緋弾のアリア -強襲科の狂戦士-   作:南瓜お化け

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 遅くなってすみません。書き上げてたこと忘れてました。大学にはまだ慣れてません。


第三章『死神は始まりとともに』
第25狂 依存


「匂宮絵札でええええすッ!!! トランプって呼んでね☆」

 匂宮絵札は理子たちの戦いの後、何を思ったか武偵高に編入してきた。年齢を一切偽らずに、ありのまま、つまりは……。

 

「あんな一年生、居てたまるか!」

 食堂で理子の悲痛な声をだしてる。いまはキンジはおらず(女と電話している)、アリアは気まずそうに横に座っている。いや、正直すごく気まずい。あのあと互いに泣きながら謝ったけど、気まずい。会話もぎこちないし、どうしたもんか。

「しかも、上級生としてパシッてやろうと思ったら、いい声といい顔で焼きそばパンとコーヒー牛乳買ってきたんだよ!」

「いい後輩じゃん」

「ついこの間まで、私をいじめてたやつが! このギャップについていけない!」

 どうやら、匂宮絵札はこの学校じゃ、いい生徒として評判がいいらしい。気さくで、物おじしなく、社交的。装備科であるにもかかわらず、その腕っぷしは強襲科のSランクに匹敵する。授業態度も至って良好であり、同級生、上級生、教職員から早くも信頼を寄せられているとのこと。なんだこの完璧超人。

「ぎゃははは、私は総合値じゃあ匂宮兄弟を超えてんだ。社交性だって総合値の一つだろ?」

 あ、噂をすれば影と言わんばかりに、匂宮がきた。手にはカップ焼きそばとペプシを持っている。なんだ、その組み合わせは……。

「アリア先輩(・・)、約束の契約書だ。大切にしろよ、ぎゃははは」

「……」

「友達は大切にしたほうがいいよ、ってな」

 ぎゃははは、と言いたいことを言ったのか理子の横に座って焼きそばを食べだした。おいしそう……。

 つか、キンジはどこだよ。菊代ちゃんとの電話がそんなに楽しいか! いや、あの女嫌いに限ってそんなことはないだろうけど、さっさと戻ってきてこの空気をどうにかしてよ。

「あと、理子先輩。勘違いしてんじゃねえぞ」

「やめろおおお! 先輩とか言うな! 薄気味悪い!」

「イ・ウーじゃ完全実力主義だったから高圧的なだけで、年功序列が重んじられているここじゃそれ相応の態度を見せてるだけだ」

 適応力も総合値の一つだしな。といってペプシを飲み干す匂宮。悪いやつなんだろうけど、常識と良識はあって、異常性を理性で押さえつけることができるらしい。なんというか、ずるい。

 まあ、いっか。それよりもアリアとどうやって仲直りしよう。いや、気まずいだけなんだけどね。あと、明日例のブツが届くし、それ乗せてこの空気をどうにかしよう。

 

 

「『実家に帰ります。明日には戻る』」

 そんな手紙が寮に戻ったら置いてあった。ふむ、つまりはあれか。菊代ちゃんが駄々こねたのか。やっぱつよいなー、キンジの弱み握ってるし。瑠河しったら卒倒してアイドルやめてキンジ攻略に全力を出しそうだから、教えてやろうかな。本人もやめたがってたし。

 そんなことを考えていたら、背後から抱き着かれた。気取れなかったうえに、結構力が強くて痛い!

「会いたかったよー! 四季君!」

「げえ!?」

 背後から抱き着いたのは、通称『依存夫婦』の妻のほう、諜報科3年の鹿折利根。俺の戦姉なのだが、この人はニガテだ。強いし、旦那にゾッコンだし、気が付いたら2~3時間のろけ話なんてざらにある。挙句の果てには……。

お母さん(・・・・)に会いたかったでしょ?」

「全然、お姉ちゃんにもお兄ちゃんにも別に会いたくぐへぇ!」

 チョークスリーパーを一瞬とはいえ決めてきやがった! このくそ姉、馬鹿じゃねえの!? なにがお母さんだコンチクショー、一歳しか年違わないのにお母さんってなんだよ!

