『パーメットスコア…6』
ユニコーンの輝きが、一際強くなる
「スレアさん!?」
それと同時
ユニコーンを中心に、光輝く粒子のようなものが舞う
何か、空間のようなものが、広がっていく
それに包まれたソフィさんのガンダムは、突然動きを止めて
「何…?エアリアル?」
それを見たエアリアルが、焦っていた
頭の中に流れるエアリアルの意思は、一刻も早く“繋がり”を強くしようと必死で
「どうしていきなり…、…っ?」
困惑が先に出てしまって、咄嗟に応えることができなかった
その間に、ユニコーンが発する“何か”の空間は、私とエアリアルを呑み込んで
「な、何?何なんです、これ…?」
頭の中に流れるエアリアルの意思が、遠ざかっていく
その変わりとばかりに、何かが、チリチリとした感覚
あのとき、ユニコーンに乗ったときのような、違和感のようなものは感じる
けれども、あのときほど強烈で、不快なものではない
むしろ…、スレアさんが…近くに感じられて
いや…もっと内側
深く、スレアさんが…
「……スレア…さん」
陶酔感
大好きな人が、自分の中に入ってくる
感覚が、繋がるような
このまま、ずっと
もっと、深く
そう思ってしまうような、全能感
それは
「…これ…もしかして、スレアさんの」
私がずっと欲しかったものも、運んできてくれて
「記憶…」
まるで、扉を開くように
それを受け入れたいと願った瞬間
「え…?」
世界は、暗転して
◇◇◇◇◇
“これから貴様の識別コードはSM-102だ、復唱しろ”
「…私、は……SM-102、です」
誰かが目の前にいる
隣には、ズラリと子供達が並んでいて
口からは勝手に声が出て
・
・
・
“それでさそれでさ!そのガンダム?ってやつに乗れれば、俺たちガッコーっていう…、すっごい楽しいところに行けるんだって!!”
「ガッコー?何?それ?」
食事中だった
向かいの席に座る少年が、とても楽しそうに話しかけてくる
“わかんないけど、すっごい楽しいところだって!毎日おいしい食べ物と、シャワーも浴びられるんだって、いつも飴くれる女の人が言ってた!!”
「そう…、101は、ガッコー、行きたいの?」
食事は、まるで味がしなかった
何か、白色ゲル状のようなものを、機械的に口に運ぶだけ
それでも、笑顔を浮かべて話をする目の前の少年との食事は
“行きたい!!”
「そっか」
おいしい
そう、感じた
・
・
・
“これより試験を始める、準備はいいな、SM-102”
「…はい」
暗くて、狭い場所だ
それに、両手足も拘束されている
ここは一体…?
“パーメットスコア、1”
「…?……ァグ!?」
何も見えない
それでも、何か言葉を掛けられると同時
何か、強烈な不快感を感じて
・
・
・
“時間だ、来い、SM-102”
「……」
目の前に、床があった
“…どうした、立て”
「…い…いや」
冷たくて、無機質
目の前の床のような声が聞こえて
身体が重くて、気分は憂鬱で
“……連れていけ”
「…!?いや!!嫌だ!?やめ…ガッ!?…ァ!?」
無理矢理起こされたと思えば、いきなり視界が揺れる
顔に、何かが当たったのか
何もわからないまま、意識は遠のいて
・
・
・
“パーメットスコア、3”
「アアァァァァァァァァァ!?!?」
衝撃
これは、知っている感覚だ
でも、どこで…?
あぁそうだ、確かあのとき
ユニコーンに、乗ったときの…
“パーメットスコア、4”
「―――――――――――――ッガ、―――アガッ、ハュ…」
真っ赤に染まる視界
口元から溢れる泡が、やけに印象的だった
・
・
・
“SM-101がどこか、だと?”
「ずっと、お部屋戻ってない、から」
体が怠い
四肢の所々が突っ張っているのか、動き辛い
体中の、注射痕、縫合痕が、ジクジクと痛む
さっきの……、……?…さっきの?
薬を打たれてから、頭もガンガンと…
…?
私は…?
