転生者が往くブルーアーカイブ マルチversion! 作:よっしぃぃぃい
では、本編。
ワカモが出ていって数分後、リンが入れ替わるようにしてシャーレの地下に訪れた。
「お待たせしました。」
「ん、あぁ、いやそんなに待ってないから大丈夫だ。それで…」
「ここに、連邦生徒会長の残したものが保管されています。」
リンは『それ』を手に取ると、傷が付いていないか確認した。
「…幸い、数一つなく無事ですね。…受け取って下さい。」
「これは…タブレット?」
「はい。これが連邦生徒会長が先生に残した物。『シッテムの箱』です。」
「シッテムの箱…」
「一見普通のタブレットのように見えますが、実のところ全く正体の分からない物です。製造会社も、OSも、システム構造も、動く仕組みの全てが不明。」
「なんだそれ…」
シッテムの箱をまじまじと見つめる。…ただのタブレット端末にしか見えない。
「連邦生徒会長はこのシッテムの箱は先生の物で、先生がこれでタワーの制御権を回復させられるはずだと言っていました。私たちでは起動すらできなかった物ですが、先生ならこれを起動させられるのでしょうか。それとも…」
「ふむ…」
「…では、私はここまでです。ここから先は全て、先生にかかっています。邪魔にならないよう、離れています。」
「了解っと…」
見た目は本当にタブレット端末である。とりあえず、電源ボタンや音量ボタンなど普通のタブレットと同じである事を確認する。
「これが見た目通りなら…」
電源ボタンを押す。すると、水色の電子画面が現れる。
『・・・
Connecting To Crate of Shittim…』
その後、
『システム接続パスワードをご入力ください。』
という文章が現れる。
「えっと…。……パスワード…」
ふと、脳裏に浮かんだ文章を入力する。
「…我々は望む、七つの嘆きを。
…我々は覚えている。ジェリコの古則を。」
その言葉を入力すると、パスワードは合っていたのか、
『接続パスワード承認。
現在の接続者情報はリク、確認できました。』
という文章とともに機械音声が流れる。
『シッテムの箱へようこそ、リク先生。生体認証及び認証書生成のため、メインオペレートシステムA.R.O.N.Aに変換します。』
やがて、システマチックな画面から半壊した教室へと切り替わる。教室の床は水面のように青白く、教室の外には海が広がっており、天気の良い空が広がっている。その反面、机や椅子の一部がガラクタのように無造作に積まれているが、まだ無事な机や椅子もある。
その机と椅子の一つに、水色の髪の少女がうつ伏せで居眠りをしている。
「おい、起きろ。朝だぞー。」
「むにゃ…んもう…ありゃ?え、あれ?あれれ?せ、先生!?」
「おう、不本意ながら急に先生へと指名された者だ。」
「この空間に入ってきたという事は、ま、ま、まさかリク先生!?」
「そうだが…」
「う、うわああ!?そ、そうですね!もうこんな時間!?」
「落ち着け落ち着け。まずは深呼吸をするんだ。」
「…すう…はぁ…。まずは自己紹介からしましょう。私はアロナ。このシッテムの箱に常駐しているシステム管理者であり、メインOS、そしてこれから先生をアシストする秘書です!」
秘書、ねぇ。連邦生徒会長とやらが直々に指名しただけあるのか、ただの先生とは違うようだな。ま、そこもおいおい聞いていくか。
「やっと会う事ができました!私はここで先生をずっと、ずーっと待っていました!」
「その割には居眠りしていたけどな。」
「あ、あうう…も、もちろんたまに居眠りしたりしたこともありますけど…」
「まぁ、俺も高校時代は居眠りばっかりしてたからとやかく言える立場じゃないんだがな…とりあえず、よろしくな。」
「はい!よろしくお願いします!まだ身体のバージョンが低い状態でして、特に声帯周りの調整が必要なのですが…」
確かに声が機械音声…近いのはボーカロイドやボイスロイドか。そのような声になっている。
「これから先、頑張って色々な面で先生のことをサポートしていきますね!」
「ありがとう。まず、…えーと、このなんとかタワーの権限を戻したいのだけれど…」
「分かりました!では、形式的ではありますが生体認証を行います。」
