『やって来ました、本日は中山レース場1800mの芝! 本日の実況は────』
「そろそろパドックか……シービー、もうジャケットは脱いだほうが良いんじゃないか?」
「んー、もうちょっとだけ……」
シービーは久住がプレゼントして以来、事あるごとにジャケットを取り出すようになった。
現にもうすぐレースだと言うのにジャージの上からジャケットを羽織っている。
本来なら随分と奇抜なスタイルだが、その着用者がシービーであるためか、妙に様になっており全く違和感がない。
一昨日も制服の上にジャケットを着て登校したせいで、校門前でたづなにお説教を受けていた。
なんでも、「せっかくプレゼントしてくれたんだから毎日着る」だそうだ。久住からすれば全く何を言っているのか分からなかったが、当然のことのように話すシービーを前に何も言えなかった。
「今回のレースもコンディション的な問題はない。さぁ、楽しんでこい」
「うん────勝ってくるよ」
(まぁ、特段目立った実力者は居なかったし余裕だろう。気にするべき相手もいない上に、黒松賞で追い込み戦術が実用化できることも知れた。黒松賞と同じ走りができれば圧勝は間違ない!
今までで一番プレッシャーのないレースだな。)
『ゴールッ!! 1着はミスターシービー!! クビ差でひいらぎ賞を制しました!!!!』
あっぶなッッッッ!!!?
(何でだ?めっちゃギリギリだったぞッ?!
あのウメノ────なんちゃらって奴が、バカほど競ってきやがった!?
ゴール寸前で差しきれたから良かったものの……!
シービーの最後の伸びもいつもよりキレがなかったしよぉ……)
レース展開としては最終コーナー、シービーが仕掛けたところで久住は勝ちを確信していた。
追い込みである以上最後尾からの仕掛けではあったが、シービーの末脚なら絶対に届くという目算があったからだ。そして事実シービーの驚異的な末脚は、瞬く間にトップ集団まで上がってきた。……だが問題はここからだった。
────先頭のウマ娘がゴール寸前まで食らい付いてきたのだ。
それもクビ差になるほど、最後のギリギリまで並んでいた。観戦席で気を抜いていた久住からすれば、予想外の事態に心臓バクバクであった。
(あいつ……確かに事前のレース映像でもそこそこ速いなって思ってたが…そんな脅威になるレベルではなかっただろ!? アニメや漫画じゃねーんだから、レース中に覚醒すんなよッ!)
だが、このまま放心しているわけにもいかず、捌けてくるシービーを迎えにいかなければならない。久住は今後の練習メニューを考えつつ、重い腰を上げた。
「(最後手ェ抜くとか)やったな、シービー」
「ありがとー、久住くん。でも今までで一番危なかったかも」
「まぁ毎レースで圧勝、とはいかないだろう。相手も本気で勝ちに来ているからな」
「それはそうなんだけどさ……なんか、納得できる走りが出来なかったんだよね~」
────そう、いつもと比べて遅かったのだ。
具体的には
間違いなく体調面は万全だった。それは久住の眼から見ても間違いない。万全だからこそ、久住はあれほど慢心していたのだから。
であれば影響するのはメンタル面だが……プレゼントしたジャケット効果もあり、かなり好調だと言える。ならば何故?
シービー自身にも原因が分からず、懐疑的に口を開く────
「なんだか縛られてるような……蛇口を無理やり抑えられてるーみたいな感じ?」
(いや分からねぇーってッ!! なんだ、体調もメンタルも好調。だけど、力が出ませんって……間違いなく問題はお前だよッ!!!! とっとと何とかしろやッ!)
原因不明の不調なのだから、トレーナーとしてもう少し真摯に対応すべきだろうに……だが確かに、体調もメンタルも良好の状態にも関わらず実力が出し切れない。というのは、トレーナー側としても打つ手がない。
しかしトレーナーたるもの、何か打開策を見つければならないだろう。はてさて久住はどうするのか────
「ふむ……シービー、また後日に模擬レースを組もう。そのときに調子が戻っているか再び確認させてくれ」
(まぁ、どうせ時間が解決すんだろ。あとは明日の俺に任せよ)
─────面倒なので後回しにした。
(ぐあぁ~~~?!何で俺はあんな面倒なこと言っちまったんだ!?)
