緋弾のアリア -強襲科の狂戦士-   作:南瓜お化け

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 話数に関してはただの数遊びみたいなものです。


第2038話 今日も元気に無法地帯

ここはイ・ウー。私はリサと申します。オランダ出身の戦闘能力ほぼ皆無のメイド兼会計士。イ・ウーは武偵高とはちょっとだけ趣旨の異なってはいますが、戦う技術などを教える学校のような場所。つい最近、変な策士が入ってきてからは至って平和です。

 そして今日は大切な予算会議。一部の人(?)は参加さえしませんが、大切な日です。

 このイ・ウーに集う者達は、ほぼほぼ無法者で、怪盗から殺し屋まで、無法者の職業をほとんどコンプリートしているのではないでしょうか。そして全員が生徒であり教師。互いに互いを高め合う場所でも有ります。

「ニーハオ」

「おはようございます。ココ様」

「今日はあの三馬鹿要るアルか?」

 こちらはココ様。何でも揃えてくれる凄腕商売人です。三馬鹿とは、ヴラド様、パトラ様、トランプ様の三人のことでしょう。はっきり言って何処にいるかなど知りたくもありませんし、知りません。

「ぎゃははは、よぉココぉ。誰が三馬鹿だってぇ~?」

 いました。すぐそこに。何やら手が汚れていますが、何があったかなど知りたくもありません。

「いやよぉ。呪いの物品の解呪と解体に手間取ってさぁ。貫徹で機嫌が悪かったから、ヒルダを生コン入れたドラム缶に詰め込んで海に捨ててきたところなんだわ」

 勝手に話してきました。しかもイジメとかそこら辺で済む話じゃないエグい内容のことを。

 トランプ様は世界を股にかける大怪盗。盗む品は呪いの掛かった下劣な品に限定されているので、一部では義賊ともいわれておりますが、当の本人はこの通り。学校でいうところのイジメっ子。それもニュースで騒がれ、ネットで身元特定されるほど酷いことをする方の。もうイジメというか傷害致死罪です。

「万年自鳴鐘の設計図と材料一式。工具はまけろ」

「勝手にされては……」

「あ゛?」

「なんでもございません」

 脅しに迷いがございません。

 そんな時です。轟音というか、獣の鳴き声というべき音がきました。

 

「トランプ、テメエエええええええええ!!!!!」

「めえめえウルッせえんだよ! ヴラドおおおぉぉぉ!!!」

 一刻も早くここから逃げ出さないと、ヴラド様の暴力と、トランプ様の爆発と殺戮奇術に巻き込まれてしまいます。一刻も早く、ココ様と……あ、いない。

「ヒルダを生コンと一緒にドラム缶に詰め込めて、海に捨てやがったなおい!」

「大丈夫大丈夫、大陸棚の向こう側に捨てたから」

 ヴラド様の怒りはごもっと過ぎます。むしろ被害者の親です。しかし、また(・・)ですか。こりもせず、トランプ様は……。それよりも、傷つかないように速く逃げて、教授(プロフェシオン)に知らせないと、沈むどころか世界の海が滅んでしまいます。

「ころおおおおおおおす!!!!!!!」

「ああ? 回収は諦めちゃったのー?」

 はやくヒルダ様を回収しないと取り返しのきかないことになってしまいます。いえ、もうほかの方が動かれているでしょう。それよりも速く……、なんかこっちに向かって戦闘が進んでいるんですがーーーー!!!?

 

 

 

 トランプの超能力は、爆発と気体操作。最も気体操作は物質単位で一箇所に集め、濃度の調整が限界なのだが、イ・ウーは場所的にも燃料的にもなかなか可燃性気体が集まりにくいので、自前の魔力による爆発しか起こせないのだが……。

「効くかよ、ボケェ!」

「くっそが!」

 圧倒的なタフネスと回復能力のあるヴラドに、人間に対しての即死級の爆破など効くはずもなく、ヴラドが防戦しているにもかかわらず押すかたちとなっている。いや、勿論圧倒的にトランプが悪いので、人道的に見ても正しい展開だ。

