前回の接触のおかげで、明智はやっと怪盗団と面に向かって、ゆっくり観察できる機会を得た。それが彼の疑いを確信に変わった。晶は単なる怪盗団の一員であるだけではない、彼女こそ怪盗団のリーダーだ。ほかの人は当然彼女の友人であり、前のターゲットとも繋がりがある。秀尽の生徒が三人、一人は生徒会長である新島真、冴さんの妹さんでもある。洸星の生徒が一人、班目の前生徒である喜多川祐介。ナビは一色若葉の娘の佐倉双葉であろう。超自然の猫モルガナ。あの自称美少女怪盗の少女も見覚えがある、思い出せないが、どこかで会ったことがあるはずだ。
時間ができた明智はすぐ奥村パレスに向かった。しかし、そこには普段通りうろついているシャドウしか見当たらない。周りのドアや通路も開けられた気配がない。つまり怪盗団はまだ来ていない。とはいえ、ただ一回の接触で怪盗団が説得されることなんて、明智は思っていない。彼の期待通りにすんなりいくなんて願望に過ぎない。遅かれ早かれ怪盗団はまたここに尋ねる、そんな気がした。だから、明智は待つことにした。
時間が過ぎていくが、何も起こらなかった。今日はこれまでに使用と思った頃、怪盗団が彼の視線の端っこに現れた。それで明智、もと言えば、クロウが彼らに向かった。
「ここで会えると思っていた。怪盗団。」
話ができる範囲に入り、クロウが言った。
「それはこっちのセリフよ。私たちを待っていたんでしょう?あなたもしかして暇なの?」
怪盗団のリーダー晶が問う。
「お前ら、先日もこんくらいの時間で認知世界に来たからだ。」
「私たちの行動パターンまで調査済みなのか?」
ナビゲーターは体を震えながら、おそろおそろに言った。
「なんでこんなことをするの?一体何が目的?」
バイカーみたいな服装をしている少女が聞く、あれは新島さんだ。
「前の話の続きだ。」
クロウは冷たく言った。
「話がしたいとのことね。」
晶は喜んでいるらしい。
「それは何より、私たちも話がしたいからここに来た。あなたが言ったことについて調べてみた。で、ランキングは操作されていることと特捜部の部長にパレスが持っていることは確認した。しかし、それ以外にも聞きたいことがある。」
新しく入ってきた少女は手を挙げた。
「あの、すみません、一つ聞きたいことがあるだけど。」
「何だ?」
クロウは少女に目をむく。
「美少女怪盗だっけ。」
少女は少し気まずそうだ。
「あ、は、はい。そうだった、でも今は、違うの。怪盗団の一員として、コードネームも変えたの、ノワールとを呼び下され。」
そんなに詳しく説明する必要があるの?
「ノワールね。言いやすくなった。それで聞きたいことって。」
「奥村フーズは精神暴走と廃人化を利用して、競合相手を陥れていることは本当なの。」
「本当だ。」
ノワールは震えあがった。
「具体的にはどのような仕組みでしょうか。ち、」
それでまた話を遮る。
「つまり、奥村フーズの社長が直接あなたに、その……」
クロウは少女がどうしてこの一連の事件とかかわっているかに疑問を持っていた。そういうことか。先口が滑ったおかげで、彼女に見覚えがある、本人ではなく、写真だ。今ならはっきり言える。少女は奥村の娘だ。
「いや、上の人に依頼を出している。」
そう答えた。
「上の人?そういえば、前も黒幕があると言ってたよね。あなたは黒幕のコマでしかないの。」
晶は聞く。
「そうだ。」
「答えていただいて、ありがとう。」
ノワールは話を戻す、いつものように丁寧だ。
「それで、なぜ私たちにそんなことを教えてくれるの。」
「見ればわかるだろう。俺はやつらを裏切った。」
「裏切った?なぜそんなことを?」
ノワールは聞く。
「もううんざりだから。」
「なるほど。黒幕は利用価値のない人は消すといったよね。」
晶はすぐ理解した。
「それはあなたも含めるとのことね。」
「お察しの通りだ。 」
クロウは頷く。
「俺も例外ではない。それがもっと早く気づけなかった俺がバカだった。俺は知りすぎた、やつはそれが気に食わないだろう。」
クロウがため息をつく。
「正直に言うと、別に死ぬなんて恐れていない。これ以上失える物なんてない。もともと持っていた僅かのものは半分失って、残りの半分は自分で捨てた。俺はちゃんと自分がやったことを理解している。だから救いを求めることなんかしない。でも……」
