拍車が掛かるでしょうね。」

 

「そういえばもうすぐ衆院選始まるけどさ、今の政党の議席数ってどうなってるの?」

 

「469議席中自民党が単独で272、維新の会が82、立憲民主党が42、国民民主党が32、公明党が20、愛国会が12、共産党が9となってるわね。」

 

「愛国会ってどんな政党だっけ?」

 

「最近議席数を伸ばしている保守政党よ。将来の自民党の連立候補とも言われているわ。」

 

「でも演説を見てる感じ大衆迎合主義的な雰囲気だよね。」

 

「 そうね、他の似たような政党と合流してできたからその側面は強くなってるわね。」

 

「う〜んどうしようかな〜まだ与野党どっちに入れればいいかわかんないよ。」

 

「焦る必要はないわ。私とじっくり考えましょう。」

 

国会議事堂総理会見

 

「記者の皆様、お集まり頂きありがとうございます。昨日の暴動でございますが、この度無事鎮圧しましたことをご報告致します。なにか質問があればお聞きします。」

 

「総理、先程無事に鎮圧したとおっしゃいましたが、デモ隊にも多数の怪我人が出ております。決して無事とは言えないと思うのですが。」

 

「彼らは暴動を起こしていたのですから鎮圧するにあたってそういった事態が発生するのはやむを得ないという認識です。」

 

「それはあまりにも冷淡すぎるのではないでしょうか…今回の鎮圧で催涙ガスの使用や強引な取り押さえに国民から大きな反対の声が上がっており…」

 

桜乃は記者が批判的な意見を言い切る前に反論した

 

「それはあなた達報道機関がそういった声ばかり報道するからではありませんか?それに冷淡と言う割には負傷した機動隊には何も触れていないのもおかしくないでしょうか?最近の報道は暴力的な思想を持つ方を擁護するような内容ばかりで目に余ります。なるべく公正中立な報道をお願いしたいものです。」

 

総理執務室

 

「はぁ…記者の私に対する質問は攻撃的なものが多くて辛いです。ねぇ虚音さん、風見さん?」

 

「ああ、全くだ。」

 

「いやぁ…桜乃くんの信念を貫くところは良いと思うが、もうちょっと他に言い方なかったのかな?」

 

「風見、今回は背後に工作機関の存在があるのは明らかなのだから桜乃の言ってることは何も間違ってはいないはずだ。」

 

「だが自民党の支持率減少は避けられんぞ。それに近々ベトナムが火の海になるんだろう?戦争期間に政権が不安定になるのはまずいと思うが。」

 

「波音さんから聞いておりましたか。」

 

「ああ、日本の参戦は確定事項だとな。だが第二次ベトナム戦争が起きれば間違いなく世論は交戦派と反戦派で分断されるだろう。衆院選では連立を組むことも考慮するべきではないか?」

 

「ええ、恐らくそうなるかと。しかしどの党と組むかが悩みどころですね。立民、公明、共産は反戦派に立ち回るとして、維新は野党第一党として連立を拒むでしょうから国民か愛国になりますかね。」

 

「やはり愛国会が一番適切だろうな。国民民主は思想は近いがそれでも戦争にはやや消極的だ。エチオピア戦争ではどっちともとれない立場にいたしな。」

 

「だが愛国会は連立を組むとなるとリスクが大きいのではないかね?大衆迎合主義政党は何を言い出すかわからんからな。中道右派をより多く取り込むという点でも国民民主の方が都合がいいだろう。」

 

「どうしたものですかね…とりあえずその二党を候補としておきましょう。」

 

三菱重工総合研究所

 

「ごきげんよう、アカリさん。」

 

イア・アリア 36 研究者 チェビオ

英国のBAEシステムズの研究者で、日英共同兵器開発を担当している オネという(検閲済)に務めている妹もいる」

 

「こんにちはイアさん!」

 

紲星あかり 34 研究者 ボイスロイド

三菱重工の研究者で、イアと共に仕事をすることが多い 年齢が近いためプライベートでも仲が良い

 

「四足歩行の次は二足歩行のAI、それも歩兵としての運用を想定しているもの開発することになったから、大変になるだろうけど引き続きよろしくね。」

 

「はい!こちらこそよろしくお願いします。二足歩行AIは既に米国やロシアが運用段階に入ってますからね、我々も遅れをとらないようにしなければなりません。」

 