“それは、お前に必要な情報ではない”
「……」
・
・
・
「待って!!待ってぇ!!」
“邪魔だ、SM-102”
大人達が、何か大きな袋を運んでいる
「嫌だ!?連れて行かないで!!」
“今すぐそこをどけ”
止めないと
連れて行かせたら駄目だ
あの中には…
「私が、頑張るから!お薬も!訓練も!もっと、頑張るからぁ!」
“……静かにさせろ”
あの中には…、何だっけ…?
これは、いつの…
いや、誰の…?
「連れて行かないで!101は、私のとッ――――」
そうだ
あの中には
私の
大切な…
◇◇◇◇◇
「ッ!?」
突然、感覚が引き戻される
「え、エア……リアル?」
自分が、何を見ていたのか
夢から覚めたような感覚に、困惑が広がって
そうだ、さっきのは
「スレア…さんの、記憶?」
それに思い当たると同時
「嘘…、もしかして、スレアさんは…」
思えば、スレアさんは決して家族の話をしなかった
決して、ガンダムの…、ユニコーンについての話をしなかった
自分が、どんな境遇で育ったのかも、語らなかった
「ずっと…」
私には、家族がいた
お母さんがいた
エアリアルがいた
水星での生活は苦しかったけど
優しくしてくれる人も
仲間も、沢山いました
でも、あの人は
「1人ぼっちで…」
傷付きながら
奪われながら
踏み躙られながら
「そんな…、そんなことって…」
無知は、罪か
いや、少なくとも
「あ…、あぁぁ…」
こんな気持ちになるのなら
私は、咎人なのだろう
あの人は、優しい人だから
きっと、許してくれてしまう
なら、せめて
「何で…、スレアさんなの…?」
私のこの後悔は、贖罪足り得るだろうか
・
・
・
・
・
「駄目…、今は、とにかく、スレアさんを…」
止まるのは、駄目だ
それだけは、もう駄目なんだ
どれだけ後悔することになっても、もう止まらない
そう、決めたんだ
「スレアさん…?どこに…」
自分が何をしていたのかを、思い出す
そうだ、私はあの人を助けるために…
『どうして…』
輝きが収まり、いつもの純白に戻ったユニコーンの前
『どうして、あなたは…、あなた達は…』
ノレアさんが、ソフィさんが乗っていたガンダムを回収しようとしていて
『私も、ソフィと同じように、いつかガンダムの呪いに殺される、なのに…』
必死に痛みを隠しているかのような
割れそうで、痛く、悲しい
そんな声で、ノレアさんは問うた
『どうしてあなた達だけ、殺されていないんですか…!?』
ガンダムの、呪い
おかしい
ガンダムは、人を救うモビルスーツになるはずで…
そんな、人を呪うだなんて
「……」
思い出すのは、あの時
ユニコーンに乗った時
あれが、ガンダムの呪いなら
ソフィさんとノレアさん、そして
スレアさんが、ガンダムに乗るたびに、呪われているのなら
私は…
エアリアルは…
一体
「エアリアル…?教えて欲しいの」
知らなければいけない
「ガンダムって、何なのかな?」
でないと、あの人は
「私達と、スレアさんとユニコーンの違いって、何なのかな?」
いつか、本当に遠くへ行ってしまうだろうから
「教えて、エアリアル」
だから、何があっても進む
2つでなくてもいい
ただ1つ
あの人のところまで行けるなら、進み続ける
そう決めた
◇◇◇◇◇
「あなたにはもう1人、娘さんがいましたよね?」
私、ベルメリア・ウィンストンが、1人の仮面を被った女性に問いかける
「エリクト・サマヤは、今どこにいるんですか?」
「いるわよ」
「え……?」
仮面の女性は、その問いに
「スレッタのすぐそばに、データストームのその先で、私達を待っている」
想像を絶する、答えを返した
「そんな…人間が…、モビルスーツに…」
そういうことだろう
目の前の仮面の女性
プロスペラ・マーキュリーは、自分の娘を…
「世界を書き換えたいの、エリィが幸せになるために」
狂っている
「今のエリィはパーメット粒子と同じよ、エアリアルという体がなければ、物理空間では崩壊してしまう」
プロスペラは、どうしようもなく狂っている
「でも、スコア8なら…、クワイエット・ゼロで、データストームの領域を広げれば…!」
まるで悦に浸っているように
己が思い描く理想に感極まったような声で、プロスペラは続ける
「エリィは、自由に生きることができるっ…!!」
両手を虚空に伸ばし、何かを掴もうとする
こちらに視線を送りながら、今度はプロスペラが問うた
「協力してくれる?ベル」
「できません……これは、ヴァナディースの理念とは違います」