彼の声は危険に挙げた。
「そんなことを知った以上、首を洗って待つような真似なんかできない。こんなに混乱な事態になったのは俺のせいで、それが揺るぎない事実。俺にできることは、彼の組織を発く方法を探すことくらいだ。」
「絶望から生み出した選択肢だと?」
狐の面を付けている喜多川は聞く。
「そのところだ。」
「どうやってその人たちとかかわったの?」
そういう難しい問題はいつも晶からのものに決まっている。晶と一番話したくないことでもある。だって、それはクロウの正体とつながっており、それがばれたら彼女との友情関係を砕くことになるだろう。その話は誰にも教えたことがない、今話すと一気に八人にも教えることとなる。でも怪盗団を助けるためでも、彼らに正直話さなければならない。
「バカけた恨みがすべての始まりだった。」
クロウはあきらめて話を始める。
「ある男のおかげで、俺の人生が地獄になった。彼は何も知らないだろうし、気にしてもいないだろう。でも、俺は彼に同じ苦痛を味わせてあげたい、彼に償ってもらいたい。だからあいつを突き止めて、やつがやり遂げたいことを知ったから、近づこうとした。俺はやつの理想を実現させる、それでやつが一番の高みを得た時、地獄に引き落とし、すべてを奪う。」
「かなり歪んでいるな。」
スカルのマスクをしている少年が不快に言う。
「ああ。今考えると、ほんとにバカけている。でもあの時の俺に取っては、それは完璧の計画だった。でも、俺には何の価値もないし、できることは何にもない。その時起こったことだった。俺は声を聞こえた、神なのか悪魔なのかは知らんけど、この力を俺に与えた、ペルソナの力を。」
晶は彼の話を遮る。
「待って、つまりあなたは自分でその力を目覚めたわけじゃないの。誰かにその力を与えられたというわけ。そんなはずがない、本当にそうだったら、それが誰だというの。」
「知るない、俺は声を聴いただけだ、その存在が俺は選ばれた者だっといった。俺が特別だと。それは俺が求めていたことで、それを信じた。簡単だろう。すべてを失った人にそのような言葉をかけると、好きなように操ることができる。俺みたいにな。その存在は俺に認知世界の事を教えた。そして認知世界に入る方法とペルソナの力をくれた。初めて認知世界に入り、この力を感じた時、俺は死ぬほど笑った。うれしかったんだ。これで何もかもできるようになる。その存在は俺の恨み相手はとある研究のおかげで、認知世界に興味を持っている、自分がやつに近づき認知世界に入れると言ったら、俺の復讐の計画もうまくいくといった。だからそうした。俺はその男の元へ行た。残りはご想像に任せる。」
「その男こそが、あなたが言っている黒幕ってこと。」
晶はそう推察する。
「その通りだ。ヤツはなぜか俺の異世界の事を信じこんで、取引をした。それがすべてだった。俺は彼の命令に従って、汚れ仕事を始めた、それはすべてヤツが権力の頂点を極めた時に、ヤツを地獄に突き落とすためだった。やがて、ヤツは研究結果から異世界で人間のシャドウを殺すことにより、現実世界の人間自身も死亡することを知り、そして俺が唯一異世界に入れる人だったわけ、俺にヤツを邪魔していた人のシャドウを殺すことを命じた。最初俺は嫌だった。しかし、当時の俺にとっては復讐の計画のほうがはるかに大事だった、そして気づいたら、もうその人のシャドウを殺した。似たような命令が続く中、俺はひたすら任務を遂行することにした。俺は力を持っていて、誰にも俺を捕まることができない、たとえ捕まえたとしても、俺にはすでにいい未来を持つ可能性なんてないし、失う物もない。そうやって自分に言い聞かせた。心の底では、それが間違っていると知りながら。やがて、俺は行き過ぎた 、そしてあのクソ見たいな復讐計画しか気にならないようになった。」
「哀れね。」
冴さんの妹は言う。
「あなたはその組織を告発したいと言っているけど、一体どうするつもり。」
「やることは一つだけだ、ヤツ自らの口からにすべてを告白させる。」
「つまり!」
ボディスーツを着ている女の子は叫んだ。
「ヤツを改心させる。」
