緋弾のアリア -強襲科の狂戦士-   作:南瓜お化け

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あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
と、まあ、そんな感じで、今年こそはユアン・メイシーちゃんの再登場を願っております


第7狂 始末番

「オバサン、今何時だと思ってるの、それにここ病院だよ」

 けたたましいケータイの着信音で起こされた俺。例によって、キンジにぶっ飛ばされたのだろう。にしては、体の節々が痛い。まるで防刃制服の上から日本等で殴りつけられたみたいな痛みだ。はて、キンジは殴る蹴るの徒手空拳をよくやっているが(いい刃物は高いとか呻いていた)、まさに一撃で俺を倒すから、体のあちこちが痛いことなんて、滅多にないんだが……?

 あと、恥ずかしいことに銃痕っぽいのが結構ある。あとは残らなそうだけど、イヤだなー、きっとオジサンにどやされる。

「え、いま五時ぐらいなの? あ、ホントだ」

 オバサンからの電話の内容は、この前頼んだ、間宮家のことについてだった。

「なーるほどー、どーりで気持ち悪い感じがしたわけだ。ありがとーオバサン」

 今度帰るときに東京バナナ一ダース買って行こっと。

 うーん、しかし、狂化をアリアに見せてしまったか。嫌われたら嫌だなー、まあ、隠していた俺が悪いし、頭下げて全部打ち明けよう。

 

「……、聞いたわ、キンジに全部」

「……ごめん、アリア」

 狂化した俺を止めていたのは、キンジじゃなく、アリアだった。少し考えればわかるはずだった、キンジの強さよりも、アリアの強さの方が、分かり易いだなんてこと、そんなこと、少し考えていれば、分かるはずだった。

「いいわよ、アンタのことちゃんと調べなかった私が悪いわけだし。私もあんたを日本刀でボコボコにしたわけだし」

「いや、でもそれは……」

 俺を止めるためだった。きっと、俺は邪魔だったであろう、他の生徒に斬りかかって、それをアリアが止めたのだろう。いつもなら、キンジが俺を制圧するはずだったが、何かの手違いとアリアの派手な強さに惹かれて、アリアが俺を止める役割になった、としか考えられない。

「これで、引け目を感じるとかなしにしてよ。私はちょっとやそっとじゃ、絶好なんてしないんだから」

「……じゃあ、この事件ロハでいいよ。それで俺は引け目を感じない」

 アリアはニッコリと笑って俺を許してくれた。

 

「……何が言いたいんだ、高千穂は?」

「私が聞きたいわ。一応、鑑識科の暗号部門に送っといたけど、反応なしよ」

 訳がわからない、何が言いたいんだ、高千穂は。そんなメールがアリアに送られていた。

「心配になって、どうもあかりがここにいるらしいのよ」

「ふむふむ、それでなんか中が深刻そうな雰因気と……」

 ここはタイミング見計らって、かっこいい場面で登場するしか道はない。といっても、真面目なアリアは聞き入れそうにもないから、オバサンから聞いた間宮家のことを話した。

「そう、まあ、暴力の世界の家柄だとは思っていたけど。第四位の分家ねえ。零崎じゃないだけ、ましね」

「それは、俺に対する皮肉かよ」

 そうこう言っているうちに、扉が開き、間宮が逃げ口上を言いながら出ようとしていた。

 

「お前ら、殺し名七名、呪い名六名って知ってるか?」

 ひと通り、アリアが諭し、間宮が事情を話したところで、俺は口を開いた。

 大半は、なにそれ? みたいな顔しているが、間宮は奥歯を噛み締めて更にうつむき、アリアは少し目つきが鋭くなった。間宮の妹も何かを知っているようで、不安そうにこっちを向いた。

「色々省くけど、世界は四つに区分されてて、そのうちの一つが《暴力の世界》なんだよ。その世界の大きな勢力が、殺し名七名、呪い名六名」

 色々省いてちょうどいい。すべてを話すにはまだ早すぎる。こいつらは、関わるには弱すぎる。この情報が武偵として公式に知らされるのは、Sランクになってからだ。それほどまでに危険な情報。俺は、なってすぐに降格されたけど、Sランクの時に自分の世界を改まって説明されて拍子抜けした。

「おい、間宮。お前、殺し名序列第四位《薄野》――薄野部隊。正義の為に殺す(・・・・・・・)『始末番』の分家だったんだろ?」

「違います……」

「ああ、厳密には違う。もう数世紀も前に縁を切ったらしいしな」

 だから、銃なんて遅えもんを使うようになったのだろう。だけど、それでも、殺し名という呪縛はそう簡単に切れるもんじゃなかったのか。

「縁を切ってなお、正義の為に殺し続けた挙句、狙われて離散たあ、マヌケな一族だな」

「違う! もう殺しなんてやっていなかった!」

「でも技術は伝承し続けた。間宮の家は殺す技術をやめなかった。てめえみてえに、殺さねえように変えようともしなかったんだよ」

 正義の為に殺す。殺さなくてもいい時代になったんなら、殺さずに正義を貫く技術に変えるべきだった。俺だけには言われたくないだろうけどよお。

 