「アカリちゃんはあんまりAI兵器を恐れてないのね。」

 

「日本は国防軍の数が減ってますからね、少子高齢化のおかげで人気度は上がっても実際はあまり増えないんですよ。だからそれを解決するためにもAI兵器は我々にとって重要なんですよ。」

 

「私も同意見よ。反対派も多いけど既に他の大国が運用する以上、日英も世界秩序の守護者としてそれに追いつかなければならないのよ。」

 

「BAEと三菱が手を組めば不可能なことなんてありません!共に頑張りましょう!」

 

「ええ、我々の技術力を世界に知らしめましょう。」

 

グオ〜 紲星の腹から空腹の合図が鳴った

 

「あ、もうランチの時間ですね。それでは頂きま〜す、あっそういえばイアさんは何を食べるんです?」

 

「チップスよ。」

 

「ええ…それだけですか?私のも分けてあげますよ。」

 

「ありがとうアカリさん。Hmm…やっぱり弁当の方が圧倒的に美味しいわね。」

 

ベトナム ハイフォン

 

「おい!あのスパイはどこ行った!」

 

「すみません、見失いました。」

 

「馬鹿野郎!奴は国家機密を奪いやがったんだぞ!見つけ次第鉛玉をぶち込んでやれ!わかったな?」

 

「はい!」ダッダッダッ

 

「よし、撒いたな。あとは船に着けば任務完了だ。なんとしてもこの情報は政府に渡さねば…」

 

小型ボート

 

「無事に帰ってきたな。それでどんな情報が書いてある?」

 

「聞いて驚くなよ?ベトナムに展開する中国義勇軍の情報だ。どれくらい展開するか詳細に記されている。」

 

「よくやった!」

 

「本当に死ぬかと思った…」

 

総理執務室

 

コンコンッ「失礼します」ガチャッ

 

「京町さんですか、今日はどうされました?」

 

「昨日特務庁がベトナムに展開する中国義勇軍についての情報を手に入れました。」

 

「おお、よくやりましたね。それで義勇軍の数はどれくらいなのでしょう。」

 

「歩兵が80万、戦車が1200輌、航空機900機となっております。」

 

「やはり中国の兵力は圧倒的ですね。36万の陸軍のうち我が国が派兵できるのは最大20万が限界ですので、米国と他の参戦国の兵力次第ですね。」

 

「既に米国に情報を共有していまして、歩兵30万、戦車900輌、海兵隊2万、航空機800機派兵できると。」

 

「他の参戦国がどれくらい派兵するかによりますが、これだけ兵力差があるのは厳しいです。後は波音さんの外交次第ですね。」

 

「波音さんは今どちらに?」

 

「インドです。」

 

突然執務室に電話が鳴り響いた。秘書の東北が受話器を手に取った。

 

「もしもし、こちら東北です…波音さんですか。はい、では総理に代わります。総理、お電話です。」

 

「波音さん、印外相との会談はどうでした?」

 

「成功しましたよ、12月26日に首相会談を設けることができると。また、米大統領も参加するとのことです。」

 

「よくやりました、明日また三人で飲みましょう。」

 

京町は赤子の如く澄み切った瞳で桜乃の顔を見つめた。それに対し東北は完全に呆れた表情であった。

 

「ええ…また飲むんですか、まぁ良いですけども。」

 

「今日は屋守を飲ませてあげますよ。日本酒だから嫌だとは言わせませんからね。」

 

「はぁ…わかりましたよ、私が酔った勢いで何をしても知りませんからね!」

 

「この三人いつか酒絡みで不祥事起こしますね。」

 

インド デリー

 

「ハルノ首相、私はこうして再び会談できることを光栄に思います。」

 

マハトマ・ガルディ 52 首相 オリキャラ

スキンヘッドでヨガ好きなためダルシムという愛称で親しまれているインドの首相 インド太平洋同盟にとても強い意欲を示している

 

「こちらこそ会談の機会を頂きまして誠に光栄であります。米大統領も参加するとのことでしたが今はどちらに?。」

 

「もうじき来ると思います。」

 

ガチャッ「遅れて申し訳ない。」

 

オースティン・ブラスター 72 大統領 オリキャラ

元海兵隊大将でとても体格がよく、ボディガードが不要なのではないかと言われるほど威厳に満ち溢れている

 