そして翌日、容易な発言をしたことを後悔していた。ウケる。
(模擬レース組むとか……ダルゥウウウウ!! 人選めんどくせェェェェ!!!!)
よりにもよって、問題になっているのが最後の差し。
適当な人選ではシービーの追い込みの真価を発揮できない。であれば必要な人材は、シービーと競り合えるほど高い実力を持つもの。
(なのにマルゼンスキーは合宿の引率でいねぇーしよォ!? タイミング最悪だろ。)
『合宿』────学園主導のもと、まだ本格化を迎えていないウマ娘達だけで合宿し合同練習を行う場だ。そこには教官や一部のトレーナー、そして一線を退いたウマ娘たち数名が同行する事になっている。
そしてマルゼンスキーはその一人に選ばれたのだ。
実力を考えれば当然と言えるが、今はタイミングが悪い。
(クソッ! 一番使いやすい人材が居ねぇ……ってことは今いる奴らでシービーに食らい付けるのはシンボリルドルフ、メジロラモーヌ、カツラギエース辺り…あとは────)
頭にある実力者を挙げていき……そこでふと、あるウマ娘の存在がよぎった。
(権力もなく、意味深なことも言わない。そして今後レースでも当たらないであろう実力者……ええぇ~~……マジで? でも残すはアイツくらいだし……)
しかし、それ以外に有力なウマ娘も思い付かない。今さら吐いた言葉を無しとは言えないし、そんなのはプライドが許さないだろう。
なら、やるしかない。久住は嫌々ではあるが、そのウマ娘────《シリウスシンボリ》の元に足を運んだ。
◆
そこはビリヤード場。
素行があまり宜しくないウマ娘たちが溜まり場にしている所だ。
その場にシリウスシンボリもいた。
「ふっ────!」
「おーすっげ~! シリウス先輩流石っスね! 」
「はっ、これくらいは余裕だな」
最後の9番ボールを落とすと周りの外野から賞賛の声が上がる。
やっぱりコイツらが相手じゃ手応えがない。成長してない訳じゃないが、流石に技術の差が大きい。
(もっと手応えのあるやつは────ん?)
ふと端の方に目をやると、何やら後輩のウマ娘達がヒソヒソと話しながら慌ててる姿が目に入った。何かあったのか?
「おい、ピーピー騒いでどうした?」
「あっ! シ、シリウス先輩、やべーっす! なんか、噂のトレーナーがここに向かってるらしくて……!」
「あ? 噂……?」
ここには様々な遊戯ができる場所がある。トレーナーが息抜きに来ること事態は珍しくない。
その程度で慌てるなと言いたくなるが……コイツらが慌ててる原因はそっちじゃなく、その"噂のトレーナー"とやらの方だろう。
「なんだ? その噂のトレーナーってのは」
「あのミスターシービーさんのトレーナーっスよ!」
「あぁ……シービーの……」
その言葉を聞いて思い出した。最近なにかと話題に挙がってる新人トレーナーのことだ。
私にも噂の数々がしつこく届いてくる。
嘘かホントかも分からない噂に踊らされるなんて情けねぇ……だが、あのシービーがスカウトしたって話には私も興味がある。
何かと掴みどころのない奴だ。そんな奴がトレーナーをスカウトするなんて到底信じられなかったが、聞くところによると、かなりそのトレーナーに御執心のようだ。
「丁度良い。その噂のトレーナーがどれ程の奴か、私が試してや───!?」
─────瞬間。静かに扉が開く音と共に、全体の温度が下がった気がした。
バッと扉の方に目を向けると、一人の男が立っていた。整った顔立ちと、スーツに身を包んだその男は静に周りを見渡し……そして私と目が合った。
(ああ、なるほどな。この男がその噂のトレーナーか……)
他の奴等が騒ぐのも理解できる。
カリスマ性とでも言うのか、この男の持つ雰囲気に、既に周りの者たちは呑まれている。私やラモーヌ、そしてルドルフすら、これ程の芸当は出来ないだろう。
私も興味本位から奴に視線を向けていると、男が私の元に近付いて来た。
……そこでようやく、無意識のうちに体が身構えていることに気がついた。
(チッ! 私らしくもねぇ)
「君がシリウスシンボリか。俺はシービーのトレーナーの久住と言う」
「……なんだ、私に何か用かよ?」
「ああ、実はな……シービーと模擬レースをして欲しいんだ」
「…………は?」
拍子抜けであった。
シービーとの模擬レース?
