四季の戦闘においての弱みが出てきます。あと、リボルバー拳銃はロマンだと思うんですよ。
「参りました」
「ぎゃははは、ご利口なことで」
夾竹桃はトランプと会合するなり、白旗を上げた。毒はすでに使っている。常人ならすでに立っていることもできない濃度で空気中に充満しているはずなのだ。だが、トランプは立っている。ではどうするか? 別の毒を使うという案は却下だ。へんな化学反応起こされたらこっちがたまらない。爪で刺すのも無理だ。ボコボコにされておしまいだ。つまり、打つ手なしである。ガトリングガンなど撃つ前にボコボコにされておしまいである。
ここで下手に戦いトランプのギアを上げるよりも、いまのまま理子と戦わせたほうが、理子の安全にもつながる。などと、言い訳をしてはいるが、本音はトランプを信用しているのだ。こいつはろくでなしだが、ひとでなしではない。金髪目がチカチカしてうざいという巫山戯た理由で理子やヒルダなどをいじめているが、殺してもいなければ一生残る傷もつけては居ない。あくまでも外傷のはなしであり、心の傷については一切考えていないあたりは外道である。
たぁーん、と乾いた音が教室で響いた。強襲科棟では別段不思議なことではないが、それが明確に人を狙ったものであることは、極めて珍しい。まして、実弾であり、武偵が武偵を撃つなどほぼほぼない。
だが、周りの強襲科の生徒が驚いたのはそのことではなかった。彼らが驚いたのは、
四季とアリアの戦いは、熾烈を極めた。四季は何本かのナイフを壁や床に突き刺したまま放置し、一部では彼の代名詞となりつつある右手にエリミネイター・00、左手にグリフォン・ハードカスタムを使っていた。アリアも銃弾が底をつき、不利とわかりつつも双剣にて応戦した。しかし、刀剣同士の戦いではどうしても、四季に分がある。だからこそだったのかもしれない。もしくは、はじめから狙っていたのかもしれない。アリアは動いた。極めた技は極々普通の技だった。武偵ならばだれでも知っている技であり、たとえ使用者がアリアだろうと極められるまでにはなんなりの抵抗はできるはずだった。
しかし、四季は抵抗も気づくこともできなかった。極められた後も何をされているのかがわからなかったのだから。しかし、それも無理からぬ事。四季は訓練で一度見たことが有り、知識としてあるだけの技術の一つだったのだから。することも、されることも想定していなかった技。
それが
一度極まってしまえば脱出することは不可能とされている極めて強力な技であり、軍隊格闘術としても採用されている技である。では、なぜ四季はこの技に対して驚くほど無知だったのか。それ単純に、四季に関節技など狂気の沙汰だったからだ。全身に刃物を携帯している四季に関節技など仕掛けようものならば、刃物で肉や骨がズタズタにされてしまう。全身の武器が鎧となっていたのだ。四季を知っているものならば、まず関節技などかけない。知らないものならば、刃物に驚き腕をわずかでも緩めてしまう。対策としては二流だが、全身刃物の副産物としては上々なものだった。
「ぐうううううう!!!」
「ぎ、ぎぎぎ!」
しかし、アリアは緩めない。戦いの中で、四季はナイフを置いてきた。それは全身に刃物を仕組んでいるとはいえ、使うものは上半身、それも腕に近いものから出していく。そして、これ以上ナイフを新しく出すのは、時間が惜しいと四季が判断するまで待っていたのだ。覚悟さえできていれば、鋭利な痛みなど、どうにか耐えられる。その程度、親友に刃を向ける苦しみに比べれば、なんでもない。その顔は苦悶に満ちており、気を抜けば技を緩めてしまうだろう。そして、四季の身体から力が抜けた。気絶したのだろうと判断して、技をとくアリア。無論警戒は怠っていなかったが、四季が攻撃する様子はない。本当に気絶してしまったのだろう。
アリアは四季を置いて、戦いの中でいつの間にか入っていた教室から出ようとする。もうすでに全身がぼろぼろだが、なんとか戦える。痛覚が麻痺しているのもあるが、それ以上に後には引けないという心理が強く働いていた。親友に刃を向けてまで、進もうとしたのだ。もう後には引けないと。
気を張り詰めていたからだろう。それには気がつけた。明確な、強烈な殺気が背中に感じた。正確には背を向けた四季から感じ、身を翻すと四季はS&W M500を構えていた。拳銃としては世界最高の威力を誇る回転式拳銃は、四季の体格には向かないが、そこは使用者に対するクッション性能を上げる改造を施し、僅かとはいえ威力を減衰させていた。それでも脅威であることには変わりない。
トリガーに指をかける四季に対して、アリアは超反射で腕で銃弾を払った。払いのけたというよりも、故意的に腕で受け止めたといったほうがいいだろう。腕がジンジンと響き、少し遅れで痙攣が始まった。骨もどれだけ良くてもヒビが入っているだろう。そんなアリアを見て、四季は安心したように少しだけ微笑み、本当に気絶した。いや、本当に気絶していたのだろう。それでも親友を行かせまいと、切れたはずの気力で最後の攻撃をしたのだ。アリアが四季ならば使わないと思っていた銃で、アリアを撃った。アリアは四季が気絶する直前に、ごめんね、と言っているように聞こえた。気のせいかもしれない。だけど、これでアリアは戦えない。痛みが全身に響いてきた。戦えないと、なんとなくわかりアリアもまた最後の力を振り絞り四季のもとに近づき、膝から崩れ落ちた。
「四季、ありがとう」
ぽろぽろと涙が頬を伝いながら、少しだけ、少しだけ、アリアは休むことにした。
アリアとの友情ものが、少なかったので親友設定を取り入れてみたのですが、個人的にとてもいい具合になったと思います。
四季は体が密着する体術全般はほとんど使えません。だって使う必要ないんだもん。