凡人探索者のたのしい異世界紀行   作:レトルトところてん

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なんか書いてて自分で笑っちゃうぜ。

続きです。


耳男さっさと解禁してぇなぁ!


TIPS€ 5話 英霊エミヤの攻略について

 

 

 

 

 

 

「ᚨ(アンサズ)!」

 

 

 

 突如8つの大きな火の玉が空中に現れ、とてつもないスピードでアーチャーを追跡する。

 

 その炎が持つ膨大な熱量で辺りの空間が歪んで見える。

 

 

 

「フッ……ッ!」

 

 

 

 

 脚に力を入れ、前傾姿勢になりながらクーフーリンの周りに浮かぶ炎を見つめるアーチャー。

 

 

 

 飛来。

 

 

 

 前方、挟み込むように2つの火球。

 

 

 敢えて2つの火球の真ん中を通り、そのまま直進したところを更に火球が迎え撃つが、それも飛んで回避。

 

 

 空中に飛んだアーチャーを残った5つの火球が包み込もうとするが

 

 

 

 

投影、開始(トレース・オン)

 

 

 

 

 いつの間にか生み出されていた弓に6()()の剣をつがえ、撃墜する。

 

 

 

 そのままの勢いで空中から落下し、クーフーリンの元に着地。

 

 

 またもやどこからかアーチャーの手元から現れた二振りの白と黒の剣を振りかざし、クーフーリンがそれを杖で捌く。

 

 

 

「あまり芸がないな。やはり狗はしつけなければ芸など覚えるべくもないかね」

 

 

 

 鍔迫り合い。

 

 

 余裕を保った表情のアーチャーと、無表情のクーフーリン。

 

 やはりアーチャーとキャスターでは能力値補正が違いすぎる。近接戦は少し厳しい。

 

 この戦いはこのまま行けばキャスターの敗北に終わるだろう。

 

 

 

 ほんとうに?

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ッハ! まさかノコノコ魔術師(メイジ)相手に突っ込んでくるとはな! 聖剣の小娘に頭でも溶かされたか? 馬鹿が!」

 

 

 

 

 

 

「……ッ!?」

 

 

 

 

 

 クーフーリンの言葉に目を見開くアーチャー。その注意は自らが踏みしめる地面に向いていた。

 

 

 

 鍔迫り合い、その両者が踏みしめる地面に、輝く紋様が浮かび上がる。

 

 

 ルーン魔術。ケルト神話においてクーフーリンが大神から学びし原初の魔術。

 

 

 その様態は主に文字と円環によって表される。

 

 

 

 

「アーチャーのてめぇが簡単に食い破れる程度の攻撃をこのオレがするかよ! そら! 燃え尽きな!」

 

 

 

 魔法円の中から呼び覚まされるは原初のルーンにより生み出される煉獄の炎。

 

 

 

 地面からそれが吹き出し、アーチャーを包み込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 出てくる様子は、ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ハッ、随分歯ごたえがねぇな。落ちぶれるにも程ってモンが……!?」

 

 

 

 

 勝利を前にし、訝しげに炎に包まれた人影を睨んでいたクーフーリンは何かに気付いたように咄嗟に身体を反らせるが、少しだけ遅かった。

 

 

 

 遥か空から降ってきた1本の剣がクーフーリンの左腕を切り裂いていく。

 

 

 

 

「……野郎、空中で撃ち落としたオレの炎を目くらましに曲射だぁ? 舐めたマネしやがる」

 

 

 

 

「……出来ればこの一撃で仕留めたかったのだがね。生き汚さで言えば全英雄の中でもトップクラスなだけはある」

 

 

 

 

 炎に包まれていた人影が腕を振るうと、湧き上がっていた炎は消え去り、ルーン魔術が破壊された。

 

 

 その手の先にあるのは稲妻のような形をした短剣だ。

 

 

 

 

 睨み合う英雄。

 

 

 

 

 片や全身に軽い火傷を負っている。

 

 

 

 片や左腕を切り裂かれ、クーフーリンでなければ動かすことも出来ない状態。

 

 

 

 戦況はイーブンだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 眺める。

 

 

 

 ただ、英雄の戦いを呆然と見つめる。

 

 

 

 

 

 藤丸立花は誰かを救うことも出来ず、何も出来ないまま後輩に身を守ってもらっている。

 

 

 

 

 

 

 

 何かできると思った。

 

 みんなのために何かしたいと思った。

 

 

 

 

 

 

 誰かを助けることができると思った。

 みんなを助けたいと思った。

 

 

 

 

 

 

 気のせいだった。所詮私はただの一般人に過ぎなかった。

 

 

 カルデアに連れてこられた時は少しだけテンションが上がった。明らかに秘密基地に、よくわからないファンタジー要素。

 

 私だけが持つ適正。

 

 

 それはまるで物語のようで________

 

 

 

 でも違った。

 

 

