ハイスクールD×D 〜赤龍帝と主夫な天剣〜   作:ユーカリとコアラ

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えと、1時間間に前話を投稿しておりますので。
理由は前話の前書きで。
すでに読んでくれているというありがたい方はどうぞお読みくださいね!


第8話

「イッセー遅い!」

 

「わりぃレイフォン、ちょっと遅れた」

 

「イッセー!」

 

「イッセーさん!」

 

みんなイッセーを待っていた。

すぐにレイフォンが近寄ってきて耳元で、

 

「僕はまだ本気を出せない、だからイッセー、イッセーがあいつの相手をしてくれないか?ライザーを倒すだけの剄を注ぎこんだら今の神器じゃ耐えられそうにないんだ…」

 

こう耳打ちしてくる。レイフォンは実力の半分も出せていない。なぜか?神器が耐えられないからだ。全力で剄を込めると、ガタガタと神器が震えだし、さらに注ぎ込むと変色して自壊してしまう。そうなると神器は一週間程使えなくなる。これはさすがに避けなければならない。

 

「わかった。レイフォンは部長とアーシアをきっちり守ってくれ。二人ともなかなか消耗してる」

 

「了解。ぶっ飛ばしてきて」

 

「おう!」

 

「…相談は終わったか?」

 

若干イライラした様子でライザーが問いかけてきた。もともと短気なのだろう。

 

「てめぇ……部長とアーシアを傷付けやがったな!ぶっ飛ばしてやる!!」

 

「ハハハハハ!これは面白いことを言う!赤龍帝の籠手を宿しているとはいえ転生したての下級悪魔ごときがフェニックスを倒すだと?戯れ言もその辺にしておけよ小僧ォッッ!!」

 

途端に火球が三発飛んでくる。常人なら一発で大火傷を負うレベルだ。

 

「せいッ!はッ!とおッッ!」

 

右ジャブ、左ジャブ、ムーンサルトで打ち破った。

 

「あれ…?今イッセーは倍加してないはず。なのにあの動き…」

 

「いやーなんか体が軽いぜ。それに両手両足に不思議な力がみなぎってる…小猫ちゃんが消える前に俺のおなかをさわってたけど、そのあたりからかな?」

 

(あれは…魔力じゃない。となるとあれは仙じゅーー)

 

小猫は消える前に『おまじない』としてイッセーの下腹部、いわゆる丹田(たんでん)に己の力を送った。

本人にも分かってはいないが、『悪魔』としてではなく『○○(字が霞んで見えない)』としてできる御技(みわざ)である。

 

「次はこっちから行くぜ?ライザーァァァァァァ!!」

 

『Boost!!』

 

震脚(しんきゃく) ー 力強い踏み込みが地を揺らし

 

発勁(はっけい) ー 震脚の踏み込みからの反動と体重を上乗せし

 

崩拳(ほうけん)五行拳(ごぎょうけん)の木、打撃を打ちこむ

 

ドンッ!

 

ライザーの腹が爆ぜた。

 

即座に修復が始まりつつ、ズガガガガと激しい音をたてながら地を背中で抉る。

 

「ぐっ、おふっ!…なんだぁ…その技はァ…。俺にダメージが『通っている』!普通なら飛ばされたりせず即修復になる。なのに飛ばされ治りも遅い……。俺の『内側』に響いていやがる!」

 

(小猫ちゃんの力が『内側』に攻撃できるようにし、震脚からの発勁で崩拳の威力を上げ、籠手の力でそのすべてを倍増させる。崩拳は『木』の属性だからまだよかったものの…『水』属性である鑽拳であれば体のどこかに穴が開いてしばらく戻らなくなってた…)

 

「あれはどこぞの武術だった!しかも属性が付与されるタイプだ。どうやら属性の相性は悪かったみたいだが…もう遊ぶのはやめだ!!全力でお前を潰す!」

 

言うと共にライザーから炎の翼が生え、腰からは炎の尾羽が、拳や腕にも炎を纏う。最後に髪の真ん中、トサカになっている部分に炎が宿った。

 