クロウは苦笑いをする。
「最初からそうするべきだった。」
「じゃ、ヤツの名前とキーワードを教えろ、俺たちがやる。今まで一番のターゲットになるぜ。」
ドクロの仮面を付けている男の子がやる気満々のようだ。
「だめだ。」
「なんでだよ。」
「ヤツなら間違いなく はこれまでにいないターゲットになる。それこそが問題なんだ。ヤツはお前らにとっては強すぎる、今のお前らはやられる。認知世界にも知って間もないだろう。俺は二年前から認知世界へ潜り込んでいたが、それでもヤツのパレスには厄介を覚える。伊達に認知訶学を盗んだわけではない。少しだけ自分の認知をコントロールする知識を備えている。そしてそのパレスには俺にも見たことのない仕掛けがある。
ナビゲーターを務める女の子は歯を食いしばった。母親の廃人化を引き起こしたクロウ本人に怒るべきか、あるいは母親の研究を盗み、悪用する黒幕に怒るべきかを迷っているようだ。
「あ、あの、 なんで研究結果を盗む必要があったの?」
躊躇しながら、ナビゲーターは聞く。
クロウはどう答えるべきかを悩んだ。
「その研究結果を公表すれば、大衆は認知世界の事について知ることになる。黒幕は認知世界を自分の利益のために使うつもりだから、認知世界を経由して現実世界を干渉する方法を誰にも知られたくなかった。方法と言えば、一体どうやって人を改心させるんだ?」
クロウはぎこちなく聞く。
「まさか、知らねのかよ?」モナは驚いた。
「おいおい、認知世界での二年間の経験はどうした。」
どくろマスクの男の子は嘲笑う。
クロウは素直に自分の失敗を認め、髑髏マスクの挑発に乗らないよう、言い返したい気持ちを精一杯抑えた。博識で用意周到を目指す人にとっては、自分の無知を認めること自体が苦痛で、その自尊心を傷つける。
「知らねえよ、そんなの。俺の認知世界の知識はほぼ試行錯誤から習ったものだ。」
「え、でも、研究はあっただろう!読んだことくらいあるよな。」
ナビゲーターは聞く。
「少しだけだ。まともに読んだ事がない。」
「あなたですら読んだことがないの?」
晶は驚いているようだ。
「そんなに詳しく教えてくれないんだ。俺に見せたのはあくまでヤツが有用あるいは便利だと思っている一部の研究結果だけだ。」
それでクロウは気づいた。
「待てよ、そうか、そういうことね、ヤツは俺が裏切ることを恐れている。だからヤツに対して不利なデータをすべて隠した。」
クロウは目を細めた。
「つまり、ヤツは俺を信用していない。いや、最初から信用されていないか。」
クロウは怪盗団がまだ目の前にいることを忘れたように、独り言を続けた。
「こんなに明白なこと、なんで今まで気づかなかった?復讐の計画が最初からうまくいくはずがなかった、今までやったことは自分を騙しているに過ぎない。バカだな俺は、哀れだ!滑稽だ!こんなったら笑うしかねえよ。」
クロウは狂ったように笑い始めた。
ジョーカーはその場でこわばった。クロウの話は聞くのが辛くなる。彼は確かにひどい人ではある、愚かの復讐のために酷いことを行った。にしても、哀れだと思っている、ジョーカーは感じる、彼は本当に後悔している、今まで彼の心は欲望に歪まれたに違いない。そういえば、彼は一体どうやって自力でその歪みに打ち勝ったのだろう、なぜ人の助けがなくっても改心ができたうえ、自分の過ちにも認識できただろう。自分で改心するなんての簡単なことじゃないはず、クロウみたいな人にとってはなおさらだ。だからジョーカーは彼を尊敬している。しかし、
「壊れたぞ。」
ナビの言った通りだ。
クロウの笑いがまだ続けている、行かれたようだ。時間が過ぎていくと同時にその崩壊が増していく、見るのが苦しくなる。どこから由来している共感はジョーカーをよりつらくさせる。
クイーンは一歩下がる。
「彼の精神状態は不安定みたいよ。ここで正気を失って、突然かかってきたら、何をするかはわからない、危険かも。」
全員が下がったが、ジョーカーはこわばったままだ。
「ジョーカー!」
モナは叫ぶ、それに続き、スカルは彼女と引きずって後ろに向かった。
怪盗団はクロウをその場に残し、近くにある部屋まで撤退した。お互い厳粛な顔で見つめあい、沈黙が続いた。
