ぼっちちゃんの彼氏はバスケ部エース   作:リーグロード

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未来の義妹に気に入られました

 若干冷めたコーヒーとココアを淹れ直しにキッチンへ行っている間に、ひとりの両脇が妹どもに占領されてしまっていた。

 

「へぇ~、この子が兄貴の彼女さんってわけなんだ」

「思ったよりも華奢なのね。てっきり、ゴリラみたいな筋肉女と付き合ってると思ってた」

「あっ、たす、助け……」

 

 漫画やアニメで見たことあるような、陰キャに絡む陽キャみたいな絡み方をされてやがる。

 つか、人の彼女の頬を無遠慮に触ったり、下顎を撫でてんじゃねえ!!

 ひとりの奴、人間に捕まった小動物みたいに震えてやがるじゃねえか。

 

「好奇心で俺の彼女を殺すような真似してんじゃねえ。そいつ、下手したら陽キャとの会話だけで死ぬから取扱いには注意しろよ」

「いや、それ自分の彼女に対しての台詞かよ?」

「兄さんって変なところでデリカシーってのがないのよね」

 

 妹どもから、冷たい視線を向けられる。

 いやでも、あいつマジでこの程度の会話で死にかねないからな? 現に口から魂みたいな白いナニカが飛び出しかけてるし。

 

 俺はココアとコーヒーを淹れたマグカップを二つ持ってリビングに戻り、ココアが入った方をひとりの前に置く。

 

「っで、なんでお前らが家にいるんだ?今日の朝に友達と一緒に旅行に行くって言ってたんじゃないのかよ?」

「いや、そうだったんだけどさ、旅行が始まってすぐに薫ちゃんの親父さんが倒れたらしくて、それで急遽予定を切り上げることになったのよね」

 

 そう説明してくれたのは、下の妹の方だ。

 

「薫ちゃんの親父さんって確か花山組っつう暴力団の頭だろ?それが倒れたってまさか!?」

「いやいや、違う違う。単に家の片付けでぎっくり腰になっただけなんだってさ。まあ、あの親父さんも結構な歳だし、ぎっくり腰でも心配って言えば心配だけど」

 

 俺の反応に苦笑しながら、そう事情を説明する上の妹。

 

 てっきり、敵対する組とのドンぱちでポックリ逝っちまったのかと思って焦ったぜ。

 ビビらせやがってと思ってジト目で妹らを睨むと、その間に挟まれているひとりがポックリ逝きそうな状態になっていることに気づく。

 あっ、これヤベェな。

 そう思った俺は、両脇を固める妹らに軽くデコピンを喰らわして、囚われの身になっていたひとりを救出する。

 

「いってぇ!」

「いったぁ~い!」

 

 そこそこ強めにやったが、デコピン程度で大袈裟な奴らだ。

 まあ、効果音がバァン!とでも鳴りそうな勢いだったのは考えないことにしよう。

 

「お~い!しっかりしろ、ひとり……」

「う~ん、……っは!?」

 

 俺がひとりを正気に戻すと、ガバッと起き上がって状況を確認するひとり。

 そして何故自分が気を失っていたのかを思い出し、慌てて周囲を確認する。

 そして、さっきまで自分が座っていたソファーで額を押さえ苦しむ姉妹を見つけて、自分が気絶している間に何があったのかと、頭に大量の?を浮かべる。

 

「まあ、なんだ。少々強めの躾けをしただけだ」

「えっ、零士君の強めって人が死ぬんじゃ!?」

 

 零士が他の人よりも遥かに筋力があるのを知っているひとりは、その少々強めというのが信用出来ず、額に銃弾を撃ち込んだイメージが浮かんでしまう。

 

「だ、ダメですよ!いくら妹だからって、女の子の顔に乱暴なことしちゃ!!」

「あ~、すまん」

 

 今までひとりに怒られたことのない零士は、まったく怖くないひとりの怒り方に、困ったように謝罪する。

 随分と適当な謝罪ではあるが、それでも零士が謝ったということに納得したひとりは、今も痛がる2人に心配そうに近づく。

 

「えっ、えっと、その大丈夫……?」

 

 ひとりにもふたりという妹がいる為、目の前で痛がる2人が零士の妹であることもあり、自然と自分の妹と同じように接してしまう。

 見ればおでこの部分が若干赤くなっており、心配したひとりは2人に優しくよしよしと撫でる。

 

「「…………///」」

 

 まさかの不意打ちに顔を赤くする姉妹らは、目の前の先程までからかっていた少女に母性を感じていた。

 それから程なくして、正気に戻った姉妹らは兄である零士に詰め寄った。

 

「おい!あんないい人どうやって堕としたんだ!!」

「一瞬、マジでドキッってしかけちゃったんですけど!!」

 

