沈みゆく旭日   作:ダージリン旭

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高知知事選暗殺未遂事件が発生し、国民の多くが不安を抱えている日本。ドローンで暗殺する計画に全世界は衝撃を受け、日本は勿論のこと欧米諸国でも警察のサイバー部門が強化される事態となった。一方政局面では無事に四国めたんが当選、綿津見神計画は継続され3月2日に初めてメタンハイドレートの採掘に成功した。自民党は参院選に向けてベトナム戦争でも大きな戦果を上げたいと考えている。8月に開催される参院選までに国防軍は泥沼の戦争に終止符を打つことができるのか。遂に決戦の火蓋が切って落とされる。


終止符の一撃

佐藤家

 

「まさか四国知事と総理が暗殺されかけるだなんて…しかもドローンで殺そうとしてたなんて怖くない?」

 

「路地裏から突然出てきたら物理的に防ぐのは難しいでしょうね、だから電磁妨害ができるようにサイバー戦力を強化する必要性があるのよ。」

 

「それはいいんだけどどさくさに紛れて政府が通信インフラを自由に操れるようになったりしないかな?例えば政変が起きたときに通信を遮断したりとか。」

 

「多分そんなことはないとは思うけどね、まぁ起きたとしてもその時に選挙で落とせばいいだけよ。」

 

(うちとしては自民党が落ちるのは困るけどね。)

 

「それより気がかりなのは自民党が国防予算を増額し続けようとしてることよ。いくらベトナム戦争が長期化していると言っても30年までの予算がGDP比3%から3.5%になるのはおかしいと思うのだけど。」

 

「いくら電磁砲の開発支援があってもここまで上がるのは他にももっと使う用途があるってことだよね。もしかしてベトナム戦争終わってもまた別の戦争を起こすんじゃ…」

 

「そうでもないとここまで増額はしないわよ。少なくともベトナム以上の敵と戦うことになるのかしら。」

 

「そしたらもっとうちの兵器が売れるね!」

 

「そういう単純な話じゃないのよ?あなたは兵器が売れるから得しかしてないと思ってるみたいだけど、いつまで私達が安全圏にいると思っているのかしら。」

 

「安全圏にいるために他所で戦争するんだよ?確かに全体的に生活は苦しくなるけれど、それでも将来に直接的な脅威になる存在はさっさと潰しておかなきゃいけないのよ。なるべく第三次大戦が起きないように、そして起きたとしても被害を最小限にするために…」

 

「よくそんなことを簡単に言えるわね。ベトナム戦争が終わったら高橋に聞いてみなさい、常に戦わされてる軍人からすればたまったもんじゃないわよ。」

 

ベトナム戦線

 

「ハーバー大将、ラオス制圧お疲れさまです。」

 

「ありがとう、アカネ大将。無駄に広かったから中々時間が掛かったがこれでベトナムに戦力を投入できるようになった。」

 

「よくやった、これでようやく決着をつけられそうだな。海軍二人、幕僚長、その他の国の将校を呼べ、作戦会議を行う。」

 

4月30日 ベトナム戦争開始から2年が経ち、遂に大規模攻勢を行う作戦がマキ大将から将校達に伝えられる。

 

「我々はヴィンを制圧し、タンホアへ進軍している。しかしここでも防衛線が構築されており、ただ戦力を増やすだけでは大きく戦況は変わらない。そこでハノイに向けて陸続きに北上する18万の軍とハイフォンに上陸作戦を行う5万の精鋭軍に分け、タンホアの防衛線を挟み打ちで崩した後にナムディンで合流。ハノイでの激戦を勝ち抜きベトナム戦争を終わらせるという作戦だ。ハイフォンに上陸する前に敵海軍と衝突すると思われるため海軍にも全力を尽くしてもらう。北上軍は私とハーバー大将、精鋭軍はアカネ大将、追随する海軍はアオイ大将とハルトマン大将が担当する。何か異論はあるか?」

 

するとハーバー大将が疑問を投げかけた。

 

「上陸作戦を行うと言っているが水陸機動軍と海兵隊はフエ上陸作戦で消耗している。ハイフォンはフエよりも強い抵抗が予想されるが本当に今の戦力で大丈夫なのか?」

 

マキ大将の代わりに五十嵐幕僚長が答えた。

 

「上陸戦力に関しては問題ありません。岸国防相が英国防相との会談で英特殊空挺部隊の派遣を約束させましたので作戦前に到着する予定です。その他の国にも上陸のための部隊を要請し現在進行系で増強しています。後は茜大将に任せれば必ず成功させるはずです。」