「なあ、わかってんだ、こんな風に思うべきじゃねえし、あいつは同情に値しねえってよ。」
スカルがため息をつく。
「でも、なんかあいつが可哀想に思うんだよ。モナ覚えているか、鴨志田の時、改心されたら自分の行いに対して後悔するってお前た言っただろう。」
「あ、覚えてるぜ、お前とジョーカーがそうすると決めたけど、ワガハイが欲望をなくしたらカモシダは死ぬかもしれないと言ったら、お前らがビビった。ワガハイはそんなお前らの事をバカにして、そいつが死んでもお前らのせいだっとわかる人がいるはずもないと言った。」
モナは恥ずかしそうに言う。
「ワガハイがあの時こんな浅はかな考えも持っていたなんてほんと信じたくないな。」
「でもあモナはずっと言ってた、鴨志田を殺さないように慎重にやるべきだと。それにそのように行動を貫いた。」ジョーカーはモナを思い出させる。
「鴨志田が学生への虐待に対して私たちみんな怒ってた、特に鈴井さんの件があったからなおさら。あなたがいなかったら、この力の使いどころ間違ってたかもしれない。一歩踏み間違えば、クロウと同じようになっていたかも。」
「そうだな。認めたくないけど、それが事実だよね。」
パンサーが言う。
「そうだったの、知らなかった。つまりモナちゃんのおかげで、みんなは正義を貫くことができたんだね。」
ナビがモナのほっぺを引っ張る。
「ほら、モナお前は大事だぞ。バカ猫が。」
「おい、やめろ!」
モナは抗議する。
「クロウはひどい人、でも黒幕のほうはよっぽど悪いと思う。つまり自分の手を汚したくないから、汚れ仕事を全部クロウに任せたということでしょう。」
パンサーは自分の考えを述べる。
「そうだよ、命じられたとは言えそれがクロウの行いの弁解になるとは言えない、それにしても。」
「自分の行いに恥を感じているみたい。本当に後悔したみたい。」
ノワールは言う。
「ワガハイもそう思う。あいつ自分で心の歪みを克服したようだ。滅多にないことだ、褒めに値することだ。」
ジョーカーはほかの人も彼女と同じような考えを持つことにうれしく思う。
「聞いて悲しくなる話だ。それ以上に残念なのは、俺らも同じようなことを経験していたら、同じ道を歩んでいたかもしれない。お前らに助けてもらえなかったら、俺もああなっていたかもしれん。」
フォックスは言う。
驚くにナビも頷いた。
「母さんを殺したのはクロウで、恨むべきだったけど。クロウの話を聞くと、あの崩壊の姿を見て、なんにをどうするべきか、わからなくなった。」
「クロウのあの状態は心配だ、彼の状況はひとりで対処できるような問題じゃない。もし本当にクイーンが言ったように、精神的不安定な状態立ったらどうする。彼は狂っている、一人で黒幕を改心させるつもりだ、このままほおっておけば、もっと壊れるだけだよ。」
ジョーカーは言う。
「目を付けたほうがいいな。」
フォックスは提案する。
全員が頷いた、これで全員一致だ。
「ではクロウの所に戻ろう。」
モナは先頭を切りみんなも付いて行った。
クロウはようやく自分の少しまともに戻った。あふれ出る感情は彼を押しつぶした。自分が惨めに思う、まさかここまで愚かだったとは、ここまで道を違えるとは、しかし、その一方、心が少しだけ楽になった気がする。他の人に自分の窮地をさらすことで、少しだけ肩の荷を下ろせた気がする、怪盗団は彼を恨むことになるだろう、なんにせよ、彼はひどい人だった。いや、別にすでに憎まれているから、どうだっていいか。感情を吐き出して、自分の愚かさを笑うことで、少し気が楽になったかもしれない。感情をむき出すこと自体は悪いことじゃないかもな。
クロウは怪盗団が一度離れたことすら気づかなかった。しかしこちらに向かっているところを目にした。
「クロウ、大丈夫?」
晶だ。
「これで認知世界がどのように人の人生を台無しにするかをわかっただろう。だから解散したほうがいいと言っている。これ以上追及すると、更なる危険にさらされることになる。」
クロウは言う。
「私たちも決めた、」
晶は本気のようだ。
「残念ながら、私たちは止める気がない。あなたが言った通り司法システムが腐ってるかもしれない、それならなおさら見て見ぬふりすることができない。」