シービーの実力については私も認めている。だが何度挑発しても飄々とかわされるせいで、マトモにやりあえた事はなかった。
あのシービーと全力の勝負が出来るのであれば、私にとって願ってもない申し出だが……。
「良いだろう。ただし条件がある」
────気に入らねぇ。
このまま模擬レースを受ければコイツの思うツボだろう。
それは何だか癪に障るし、面白くない。もし受けるんなら『取引』という対等な形で、少しでもこっちに利益がないとな。
「アンタが私と勝負して勝てたなら、その申し出、引き受けてやる。だがもし負ければ────アンタ、私の犬になれ」
「えっ!?」
「ちょっ! シリウス先輩?!」
一目見て分かった。コイツは間違いなく
私や……あの皇帝サマみたいな、上に立つべくして生まれた人間。そういう奴らは、それ相応の貫禄を持つ。
コイツの持つ雰囲気は、まさにそれ。さっきから故意か無意識かは分からないが、周囲にずっとオーラを振り撒いてやがる。おかげで周りの奴等がビビって全くこちらに近付こうとしない。
「どうする、大人しく尻尾巻いて逃げるか?」
何より気に入らないのが……コイツの眼だ。
私のことを全て見透かしてそうな眼。私に興味なんて一切感じていなさそうな冷えた眼。
そして────私を釘付けにする、この赤い眼。
私の心をかき乱すコイツが、心底気に入らねえ。
「分かった、その勝負受けよう。────内容は?」
「そうだな……ビリヤードで一勝負といこうか」
その澄ました顔を歪めてやる。
「ルールはナインボール。説明はいるか?」
「問題ない、俺も多少ではあるが経験があるからな。先行は譲ろう」
「ほう………」
舐められている。
ビリヤードにおける先行の有利を知らない訳ではないだろう。プロの世界であれば、後手に手番が回ってこないまま勝負が決まることだってある。
つまり────この男は明確に私を下だと断じている。
「………良いぜ、その挑発のってやるよ」
譲ることはあっても譲られることなんて無い。
私相手にそんな真似する奴は、あの皇帝サマぐらいなものだ。
この男にどれほどの実力があるのか知らないが、ビリヤードは私が得意とする球技の一つ。幼少期より培ってきた経験と実力は、プロと比べても遜色ないレベルだと自負している。
私を侮ったこと、後悔させてやる。
「フッ────!」
ブレイクした後、5番ボールがポケットした。これで私が続行、先行の有利を保ったまま1番から3番までは難なくポケットすることができた。
「うわっ、上手い!?」
「おぉー!流石シリウス先輩!」
「凄く安定したプレー……このままなら勝てますよ! シリウスさん!!」
男の圧にやられてた奴らも、調子を取り戻してきたようだ。外野からもヤジが飛び始めている。
このまま勝負を決めちまいたいが……少しばかり、的球の位置が悪い。穴の付近ではあるが、的球を被う形で別のボールがあるせいで的球が狙いにくい。
手番を譲りたくは無かったが……しょうがねぇ。
「プッシュアウトか」
「ああ、アンタの番だぜ」
次はこの男の手番。少しは手球の位置を動かしたとはいえ、相変わらず難易度は高いままだ。