「っそが! あ! おーいジャンヌ。剣借りる」

「はあ!? ちょっ、止ま……うわあああああ!?」

 これ以上は行かせるわけには行かないと、集まったイ・ウーの有志連合だが、吹き飛ばされた。ジャンヌに至っては聖剣(デュランダル)も奪われて。

「おらよ!」

「それがどおおしたあああ!!?」

 達人と言っても遜色のない剣捌きでヴラドに刀傷をおわせるが、瞬時に治るので効果はないと言っても過言ではない。しかし、そんなことはトランプにとってどうでも良かった。ヴラドを切れるということさえわかれば、効果はなくともよかったのだ。

 

 ザシュ、と音を立てて人間で言うみぞおちの部分に、聖剣が突き刺さった。無論、そこに魔臓があるわけでもなく、仮にあったとしてもたかが一個。他の箇所も刺されない限り、有効打には成り得ない。

「ゲババババ、それがどうした。勝負あったなあ!」

 そう、攻撃が剣によるものだけであれば、有効打とはならない。

「爆発ってのは気体にしろ物質にしろ、不安定なもんでおきんだよ」

「あ?」

 ぶちゅりと、聖剣(デュランダル)出できた刺し傷に腕を突っ込むトランプ。予想外の行動にヴラドは次の一手が遅れる。

「体外に放出されたらすぐに消費されちまう魔力だって、十分に不安定だ」

「おい、バカ、おいおいおいおい!」

 ズズと、腕をさらに深く入れるトランプだが、彼女は気がついていない。ここが何処であるかを。ヴラドは気付き、なんとかしてトランプをふっとばそうと試みるが、もう遅い。

「起爆ぐらい、他人の魔力でも出来んだよ!!!」

「おい、この! 馬鹿野郎!」

 ここはイ・ウーのエンジンルームの真上。エンジンの燃料は、勿論当たり前のように原子力である。

 

 

「ま、まにあったのじゃ……」

 今回もなんとか、予めスタンバイしていたパトラが、砂でトランプをくるんでふっ飛ばしたお陰で、エンジンルームから離れたところの床が抜けただけで住んだ。当然、その後トランプはイ・ウーメンバーから袋叩きにあったが、それを逆恨みして一人ひとり闇討ちしたのはまた別のお話。

 ヒルダは回収されたものの、繰り返されるイジメというなの殺吸血鬼未遂によって精神を病み、というか精神を病んでいたのに海に放り込まれ余計に引きこもるようになった。

 

「はっはっは、いや、彼女がエンジンルームに解除困難な、というか現状解除不可能な爆弾を仕掛けてなかったら、とうの昔に追い出しているのだがね」

「くだらない。チェック」

 イ・ウーの一室でチェスに興じている男女。軽い世間話をしながら、その棋譜はおおよそ人類最高のものであった。

「君は才能をひていするがね、傍から見れば万全の策を用意するのは、それだけで才能なのだよ」

「そうですか。ですが、所詮私如きでは万全の策を立てられなかった」

 肩をあげてなくなってしまった腕を強調する女性にたいして、男は首を振る。

「いやいや、あの『死色の真紅』……。君の言うところの『赤き制裁(オーバーキルドレッド)』から生きて逃げ延びるだけで、素晴らしいと思うよ」

「私は、というよりも『赤き制裁(オーバーキルドレッド)』は私を殺すつもりはありませんでした。私が逃げたのは……」

「それが化け物じみているといっているんだ。ほら、ナイトをとった」

 はぁ、とため息をつき、盤面をみる女性。実際はチェスよりも将棋のほうがすきなのだが、今回は相手を立ててチェスをすることにしたのだが、負けてやるかは別問題。すでに互いに、クイーンはとられ、主力もほとんど使い果たしている。しかし、女性のほうが攻勢にはでていた。

「君が才能を否定しているのをきいているとね、自分の才能に対して言い訳をしているように聞こえるのだよ」

「なんですか、灰色の脳細胞ですか?」

 それは私ではない。と否定して駒を進める男。

 カタッ、カタッ、と鳴る駒の音とともに時間は過ぎていった。




 かつてここまでヴラドがかわいそうになった二次創作があっただろうか……。
 これからの話にはあんまり関係ありませんが、ヴラド、パトラ、トランプの力関係は三すくみになっていて、ヴラド≧トランプ≧パトラ≧ヴラドのようになっています。
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