「な!貴様ら正気か?言っただろう、あれは罠だ!」
こうなることを恐れていた。
「あなたの警告を聞き入れた以上の選択だよ。ありがとう、罠の事は何とかする。」
彼女は少しやんちゃに言う。
「そんな簡単なことじゃ!」
クロウはまだ感情を抑えられなかった、彼は声を上げ強く主張する。
「本気で罠に対す対策があるか、それとも単なる間抜けなのかが本当にわからない。どんな危険な状況なのか気づいてる?もしも何かあったら、お前らは全員未来と今までの生活を失うことになる、何も残らないだぞ。」
晶は一瞬おびえたように見える、しかしその目はまだ輝いている、彼女は決意をした。
「知っている、知っているに当然でしょう!怖いのは怖いよ、でもやるしかない!なぜって、できるからだよう、世界をよりいいところにすることができる、これだけでも、いっぱい人を助けられる!」
クロウは不満げに歯を食いしばった。ほかの理由で説得しようとしたが、何も思いつかない、これは彼の負けだ。
「本当、お前らの人好しさは俺の理解を超える。」
「私たちはこういう人ってね。」
リーダーは笑う。
「私たちはみんなこの腐った社会の被害者だった。無力で、痛みつけられて、何もできなかった、この力が目覚めるまでは。でも私たちは気づいた、この力があれば、何かを変えることはできる、だからあきらめない、私たちはほかの人を助ける、私たちと同じようなめに合わないように戦うよ。」
他の人が自分と同じ目に合わせないためか。確かに、クロウも同じ考えだ。怪盗団が自分と同じように未来を壊されないように戦いたい。しかし、何を言っても彼らは自分の考えを変える気はないようだ。ならもう一つの方法しか残っていない。
「お前らのやりたいことは分かった。」
クロウは自分の決意を口にした、暗くそして強く。
「俺に選択の余地はないな。」
「ヤツは何をするつもりだ!」
髑髏マスクの男は言う、他の人も警戒して一歩引く。
「俺も行くよ。」
その話で、怪盗団は全員驚かされた。
「は?」
髑髏マスクの男はあきれた。
「取引だ。俺はお前らが罠を避けるための計画を立つのに協力する、その代わりに、改心の方法を教えろ。」
怪盗団はお互いと視線を交わす。そしてリーダーが頷いて、また視線をクロウに向く。
「わかった。万が一私たちを裏切ったら、許さないからね。いいね。」
彼女は警告する。
クロウは最初の計画をふっと思い出す。一時的に怪盗団に加入して、そして罠に落とし、最後に裏切る。そう思うだけで反吐が出そう。でも今は違う、たとえ自分を救えないとしても、怪盗団を助けることができる、そのためなら、なんだってする。
「当然だ。」
そう了承して、取引は成立した。
そしてすべてが止まった。妙なカードがクロウの視野に現れ、それに伴ったのは冷静な声。
「我は汝、汝は我、汝、ここに新たな契りを得たり、契りは即ち、囚われを破らんとする反逆の翼なり、我「愚者」のペルソナの生誕に祝福の風をえたり、自由へと至る、さらなる力とならん。」
カードは消えて、すべては元通りとなった。さっきのはなんだ。クロウは一瞬驚いたが、怪盗団は誰もそれを気づかなかったようだ。
「そう言えば、自己紹介はまだだったな、俺はフォックスだ。」
喜多川は真っ先に名を名乗った。
他のヤツも人通り自己紹介をした結果、クロウはようやく彼らのコードネームが分かった。
「で、どうやって改心させるの。」
クロウは問う。
「オタカラを取るだ。」
モナは答える。
「オタカラ?」
「そうだ、ターゲットの歪んだ欲望そのものだ。いつも価値のある財宝の形をしてる。それを盗むんだ。」
「思い出した、黒幕が俺に見せてくれなかったことを詳しく知るために俺はその研究についてもっと知ろうと思って、研究者が書いた古い論文を見つけたが、から多くは得られなかった。でも、そこにはこう書かれていた。認知世界に人の行為の変化を引き起こすものは存在する、その原因さえ除けば、その人も元通り似なる、こういわれると、それは確かにお前らが言っているオタカラに似ている。」
ナビはおそろおそろ頷く。
「その論文ならわたしも見たころがある、お前の言う通りだ。」