 

 自分は主人公じゃなかった。きっと、物語の主人公だったら、味山さんを死なせちゃうこともなかったのかな。

 

 

 うん、きっとそうだ。

 

 

 

 今立花にあるのは深い絶望と、己への怒り。

 

 

 

 そして、どうしようもない諦め。

 

 

 

 

 そうだ。普通の人間ならこうなる。

 

 

 

 

 本来なら数々の死線を踏み越え、全てを背負って前へ進む主人公は、今やその華が開花する前に握りつぶされようとしている。

 

 

 

 泣きわめいたせいで身体が熱い。

 

 

 

 酷い風邪をひいた夜の、まるで熱に浮かされたような気分だ。

 

 

 

 

 特に、カイロでも握ってるみたいに暖かい両手が________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぬるぬる、ぬるぬる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぞわり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鳥肌が立つ。

 

 

 

 怖気が走る。

 

 

 

 背筋にドライアイスでも突っ込まれたかのような冷たい感じが藤丸立花を襲う。

 

 

 

 

 真っ当な命を持ち、世界の不変の理を理解する生き物としての本能が、叫び声をあげていた。

 

 

 

 なんだろう。すっごい嫌な予感がする。

 

 

 

 じっとりと血で湿った両手が熱くて、血生臭くて、そして、少し()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 でも、なんだか、全てが壊れてしまうような、そんな楽しい予感がして、

 

 

 

 

 

「ぇ……?」

 

 

 

 

 

 立花の顔が凍りつく。

 

 

 立花が見たもの。

 

 

 

 

 

 

 それは、まるで熱されたかつお節のように踊る、沸き立った血液。

 

 

 

 

 

 

 

 

 よく見ると、楽しそうに踊る血液には人の耳のような形が____________

 

 

 

 

 

 

 おみみだよ!

 

 

 

 

 

 

 小さな小さな、ミニチュアサイズの血液で出来た“耳”が、わらわらと踊っている。

 

 

 

 

 

 

「……うそ、でしょ、? ……あは、あはは! あは、え? なに、これ」

 

 

 

 

 

 

 存外。人は自身のキャパシティを越えた状況に陥ると、その感情の酔いが冷める。

 

 

 

 

 悲劇に染まったその心は、踊り沸き立つ味山の血液によって強引に通常に引き戻された(ドン引きさせた)

 

 

 

 

 

 

 

「きっっっっっもッ!!!!!?????」

 

 

 

 

 

 

 

 両手に踊る血液を全力で振り払い、転がるように味山の死体から離れる。

 

 

 

 

 振り払われ空を舞った血はしかし、空中で静止し、味山の元へ戻り始めた。

 

 

 

 

 

ぎ、ゃハ

 

 

 

 

 

 命の終わり。

 

 人が積み重ねてきた、歴史の終着点。

 

 古今東西、あらゆる人間がそれを覆すために努力し、しかし出来なかった世界のルール。

 

 

 

 

 

 そして、そんなものは辞書に無いと言わんばかりに蘇るバカ。

 

 

 

 

 

「あ」

 

 

 

 

 

 

 

 ぶちまけられた脳漿が戻る。

 

 

 はじけ飛んだ頭蓋骨が戻る。

 

 

 欠けた眼球が戻る。

 

 

 皮膚が、血が、肉が戻っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 風邪の日に見る悪夢のような光景だ。

 

 

 

 

 

「ギャはハハ」

 

 

 

 

 

 でも、もう二度と聞こえることはない声に少しだけ高揚した。

 

 

 

 

 

「あじ、やま、さん?」

 

 

 

 

「ギャーっハッハッハァッ!」

 

 

 

「効きませーンンンンン! って言うとでも思ったかァ!? ふざけんなマジで! 初見殺し多すぎだろうが! 人様の命をなんだ思ってやがる。どいつだ? 俺をぶち殺しやがったくそは。聞かせろ、クソ耳」

 

 

 

 

「あ、あのー……、味山さん?」

 

 

 

 

「あ? 英霊エミヤ? 抑止力? ほーん。まぁそんなことはどうでもいい。能力は? ……え、チートやんけ。まぁ先生居るし何とかなるだろ」

 

 

 

 

 

「あのー、」

 

 

 

 

「あっちだな?」

 

 

 

 復活早々にギラついた目で人の話を何も聞かず走り去っていく異常人。

 

 

 初見殺しの多さ、身分の高そうな人との会話、仕方ないこととはいえ、女子高生に世界の命運を託す大人たちにストレスを感じ、どうしようもなく味山は“酔い”に満たされていた。

 

 

 

 

 

 

「なにそれ。行っちゃったし……」

 

 

 

 

 

 意味のわからない状況が立て続けに起こり、色々と立花は疲れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





神秘の友人たちが本調子じゃないのをいい事におみみさんが調子に乗っているようです。

かわいいですね。(?)
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