アロナと指と指を合わせる。
「これで大丈夫か?」
「うふふ、まるで指切りして約束するみたいでしょう?」
「どちらかというと、あの映画のやつみたいだが…」
「え?宇宙人の映画のワンシーンみたいですって?実はこれで生体情報の指紋を確認するんです!残った指紋を目視で確認するのですが…すぐに終わります!こう見えて目は良いので。」
「そういうところは機械的だよな。」
「どれどれ…」
アロナは指をじっと見つめている。
「………。おい、本当に大丈夫なのか?」
「…まぁ、これでいいですかね?」
「本当かなぁ…」
「…はい、確認終わりました!」
「こう、すぐに確認出来ないのか?前に持ってたスマホなら1秒ほどで認証出来てたが。」
「え、1秒もかからないんですか?わ、私にはそんな最先端の機能はないですが…そ、そんな能力無くてもアロナは役に立ちますから!目でも十分確認出来ますから!」
指紋を目視できそうな奴に数人ばかり心当たりあるが言わないでおく。
「…全然信じてないって顔ですね……」
流石にからかいすぎたのか、アロナの目が潤んでくる。
「だったらその最先端のナントカさんのところに行ってしまったらどうですか!」
「あ、アロナごめん冗談、冗談だから!」
泣かせる手前までからかってしまったので必死に慰めることになった。
「…なるほど、先生の事情は大体分かりました。連邦生徒会長が行方不明になって、そのせいでキヴォトスのタワーを制御する手段が無くなった…」
「聞いた限りではおおよそそんな感じだな。あ、ついでなんだが連邦生徒会長について知ってる事はあるか?俺を先生として指名するだけして失踪したからな…」
「私はキヴォトスの情報の多くを知ってはいますが、連邦生徒会長についてはほとんど知りません。彼女が何者なのか、どうしていなくなったのかも…お役に立てずすみません。」
「いや、いい。それで、タワーの方は…」
「はい、サンクトゥムタワーについては私が何とか解決できそうです!」
「お、それは良かった。アロナ、頼む、やってくれ。」
「はい!分かりました。それでは、サンクトゥムタワーのアクセス権を修復します!少々お待ちください!」
「そんな簡単に言うが…」
俺が言葉を言い終わる前に地下室の明かりが復旧する。
「…おお。」
「サンクトゥムタワーのadmin権限を取得完了…。先生、制御権を無事に回収出来ました。今、サンクトゥムタワーは私、アロナの統制下にあります。つまり、今のキヴォトスは先生の支配下にあるも同然です。」
「…間違ってはいないのか。言い方がアレだけどな。」
「先生が承認さえしてくだされば、サンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会に移管出来ます。でも…大丈夫ですか?連邦生徒会に制御権を渡しても…」
「正直言って制御権なんぞ持ったところで俺の手に余る。そういうのは行政機関にさっさと渡すのが良いってものだ。連邦生徒会に移しておいてくれ。」
「分かりました。これよりサンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会に移管します。」
「OK、なら俺は一回リン…えーとなんだっけ。とりあえずなんか立場が上っぽい人に連絡する。」
リンにサンクトゥムタワーの制御権を復旧できたこと、その制御権を連邦生徒会に移管した事を伝えた。
「…はい、分かりました。」
「どうだった?」
「サンクトゥムタワーの制御権の確保が確認出来ました。これからは連邦生徒会長がいた頃と同じように、行政管理を進められますね。」
「それは良かった。」
「お疲れ様でした、先生。キヴォトスの混乱を防いでくれた事に、連邦生徒会を代表して深く感謝いたします。ここを攻撃した不良たちと停学中の生徒たちについては、これから追跡して討伐いたしますのでご心配なく。」
「…とりあえずは、一件落着か。」
「はい。それではシッテムの箱は渡しましたし、私の役目は終わったようですね。」
と、そこまで言って、リンはふと思い出したかのように言った。
「…あ、もう一つありました。」
「ん?まだ何かあるのか?」
「いえ、連邦捜査部シャーレをご紹介しようと思って。ついてきて下さい。」