「まだ化身はできないが貴様にはこれで充分だ。不死鳥の炎でその身を焦がすがいい!!」

 

「ライザーァァァァァァ!!!!!」

 

「小僧ォォォォォォォォ!!!!!」

 

二人の死闘が始まった。殴り蹴り打ち貫き、避け逸らし撃ち焦がす。まるでダンスを踊っているかのように立ち位置を変え、目まぐるしく技の応酬が続く。

 

「ねぇレイフォン、レイフォンは助けてあげられないの?」

 

リアスがレイフォンに問い掛けるがレイフォンは首を横に振る。

 

「無理だしダメです。あの状態で僕が手を出せばイッセーも巻き込んでしまう。なによりはあいつの闘いです。イッセーがみんなのために。ひいては貴方の、リアス・グレモリーのために死に物狂いで闘い続けているんです。それを邪魔することは誰にも許されない」

 

(それに僕はイッセーからアーシアさんと部長を任された。必ず守り通してみせる…約束だから。勝てイッセー!僕の最高の兄弟)

 

「倒れろぉぉぉぉぉぉおおおおお!!」

 

「燃え尽きろぉぉぉぉぉぉおおお!!」

 

イッセーの響く拳が、ライザーの燃え盛る拳が、クロスカウンター気味にお互いの顔にぶつかる。

 

「ぬぅっっ!」

 

「くうっっ!」

 

振り抜いて倒れる二人。先に立ち上がったのはイッセーだった。

 

「これで…終わったんじゃねぇか?」

 

ライザーは動かない。

 

(ダメだ…!これは…!)

 

「誰が…終わったって?」

 

ゆらりと立ち上がってくるライザー。どちらも満身創痍だ。

 

「まだ立つのかよ…。自分の能力に頼りっきりのクソ野郎かと思ったてたけど、なかなか根性あるじゃねぇ…か」

 

膝を着くイッセー。だが目の闘志の炎はまだ消えてはいない。

 

「俺にもフェニックスとしての…不死鳥としてのプライドってもんがあるんだ!貴様には…負けんッ!!」

 

「そうかよ…!でも俺だって、部長のためなら!好きな女の子のためなら!何度だって、何度でも立ち上がってやるッ!!」

 

「兵っ、藤ぉぉぉぉぉ!」

 

「ライザァァァァァァ!」

 

純粋な殴り合い、泥にまみれるような殴り合いを再開した二人。だが、

 

「あ…ぐぅ!動け……俺のからだぁ!」

 

「限界みたいだな。お前は…倍加しすぎた。過ぎた力は己を滅ぼす。もう立ち上がるな、寝てろ」

 

(ライザーの言う通りだ。倍加と小猫ちゃんの力があるとはいえ、イザベラの爆発をモロに受けてる。すでに結構なダメージを負っていたし…倍加でその体力も根こそぎ持っていかれてる!)

 

「……………」

 

無言で立ち上がるなイッセー。その瞳に闘志はあっても…光は無い。

 

「こいつッッ!意識を失っても立ち上がって…!?」

 

「レイフォン!なんとかして!!イッセーを助けて!!」

 

「出来ません。今イッセーをどうにかできるのは…部長だけです!」

 

「そんな……。もういい…もういいわイッセー。立ち上がらなくていい。あなたがそんなに辛い思いをすることはないの!」

 

イッセーに駆け寄って抱きしめるリアス。そしてイッセーの動きは止まり、リアスはイッセーの頭を自分の膝に寝かせた。

 

「よく頑張ったわ…わたしのかわいいイッセー。今は…ゆっくり休んでちょうだい…」

 

本当に愛おしそうに髪を()くリアス。

 

「レイフォン、アーシア、もういいわよね?」

 

「ええ」

 

「うっ…ぐすっ…はい…」

 

イッセーは負けた。

 

「私の負けよ。投了(リザイン)します」

 

「兵藤一誠。まだ諦めないというなら力ずくで奪いに来い。けっして遅れるな」

 

初のレーティングゲーム。

それは苦く、辛い敗北から始まった。

この敗北を誰も忘れはしないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー イッセー side ー

 

『そろそろお前は次へ行けるかもしれんな』

 

なんだよドライグ、珍しく出てきやがって。

 

『そうつれないことを言うな。これでも俺はお前を誇りに思っているんだ』

 

キモイからやめろ!