「そのオタカラはどうやって見つかる?俺は今まで壊れたものや武器を見つかったことならあるが、それはオタカラじゃないだろう。組織とかかわっている全員のパレスへ行ったことがある、数えきれないほどの歪んだ認識を目にした。しかし、コア、あるいは特別価値のある財宝を目にしたことがない、盗むなんてもってのほか。
「実体化させないといけねんだ。」
モナは言う。
「まずはオタカラまでのルートを確報しないといけない。説明は進みながらにするよ。」
「よし。そろそろパレス調査開始しようぜ!」
スカルはノリノリだ。
「お前らは本当に奥村を狙うつもりだな。じゃ、あんまり目立つな、特に派手な曲芸や予告状は禁止だ。」
クロウは言う。
「予告状なしで改心しろうというの。」
クイーンは聞く。
「その通りだ。」
「それは無理だ、オタカラを実体化させるには、予告状は必要不可欠だ。」
モナが答える。
これは予定外だ。
「予告状は必須条件か?見せしめのためだけじゃないか。」
「目標に貴重な欲望が盗まれるかもしれないと認識させる必要がある。それで初めて、オタカラは実体化する。カードも派手出ないと、インパクトが足りず、失敗する可能性がある。」
クロウは眉をひそめた。
「それはまずいな。」
「それってどういう意味?」
パンサーは聞く。
「知った通り、組織は奥村をターゲットにたてようとしている。問題は、やつらは奥村にランキングや怪盗団は脅威であることを吹き込んだ。それで、何か妙な事があったらすぐに警察に連絡するようとくぎを刺している。予告状をもらったら、彼は警察に連絡する。その話はそのまま黒幕のところまで回って、そしてその命令は下される。これでわかったろう。」
沈黙な緊張がひろがる、晶、あるいはジョーカーが聞く。
「その命令を受けたら、あなたはどうするの。」
クロウはこわばった。
「従いたくない。黒幕を騙しきることができればいいが。実は、すでに一度命令を拒否している。ヤツが抹殺しかかった人の一人を取り逃がした。それは、秀尽学院の校長、小早川だ。」
「秀尽の校長!」
パンサーは叫んだ。
「あの人もかかわっているの。」
「今の地位を得るために、ヤツは不正をしているからな。他の人ほどではないが、やっている。組織からすると、下っ端の一人だ、だからヤツは切り捨てられた。雑誌の文章とか、世論とか、全部やつらの仕業。公衆の目をその一件に集めさせ、ヤツを殺して、そしてそれを、そう、その通り、お前らのせいにする。」
クロウは肯定する。
「マジでむかつく、どこまで歪んでいるだよこの話。」
スカルは叫ぶ。
「秀尽の校長は植物状態で病院送りになったと聞いている。」
クイーンは言いう。
「急病で倒れこんだと聞いたが、誰も詳しく知らないみたい。」
クロウは少し安心したようにため息をする。
「よかった、俺の計画がうまくいったようだ。ヤツは無事になるだろう。」
全員の目はクロウに集まる。
「何をしたの?」
ノワールは聞く。
「小早川は組織が彼を切り捨てようとしていることを悟ったらしい、それで警察に連絡する予定だ。とはいえ組織は警察にも絡んで切るから、連絡したところでどうにもならないがな。そのため、俺はヤツのシャドウを隠れるように命じた、俺が黒幕を改心させるまで。俺はヤツのシャドウに自分の本体を昏睡状態に陥るように説得した、ヤツビビりだからな、すんなりと受け入れた。廃人化にされても、生き残る人はいるということは昔から知らされている、植物状態になるけどな。だから黒幕は今小早川が死んだ当然だと思っている、あるいは俺はそう期待している。なんにせよ、組織は俺を信用したことがないからな、俺もそう言い切れる自信がなくなった。」
「お前、よくそういうやり方思いついたな、なんでそれうまくいくとわかったんだ?」スカルは聞く。
「知らなかった、今まで一番の無謀な計画だったよ。言い換えると一か八かだったな。」
怪盗団は不思議そうにクロウを見る。
クロウは続いた。
「うまくいってほっとしたよ。奥村にも同じようなやり方で行きたいけど、これはさすがに二度と通用しないだろう。連続二人が廃人化ではなく植物状態となると、ただの偶然と言えなくなる。黒幕の疑いを引くに違いない。」
「思ったより複雑な状況だな。」
フォックスは言う。
