緋弾のアリア -強襲科の狂戦士-   作:南瓜お化け

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 コハエース欲しい(唐突)。以下愚痴です。
 グランドオーダーで一体も星四以上のサーヴァントが手に入っていません。一回の十連ガチャで三体セラ&リズが出てきた時には、やめてやると思いました。清姫ちゃんいなかったらやめてましたよ。なんだよ、三回も十連ガチャしたのに、単発でガチャ回した時のほうが、サーヴァント出てるって。初日からやってるのに。概念偽装で使えそうなのが、カレイドスコープぐらいってのも大問題な気がしてしかたないですよ。
蝉やらアタランテ姐さんや金ピカが実装されるまで、ガチャ引くのやめようかな(無理)


第13狂 魔剣

「……」

 遠山キンジはトイレの前で、あやとりをしながら待っていた。この前、ドラえもんののび太が作っていた『ギャラクシー』というものをつくろうとしているのだが、なかなかどうしてうまくいかないものだ。と思いながら、10分は過ぎていることに気がつく。まあ、女性の身支度だなんて、こんなものだろう、と済ませようとした時、アリアから電話がかかってきた。音使いの彼だから分かる程度だが、電話帳に入っているすべての番号の着信には、微妙に音が違うように登録してあるので、音だけで分かった。わざわざ、電話を出すのも面倒なので、糸をつないで、電話に出る彼だが、怒鳴り声がまっさきに聞こえてきた。

「キンジ! 今あんたどこにいるの!?」

「どこって、白雪がまだトイレから、出てこないから……」

「四季が逃げ出したわ! 多分、狂化して! 爆弾魔が、ああもう! 速く来なさい! 速く!」

 ブツッ、と一方的に電話を切られ、頭痛で頭を抱えた。恐れていたことがおこってしまった、と。しかし、妙なことに、狂化の後に続いた言葉は、爆弾魔、という結構最近きいた単語だった。というか、最近被害にあった。四季が、逃げ出したとなると、下手をすると一年の時の悪夢の再来になりかねない。あの依存夫婦は、帰りの便が、ストライキだかなんだかで乗れなくなり、まだ帰ってきていない。対応、というよりも、探し出せる方法は、人海戦術か自分の曲絃糸ぐらいで、前者は犠牲覚悟、マスメディアやら国内外の武偵高が来ていることを考えると、やはり、自分が行くしかないと、頭痛を理屈でねじ伏せた。

「おい、白雪、四季が逃げたから、先に会場戻っているぞ!」

 答えはなかったが、そんなもんだろう、と割り切りすぐに会場に走っていった。

 

 

「だれだこいつ」

「爆弾魔よ、それよりも四季が!」

 会場にたどり着くと、全身に刀傷をおい、カジュアルだったであろう服が、古着屋で500円ぐらいで売られていそうな、赤一色(ところどころ茶色くなっているが)のぼろっぼろの布を着た男が、入口近くで紅梅から治療を受けていた。

 目を競技場に向けると、大勢の大人に抑えられながら主審に、ドイツ語で何かを叫んでいるアドルファが映った。

「あんの、チビすけが、この爆弾魔にどういうわけか気づいて、ジャンプしてここまで来たかと思うたら、切りつけたんや」

「ああ、えーと、……鹿児島代表、ジャンプじゃねえよ。コンクリートの壁に、ナイフを何本か突き刺して、足場を作って登ってきたんだよ」

「今はそんなことよりも四季の行方よ!?」

 パニック状態のアリアの言動に、頭痛がもう一度してきた。どんだけ親友が好きなんだこいつ。などと思いながらも、学校の敷地全体を覆える糸を展開し始めるキンジ。あの全身刃物に触れれば、糸が人間の形をして切れるので、探すのにはかなり楽なはずだった。

 ……はずだったのだ。

「どこにもいねえ」

 敷地は勿論建物の中まで、隅々と調べ上げた結果、四季らしき人間はどこにもいなかった。狂化したならば、あのごっついナイフを両手に持っているはずなのだが、それどころか、ナイフを両手に持った人間すらいなかった。

「まさか、人口浮島からもうでたんじゃ……」

「いや、もしそうだとしたら、出入口にいる警備員から何らかの連絡が、教務科に届くはずだ」

 そして、見つからなかったからこそ、キンジにはどこにいるのかが見当がついた。

 学校の敷地、すなわち人口浮島すべての上部は調べた。ならば、調べていない箇所は一箇所だけ。

 それはすなわち

「『地下倉庫(ジャンクション)』か」

 アリアの行動は早かった。すぐに、一番近くの地下倉庫へと続く地下道に向かって走りだし、そしてキンジに首根っこをつかまれ、一本背負いの容量で地面にたたきつけられた。

「みぎゃ!?」

「落ち着け」

 犬に待てというようなイントネーションで、落ち着けと言い放つキンジ。今のアリアは親友のこととあって、完全に冷静さを欠いている。いつもの状態ならば、地下倉庫での発砲は抑えるはずだが、この状態だとそれさえ怪しい。そもそも、いつもの状態ならば、武偵一本背負い(一本背負いだといえば一本背負いになる)が決められるはずがない。逆にキンジが地面にたたきつけられていたはずだ。