 なんだってこの人は俺を自分の養子にしたがっているんだ。去年、こいつの旦那の戦弟になってから執拗にこの態度をとられている。しかもエイプリルフールで身長伸びたって言ったら泣き出しやがった。

 どうにか抱き着きマジ攻撃から抜け出して(なんで抱き着けるんだよ、無傷で)、ナイフを取り出すがクソ姉は「反抗期?」とか言って首をかしげている。見た目はいいが、脳みそはぶっ飛んでいる。人はいいが人格は破たんしている。

「あんたの旦那はどこだよ! まだ中東にでもいるわけ!?」

「日本に戻ってすぐに仕事よ。あの仕事中毒者(ワーカーホリック)は」

 でもそこもかっこいい。とか、すぐにのろけだす。こいつの旦那も諜報科の中でも人徳があり、品行方正な人として有名だ。だが、如何せん仕事中毒者で休日があることが耐えられないらしい。休日というよりも予定がないのが耐えられないという一種の病気。手帳見たらびっくり、びっしりと予定が組まれていた。さすがに仕事関係は、いついつに何系の仕事を受け難易度はどれくらいのもの、程度で収まっていたがそれ以外はびっしりと事細かく。どうも書いてたらある程度満足するらしく、完璧に予定通りに進まなくてもいいらしい。

「アリアちゃんと仲良しになったんですって?」

「うっわーめんどくさいネタしいれてきたよ」

 いい友達ができてお母さんうれしい。と馬鹿みてえなことを言い出すクソ姉。でも少しうれしいかな、アリアは高圧的な態度だから初対面の人には、いい人として見てもらえないことが多い。完全に自業自得で、同情はするけどそれ以上はできない。根はいい子だけど、それに気づかれるまがとにかく大変なんだよ。

 それからどうにかクソ姉を追い出して、今日は早く寝ることにした。明日は忙しくなるし、なによりも土曜日。いっぱい遊ぶためにゆっくりとねるのだー。

 ……寝れない。やっぱりアリアに謝ってから寝よう。

 

 

「キンジさんを強制的に休ませる方法ありませんかね、あからさまにオーバーワークですよ」

 匂宮絵札との戦い(一年生が担いできた)と四季とアリアの喧嘩(フォーシーズンライバルの会が担いできた)で傷ついた患者を診た楽器が、裂傷だけで意識の戻った四季(と顎で使われているライカ)に相談したのが始まりだった。遠山キンジは匂宮絵札との戦いによる傷はそこまでひどいものではなく、それ以上にオーバーワークによる体の疲労がひどかった。

「最低でも三日、出来ることなら一週間、休息させなければいけません」

 それは救護科の生徒としての言葉だった。いや、たしかに体の疲労もそうなのだが、常日頃からのキンジに対しての気遣いが一番の理由だった。

「なによりも精神面での休息が必要です。これを直接キンジさんに言えばさらに自分を追い込んでしまう」

「あいつ、基本的にはみんなに厳しくて優しいけど、自分には厳しい上に優しくもないからねー」

 なにをそんなに追い込んでるんだろ。とかわいらしく首をかしげる四季を見て、いまなら刃物も携帯していないしチャンスなのでは? と割と本気で考える楽器だが、そこは豆腐の精神を凍らせてガチガチにして、思いとどまる。キンジが自分を追い込んでいるのには、四季が大きくかかわっているのを知っているし、それを口止めもされている。約束は守るつもりではあるが、あれはあまりにもひど過ぎた。