多少経験があると言っていたが……一体どんなプレーをするのか、お手並み拝見だな。
「フッ────!」
「っ!?」
「うぇ!? マジかよ!」
「ボールが曲がったぞ?! どうなってんだ?」
打ったボールは、まるで意思があるかのように障害となっているボールを避け、的球に当たった。────そして、そのまま穴に落ちていった。
『カーブショット』
その名の通り回転をかけて曲げるだけ……そう、言うだけなら簡単だ。
だが実際のところ、障害物に当たらないように曲げて正確に的にあてる、というのはプロであっても難しい技だ。
しかし男はやって見せた。神業とも言えるそれを可能にしてしまう程のコントロール能力を、私らに見せ付けたのだ。
"完敗"
アイツは完全に私の予想を上回った。
あんなスキルを持っているなら、もう他のボールなんて簡単だ。
「負け……か」
「シリウスさんが負けた……」
「あうぅ~……!」
そして予想通り、アイツはたいした時間も掛けずに9番ボールをポケットした。
……完敗だった。自分が得意な分野で言い訳すら出来ない完全な敗北に、思わず笑ってしまう。
「これで、勝負はついたな」
「ああ……二言はねぇーよ。模擬レースの件は、ちゃんと受ける」
「……いいのか? 正直、乗り気でない者を無理に誘ってしまっては申し訳が無い」
「はァ? おい、あんま私をバカにすんなよ? わざわざ自分が出した条件を無下にするほど、堕ちちゃいねぇーんだよ」
ここで約束を撤廃なんて、誰よりも私が許さない。
そんな事をした日には、私は私では無くなる。
────だが同時に、このまま負けたまま引き下がるのも、私らしくねぇ。
「だがな……この借りは必ず返す。このまま舐められてちゃ、私の気が収まらないんでな」
「────ああ、楽しみにしておこう」
「っ!?」
…………やっぱり気に入らねぇ。
私の敵意を軽くあしらうアイツも……その些細な表情の変化に、ドギマギしてしまう自分も。
◆
そして翌日、無事シリウスと約束を取り付けた久住は、必要最低限の機材を持ってシービーにターフ集合とだけ伝えていた。
「それで、突然コースに集合なんて、どうしたの?」
「前回のレースで原因不明の不調があっただろう。その再確認のため、模擬レースを組んだんだ」
「ああ、あれか。じゃあ相手は誰なの? マルゼン?」
「いや、もうそろそろ着くはずなんだが……(まさかバックレたか!? 許さねぇ…俺にあんだけ苦労させといて、やっぱナシとか絶対許さねぇーかんなァァァ!!!!」
久住としても、まさか模擬レースを頼むだけのはずがビリヤードをさせられるとは思ってもみなかっただろう。しかし、そこまで苦労して取り付けた約束を向こうの都合で突然ドタキャンされたなら、久住は本気でシリウスを殴りに行くだろう。
久住の怒りメーターが天文学的スピードで上昇している最中────突然背後から声が響いた。
「よぉー、シービー!」
「あー………なるほど、シリウスか。ずいぶん珍しい事もあるもんだね」
「ちと、お前ンとこのトレーナーに熱烈なアピールをされてなぁ?」
「は?」
「すごかったぜ?