 

『何度でも立ち上がるその心、不屈の闘志。肉体もそこそこなレベルまてきている』

 

急になんだってんだ…

 

『負けるのもいい。死ななければ敗北も糧となる。だが、それも次に勝ってこそ意味のあるものだ。負けて勝って、そして勝ち続けろ。昔そう言っただろう』

 

覚えてるさ。

 

『そろそろ「ドラゴン」って存在知らしめてやればいい。お前はまだまだ強くなれる。お前は既に龍なんだからな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!」

 

目が覚めた。俺の部屋だ。

ベッドから上半身だけ起こすと、

 

「目覚めたみたいですね」

 

枕元にいる女性が声をかけてきた。グレイフィアさんだ。

 

『兵藤一誠。まだ諦めないというなら力ずくで奪いに来い。けっして遅れるな』

 

「俺、負けたんですね」

 

「ええ、リアスお嬢さまが投了されました」

 

くそっ、情けねえ!俺がもっと頑張っていればこんな結果に…。

涙が止まらなかった。グレイフィアさんがそばにいるのに…。

 

「あなたはよく頑張りました。あの時は下賤なんて言ってごめんなさい。とても……とてもかっこよかったですよ」

 

そう言って頭を撫でてくれるグレイフィアさん。心なしか目が潤んで頬も上気している。かわいい。

 

「リアスお嬢さまがダメならいっそ私が…」

 

「なんですか?」

 

「い、いえ。なんでもありません」

 

気になる…すごく気になる。

 

それからしばらく俺の頭を撫でていたグレイフィアさんだったが、

 

「ふふふ」

 

突然、グレイフィアさんが小さく笑った。この人の笑顔始めて見たけど、すごい破壊力だ。思わずドキッとしてしまった!

 

「あなたは本当に面白い方ですね。長年、いろいろな悪魔を見てきましたが、あなたのように思ったことを顔に出して、思った通りに駆け抜ける方は初めてです。私の主、サーゼクスさまもあなたの活躍を他の場所で見ていて、『おもしろい』とおっしゃっていたのですよ?」

 

「魔王さまが!?ちょっと反応に困るな…ハハ…。ってか、思ったことが顔に出てる?ということは俺がさっきグレイフィアさんのことを『かわいい』って二度も思ったことも顔に出て!?」

 

「なっ!?かわっ…!?」

 

しまった!出てなかったみたいだ!黙ってればいいのに俺のバカ!

ほら見ろ、グレイフィアさんのお顔が『怒り』で真っ赤に染まってるじゃないか!

 

どこからか「それはちがうよ!!」と聞こえてきそうである。

 

「それより!今回の婚約のこと!納得されていないのでしょう!ならこれで乗り込んできてください!!」

 

バッと紅い紙に魔法陣が描かれているものが差し出される。

 

「この魔法陣は、グレモリー家とフェニックス家の婚約パーティの会場へ転移できるものです」

 

ーーーっ。

な、なんでそんなものを!

 

「サーゼクスさまからのお言葉をあなたへお伝えします」

 

一拍あけてから、グレイフィアさんは真剣な面持ちで言う。

 

「『妹を助けたいなら、会場に殴りこんできなさい』だそうです。その紙の裏側にも魔法陣がありまし。お嬢さまを奪還した際にお使いください。必ずお役に立つと思いますので」

 

マジか…!?まさか魔王さまが!?

 

「頑張ってくださいね一誠さま。もしリアスお嬢さまを奪還できなかった際は…私があなたをいただきますから」

 

チュッ。

 

えっ…?

 

ええっ…!?

 

おれ、今…グレイフィアさんにキスされ…

いない…俺が(ほう)けていた間に消えてる!

 

「イッセーさん!」

 

今度はアーシアだ。なんだろう?