「でも面白い計画ではある。まずはオタカラ迄の経路を確報して、それから奥村の事を考えよう。その時になったらまた対策を考えよう。三人寄れば文殊の知恵でしょう、私たちには9人がいるから。」
ジョーカーは褒める。
「8人ね、スカルはバカだから数に入らねえ。」
モナがスカルをからかう。
「あ、うるさいな。でもクロウの頭はいいだろう、二人分として数えられじゃね?俺たちの参謀よりも優秀なんじゃねえの。」
参謀であるクイーンは明らかに不快だ。
「あ、でもナビは天才でしょう。ナビは人間スーパーコンピューターのようなもんじゃん。」
パンサーの提案だ。
「はいはい、ここまで、」
ジョーカーは手を挙げる。
「実際はうちには頭いい人が勢ぞろいだ、いい考えが浮かばないはずがない。だから、まずは動き出そう!」
パレスを続けて探検すると、生体認識が必要なドアに出会った。ノワールは手をかざし、怪盗団を中に入れさせた。
ジョーカーはクロウを見て笑った。
「ノワールがないとここまで通れないでしょう。」
「簡単なことだ、奥村は組織と多く取引を持っているため、俺にもここのドアを開く権限を持っている。」
「すごい人脈。わかったよ、先の話を撤回する。」
シャドウは現れたが、クロウを難なく一掃させた。ロキのマハラギオンは耐性弱点関係なく、シャドウを一気に倒した。
「強い。彼の力8000以上ある!」
戦闘は続くが、シャドウは気づく前にすでに倒された。
「おい、少しは残してくれ!これじゃ強くなれねんだろう。」
スカルはぼやく。
「悪い。お前が言った通りだ。」
そう言って、クロウは下がり、怪盗団にたたかわせた。
クロウは怪盗団の戦闘を眺める。彼ほどの経験者ではないが、上手ではある。中でも一番面白いのはジョーカーだ。数か月前、クロウが初めてジョーカーはペルソナを使い分けることができると知った時、嫉妬していた。クロウは二台のペルソナを使えることを自分の特別な力だと思っていた、しかし、ジョーカーはそれ以上の力を持っている。複数のペルソナを所有して、それを使い分けることができる。しかも正義アルカナのペルソナしか使えないクロウとは違い、アルカナも多種多様である。そんなこと受け入れたくなかった。力をクロウにくれた存在は、彼が特別だと言ったのに、じゃ、なんで複数のペルソナを使えた人はジョーカーであり、彼ではなかったのか。
でも今クロウは理解した。晶は輝いていて、強い心を持ち、親切で、思いやりのあり、特別な人だ。彼と違い、晶は特権、いやそれ以上のものが相応しい。彼と違って、晶は彼女に相応しいすべての物を手に入れるべきだ。
怪盗団の戦闘が終わり、シャドウは命乞いをしている。
「頼む、殺さないで、そ、そうだ。いいこと思いついた。私があなたの力になってやろう。そう、私をつか……」
そう言っているシャドウは落ち込んだ。
「そうか、もうモスマンの力を持っているだな。」
たぶんジョーカーはすでにモスマンのペルソナを持っている意味だ。
「でも、ちょっと待って、お前はまだないな。」
そう言って、シャドウはクロウに向かった。
「な?」
「じゃ、決まり、私の力をお前に貸してあげる。我は汝、汝は我。」
そう言って、シャドウは光となって、マスクに変わり、クロウのマスクに吸収された。クロウは何か新しい力体の中に現れた気がする、今までなかった力が。
「こいつ、ジョーカーと同じ力持っているか?」
モナは叫ぶ。
「同じ、俺が?」
クロウも驚いている。
「いや、俺二つのペルソナ持っているが、それだけだ。こんなことあったことがないし、初めてだ。」
次の戦闘となった、クロウは自分の新しいペルソナを使ってシャドウを倒した。彼は本当にその力を得た。皮肉なものだ、その力を手にする資格がないと思った今さら、こんな力を得るなんで。
「すごい、今まで間違っているほうにいるなんって、もったいない。」
ジョーカーは言う。
クロウはそんなことがないと言いたかった、彼はそんな力に相応しくない、晶こそこの力を持つべきだと言いたい。
「今はお前と同じ側の人間だ。」
そういうことしかできなかった。
「そうだといいが。」
ジョーカーは言う。怪盗団もまだ彼を完全に信用していない。それはそうだろう、理解できる、少し、心は痛むけど。