「ア?」
間違いなく面白がっている。
さんざん挑発しても飄々とスルーされていたせいか、反応があるだけでもおちょくり甲斐が有るのだろう。
ただシービーの顔には血管がピキピキと浮かんでおり、冗談にならないレベルでガチギレしている。
「さて、それでは走り込みの説明を────」
「ねぇ、久住君。模擬レースよりも先にシリウスを病院につれていった方が良いと思うよ」
「おいおい、そう睨むなよ? そんなに飼い主を取られたのが気に入らねぇのか?」
シリウスは更に煽り言葉を並べる。だが、シリウスもそろそろ引き際だと感じているだろう。
既にかなりシービーのラインを越えてしまっているが、まだギリギリのところで理性を保っている状況だ。もういつ決壊してもおかしくはない。
このままでは本当に模擬レースどころでは無くなってしまう。それでは勝敗の約束を反故にしてしまうし、それはシリウスとしても本意ではない。
────すると、そんな二人を見かねたのか、久住が声を上げる。
「二人とも、無理に仲良くしろとは言わないが、今回の目的は模擬レースだろう? シービーは調子の確認を、シリウスは……先日の勝負の結果だが、それぞれ今回のレースで何か掴める物があるかもしれない。今は少しでも時間が惜しいんだ」
「……チッ、分かったよ。約束は約束だからな」
「………オッケー。ただ、その勝負の件はちゃんと後で聞かせてね?」
久住はこの一触即発の修羅場を惜しみつつ、ストップウォッチと記録用のカメラを設置する。
一旦この場はこれで沈静化し、各々模擬レースの準備に入っていった。
今回の模擬レースの条件は1800mの芝。
前回のひいらぎ賞と同じ距離であり、次のレースである『"共同通信杯"』の距離だ。
「では……よーい───始めッ!!」
ゲートが開くと同時、シービーとシリウスが駆け抜けた。
シービーはいつも通り後方からの出だしだ。対してシリウスは、やや先行してレースを展開している。
(末脚に極振りしたシービーとの競り合いでは分が悪いと判断しての先行策か……何気に頭使ってんなアイツ。生意気じゃん。)
自力で負けているなら戦略で───と、変に意地にならない割り切った考え方をしている。久住とは大違いだ。
加えて、シリウスのピッチ管理はかなりの物だ。ペースを乱さず正確にタイムを刻んでおり、努力の跡が見える。おそらく、誰かに指示を仰ぐでもなく独自に練習メニューを立てて、ここまで練り上げたのだろう。
と、そうこうしている間にいよいよ最終コーナーに入っていった。
シービーがひいらぎ賞にて異変を感じた場面だ。
「ハッ────!」
「ッ! 来やがったかッ!!!」
シービーが仕掛けたことで、一気に差が縮まった。
しかし、シリウスとて先頭を譲る気は無いとばかりに、残した末脚を使いゴールまで駆け抜ける────
「──ふぅ、やったね♪」
「はぁッ……はぁ………クソっ!!」
────結果はシービーの4バ身差での勝利だった。
ひいらぎ賞での不安など忘れてしまうほどに、いつも通り……いや、いつも以上の走りでの勝利であった。
(マジで戻った……じゃ何だったんだよありゃーよ)
調子が戻ったのは良いが、あの不調の原因が分からないのは一種の不安材料だ。
最も恐るべきは、イップスのような無意識のうちに力を出し渋ってしまう症状だが……それこそ未知の領域だ。考え出したらキリがない。
「「~~~!───…!」」
ふとゴール付近に視線を向けると、シービーとシリウスが何やら談笑(?)していた。
「シリウス、まさかこれで終わりなわけないよね?」
「ッ!! ……ほう、ずいぶん言うようになったじゃねぇか。おい、早くスタート位置に着け、次だ」
先程までの仕返しだろうか。今度はシービーが煽り、シリウスが青筋を立てている。
(チ゛ィッ!! ガキ共はお気楽なもんだなァ!? こちとら真剣に考えてるってのによォ?!)
「────そんなに気にする事ないと思う……よ」
「ん?」
すると、「ゴール」と書かれた看板を持ったウマ娘が話し掛けてきた。
鮮やかな金髪に青い瞳、頭頂部の大きなアホ毛が特徴的な、どこかミステリアスな印象のウマ娘。
(なにゴール担当が勝手にゴールから離れてんだよ。早く持ち場に戻れや)
この
近くでウロチョロしていたこの子を、勝手に言葉巧みに捕まえて、勝手に看板を持たせて、勝手にゴール担当にしたのだ。………シリウスが合流するよりも前に。
つまり最初のシービーとシリウスの修羅場も、全て見ていたのだ。
ただ自己主張が少なく、あまりに自然に居るものだから、シービーもシリウスもそういうものだとスルーしていた。
そんな、あまりに可哀想なウマ娘の名は─────
(なんだっけ、確かコイツの名前は………)
─────ネオユニヴァース