 

「勿論成し遂げて見せますよ、済州島の時と比べたらなんてことありません。」

 

「うむ、なら陸軍の方は大丈夫だな。」

 

「我々海軍も問題はない、アオイ大将!ようやく戦果を上げられそうだな。」

 

「ええ、ハルトマン大将にとっては待ちわびていた瞬間でしょうね。」

 

「我々に敵対する船は全て海の藻屑に変えてやろう!」

 

「くれぐれも民間船は攻撃しないでくださいね。」

 

「 そんなことくらいわかっておるわ。」

 

「では作戦決行は6月初めとし作戦名は虎牙斬作戦と命名する。それでは引き続き諸君の健闘を祈る。」

 

6月2日 虎牙斬作戦が決行された。葵大将とハルトマン大将が指揮する日米英空母打撃群はハイフォン付近に停泊していた20隻からなる艦隊を容赦なく沈めた。空爆を逃れた艦船も反撃をする間もなく日本の潜水艦隊の魚雷によって海の藻屑と化した。6月5日に茜大将率いる精鋭軍がハイフォンに上陸、激しい抵抗を受けたが手厚い航空支援により8日にハイフォンを制圧した。タンホアの防衛線が薄くなったところを北上軍が突破し、15日にタンホアを制圧した。その後両軍はナムディンの防衛軍を挟み打ち、23日に制圧した。ハノイは約8万の義勇軍が防衛しており、正面からの突破は困難である。そのためハノイを迂回する二つの軍団に分かれ西はホアビン北はタイグエンを制圧しベトチで合流することとなった。7月11日にホアビン、14日にタイグエン、18日にベトチを制圧したことによりハノイは完全に包囲された。ベトナム政府軍と義勇軍はゲリラ戦を展開するが、数多の戦争を勝ち抜いて来た日米軍によってに一つ一つ殲滅された。23日ベトナム政府は遂に断念し、多国籍軍に降伏した。両陣営共に多大な犠牲を払った第二次ベトナム戦争は2年をかけて多国籍軍の勝利に終わった。そしてベトナムは民主主義国家へと生まれ変わり、将来的なTTO加盟国候補となった。

 

横須賀基地

 

「我々の勝利に乾杯!」ゴクゴクゴク

 

マキ大将はビールを浴びるような勢いで飲み干した。

 

「あ〜マキ大将、一気飲みはいけませんよ。」

 

「いいではないかアオイ大将、せめて数ヶ月は戦争のことを忘れていたいんだよ!」

 

「数ヶ月?」

 

そこにハルトマン大将が割り込んだ。

 

「そういえばアオイ大将にはまだ話していなかったな。近々麻薬カルテル…いや、メキシコとの解放戦争に備えていてな。」

 

「メキシコと戦争…一体米国とメキシコの間で何が起こっているんです?」

 

「アカネ大将はマキ大将から知らされていてイガラシ幕僚長も既に知っていることなのだがな、今は米国での麻薬カルテルの犯罪が急増していて多くの国民が犠牲になっているんだ。メキシコ政府も黙認しているもんだから、米国でどうにかするしかないんだ。それもロシアや中国の戦車を持ち始めた、今までよりも厄介な国を相手にな。」

 

「しかし、米墨で戦争なんてことになればベトナム戦争以上の大規模戦争に発展するのでは…」

 

「恐らくアオイ大将の想定通りになる。だが政府はこれ以上世論を抑えられない、ブラスター大統領の強硬的な態度が支持されているが故にもう後戻りできなくなったのだよ。そしてキシ国防相にはもう伝えられてるかもしれんが米国は“日本の参戦"を求めている。」

 

「我が国は再び戦争をするのですか。」

 

「そうだ。アメリカ国民は数々の戦争で疲弊している。これ以上自分たちだけ犠牲者が増えるのは耐えられないのだ。」

 

「まるで米国人だけが苦労しているかのような言い方ですね。我が国は貴国の都合で軍事大国化のレールに載せられ、本来であれば世界の覇権を握っている貴国だけでするべきことを発展の代償であると言い聞かせて我が国を戦争の沼へと引きずり込んだ。我が国は何度も貴国の言う世界の安定ために戦ってきた、多大な犠牲を払ってね。一方貴国は我が国に何か恩恵を与えましたか?」

 

「今の日本はこの戦争だらけの世界の中、アメリカによって平和が保たれている。」

 

「貴国が争いの種を撒いてるんですよ?」

 