「地下倉庫は、広い。索敵能力の高い俺が行く」

「キンジさーん、アリアちゃ……さん、地面にたたきつけられて気を失っていますよー」

「……」

 力加減を間違えた。と、思いつつ、ごまかすためにそっぽを向く。気を失うほうが悪い、いや、でも女に手を出す自分ってどうなんだ? でもあのままだったら、人口浮島ごと吹っ飛んでいたかもしれないし……。などと言い訳と後悔が、交互に錯綜し、また頭痛がしてきたキンジだった。

「あのー、いいところわるいんやけど、あてらはなにかすることがあるんどすか?」

「自分で考えろ、武偵だろうが」

「いや、ここはよその土地だぎゃ。下手に動いて、こっちの連中の連携を滞らせかねんのだぎゃ」

 たしかにそのとおりだ。だが、座っていろと言って座っている奴らじゃないことぐらい見ればわかる。いろいろと、考えている内に、めんどくさくなってきたキンジは、全てを一気に解決する素晴らしい案を思いついた。

「ぶん殴って気絶させればいいじゃん」

「患者増やすのやめてくださいよ、本気で……」

 もう色々と吹っ切れた。同業者なんだ、厳しくして強くなっていくことを願おう。などと、殴って気絶させた七人を見ながら思った。これから、ただでさえ味方に容赦のなかったキンジが、更に容赦無くなったのは言うまでもない。

 

 

 

「あ、……え? し、四季くん……?」

 物音がした。確認をすると西条四季がいて、切りつけられた。これが『地下倉庫』で星枷白雪が確認できた事柄だった。

「ゆでらぁり」

 『魔剣(デュランダル)』に呼び出され、地下倉庫の最深部に来ていた星枷白雪は、暗闇の中で、四季を見つけた時助けが来た、と思った。キンジを、ひいてはみんなを守るために、傷つく可能性から守るために、『魔剣』の呼び出しに応じ、トイレから逃げ出した白雪だった。

 別に、彼女の助けが来た、という発想そのものは、ごくごく自然なものだ。四季の狂化についても、秘密主義色の強いのSSRの生徒は、殆ど知らない。そして、トイレの付き添いには、キンジがいた。さすがに混んでもいないトイレから、10分も出てこなければ、不思議に思いトイレを調べ、探しに来るはず、と踏んでいた。だから、警戒が、背後に対する警戒が、四季に対する警戒が、狂戦士に対して無防備になることは、ごくごく自然なことだった。

「な、んで……?」

「ゆらぁり、ゆらぁり」

 背中の激痛に耐えながら、距離を取ろうとするが、目の前には『魔剣』が呆然と立ち尽くしている。もし、前に逃げる際に運悪く正気に戻られでもすれば、そのままさらわれてしまうかも知れない。

「ズタズタに」

 そして、考えがまとまらない内に、狂気が彼女を襲った。

 

 

「……初めまして」

 呆然とありえない状況に立ち尽くすしかない『魔剣(デュランダル)』ことジャンヌ・ダルク30世は、丁寧にも挨拶をする狂戦士(バーサーカー)に唖然とする。

「ええっとぉ……魔法……なんだっけぇ? まあいっか……モリアーティちゃん、です……」

 違う。絶対に違う。間違っても違う。イ・ウーにも、戦闘狂(ガンモンガ―)は何人もいた、魔女なんて腐るほどいた、呪い嫌いの怪盗もいれば、吸血鬼やら人狼などといった異形もいた。だが、こんな奴は初めてだった。味方を攻撃とか、そういう次元じゃない。はっきりと異形だとわかれば、異形の遺伝子を持っているとわかれば、ここまで恐れることではない。しかし、ちがう、こいつは人間が人間のまま狂しくなっているんだと、強烈に認識させられた。

「そのぉ……ええっとぉ、剣? 下さぁい」

「……なんだ、お前は仲間を売り渡せば、私が聖剣をやると思ったのか……?」

 絞りだすように、ありえない要求に答えるジャンヌ。だが、狂戦士の反応といえば、不思議そうな顔をして顔をかしげるという、普通だったら可愛らしい反応だった。

「いいえ……、ええっと……なんとなく……?」

 その仲間を攻撃するどころか、攻撃する理由にすらならない回答を聞いて、ジャンヌは、やっぱりか、と思った。むしろ、まっとうな理由が帰ってきたほうが驚いただろう。

 イ・ウーには、狂っている連中が数多くいる。それこそ零崎ではない自称殺人鬼や、剣士、義賊まで、数多くいる。しかし、彼らは、高潔ではないにしろ、卑怯でありはしても、味方は刺さない。ヴラドやパトラ、トランプのように自尊心が強く、味方を馬鹿に(特に理子イジメが酷かった)する連中もいるが、味方と認識したものは刺さなかった。

 しかし、こいつは違う。こいつは、狂戦士は、味方を余裕で刺す。イ・ウー指折りの策士のジャンヌ・ダルク30世は、奇しくも彼の母親に対して伝説の殺し屋と同じように評した。

「……ええっとぉ、ではぁ……ズタズタになっ」

 ゆらぁり

「てぇ……、……その剣をぉ……く」

 ゆらぁり

「ださい」

 ゆらぁり、と変なタイミングで息継ぎをする矮躯の狂戦士に冷や汗を掻きつつも、『ラ・ピュセルの枷』で拘束を試みる。

「ゆらぁり」

 ダンッ、と音がしたかと思うと、驚くことに5m以上はあった距離を、ジャンプして切りかかってきた。既のところで、避けるも、その異常な身体能力に、目を見張るジャンヌ。

(超能力か!? いや、だったら現れた時点でわかるはずだ! こいつ、まさか素の身体能力なのか!?)

