緋弾のアリア -強襲科の狂戦士-   作:南瓜お化け

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 前後編に分けてありますので、短いです。伏線でもなんでもありませんが、示唆したキャラクターが出てきます。
 掟上今日子の備忘録のドラマの録画予約に失敗してることに気がついて、ダウナー状態です。



第19狂 首吊高校『前編』

「高天原ゆとりに会いに行け」

 後日、匂宮絵札からメールが届いた。なぜ、メアドを知っていたのかとか色々不思議なのだが、少し考えただけでも方法は思いつくので、決して無理なことではないのだろう。いや、あの匂宮理澄の後継機ならばきっと朝飯前にちがいない。

「まあ、そう言われれば、納得はするな」

「だよね~」

 と、俺はシリアル、キンジはトーストを朝食にして話していた。

 高天原先生は、俺が話しかけるとビクつく弱気な先生だけど、昔は『血塗れゆとり(ブラッディユトリ)』と呼ばれ、10代の頃から戦場で傭兵をしていたらしい。そして、かつて日本にそういった側面を持つ学校があるのを、俺らは知っている。

 俺はお母さんが出身だからだが、キンジは赤神だったから。最近知ったんだけど、キンジの実家は、その特異体質を狙われて昔っからいろんな裏の世界の家と半ば無理やり血族関係を結ばされていたらしい。というか、完全に無理矢理らしく酷い時には女を拉致して子供を産ませる、なんてこともされたらしい。そのなごりで、遠山は赤神との関係を未だに持っているとのこと。最も、赤神のお家騒動の時に、ある少女をかばったがために離縁状態だったとのこと。

「たしかに、あの高校だったら高天原先生の略歴にも違和感がなくなる」

「んでもって、俺をビビる理由もはっきりする」

 まあ、俺はお母さんに似てるから、お母さんを知ってる人から見れば、死んだ人間が目の前に居ることになるから、怖がるのは当たり前かもしれない。

「んじゃ、今日職員室に行って話聞いてくるよ」

「いや、まて。俺にいい案がある」

 うわー、すっげ~嫌な予感しかしねえんだけど。キンジって、基本脳筋戦法しか立てねえし。頭使った作戦は理解しきらないし(微妙に理解するからややこしい)。でも逆らったら、殺されるから黙って言うこと聞こう。

 

 

「高天原先生。単刀直入に聞きます」

「はい、遠山くんが職員室まで質問なんて珍しいですね。なんですか? 探偵科の授業でも受けたいんですか?」

 職位室では、多くの職員と僅かな生徒がいる。その中で、遠山キンジは高天原ゆとりと話していた。遠山キンジの表情には緊張が見え、それを高天原ゆとりは、ここが職員室だからだととらえた。キンジのことは、多くの職員が知っているし、彼を買っている職員も多い。高天原自身、あの西条四季と相部屋というだけでも、それは評価に値するものだと思っている。

「先生は、澄百合学園をご存知ですか? いえ、ご出身だったんじゃないですか?」

「はい? 澄百合……? いえ、知りませんし、出身じゃありませんよ」

 互いに、きょとんとしている。キンジは高天原ゆとりが、本当に知らないといった素振りを見せていることに、そして高天原ゆとりは本当に知らない学校の名前を言われて、きょとんとしている。

「いえ、じゃあ、えっと、では、質問を変えます」

「はあ……?」

「先生は、西条玉藻という名前の人物を、ご存じですか?」

「……、はい。西条くんのお母さんですよね」

 知っている。確信がもてるほどに、高天原ゆとりは動揺した。そして、高天原ゆとり自身、観念したといった感じでため息を付き、一旦床を見てから、立ち上がり、椅子を持ってきて、キンジに座るよう促した。

「はあ……。確かに、確かに、あの高校は、澄百合学園と呼ばれていましたね。誰も読んでいなかったから、もう忘れていました……。誰でしたっけ、あの高校で最後にその名前言ったのは……」

「先生?」

 遠山キンジがすわってから、思い出したように、ぶつぶつと呟く高天原ゆとり。

「遠山くんの思っている通り、私は、西条先輩(・・・・)を知っています。そして、澄百合学園……いえ、首吊高校は私の母校です」

 首吊高校というただならぬ言葉に、教職員がこちらを向くが、向いた先が高天原ゆとりと遠山キンジだったので、大したことはないとすぐに首を戻した。

 澄百合学園は、昔、世間一般では、いわゆるお嬢様学校(・・・・・・・・・)として広く知られていた。内情を少なからず知っている遠山キンジも、澄百合学園の生徒だった高天原ゆとりも、お嬢様学校であることは否定しない。事実、西条四季の母親である西条玉藻も、あの至高の策士も、生まれは紛うことなきお嬢様なのだから、そういった側面はたしかに持っていた。実情はどうあれ、誰も入学せず、誰も卒業せず、生徒なんて居なく、要るのは傭兵訓練生ばかりだったとはいえ、お嬢様学校ではあった。

 首吊高校、友達が首を吊るようなところは、学校ではない。そういった意思表示のための名前ではあるが、遠山キンジは知らない。

「そして、西条先輩を私は……、わ、私は……!」

「先生!?」

 ガクガクと身体を震わせ、動悸が激しくなる高天原ゆとりに驚くキンジ。トラウマがフラッシュバックするかもしれないとは危惧していたが、まさかここまでだったとは、思わなかった。遠山キンジは自身の読みの甘さに内心舌打ちをするも、どうすればいいのかもわからない。

「おいぃ、ゆとりぃ。ここじゃ、人の目がぁ……、えーっと、なんだっけぇ? そうそう、人の目がある。場所を移せぇ」

 なんでひらがな二文字の言葉を忘れられるんだ、この教師は。と言った目で見るキンジをラリった目で一瞥し、綴は高天原をつれて職員室から出ていこうとする。

「ああぁ、そうだそうだぁ。遠山ぁ、その台車に乗ったダンボールを、相談室まで持ってきてくれぇ」

「……はい」

 高天原ゆとりを肩で支えながら出て行く綴梅子と、台車に乗ったダンボールが多くて、困惑している遠山キンジ。整理整頓ぐらいしろよ。

 

 相談室にキンジがつくと、奥の席に高天原ゆとりは座っていて、狭い室内に綴梅子は見当たらず、机の上にはコーヒーが置かれていた。

「綴先生が入れてくれたんですよ」

「……はあ」

 変なもん入ってないよな。と勘ぐり、手を出さないことを決意したキンジだった。

「先ほど行ったとおり、私は遠山くんの言う、澄百合学園の出身者です。在学中に潰されちゃいましたけどね」

「『赤き制裁(オーバーキルドレッド)』にですか」

「ええ、でも聞きたいのはあの最強のことじゃないでしょう」

 こくりと、頷くキンジに、少しため息と軽い深呼吸をして、高天原は言った。

「私は、西条先輩を知っています」

 目を瞑り、もう一度深呼吸をしてから、覚悟を決めた顔で言った。

 

「そして私は、西条先輩を殺しました」




 後編は明日予約投稿する予定です。ただ、前書きと後書きは後編には載っていないので、あしからず。
 感想ください、前後編呼んでからでもいいので感想ください。
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