 

「目が覚めたんですね!良かった…良かったですぅ…!」

 

いきなり抱きつかれたら照れるんですが。

 

「これからその…部長さんを取り戻しに行くんですよね?」

 

「ああ、そのつもりだ」

 

「約束です、絶対に死なないでください。死ななければ私が治せます」

 

「ああ、死なない」

 

「もうひとつ。必ず、部長さんと帰ってきてください」

 

「ああ、もちろんだ!」

 

あ、そういえばアーシアに伝えたいことがあったんだ。

 

「アーシア、実はな」

 

『ドライグ、お前にも話がある』

 

『なんだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シュゥゥゥゥゥン……。

グレイフィアさんから貰った魔法陣から、見知らぬ場所へ転移した。

すぐに会場を進んで行く。

するとちらっと見えたあの紅はー

 

「部長ォォォォォォォッ!」

 

「イッセー…」

 

「ここにいる上級悪魔の皆さん!それに部長のお兄さんの魔王さま!俺は駒王学園オカルト研究部の兵藤一誠です!部長のリアス・グレモリーさまを取り戻しに来ました!」

 

ガヤガヤとする会場。そんなのお構いなしに俺は部長とライザーのもとへ歩み寄る。

 

「おい、貴様!ここがどこだとーー「構わん!通せ」

 

「ら、ライザーさま…」

 

衛兵らしき者が俺を止めようとしたが、ライザーがそれを制した。

 

「部長 ーー リアス・グレモリーさまの処女は俺のもんだ‼︎」

 

「……………」

 

黙って俺を()めつけるライザー。

 

「どういうことだ、ライザー?」

 

「おい、リアス殿。これはいったい?」

 

身内、関係者達が困惑した表情で落ち着かない様子だった。

 

「私が用意した余興ですよ」

 

そのとき、一番奥にいた紅髮の男性が歩み寄ってくる。

 

「お兄さま」

 

「ドラゴンの力が見たくて、ついグレイフィアに頼んでしまいましてね」

 

「サ、サーゼクスさま!そ、そのような勝手は!」

 

「いいではないですか。この間のレーティングゲーム、実に楽しかった。しかしながら、ゲーム経験もない妹が、フェニックス家の才児であるライザーくん戦うには少々分が悪かったかなと」

 

「では、サーゼクス。お主はどうしたいのかな?」

 

「父上。私は可愛い妹の婚約パーティは派手にやりたいと思うのですよ。ドラゴン対フェニックス。最高の催しだと思いませんか?伝説の生物同士で会場を盛り上げる。これに勝る演出はないでしょう」

 

魔王さまの一言に全員が黙り込んでしまった。

 

「さぁ、ドラゴン使いくん。お許しは出たよ。ライザー、リアスと私の前でその力を今一度見せてくれるかな?」

 

「いいでしょう。元からそのつもりでした。このライザー、身を固める前の最後の炎をお見せしましょう!」

 

「ドラゴン使いくん、君が勝った時の対価は何がいい?」

 

「リアス・グレモリーさまを返してください」

 

「わかった。キミが勝ったら、リアスを連れて行きなさい」

 

「ありがとうございます!」

 

かくして、兵藤一誠とライザー・フェニックスの再戦が始まった。

 

 

 

 

 

「開始してください」

 

バトルを取り仕切る男性悪魔が戦いの開始を告げる。

俺は籠手を出し、ライザーは炎の翼を生やした。

 

「始めるぞ兵藤一誠」

 

「言われなくとも。…部長、五秒以内でケリをつけます」

 

「……イッセー?」

 

訝しげな部長。大丈夫ッス。

 

「五秒とは大きく出たな。俺も最初から全力で迎え討つ!以前のようにはいかないぞ、リアスの『兵士』!」

 

「部長!この場所で『プロモーション』することを許してください!」

 

俺の叫びに部長はうなずく。

ドクン。

胸が鳴った。部長がプロモーションを許可してくれた証拠だ。

 

「『プロモーション』!『女王』!」

 

全身に力が溢れる。

さぁ、さらにもういっちょいくぜ!

