緋弾のアリア -強襲科の狂戦士-   作:南瓜お化け

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ファンタスティック・ビースト見てきました。原作ファンならところどころあー、となるところがあって面白かったです。
それはともかく、一人でバイキング2時間は地獄でした。


第33狂 圧倒No.3

「あ、慌てるな! トランプは時間がたてば厄介だがごぼぉ!?」

「うるせえ!」

 ひどいいじめを見た。横ではヴラドとかが襲ってくるのを薙ぎ払ってるけど手心を加えている。優しく見えるけど、しっかりと海に投げ捨てているあたり優しくはない。うわー、あの投げられた人、肩脱臼してるよ。

「勘違いするなよ。俺に降りかかる火の粉を払ってるだけだ」

「理子が言ってたぞ。ヴラドとヒルダがかばってくれなかったら、今頃自分は死んでたって」

 キンジの言葉にプイっと明後日の方向を見るバケモノ。筋肉ダルマがそんなことしても可愛くもなんともないんですが。

 しかし、かばうねえ。何からかばってたかは前で蹴散らしてる奴を見ればわかるなあ。

「か、勘違いするんじゃねえぞ! トランプの奴が俺たちの大事な輸血袋をだなあ!」

「勘違いするなって、ツンデレって言葉が出てきてかっこいい言葉じゃなくなったよね」

 てめえから殺してやろうか! と脅された。おお怖い、怖い。

 しっかし、トランプとこのバケモノが同格ねえ。しかもトランプはこいつに勝てないと来た。この場合、バケモノと戦えるトランプがおかしいのか、匂宮雑技団のエースの匂宮絵札が殺せないこのバケモノがおかしいのか。たぶんどっちもおかしいのだろう。

「バチカンの馬鹿どもと魔女連隊、あとはリバリティー・メイソン。フン、策士め、同盟関係の組織を片っ端からかき集めやがったな」

 そうなのか。じゃあ、威勢よくトランプに襲い掛かってるのはイ・ウーのメンバーじゃないって考えたほうがいいのか。そりゃ知ってたら襲い掛からないよね。

 匂宮絵札は地味な強さで分かりにくいだけで、最低でもらんらんなら片手でぶち殺せるだけは強いはずなんだから。らんらんが弱いわけじゃない。というからんらんは俺を片手で殺せると思う。

 しっかし、便利だな、あの爆発。制圧力は申し分ない上に応用力が桁外れだ。おまけ、というよりも本来の切り札である空気調整のいいカモフラージュになっている。

 今まで見た超能力者の中でも群を抜いて実用的だ。強力な超能力者という視点じゃパトラはぶっちぎってるけど、どうも戦うという視点ではなく超能力を研究するのが目的で、戦闘に使えるのはたまたまみたいだ。それに今はキンイチとかいう死神の手当で忙しいみたいだから、こちらに加勢してくれるとは考えにくい。

 

 それはそうと聞かなきゃいけないことがある。

「ねえ、ヴラドさん」

「なんだ、澄百合の忘れ形見」

「さっきから言ってる策士って、もしかして――」

 俺の言葉にバケモノのヴラドは破顔した。とてもうれしそうに笑った。

 

「おい! トランプ」

「なんだよ、チスイ蝙蝠!」

 ヴラドさんは俺とキンジのために血道を作ってくれている。どうやら魔臓とかいう臓器のおかげで無限回復ができるらしく、盾役に最適だとか。なんでヴラドさんが盾役になってまで俺たちを潜水艦に連れて行こうとするのかはわからない。ただ今は感謝しよう。これでアリアを追える!

「こいつらをイ・ウーに連れて行くの手伝え!」

「勝手にやれ! てめえで十分だろうが、馬鹿!」

 ゲババババと匂宮絵札の言葉に愉快そうに笑うヴラドさん。ちなみに後ろのほうではパトラが、キンイチさんの治療がてらヴラドさんのうち漏らしたのを砂で薙ぎ払っている。うわー、バケモノ地味てるよ。あれだされてたら俺ら死んでたって。

「策士の策を崩せる。こいつらはそれができる!」

「……ぎゃははは」

「ゲババババ」

 ヴラドさんの言葉に一瞬キョトンとして、すぐに嬉しそうに笑いだす匂宮絵札。いままでの意地の悪い好戦的な笑顔ではなく、本当に嬉しそうに、ともすれば泣き出しそうな顔で笑う。それにこたえるようにヴラドさんも笑った。ケロロ軍曹かよ。

「なら、私たちの遊びはお預けだ!」

「ああ、あの策士の策が崩せるのが俺たちの復讐で祝福だ!」

 哀れ、イ・ウーの皆さん。結託したこの筋肉ダルマバケモノと爆発怪盗の殺し屋を相手にして、今までさえ薙ぎ払われるだけだったのにもっと遠くに薙ぎ払われることになった。ちぎっては投げちぎっては投げ、というたとえが目の前で再現されている。本当に何人かは手足をちぎられてるし。怖えよ。

 

「おらよ、超特急で運んでやったんだ。必ず勝てよ。下等種族(ニンゲン)

「その人間にボロクソに負けた上に、第三形態を封じられた馬鹿な原始種族(ヴァンパイア)は何処のどいつだぁ?」

 イ・ウーまで運んでくれた二人は、すぐに残党を蹴散らしに行った。感謝はしてるけど目の前で行われた惨劇の事を考えると素直に感謝できない。

 というか、なにに喜んでいたのかさえ分からない。正直言って新興宗教の信者に親切にされた感覚だ。つまり気色悪い。

「四季、どうする?」

「どうするって、中に入ってアリアを探す。で、名探偵をズタズタにする!」

 そして俺たちは前へ進んでいく。あ、ティラノサウルスの化石だ! うわーステゴサウルス! プテラノドンいるかな!

 

 

「妾とて貴様ら如きに魔力を消費するなんて馬鹿らしいことはしとうない。さっさと海に身を投げるのじゃ」

 そんな無茶苦茶なことをパトラは、イ・ウーのメンバーに見向きもせずに言う。彼らもパトラのようなバケモノと戦いたくなどない。いや、勝つ方法は確かにある。パトラは超が付くほどの強力な超能力者だ。故に持久戦には弱い。持久戦に持ち込めば厄介になっていくトランプとの相性が最悪なのも、この超能力者特有のジンクスによるところが大きい。

 しかし、と彼らは怖気づく。そもそもどうやってパトラに自分たち如きが持久戦に持ち込めよう。いままでも治療中にあるにも関わらず、数々の仲間が大質量の砂によって海へと放り出された。勝負なんてものではない。パトラにとっては煙を払った程度の力なのだろう。勝ち筋があるがゆえに、彼らは迷ってしまった。海に身を投げるのをためらってしまった。

「しかたない。競争に負けるのは癪じゃ」

 気だるげにため息をついて、そして大質量の砂の鞭が彼らを襲わせた。それだけで直撃した個所は骨折、あるいははじけ飛んだ。何人かはよけることはできたがそれも初撃のみで、追撃には対応すらできなかった。

 

 氷上にわずかに残ったイ・ウーメンバーは戦う気力などすでになかった。

 なかったがそんなのを気にするトランプではない。

「貯まった」

 そんな言葉とともに氷上で大爆発が起こった。

 むろんこの爆発で氷上は融け切った。悲しいかな、これがNo.3とそれ以外の圧倒的な差であった。それは種族差であり、才能の差であり、技術の差であり、なによりも実力の差であった。




オリジナル小説をなろうのほうで上げました。貫禄のブックマーク0。泣きたい。
気が向いたらこっちにも上げます。
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