案内されたのは、扉の前に「近々始業予定」という貼り紙がある部屋だった。
「ここがシャーレのメインロビーです。長い間空っぽでしたけど、ようやく主人を迎える事になりましたね。」
「ここが…」
部屋の中には、ホワイトボードやパソコンデスク、その他棚や段ボール箱が置かれていた。
「ここがシャーレの部室です。ここで先生よお仕事を始めると良いでしょう。」
「…ところで、俺はこれから何をすればいいんだ?」
「…シャーレは、権限だけはありますが目標のない組織ですので、特に何かをやらなきゃいけない…という強制力は存在しません。」
「へぇ…」
「キヴォトスのどんな学園の自治区にも自由に出入りでき、所属に関係なく、先生の希望する生徒たちを部員として加入させることも可能です。…面白いですよね。捜査部とは呼んでいますが、その部分に関しては、連邦生徒会長も特に触れていませんでした。つまり、何でも先生がやりたいことをやって良い…ということですね。」
「それはそれは…」
「…本人に聞いてみたくても、連邦生徒会長は相変わらず行方不明のまま。私たちは彼女を探すのに全力を尽くしているため、キヴォトスのあちこちで起きる問題に対応できるほどの余力はありません。今も連邦生徒会に寄せられるあらゆる苦情…支援物資の要請、環境改善、落第生への特別授業、部の支援要請などなど…」
「特別授業に関しては各学校でやりゃあいいのに…」
「…もしかしたら、時間が有り余っているシャーレなら、この面倒な苦情の数々を解決できるかもしれませんね。」
「あ、そういう感じですか。まぁ、俺でも解決できそうな案件なら回してもらって構わないが…」
「その辺りに関する書類は、先生の机の上にたくさん置いておきました。気が向いたらお読みください。」
「げ、既に手を回されていたか…どうせ気が向いたら、とか言ってもやらなきゃ怒られるんでしょ?」
「すべては、先生の自由、ですので。」
そう言ってニコッ、と微笑むリンに何か怖いものを感じた。
「それではごゆっくり。必要な時には、またご連絡いたします。」
外に出ると、先ほどまで一緒に戦ってくれていた4人がそれぞれの学校に連絡をしていた。
「あ、先生。お疲れ様でした。先生の活躍はキヴォトス全域に広がるでしょう。すぐにSNSで話題になってしまうかもしれませんね?」
「ははは…っと、みんなお疲れ。心強かったぜ。」
「ありがとうございます。これでお別れですが、近いうちにぜひ、トリニティ総合学園に立ち寄って下さい、先生。」
「私も、風紀委員長に今日のことを報告しに戻ります。ゲヘナ学院にいらっしゃった時は、ぜひ訪ねてください。」
「ミレニアムサイエンススクールに来てくだされば、またすぐにご会いできるかも…?先生、ではまた!」
それそれがそれぞれの学園に戻っていった。
「よし、じゃあとりあえず、オフィスに戻るか。」
ところで風紀委員会が来てたの?生徒会じゃなくて???
どこかのビルの屋上。ワカモはシャーレのビルを見ていた。
「ああ…これは困りましたね…。フフ…フフフ。」
「……ウフフフフ♡」
オフィスに戻ると、改めてアロナと話す事にした。
「あはは…なんだか慌ただしい感じでしたが、ある程度落ち着いたみたいですね。お疲れ様でした。」
「ありがとう。アロナもお疲れ。」
「はい!でも、本当に大変なのは、これからですよ?」
「ああ…書類仕事…」
「それもそうですが…これから先生と一緒に、キヴォトスの生徒たちが直面している問題を解決していくのです!」
「…ああ。」
「単純に見えても決して簡単ではない。とっても重要なことです。」
「よし、気合い入れて頑張るか!」
「それではキヴォトスを、シャーレをよろしくお願いします、先生!」
「こちらこそ。どんどん頼るかもしれないが構わないね?」
「はい!それではこれより、連邦捜査部シャーレとして、最初の任務を始めましょう!」
「い、いや今日は色々と疲れたから休むわ…」
「せ、先生…」
アロナ…頼むからピンクの封筒を…青はいらんのよ…
総力戦が苦手すぎて期間中まだ2回しかやってません。装備もレベルも足りてない…
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