 

「部長!」

 

俺は部長に叫んだ。

 

「俺は木場みたいな剣の才能はありませんッ!朱乃さんみたいな魔力の天才でもありませんッ!小猫ちゃんみたいなバカ力もないし、アーシアの治癒の力もありませんッ!それでも最強の『兵士』になりますッ!」

 

俺は部長に誓う。

 

「あなたのためなら、俺は神様だってぶっ倒してみせますッ!このブーステッド・ギアでッ!俺の唯一の武器でッ!俺はあなたを守ってみせますッ!」

 

絶対にあなたを守ってーー、仲間たちとともに強くなってみせる!

 

「輝きやがれぇぇぇぇぇッッ‼︎オーバーブーストォッ‼︎」

 

『Welsh Dragon over booster!!!!』

 

籠手の宝玉が赤い閃光を解き放つ。

会場全体が赤く染まり、俺の体が真紅のオーラに包まれる。

赤いオーラを放ちながら、俺は前へ飛び出す。

俺の体は赤い鎧を纏っていた。ドラゴンの姿を模した全身鎧。

 

「鎧!?赤龍帝の力を鎧に具現化させたのか!!」

 

「これが龍帝の力!禁手(バランスブレイカー)、『赤龍帝の鎧(ブーステッドギア・スケイルメイル)』ーーー 俺を止めたきゃ魔王さまに頼みこめ!何しろ、『禁じられし忌々しい外法』らしいからな!」

 

スケイルメイルの能力は、十秒の間、爆発的な力を解放すること。

一度解放されたら、十秒間無敵になる。

だがリスクもあり、能力解放の十秒後、丸一日は神器が使えなくなる。

 

X(テン)

 

カウントが開始された。時間は無いから一気に決めさせてもらう!

手のひらに魔力の塊を生み出し、ライザーにぶっ放す!

この広い会場の半分を占めるほどの魔力砲がライザーを襲う。

 

「デカいなこりゃあ!!」

 

受け止めることをやめて避ける体勢を作るライザー。

ここだ!

 

IX(ナイン)

 

カウントは刻まれ、俺を急かす。

鎧の背部のブースターが魔力を噴き出し、爆発的な速度を生み出す。

俺はライザーの目の前で一歩足を踏み出し地を揺らす。

 

震脚

 

反動と体重を利用し、力を上乗せ!

 

発勁

 

腰と両足を絞りつつ、下方から上方へ斜めに突き上げるように拳を放つ!

 

鑽拳(さんけん)

 

さらにそれを利用し、踏み込み時の足と同じ側の腕を上段に構えて相手の攻撃を受け流すために待機させ、もう一方の腕で相手の中段を突くッッ!

 

炮拳(ほうけん)

 

鑽拳の属性は水、そこから炮拳、火の属性に繋げることで『水尅火(すいこくか)[水は火を尅す]』を表す。そして手に握りこんでいるのは十字架、ふりかけてあるのは聖水。さらに倍加をかける!

ブースターの凄まじい速度で踏み込んだ反動と体重から発勁し、鑽拳から炮拳に繋げることで水は火に強いという魔術的意味を成す。それは聖水の効果を高め、さらに赤龍帝の力で倍加。まだ制御がうまくいかず、距離が少し開いていたのもあって掠っただけになった。だがそれでもーー、

 

「カフッ!?」

 

ライザーの脇腹が消失した。炎の化身たるフェニックスだが、傷口が炎に舐められたかのように焼けてしまっている。

 

「グアァァァァァァァァァ!!!?」

 

ライザーは絶叫する。がしかし、

 

「隙だらけだ兵藤一誠ぇぇぇぇぇ!」

 

イッセーにしがみつき、『全力』で炎を発する。

 

「アァァァァァァァァ!」

 

イッセーも鎧ごとフェニックスの炎に焼かれた。

 

「ぬうぅぅぅ!このまま燃え尽きろォォォォォォッッ!!」

 

「放せこの焼き鳥野郎ぉぉぉぉぉぉ!」

 

ゴスゴスとイッセーがライザーを殴る鈍い音が何度も響き、だがそれでもライザーは放さない。

 

「言っただろうがぁ!最初から全力で迎え討つと!燃え尽きるまで貴様を放んからなぁぁぁぁ!」

 

「お前このままじゃ死ぬぞ!?早く放せ!」

 

「俺は…兄貴たちよりも弱い!だがしかし、この勝負で、この婚約パーティで貴様に勝ち、俺の強さを証明してやるんだぁぁぁッッ!」

 

『ゼロ』

 

カウントが終わった。俺はこの身が灰になる覚悟をしていたが、それはやってこない。

ライザー?