「向精神薬のオンパレードですよ。全部医者から正規に出されてるものですが、容量守っているとは思えません。彼には薬ではなく安らぎが必要です」

「じゃあ、彼女のところに連れてけば? キンジの扱いも心得てるし」

「え、あのキンジ先輩付き合っていたんですか?」

 キンジに言うなよ、否定する上に俺が殺される、という四季に唖然とするライカ。あの昼行燈で女嫌いで有名な女たらしの遠山キンジに彼女だなんて……。

「ちなみにおじいちゃんおばあちゃん公認ね。てかあいつの実家に住み着いている」

「まじすか……」

 アリアと理子とレキと……、つらつらと言ってはいけないリストの武偵高の女子の名前を言っていく四季に、どんだけ女をたらしこんでいるんだあの先輩、と呆れや嫌悪を通り越して尊敬さえしてくるライカ。挙句の果てには、校内の人間ではなく、国外の人間まで言い出す四季。

「キンジさんがたらしこんでいる女性なんて知りませんし、関係ありません」

「大丈夫、明日明後日は僕もオフだし、何よりも土日だ。彼女といちゃこらすれば心の休息になるでしょ」

 キンジがいちゃこらしている姿など考えつきもしないが、なんとなくだがいいお父さんにはなるような気がする。

 それから四季は例の彼女――鏡高菊代――に連絡を取り、キンジを数日実家に拘束させる用意をした。拘束というか軟禁らしいが平穏な言葉ではなかった。

「あ、でも、菊代ちゃん何気に破滅願望あるから気を付けてね」

 などとどうしようもなく不穏な会話が聞こえたが、四季も笑っているのできっと電話のジョークなのだろう。

「あははは、ヤクザだね~。なにがって、ところどころ専門用語使ってるよ。仮にも……正式にSランク武偵の彼女なんだからヤクザの娘だなんてばれない様にしなきゃ」

 たのむからジョークだと言ってくれ。四季が笑えない本当のことをケラケラ笑いながら話すような先輩であることは重々承知しているだけに、心中が穏やかじゃないライカを笑うように電話を終えた四季がとんでもないことを言い出した。

「菊代ちゃんさー、鏡高組の組長の娘で、どっぷりキンジに依存してて、キンジにぞっこんでさー」

「やばい人じゃないですか!? その人絶対彼女じゃなくてストーカーでしょ!?」

「家族公認の彼女だし、キンジも家から追い出そうとしないよ?」

 てか、なんで四季先輩は遠山先輩の家の内情しっているんですか!? と言うと四季はケラケラ笑いながら、帰る家もないし親戚みんな無職のクソフリーターだからキンジの家に長期休暇お世話になってるの。と言い出した。だから笑えないですよ、とのどまで出かかった言葉を飲み込むライカ。戦妹をしていて気が付いたが、四季は突っ込みをするとさらにブラックなことを言い出す傾向があるからだ。

「まあ、二人でデートでもしてればいいんじゃないですか?」

「あんた医者だろ!? もうちょっと実のある事言いましょうよ!」

 キョトンとする楽器にただただ唖然とするライカ。この人、ショタコンなんじゃなくて倫理観がおかしいだけなんじゃ、とさえ思えてくる。

「いやー最近30代のおばさんが女子会とか開いてるのワイドショーで見て、あまりの痛さに女子って名乗らないって心に決めてるんですよ」

 たしかにそれは痛々しいが、それ以前の問題発言である。

「しょーじき、キンジぐらいモテてたらヤッてねえほうがおかしいよね」

「ですよねー」

 ライカはその言葉には否定できなかった。まあ、たしかにやることはやってるんだろうなーと思ってしまう。そして四季がそうだ、菊代ちゃんをそっち方向にそそのかしてみよう。とか四季が徐々に暴走しだしたところで、三人とも医務室から放り出された。




 ちなみにキンジは彼女とは思っていませんが、鏡高ちゃんが外堀を埋めています。
 キンジのストレスは結構えぐいですが、それはまた別の話で語ろうと思っています。
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