「縁っていうのは、そう簡単に切れるもんじゃねえ。俺だってそうだ」

「何を言って……」

 言葉に詰まる間宮。そりゃそうだ、殺気を操るとか、殺気を感知するとか、殺し名どころか、プロのプレイヤーにとっては取るに足らない技術だ。だけど、それを最も得意とする一賊は確かにいる。殺し名の中でも最も忌み嫌われる一賊がいる。

「いや、でも……、そんなはずは……、だってあの一賊は……、武偵なんてそもそもできるはずがない……」

「そりゃそうだ、俺はその一賊の人間の子供ってだけなんだからよ」

 それこそありえない。そんな顔をする間宮。しかしそれは本当のことなんだ。計画性も愛情もねえ、たまたま出来た子供とは言え、本当のことだ。だから、殺人衝動なんて始めっからなかった。いくら待ってもなかった。発現が遅かったオバサンや、父さんでさえ、高校は通えきれなかったり、入学できなかったりした。発現のトリガーが一杯あるところで育っても、一切発現しなかった。

 だから俺は、あの一賊の親戚ではあっても家族じゃない。家族なんて、いない。

 

「俺の父親は、殺し名序列第三位《零崎》――零崎一賊。理由なく殺す『殺人鬼』の中でも異端とされた」

 アリアには話した、キンジにも話した、レキにも話した、全員が受け入れてくれた。でもそれは、こいつらが親とか、出生よりも俺個人を認めていてくれたからだ。まあ、レキは聞いていたかも微妙なんだけど。

 

「血統書付きの殺人鬼――零崎人識だ」

 

 異端であり、禁忌であった殺人鬼、零崎人識。その名は、きっと分からないだろう。知っている人は、一賊を除けばごく僅かであり、晩年は相当衰弱していたと聞いている。

 赤い人が言うには、殺人鬼としては二流だったらしい。だからあそこまで有名なことになったのだろう。

 

「おい、間宮。逃げたければ逃げろ。それでも逃げ切れないからな」

「……」

 俯いたまま何も言わない間宮。きっと、自分と俺とを対比しているのだろう。薄野と零崎を。だけど、もう決心はしたようだ。

「逃げないなら、とりあえず、まあ、よ」

 戦え。と、柄にもなく説教して気恥ずかしくなる俺。キンジの女ったらしの口の旨さを見習いたい。ああはなりたくないけど。

 

「火野、これかしてやる」

 あのあと、アリアがかっこ良く占めて、俺はあるシュレッダー鋏を渡した。

「なんですか、これ……」

 なんかがっかりしたような表情しているけど気のせいだろう。

「罪口積菜作『七七七(アンラッキーセブン)』」

「ライカ! 今すぐそれ捨てて! 絶対まともなものじゃない!」

「てめえ! それ父さんの形見だぞ!」

「だから重いんですって!」

 確かに呪い名の人間の作品ではあるけど、良いハサミだよ! 呪い名に対して疎いのは仕方ないけど、呪い名=なんかヤバイのだけっていう発想はやめろよ! おばさんも罪口製の義手つけてんだぞ!

 それにそれ、オジサンがツテをたどって、ボロボロになって復活、もとい修復したシロモノなんだからな!

 

「あの、でも、これ文房具ですよね?」

「武器商人作ったから武器だ」

 日本で作られたから日本刀だみたいな暴論でねじ伏せる俺。

 

「じゃ、火野がんばれよ」

「ハイッ!」

 言ったあとにやや無責任なセリフだと思ったが、元気の良い返事が帰ってきたのでまあよしとしよう。自分に自分をよしとしているのでなんともあれだが……。

 

 連中がいなくなった病室で、アリアが俺に作戦を伝える。予防線とも言える、作戦であり、見方によっては過保護とも言えたし、見方によっては信頼をしていないとも取れる作戦を、俺に任せてきた。

「OK,親友。任された」

「……ありがとう」

 苦悶の表情を浮かべながらお礼をいうアリア。ある意味においてはこれは、裏切りであって、でもこれは連中が大切だからこその裏切りだ。もしも連中が期待に答えられれば裏切らずに済む、徒労に終わり、杞憂で済まされる。

「そんな顔すんなよ。武偵は金で動く。だから動くんだよ」

「まさか、友情とか言うんじゃないでしょうね?」

 この作戦は、俺がアリアに信頼されているから与えられた、かけがえの無いもので、作戦コードネームは、互いにとってとても重要な意味を持つ。

「わかってんなら言うなよ。そーだよ、値千金の友情で動くんだよ」

 あー、きまらねえな、ほんとに。




鏡高菊依ちゃん出したかったな。鏡餅みたいな苗字だし
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