はい、続きです。
すたすた。
てくてく。
カルデア一行及び味山はクーフーリンの導きに従い、聖剣の使い手、騎士王の元へ歩いていた。
なんでも特異点Fとやらの元凶が居るらしい。
「ねぇ、味山さん! 少し聞いてもいい?」
快活な表情で立花が聞く。
「ん? ソーシャルディスタンスを保った質問なら受け付けてるぜ」
「味山さんって日本人だよね」
「え? ああ、
なんか思ってたんと違う質問……。
「その軍隊みたいな装備はどこで手に入れたの?」
『それは僕も気になっていたところだ。教えてくれないかい? 味山くん』
「あー、こいつはうちのバカが用意したA装備ってやつでな。銃弾程度じゃヘッドショットじゃねー限り効かねぇらしい。くっそ金が掛かるって聞いたな」
『一体何のために……?』
「アレフチームが五体満足にダンジョンから帰られるように作ってたんだと……ん? 待てよ。さっき……ここって2004年……というか、あれか。2015年か。え、お前らってマジでタイムスリップしてんの?」
「はい。私たちは2015年から2004年へレイシフト……えっ?」
「へー、すげぇな。リアルジュラシックパークできんじゃん」
目を輝かせる味山。
マシュは違和感を持った。否、違和感を抱かなかったことに違和感を持った。
この時代に生きる人なら、そもそも西暦を忘れることなど有り得ない。万が一有り得たとしても、ダンジョンという謎のワード。
カルデアの人同士の会話ならともかく、特異点Fで遭遇した現地人であるはずの味山の言葉に疑惑を持って。
「……味山さん。貴方は、
「……まるでアジヤマがこの時代の人じゃないみたいな言い方ね。マシュ」
じっとりとマシュは味山を見つめる。答えを求める目。
「
「え」「はぁ!?」「!」「……へぇ」『えぇ!?』
「え、なに? お前らもタイムスリップしてんだろ?」
突然変な目で見られ、味山は少し困惑していた。
「あ、あー、たしかに、お前らからしたら未来なのか。そりゃびっくりするよな」
待てよ? 今なら全てを知っている未来人ムーブをできるのでは? 味山のゲーム脳は密やかに回転し始めていた。
シュタ○を初見で攻略Wikiを見ながら遊んでいた味山は興奮している。
「……有り得ません。2028年まで人類が生存していれば、そもそも……」
『あぁ、僕たちが観測した未来は2016年で人類が滅んでいる姿だった。君は本当にどこから来たんだ!?』
「そういや、異世界がどうだのって言ってたな……あ? そういうこと?」
TIPS€ 人理焼却式ゲーティアは2015年までしか人類の歴史を回収することが出来なかった。
TIPS€ 技能 “ゲーム脳”発動
よくあるパティーンのやつな。ゲーティアとかいうやつより強え裏ボスみてーななんかがあるんだろ? 俺もサン○まで行くのは大変だったからな……。いや、あれは少し違うか?
TIPS€ 条件達成 “異星の神の存在に気付く”
TIPS€ 西暦2018年 人理、及び地球の表面は異星の神により漂白される。
……聞かなかったことにしておこう。こっちの世界はすぐ世界滅亡の危機に襲われて大変だなー。
「異世界、だぁ……? おいおい、まさか異世界人とでも言うつもりか? んなもん魔法レベルじゃねぇか」
「まぁ信じなくてもいい。大差ないだろ。多分」
『……君は異世界の日本の2028年からやってきたと考えると辻褄は合う。英霊すら焼き殺す火に、軍隊のような服装、クーフーリンという大英雄を前にしても怯まない胆力……そして、既に滅んでいるはずの世界に存在する矛盾。本当に、そうなんだね?』
「まあ……一応」
味山の顔は緩んでいた。異世界人&未来人というファンタジー要素が自分にも適用される事態にテンションが上がっている。
小市民で凡人の味山に、自分だけの“特別”は気分が上がるのだ。
「……もし本当にそうだと言うのなら、あまりその事をひけらかすのはやめておいたほうがいいわね」
「え、なんで?」
「時計塔からわんさかあなたを解剖しに魔術師共がやってくると思うわ」
TIPS€ 時計塔。イギリスにあるこの世界の魔術師たちが研鑽を積む場所であり、実験をする場所でもある。
ビッグ・ベンってやつね。知ってる知ってる。
「……暗い話はこれくらいにして、じゃあ次は探索者ってどんな仕事なの?」
「俺の世界じゃ、2025年のニホンに現代ダンジョン、“バベルの大穴”ができてな。そこで発掘される怪物種の素材、“遺物”、同じ探索者の捜索とかをすんのが探索者だ」
カルデア一行に加え、クーフーリンも静けさを湛えた表情で聞いている。
なんだ? もしかして俺にめちゃくちゃ興味が、ある?
星屑野郎や凡人、狂人などと言った悪口を聞くのは慣れているが、初対面の人間に求められることにあまり慣れていない味山は口が軽くなっていた。
「へぇ〜! 怪物種に、遺物……なんかゲームみたいだね! “52番目の星”っていうのはその遺物って物の名前?」
「うえー……あぁ、いや、うん。カテゴリー“遺物”でいいんじゃないかな。あのおバカは」
「どんな人なの?」
「メサイアコンプレックス拗らせた英雄サマだよ。今はぶん殴ってマシになったけど……ストームルーラーっていう遺物を持っててな。これがあほみたいに強え。いやーマジで強かった……あれ、もしかしてもう1回戦ったら負ける……?」
いや、いやいやいや。九千坊も鬼裂もジャワも居るし流石にもう1回くらいは……勝てるビジョンが見えねえ。
「あ、すまん。えーっと、そのストームルーラーってのが嵐を自由に操れるんだよ。クソでかいタコに1つ目の巨人、クジラ……ヘビに蟹、ドラゴンも居たな。たしかテュポーンって名前だったか?」
マシュとオルガマリーとロマニ、そして聖杯より現代の知識を授けられたクーフーリンに聞き覚えのある神話、そして航海、海、嵐に関する神格怪物たちの名前が思い浮かぶ。
「アジヤマタダヒト、あなた、何を言って」
「アイツの“遺物”の中身の話だよ」
「……有り得ないわ。有り得てはいけないのよ。嵐に関する神性が、神格がたった一人の人間に支配されるなんて……」
「それが出来るからアイツは“52番目の星”なんだろ。知らんけど」
「……なんでその名前なの?」
「アメリカの国旗の52番目の星にアイツは個人で数えられてるらしい」
「凄い人なんだね!」
「え、待って! 一回勝ったの!? それに!?」
「おう。何回殺されたかわかんねぇくらい大変だった」
「そのくらい大変だったんだね……!」
凡人探索者の世界って普通にFateで考えると頭おかしい神秘でいっぱいなんよな。
かと言ってFateも上澄みはストームルーラーや“建国”すら軽く倒せるし、極端なんや!
お前らは!
多分AUOが味山くんを見つけると死にかけるレベルで笑ったあと真顔でゴキブリを見るような目をして無理難題を吹っかけると思います。好感度はくっそ高いんじゃないかなぁ。
アシュフィールドを除いたアレフチームは好かれる感じがする。
臨時アレフ2さんは今“半神"だから多分嫌われるんじゃないかな〜。