 イ・ウーにも、プロのプレイヤーは、それなりにはいる。ジャンヌが、身体能力、技術で、彼らに大きく劣っているわけではない。しかし、実力如何以前に、こいつとは、この狂戦士とは、戦いたくないと、反射的に思ってしまう。思わされてしまう。

 人体構造上、人体力学上、物理学上、ありえない動きなど、異形の存在を知るジャンヌからしてみれば、そこまで恐ろしいものではない。恐ろしいのは、この狂戦士が、なんとなく聖剣に突っ込んできて、そのまま自分が大怪我を負ったとしても、斬りかかって、否、ズタズタにしに来るであろう、そのメンタルが恐ろしい。覚悟でもなければ、無限回復があるわけでもない。ましてや機械のように冷血なわけでもない。覚悟があるなら、理屈が通るなら、機械のように冷徹であるなら、どれほど救われたことか。自分の剣技を物ともしないなら、それこそチートと呼ばれるぐらい強ければ、どれほど楽だったか。

 だけど、こいつは違う。覚悟もなければ、無限回復もない。感情があれば、対策が取れないほど強くもない。ただただ、そのメンタルが狂っているだけなのだ。

 たったそれだけで、イ・ウーが、武偵が、殺人鬼が、策士が、世界が、持て余す『現象』。それがこの狂戦士だ。

 覚悟ならくじけばいい、無限回復なら殺し続ければいい、冷徹なら温めればいい、チートならルールを破ればいい、最強なら会わなければいい。

 だが、こいつは、どうしようもない。ほっとくにしては危険すぎる。だからといって観測できたものじゃない。干渉しようものなら危険度が増すだけ。どうしようもない。

 そして、何時もどうり狂戦士は、どうしようもなかった。

 

 

「すぅー、すぅー」

「なんだ、こいつは……」

 わなわなと、身体が震える。声が怒りと悲しみのあまり震える。狂戦士は、寝た。戦いの最中で、糸が切れたように寝た。とても気持ちよさそうな寝顔で、いい夢でも見ているような顔で、やすらかに眠っている。

 どうしようもない。どうすることもできない。こいつにとって、デュランダルは、眠気以下の存在だったのか、と怒りを通り越して、同情のあまり悲しくさえなってくる。

「なんなんだお前は……」

 モリアーティと名乗ったこの狂戦士は、強い。狂っていてなお、鍛錬の末の技術が多く垣間見れた。間違いなく、こいつは強い。それも鍛錬による、強さだ。

「なんなんだお前は……!」

 決して才能任せではない、努力で実を結んだ強さだ。

「なんなんだ! お前は!」

 わけがわからない。狂っているなら、いつ努力した。狂っているなら、なぜ今まで生きてこれた。狂っているなら、狂っているなら……。答えは簡単だ、狂っている時と狂っていない時で、分かれているだけなんだ。

 努力は嘘をつかない。まさにその言葉のとおりだ。狂っていてなお、この狂戦士は技術を持っていた。

 じゃあ、なぜ、なぜ……!

「なぜ私の時に狂っていた!!」

 狂っていない時に、戦いたかった。もしそうだったなら、お互いの技術を高めあえただろう。是が非でも、イ・ウーに連れて帰っただろう。だが、あんなものを魅せつけられた今は、手が届かない。恐ろしさのあまり、近づくこともできない。

「なんなんだ……、お前は……」

「西条四季。俺の友達だ」

 声がした。暗い地下で、人気のない地下で、鉄仮面をつけた学生服姿の男がいた。

「やっぱ、白雪が一番被害にあってるな」

 忘れていた。そういえば、星枷白雪を回収しに来たのだった。もしかしたら、出血多量かショックで死んでいるかもしれない。まあ、いいか。いまはそんなことどうでもいい気分だ。

「おい、そこをどけ。今の私は、気が立っているのだ」

「いやだね、お前を捕まえねえと、親友が親友が騒いでる小学生が更に煩くなるんでね」

 

 じゃあ、死ね。誰かが言った。




 ジャンヌの四季の評価と死亡フラグがマッハ。
 ジャンヌの言っている通り、四季は対策さえ取れば、そこまで恐ろしくはありません。
 レキが直接出てきていないのも、四季が苦手意識を持っているので、会おうとしていないだけです。
 ただし、刃物に関しては、天性の才能があるので、暴走さえしなければ、イ・ウーが勧誘していました。零崎に手を出すことになるので、本当にするかは、微妙ですけどね。
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