ロボットの守備とシャドウを倒しながら進む。
「敵全員ダウン。」
最後の敵がフォックスに倒されたあと、ナビのアナウンスが入る。
「いまだ!」
ジョーカーは叫ぶ。
クロウは彼女の意図を全く理解できていない、今?何のこと、彼は棒立ちとなり、その間怪盗団は総出で優勢を広がり敵を囲んだ。
「お、おい!何ぼうとしている。お前も一緒にかかれ!」
ナビが声をかける。
「俺にそんなことを知るわけないだろう。」
「敵の全員からダウンを取ると、一気にかかったほうが早く終わる。マジで、こんなに強くなかったら、二年ここで戦ったなんて信じられないぜ。」
スカルは当たり前のように言う。
クロウは少しイラっとした。スカルのヤツいつまでその二年の経験の話をするきだ。だめだ、冷静、冷静になれ。
「これはチームプレーだろう、俺は一人で探索をしてたんだからな。」
「あ、それはそっか、でもさ、俺らをストーキングなどしてなかった?」
スカルはそう簡単にあきらめない。
「まあ、時々は。でも、さっすがにこんな急な話ついていけないよ。」
クロウは認める。
パンサーは怒りのあまりにため息をつく。
「なんでスカルはだれかをとがめる時しかいいことを言えないわけ?」
「スカル、ほどほどに。また次の機会があったら是非一緒にやってくれ。」
ジョーカーはスカルを注意してから言う。
その次の機会を逃すはずもなく、クロウは怪盗団と一緒に総攻撃を仕掛けた。確かに、戦闘は一瞬で終わる。そのさらに次の戦闘では、ジョーカーからのバトンタッチ(そう怪盗団は呼んでいた)に取り乱された。力の増幅を感じた結果、ロビンフッドやロキと比べてはるかに弱かった新しいペルソナでも、それなりに強かった。しばらくして、クロウも他の人にバトンタッチで回すようになった。それを見た怪盗団は喜んでいたらしい。
おかしい感覚だ、信用されてはいないのに、怪盗団は彼を総攻撃やバトンタッチなどに参加するように促す。まるで彼もその一員のようだ。理解できない、唯一言えるのはこれは一人で戦った時に経験したことのないことだ。昔は一人ですべての敵に対応できることを誇っていた。それが力を持つ証明だと思っていた。他の人を頼る、すがるなんて弱い証拠だと思っていた。でも、それは間違っていた、今ならわかる、バトンタッチとはその人ならやれると信じているからある行為。時には思ったことと違う反応が返ってくるけど、クロウもまた、毎回その期待を応えられるというわけではない。それにしても、相乗効果のおかげでうまくいっている、チームワークの楽しさだ、少しハマるくらいだ。今になって、自分ですべてを終わらせるより、他の人にバトンタッチを渡したほうが楽しくなっているくらい。
クロウはパレスでの隠れ場所が詳しく、より効率的に待ち伏せで敵に襲撃することができた、それにトラップなどにも詳しい。探索のついでに、新しいペルソナも手に入れた。そして気づく前に、彼らはパレスの最深部まで到達した。
「やったぜ。あれがオタカラだ。」
モナは少し離れているモヤとしている物に指をさす。
「あれが、確かに、別のパレスで似たような物なら何度か見かけて事がある。これがコアか。」
クロウが言う。
「予告状なしに実体化させる方法を考えないとね。調べてみたいことがあるけど、何日かはかかる。」
クイーンが言う。
「じゃ、今日はひとまずここまでとして。また月曜日ここで集合して話をしようか。」
ジョーカーが少し考えたから提案する。
「ここで、パレスでか?」
パンサーは困惑しているようだ。
「そう。ここでだ。」
ジョーカーは気を変わるつもりがないらしい、理由もわかりきっている。現実世界でクロウに彼女たちの正体を知らせたくないからだ、と言われても、とっくに知っているが。
でもクロウもまだ自分の正体を明かすつもりはない、その提案のほうが好都合だ。
「いいと思う、では月曜日またここで会うよ。」
そう言って、怪盗団と別れたクロウだった。
あとがき:
ここでは怪盗団を明智の愚者アルカナにしました。ペルソナ3と4のようにパーティー全体がそのアルカナを示しているように。
次回の認知世界での探索までには現実世界での甘い日常がお待ちしております。