もうすぐで赤松サンタが来るよ!(錯乱)
香港の一件で、また教務課に呼び出された俺。たしかに俺は武偵法を違反したが、キンジのヤローはまた女を(無意識に)手篭めにしてきた。あのネクラ鈍感ハーレム野郎め。昔は今ほどハッチャケちゃいなかったくせに、この一年で無茶苦茶な性格になったぞ。
と、まあ、キンジに対する恨み辛みを抱きながら、綴先生の諦めが大半を占めるお説教を聞いて、教務科を出ると
「ハハハハハ! いいぞ! 高千穂もっとやれ! 俺の敵をはらせ!」
と、俺が囃し立てていたら、アリアが止めに入った。ちなみに俺が止めなかった理由は、さすがにあの人数になると、狂化してしまうかもしれないから。と言うのは建前で、見ていて面白いから。
「アンタも、少しは止めなさいよ……」
「武偵憲章第N条! 武偵は自立せよ! だろ?」
「仲間を信じ、仲間を助けよもあるわよ」
痛いところをつかれたが、俺は火野を仲間だとは思っていない。
「カルテット? 俺とキンジとレキと不知火で無双した」
「とてもタメになる話をどうもありがとうございます」
シャワー室から出てきた一行に、去年先輩はカルテットどうしたんですか? と聞かれて答えたら、棒読みで返された。正直、レキが敵っぽい(そして全員敵だった)のを、高いところから狙撃して、キンジが旗の位置吐かせて、終了したから、あの二人だけで解決したようなものだった。
「つってもよぉ。高千穂は満身がすぎるけどそこそこだぜ」
「だから、あなたCランク武偵じゃないですの! どうしてそうも上から……」
「だって、四季は相当なイレギュラーよ。実力だけなら私とタメだし」
ははは、一年坊主共驚いてやんの。いやー、Sランクからそんなお世辞言われると嬉しいなー。
「あ、アリア先輩……」
震える声で間宮は何かを言おうとしている。しかし、何だこの世の終わりのような顔は。
「西条先輩と友達だったんですか!?」
「ええ、そうよ」
どうでも良い質問に、即答するアリア。いや、アリアとは最初っから友達だったわけではない。つい最近、親友になったのだから。
「まあ、最初はこいつの経歴もあるし、結構敵視していたんだけどね」
なーんか、語りだすアリア。しかし、間宮が親の敵でも見るような目で見てくる。なんだ、こいつ。アリアのファンか?
「なんやかんやあって今ではすっかり親友になったのよ」
親友という言葉に、愕然とする間宮。そして、興味津々といった感じで聞き入るバカども。
そう、なんやかんやあったのだ。語りたくもない、親友アリアとの思い出が。
最初は、まあ、一方的に敵対視されていた。そりゃそうだ、親のこともあるし、俺が任務中に結構な人数の一般市民をズタズタにしたこともあるので、武偵の皮を被った殺人鬼として見られていてもおかしくはなかった。
それから、学力や(英語で負けて国語で勝って、化学で負けて物理で勝って……)、実践試験(銃で負けてナイフ術で勝ってCQCで負けて……)、体育(持久走で勝って短距離で負けて……)、そんなこんなで徐々に友情が芽生えていった。
そして親友となり決定的な出来事が、ついこの間、そう身体測定の時にあったのだ。
結果が帰ってきた時俺は、この世の理不尽を嘆いていた。体重が増えている、まあ、これはいい。筋肉がついて、体重が増えたのだろう。しかし問題はそこではなかった。
身長が、1ミリたりとも伸びていなかったのだ。らき☆すたで好きなキャラクターはこなた、理由は身長が似ていたから。ロボットレキですら身長伸びているんだぞ! ロボットですら! ロボットやめてサイボーグレキにでもなれよ!
そんな心中で体育館外のベンチで丸まっていたら、憔悴しきった様子のアリアが出てきた。そして、口から漏れてきた言葉は「ノビテナイ」。
それで親友になった。語るつもりはない。仕事の前にキンジ、武藤、不知火、レキに話したら武藤には「くだらねえ!」と言われ(ズタズタにした)、ほか三人にはうわぁ、って顔された。初めて見たよ、レキの表情。
「でも、そうだな。戦いとなると、要になるのは、佐々木と火野だろうなー。CVRは闇討ち専門だし、間宮は、成績から見て、囮ぐらいにしか使えなさそうだぜ」
「ちなみに四季。あんたならこいつらの中で一番嫌な組み合わせってある?」
「全員でも三分ぐらいで制圧できる」
そ、と言って納得するアリア。納得するな。さすがに八分はかかるぞ。
「んー、でも、そうだな。そこのCVRにバカにされ続けるのも癪だし……。火野、喜べ、指導してやる」
「……そう言ってこの前、訳の分からない武器商人から、ボウガン取りに行かせましたよね」
人脈は大事だぞ人脈は。パシリとかでは、決してなく。
「この前なんて、緑色のチュッパチャップス買いに行かされましたけど」
「今回はまじめに、戦う。ルールはアリアが止めに入るまで戦い続ける。これだけだ!」
「やっぱり今まで真面目じゃなかったんですか!? 人口島からどれだけ歩いたと思ったんですか!?」
ばっかっでえ! と、くだらないやりとりのあと、アリアに契約料としてももまんを十個かわされた。
「別に俺は伝説の殺し屋みたく両腕を封じないし、今回はナイフも使う。危険だと判断したら、アリアが止めに入る。いいな?」
「ええ、いいですよ」
人を育てる戦い方、そんなものが確かに存在する。親戚の中じゃ、おじさんあたりがうまい。母さんも釘バットと戦って、実力を大幅に向上させたらしい。俺が今からやるのはそんな戦い方だ。
「あ、ちなみに俺の持ってるナイフ壊すなよ」
「壊せませんよ……。高いんですか?」
「母さんの形見」
「重い! 理由が重い! そして使わないでください! お願いします!」
「えー、じゃあ父さんの形見で」
「あんたは形見しか持ってねえのか!?」
失敬な、ちゃんとそれ以外も持っている。身長伸びること前提で買っちゃったから、使えないだけで!
これもキンジにいったら引かれた。が、兄の形見を使ってる奴にだけは言われたくない。
「じゃあ、初めで」
「お願いしますっ!」
といって、突っ込んでくる火野。だが遅い。そして、わかりやすい。ここまで明確な敵意を持っていたら、攻撃される場所などすぐに分かってしまう。
この二次創作の設定として、呪い名は兎も角として、殺し名の分家なり本家なりの一部はそれなりに武偵業界に進出しています。
世代的に言えば、綴先生や高天原先生は『小さな戦争』、緑松校長は『大戦争』といったところでしょうか。
そこら辺についてもおいおい語ろうと思います。