「この世界は弱肉強食、殺るか殺られるかだ。」

 

「そうやって暴力でしか解決する手段しか考えられないからいつまでも戦争をし続けることになるんじゃないんですか?」

 

「葵、そこまでにしなさい。」

 

二人の会話を見兼ねた茜が止めに入った。

 

「すみませんね、どうやら熱が入ったようで。」

 

「…いや、私も少々大人気なかった。申し訳ない。」

 

姉妹はハルトマン大将の方から離れ、二人きりで話をしていた。

 

「茜、二人きりだから言わせてもらうけどさ。」

 

「うん。」

 

「メキシコ解放作戦の参戦に賛成してるの?」

 

「…まさか、正直腹立たしいよ。米軍の我々への信頼が強くなっているのは嬉しいけど、米政府は都合よく利用しているように思えるね。他のTTO加盟国はなるべく介入したくないと考えていてね、日本が参戦すれば米国一国の問題ではなくTTO全体の問題として全加盟国を参戦させられる。これが大きな狙いだろうね。」

 

「どうにかできないの?」

 

「我々は総理に直接言うのは難しいから、その場合は岸国防相に頼むことになる。まぁ彼は参戦するよう助言する側の人間だろうけどね。」

 

「幕僚長なら岸国防相と対等に渡り合えるはず…」

 

「残念だが幕僚長も交戦派だ。」

 

「じゃあこのことを国民に伝えれば…」

 

「葵、一旦落ち着いて。そもそもこの話は機密情報だからね、そんなことしたら今まで築いてきたものが全て崩れるよ。」

 

「はぁ…これはもう桜乃総理の判断次第だね。」

 

「参院選後は愛国会と連立を組むことになるらしいから、あまり期待はできないけどね。」

 

総理執務室

 

「遂に参院選が始まりましたね、総理。」

 

「ええ、メタンハイドレート採掘、第二次ベトナム戦争での勝利。これで厭戦気分による大幅な議席減少は防げると見ていいでしょう。東北さんはどう思います?」

 

「恐らく自民党は緩やかな議席減少を続けるでしょうね。後は中道政治を掲げ、国防費削減を訴える国民が議席を増やすくらいでしょうか。」

 

「国防費削減ですか…まぁ今後のことを考えると現実的ではありませんね。」

 

「岸国防相から聞いた話、あれは本当なのですか?」

 

「特務庁も同様の情報を掴んでいるので本当でしょう、まだ数ヶ月先とは聞いてますが、米国は既に国境付近に特殊部隊を待機させ機甲軍の配備を進めているようなので戦争は避けられないでしょう。」

 

9月2日 参議院選挙を結果が公表された。

 

与党

自由民主党 121

愛国会 23

野党

維新の会 38

国民民主党 32

立憲民主党18

公明党 12

共産党 6

合計250

 

自民党本部

 

「桜乃総理、これからよろしくお願いします。共に国民の安全と利益を守る政策を実行していきましょう。」

 

如月追儺 34 代表 ボイスロイド

愛国会の若き代表で、様々な保守政党を吸収した愛国会を取りまとめる統率力を持つ。敬虔な仏教徒でもある。

 

「こちらこそよろしくお願いします。」

 

「本日は会談の機会を頂きましてありがとうございます、しかし何故私と二人きりなのでしょうか。」

 

「実はあまり公にしたくない話がありましてね、如月さんは口が硬いお方だと聞いておりますので話しておいても良いかと考えました。」

 

「なるほど、それで話というのは?」

 

「我が党の国防費増額に賛成の立場をとって頂きたいのですよ。」

 

「何故そこまで増額する必要があるのでしょう。ベトナム戦争は既に終わっていますし、そもそも今のGDP比3%の時点でかなり多いと思うのですが。」

 

「ではこちらの資料をご覧ください。」

 

桜乃は特務庁が作成した現状のメキシコ情勢と将来起きるであろうメキシコ解放作戦についての資料を如月に渡した。

 

「……まさか北米でこのようなことが起きているとは思いませんでした。ということは日本もこれに介入することになるのですか?」

 

「恐らくそうなるでしょう。しかしメキシコを相手にするとなるとベトナムで消耗した現状の軍備では王劉瑁のくさい息がかかった麻薬カルテルを撲滅仕切ることは難しいでしょう。」

 

「なるほど…くさい息は一言余計な気がしますが、その戦争も米中冷戦の一環であるのなら勝つしか方法はありませんね。わかりました、党員にはうまく話をつくってなんとか支持に回らせます。」

 

「ありがとうございます。」

 