 

「…………」

 

燃え尽きたのはライザーで、意識が無く、それでも俺にしがみついていた。

 

「なんだ…最初はクズかと思ったのにお前凄いもん持ってたよ。また今度お前の眷属みんなでうちに来い。うまい料理食わせてやるよ…」

 

その瞬間俺から手が離れようとしたが、俺が抱えて横たえる。

 

「誰か!早く治療してやってくれ!今すぐだッッ!!」

 

すぐさまライザーは転移させられた。たぶん医療施設に運ばれたのだろう。

それを見届け、俺は部長のもとへ足を進める。

間に飛び込んでくる人影がひとつ。ライザーの妹だった。

無言でこちらを見て、何かを訴えてこようとしている。

 

「謝りはしないぞ。俺はライザーと正々堂々と闘った。それでも言いたいことがあるなら、家に来い、な?」

 

ジワっと涙を目尻に浮かべながらレイヴェルはスッと道をあけた。

俺はレイヴェルを通り過ぎ、部長の前に立った。笑ながら俺は言う。

 

「部長、帰りましょう」

 

「………イッセー」

 

隣には部長のお父さんがいる。

 

「勝手な振る舞いをしてしまい、大変申し訳ございませんでした。でも、部長は連れて帰ります」

 

お父さんは何も言わず、そっと目を瞑った。

魔王さまにはお礼を言いたかったが、どこにも見当たらない。

俺は部長の手を取り、グレイフィアさんから貰った魔法陣でグリフォンを喚び出す。

二人でグリフォンの背に乗ると、

キュィィィッ!

と一鳴きし、羽ばたき始める。

飛び立つ前、俺はレイフォン達に言った。

 

「部室で待ってるからな!」

 

俺の一言に部員全員が笑顔で手を振ってくれる。

そして、グリフォンは俺と部長を乗せて冥界の空へ飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

空を眺めていた俺の頬に部長の手が触れた。

 

「バカね」

 

苦笑しながら、そう言ってくれた。安堵したような穏やかな表情でこちらを見ている。

 

「ーーーーっ」

 

部長は俺の左腕に視線を移したとたん、沈痛な面持ちで俺の左腕をさすっていた。

いまや俺の左腕は赤い鱗に包まれ、龍と化している。

 

「腕をーー。腕をドラゴンに支払って、あの力を借りたのね?」

 

「はい。俺の左腕一本であの力が手に入ったんです。おかげでライザーを倒せたし、部長を取り戻せました!」

 

無理やり笑みを浮かべて言ってみたけど、部長は悲しそうだ。

 

「もう、この左腕は元には戻らないのよ?」

 

「あー、ちょっと困りましたね。いやーどうしたものか」

 

「……今回は破談にできたかもしれない。でも、また婚約の話が来るかもしれないのよ?こんなことをつづけていたらーー」

 

それに俺は笑って答える。

 

「次は右腕を支払います。その次が来たら、今度は目をくれてやります。何度もでも部長を助けに行きますよ。俺にはそれぐらいしかできません。でも必ずあなたを助けに行きます。俺はリアス・グレモリーよ『兵士』ですから!」

ーーーっ。

そんなことを言った直後、俺の唇が塞がれた。

部長が俺の首に手を回し、唇を俺へ重ねていた。それは一瞬じゃなく。

キスーーー。

舌を絡めるようなディープなものじゃなかったが、部長の想いが痛いほどに伝わるほどのソフトキスだった。

一分ほど唇を重ねたあと、部長の唇が離れる。部長はふっと笑う。

 

??

???

はあぁぁぁぁぁぁぁ!?

俺、部長とキスしちまった。キス!キスゥゥゥゥゥゥ‼︎

脳みそが弾けて飛んだ。ほわぁぁぁぁぁぁッッ!