かつては私にも、矜持があった
「強化人士は作ったのに?」
「……」
素晴らしい理想に賛同した
自分達は、そこに辿り着けるものと信じていた
「データストーム耐性のある人口中枢神経を使用する拡張神経理論」
いつからか、理想は閉ざされ
私の歩む道は、思い描いた道とは似ても似つかない、外道となっていた
「カルド先生は決して認めなかった、発案者は確か…、あなただったわよね?」
これまで我が身可愛さに強化人士達を見殺しにしてきた
それでも今は
私の背中を、かつての矜持が、理想が、見つめている
「スレアティア・バルミオ」
「…彼女がどうかしたの?」
子供達を利用し、傷付け、苦しめ、戦わせ、殺した
その罪科を持つ自分は、間違いなくプロスペラと同じ、“魔女”だ
「あの子を、どうするおつもりですか」
「……彼女は、エリィほどではないけど、凄まじい才能を持っているわ」
己の娘を理想に捧げたプロスペラは
あの子にも、何かしようと企んでいる
どうせ、この罪からは逃げられない
私も、この人も
「まさか…、あの子をスコア8の道筋に!?」
「エリィと一番近い場所に行けるのが、彼女だったというだけよ」
それでも、これ以上子供達を見捨てるのが
「…あの子は、関係ありません」
「あら?あなたがそういうことを言うの?」
今更、心底嫌になったのだ
◇◇◇◇◇
「学園でテロが起きて、サリウス・ゼネリが行方不明?」
上がってきた報告に、眉を顰める
「学園の監視カメラ等、当時の周辺状況を確認できるデータはなし」
デリング総裁が意識不明である現在
実質的にベネリット・グループをまとめ上げているのはサリウス・ゼネリだ
それだけの立場の人間が、いくら学園のイベントで警備が手薄だったからとは言え、ここまで鮮やかに、何の証拠も残さず連れ去った…?
「出来すぎている」
あり得ない
プラント・クエタのときのように、標的の殺害が目的ならまだわかる
だが、今回はサリウス・ゼネリの死体は確認されておらず、またその声明もなければ、人質としての要求もない
「つまり敵の目的は、サリウス・ゼネリ自身にある…」
どうしても、ひっかかる
現れたモビルスーツはプラント・クエタの時と同じガンダム
あの時のデリング総裁を区画ごと分断するという大胆な始まりの割に、詰めの実働部隊による殺害は成らなかった
テロ組織の尻尾をベネリット・グループは掴み、今にも報復へ動き出そうとしている
あのガンダムは、フォルドの夜明けが所有している戦力ということで間違いない
つまり、今回の学園でのテロはフォルドの夜明けが主導した…?
否、それにしては
「鮮やかすぎる」
ベネリット・グループ内に内通者がいることはわかりきっている
でなければ、プラント・クエタも学園ももっと被害は小さかったはずだ
ジェタークのモビルスーツをテロ組織に流し
プラント・クエタの構造と総裁の現在位置を正確に把握
学園内の監視・防衛システムを無効化して
「サリウス・ゼネリに、個人的な因縁がある人物」
恐らく、そいつが今回の実働部隊を指揮したはず
あくまであの2機のガンダムは陽動
あのとき、学園の近くに居て
これまでの状況証拠に当て嵌まる人物
頭の中には、数名の名前が上がり
「まさか…」
あの男の名前も、そこにあった
年末年始10連休で嬉しいの巻
少しはストック作れたりしたりしなかったりしろ
曇らせすぎ?
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今すぐやめろ、人の心とかないんか?
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やりすぎだ!加減しろバカ!
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もうちょっとこう、手心というか…
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ままええわ、いい塩梅や
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ここに追加でひとつまみ…wwww
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頂戴頂戴!そういうの頂戴もっと!!
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構わん、行け