総理執務室

 

「総理、愛国会の代表はどうでしたか?」

 

「思ったよりも穏やかな方でした、とりあえずあの方が代表なら暴走することは無さそうです。」

 

「随分信頼されているのですね。」

 

「彼女自身はね、不安があるとすれば幹部の素性がまだわからないことでしょうか。他の極右政党の党首を吸収してますので、彼らの手綱を握れるのかは彼女の腕前次第ですね。」

 

東シナ海

 

私の名は東北純子、ではなくここでは浦霞と名乗っている。今は任務のために民間の漁船に乗り、漁師に成りすまして対象の監視をしているところだ。その監視の対象というのは共産党の支持団体、新世代革命委員会だ。

 

新世代革命委員会

日本共産党を支持している、この世界で2012年に結成された極左暴力集団である。特徴的なのは中国やロシア国籍の割合が多くSNSで政府に不満を持つ若者を集め、暴力的なデモを起こしている。また、中国のMSS職員との接点を持つ構成員もいる。

 

闇夜の中彼らのボートは何故か中国の排他的経済水域内に侵入しており、中国海警局にも見つかっている。しかし様子がおかしい。双眼鏡で確認したところ海警局船はボートを護衛するような動きを見せている。すると他の海警局の船がこちらを威嚇してきた。勿論我々は日本の経済水域内にいるため、海保が対応に出た。しかしあまりにも海警局の船が近づきすぎたためやむを得ずその場から離れるしか無かった。

 

「なぁお嬢さん、あんた漁を手伝うって言ってたくせに海ばっか見て全く仕事しとらんやないか。いい筋肉してるんだから何もできんことはないやろ。ほら、あんたの連れ添いも頑張ってんだからさっさと来い。」

 

「あっ、すみません。すぐ手伝います。」

 

とりあえず、新革と海警局が接触していることが判明し、証拠の写真も撮れた。後はやかましい漁師の手伝いをして、さっさと上司の若波に報告しよう。

 

長崎港

 

「どうだ浦霞、何か収穫はあったか?」

 

「ええ、黒龍先輩が漁師の相手している間に…ほら。暗視カメラでしっかり撮れてますよ。」

 

我々公安は仲間内でも本名を明かせないため、日本酒の名前で呼び合っている。黒龍先輩(オリキャラ)は私と共に行動する仲間である。黒龍を選んだ理由は単純に名前がかっこいいからだそう。

 

「よくやった。ちなみに俺も彼奴等にGPSをつけたんだが、今は上海にいるようだ。」

 

「よくそんなことができましたね。」

 

「漁師に変装して彼奴等の前で魚を持ってコケる、そして魚を回収するついでに靴に取り付けたのさ。まぁそれであのおっさんに怒られて付きっきりで手伝わされたんだけどな。」

 

「何はともあれ、これでどのルートを通って密輸するかがわかりますね。」

 

警視庁公安部

 

「伊織委員長、こちらは部下は仕掛けたGPSの座標です。新革は長崎港から上海、釜山、を通り現在ロシア方面に向かっております。」

 

「なるほど、恐らくロシアの民間船に載せれば公安の警戒範囲外になると考えたのだろう。引き続きGPSを確認し続け給え。それと若波くん、愛国会の支持政党の神国再生会はどうだ?」

 

「構成員の動向を監視したところ暴力団との接点を持つ者が多くいるため、確実にシロではないでしょう。」

 

「愛国会そのものはあの党首がコントロールしているから然程問題ないが、この組織はそうもいかなさそうだな。神国再生会の監視も続行せよ。」

 

「了解です。では失礼します。」バタンッ

 

「はぁ…今の日本はいくら何でも警戒しなきゃならん組織が多すぎるな。公式に監視対象とした組織だけでなく、特務庁や国防軍も警察の許可なく勝手に取り締まったり、捜査に介入したりと黒い部分がある。警察だけは理性を保ち、悪事を起こせば誰であろうと取り締まる。日本はそのような国でなければならない。」

 

警察は国内の病を治す薬である

                    -川路利良

これこそが我々の使命だ。




如何でしたか?もし 質問 このキャラや台詞が好き ここを改善、深掘してほしい などがありましたら感想を書いてくださるも幸いです(個人的に感想が一番楽しみです) 評価やお気に入り登録が増えるとモチベが上がります それでは引き続き狂気の世界を楽しみに待っていてください

※この物語はフィクションです
また、著者は特定の個人、集団、国家に対する差別的意図は一切ありません
この物語に出てくる数字は大抵適当です

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