 

「私のファーストキス。日本では、女の子が大切にするものよね?」

 

「え、ええ、そうですけど!ん?ファーストキスゥゥゥ⁉︎」

 

ファ、ファーストキスって言ったら女子にとって最大級に大切なものですよ!

 

「い、い、いいんですか!俺なんかで?」

 

「あなたは私と唇を重ねるだけの価値あることをしたのだから。ご褒美よ」

 

ああ、このご褒美だけで頑張った甲斐があったぜ…。

 

「ファーストキス繋がりだけど、私の処女、そんなに欲しいの?」

 

「欲しいです!あっ!」

 

即答してしまった…。でも本音だ!欲しいに決まってる!

 

「……まったく、エッチなことにも正直な子ね」

 

困ったような表情だけど、部長は笑っていた。

俺の頬を部長が撫でてくれる。部長は嬉しそうに笑うだけだ。

よかった。部長に笑顔が戻って本当に良かった。

 

 

 

ー イッセー side end ー

 

 

 

 

 

 

 

「と、そのような感じで、私、リアス・グレモリーもこの兵藤家に住まわせてもらうこととなりました。ふつつか者ですが、どうぞよろしくお願いしますわ。お父さま、お母さま」

 

(いやいや、どういうことですか部長…)

まったく訳が分からないよ、というわけでもない。

これはたぶん、部長さんはイッセーに惚れたな、うん。

あの一件のあと、部長が突然僕たちの家に住むと言い出した。

意味も分からなかったが、部長は半ば強引に話を進めてしまってこのありさまとなった。

グレモリーとフェニックスの話は破談となった。

ライザーはイッセーにやられた傷がかなり深いらしく、まだ動ける状態ではないらしい。一応意識はあるし、障害等も残らないとの話だった。

 

(ほらイッセー、アーシアさんが隣で膨れてるじゃないか…)

 

かくいう僕の膝の上にもミッテルトが乗ってるわけだが。

 

イッセーのドラゴンの腕はどうにかなるらしい。部長と朱乃さんがドラゴンの気を散らしてくれるんだとか。なんだか卑猥な雰囲気が出てたので僕は我関せずを貫くつもりだ。

部長がイッセーに荷物をお願いしてたり、アーシアさんが一夫多妻制がどうのこうのと言ってたり。

このあと、三人でお風呂に入るらしい。僕は知らん。

なんだか父さんと母さんもピンクな雰囲気で「お父さん…」「か、母さん…」とか言って母さんが父さんにしだれかかっている。見たくなかった。

 

「レイフォン、ウチらも一緒に入るっす!」

 

「断固拒否」

 

「えー!あっちは四人で入るみたいなのに〜!!」

 

こら、膝の上でジタバタしない!

ん?四人で?

見れば、いつの間にか乱入してきたグレイフィアさんが、

 

「一誠さま、お背中なら私が流しますよ。これでもメイドですから、リアスお嬢様には負けないかと」

 

とか。

 

「はぁ〜〜〜っ…」

 

これから僕たちがどうなるかは分からないけど、ただ一つ分かってることがある。

どうやら僕たちの日常はどんどん賑やかになっていくようだ。




長い…長いですよ影崎さん
「ええ、長いですね。1話に収めていた時はおよそ1万8千文字でしたから。いつもの3〜5倍です」
ですねぇ…
「なぜ私がここへ?」
今回のレイフォンって影薄かったじゃないですか。だからです。
「………」
あぁぁぁぁ羽化登仙しないでください!消える消えちゃいますよ柏原さん!
「……冗談ですよ」
まったく!

えー、ということでどうでしたでしょうか?レイフォンの影が薄い?ライザーが何やらかっこいい?仕様です!
フラグ乱立な戦闘回でしたが、いかがでしたか?
ご意見・ご感想お待ちしております
※イツキとかアディリシアさんとか影崎さんのことが知りたい方は、是非!レンタルマギカシリーズを買ってみてください。ちなみに川村さんや、ウィル子、ノアレは林トモアキさんで調べてください。では
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