「いえいえ、お気になさらず。ハルノ首相、これで準備が整いました。」

 

「それでは早速会談を始めましょう。今回お二人とお話ししたいことはベトナムについてです。ご承知の通りベトナム政府は中国との距離を縮め、軍事的な関係を強めています。」

 

「そこで我が国は反政府活動を行っている民主化団体を支援し、反乱を起こすよう工作を行っております。」

 

「つまり、我が国にも必ず起こるであろうベトナム戦争に参戦してほしいということですね?」

 

「その通りでございます。ベトナムが中国の南沙諸島の実効支配を認めれば有事の際海上航路が遮断され、日本にとって致命傷となります。それにベトナムに対中国家を作れば対中包囲網がより強固となります。」

 

「そのため我々としては陸軍大国であるインド軍の力をお借りしたい所存である。」

 

「…いいでしょう、しかし一つ条件があります。来年辺りに計画しているスリランカ侵攻を許可して頂きたい。」

 

「ほう…スリランカ侵攻とな?」

 

「対中債務が返せる見込みがないため中国の軍が本格的に駐屯する前に制圧するといったところですかね。」

 

「その通りです。我が国は真珠の首飾り戦略を打ち破るためスリランカに莫大な支援をして参りました。しかしそれにも関わらずスリランカの政府は結局中国にすり寄り、中国の野望に加担したのです。我が国はそのような卑劣な政府から国民を"解放"するために戦争をするつもりであります。」

 

「解放か、実に素晴らしい理念でありますな。我が国としては構いませんが、ハルノ首相はどうですかな?」

 

「私も同意見です。なるべく対中感情を利用して反戦派を黙らせるよう努めます。」

 

「ありがとうございます、それでは交渉成立ですな。」

 

「ええ…正義の民主主義国家が力を合わせれば勝てない敵などありません、共に頑張りましょう。」

 

総理執務室

 

「総理、会談は如何でしたか?」

 

「ええ、大成功です。とてもスムーズに成立しました。」

 

「驚きました、中国と対立しているとはいえあのインドが参戦を快諾するとは…何か裏で密約交わしました?」

 

「密約ですか(微苦笑)…そうですね、ガルディ首相が来年辺りに計画しているスリランカ侵攻を許可してほしいということを仰っておりましたので、それを容認したくらいですね。」

 

「総理、そんなことを迷いもなく容認されたのですか!いくら交渉を円滑を進めるためとはいえ…」

 

「落ち着いてください波音さん、インドは真珠の首飾り戦略を打破するために極悪非道の政府から国民を解放するだけです。それにインド太平洋同盟を設立するにあたって強固な連携は欠かせませんよ?」

 

「解放ですか…正義を謳っている割に民主主義陣営の方が多く戦争を仕掛け、より多くの犠牲を出していると思うのですが。これでは現地民の憎しみが強くなり、世界平和は遠のいて行くばかりでは?」

 

「波音さん、今の世界情勢は第二次冷戦と言われていますが、冷戦というのは大国同士が直接戦争をしないから名付けられた。つまり冷戦の中で日本国民が平和を享受するには他国を戦場にして戦うしかないんですよ。超大国米中に挟まれた我が国であれば尚更ね。」

 

「総理の主張は理解しました…私は仕事に戻ることにします。」

 

「いつもご苦労さまです。それとくれぐれもこのことは口外しないように、いいですね?」

 

「勿論承知しております。では失礼します。」バタンッ

 

「総理、あの言い方だとまるで日本が一方的に戦争を起こしてもいい特別な国だという意味に思えてくるのですが」

 

「何も間違ってませんよ?自国が戦場にならないために他国を戦場に代理戦争をし、敵を封じ込める。」

 

これが軍事大国である日本の特権なのですよ




如何でしたか?もし 質問 このキャラや台詞が好き ここを改善、深掘してほしい などがありましたら感想を書いてくださるも幸いです(個人的に感想が一番楽しみです) 評価やお気に入り登録が増えるとモチベが上がります それでは引き続き狂気の世界を楽しみに待っていてください

※この物語はフィクションです
また、著者は特定の個人、集団、国家に対する差別的意図は一切ありません
この物語に出てくる数字は大抵適当です

文章はどれくらいがいいですか?

  • 6000字程度
  • 5000字以下
  • 8000字以上
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。