 未だに真っ赤になった顔のままで詰め寄ってくる妹らに、零士は羨ましいだろうとでも言いたげな顔で笑みを浮かべる。

 それに腹が立った姉妹らは、怒りのままにボコスカと殴る蹴るで零士をサンドバッグにする。

 だが、その程度では零士が参るわけもなく、余裕そうな笑みで受け止める。

 まあ、これも一種の家族の絆の表れで、姉妹らは余裕ぶった兄の顔を見て諦めて殴るのを止めた。

 

 そんな妹らを見て、ひとりはオロオロと心配しだすが、零士は気にすんなと言ってひとりにココアを手渡す。

 受け取ったひとりは、それを両手で持ってちびちびと飲み始める。

 零士をサンドバッグにして気も落ち着いたのか、妹らもソファーに戻ってコンビニで買っていたであろう紅茶を飲み始める。

 

「はぁ、クソ兄貴が……」

「無駄に硬いのやめてほしいわ」

 

 そして、2人の息が整ったところで、上の方の妹が話を切り出す。

 

「そういや自己紹介がまだだったな。どうせ兄貴のことだから私らのこと何の紹介もしてねえんだろ?」

「あっ、はい。すみません。何も聞いてないです」

「あ~、謝んなくていいよ。基本、兄貴は家族のことほとんど無関心だし」

「ほっとけ」

 

 ジト目で攻めるように見てくる妹の視線を受けながら、不貞腐れたようにコーヒーを啜る零士。

 そんな兄に特に何か反応を示すわけでもなく、そのまま話を続ける。

 

 そして、妹らがひとりに自己紹介をする。

 

「私は鬼龍院 真奈だ。自慢じゃないが、女子柔道で全国1位を取る程度の実力を持ってる。なんかあったらすぐに私に頼りなよ、お義姉ちゃん」

「そんで、私は鬼龍院 真李よ。お姉ちゃんとは双子の妹。あっ、私は兄さんとお姉ちゃんみたく野蛮じゃないからね。これでも読者モデルとかしてるから、美容やオシャレに関しては私を頼ってね、お義姉さん」

「あっ、はい!えっと、私は後藤 ひとりって言います。その結束バンドってバンドのギターをしてて……、持ちギャグの一発芸はギターでの武田信玄です!!」

 

 妹2人の自己紹介で自分も何か自慢になることをと思ったひとりだが、バンドのギター以外に特に何も思い浮かばず、咄嗟に自虐ネタに走った。

 それを聞いた2人は、先程のひとりとのギャップに頭に宇宙猫が降臨する。

 

「どうだ、俺の彼女面白いだろ?」

「ああ、うん。兄貴が気に入る変人だってのは理解したわ」

「でも、嫌いじゃないわね」

 

 どうやら妹2人からの評価は概ね好評のようだ。

 それにしても、兄である零士君の顔の良さから分かっていたが、姉妹どちらとも顔がいい。

 

 ひとりは、そんな美人な姉妹を見て、自分の容姿に自信がなくなる。

 だが、零士の自慢するような言葉と妹らの反応からして、自分が彼女として認められていることを実感し、少し嬉しくなった。

 

 それにしても、双子と言っていたことから、歳の差はないのだろうが、それでも雰囲気的に真奈ちゃんがお姉ちゃんっぽくて、真李ちゃんは甘えん坊な妹っぽいと感じてしまう。

 

 どっちも綺麗な黒髪で、真奈ちゃんはポニーテール。真李ちゃんはショートのサイドテールという違いはあれど、顔の作りや身長に体つきなどは殆ど同じで、違いといえば姉の方が筋肉質なのに対して妹は華奢でお嬢っぽい雰囲気を出しているところだろうか。

 

 ひとりはそう思いながら、今度は姉妹と兄である零士を見比べる。

 

「えっと、やっぱり、兄妹だから当然ですけど、3人共似てますね。特に、零士君と真奈ちゃんって凄く似てて、どことなく顔立ちとか雰囲気とか……」

「「…………」」

 

 ひとりの言葉に、零士君と真奈ちゃんは苦虫を嚙み潰したような顔になる。

 何かまずいことでも言ってしまったかと怯えていると、真李ちゃんがこっそりと事情を話してくれる。

 

「義姉さんは何も悪いこと言ってないわ。ただね、私達って父親が同じだけの腹違いの兄妹なのよ。だから、兄さんと私らが似てるってなったら、嫌いなお父さんの血が強く出てるってことになるのよ」

「あっ、ご、ごめんなさい!」

「別に義姉さんが謝る必要はないわ。それに、いちいち血の繋がりどうこうで反抗するのもガキっぽくて馬鹿みたいよね」

「うっせえな。嫌なもんは嫌なんだよ」

「私も兄貴の意見に賛成!」

 

 この中で一番の年下である真李に諭されて、ブー!ブー!と文句を垂れる2人に、真李ちゃんは呆れたようにため息を吐く。

 

「はぁ……、まあ、義姉さんが気にすることないわ」

「あっ、はい。分かりました」

 

 それからは、特にこれと言った話題もなく、ひとりがココアを飲み終えるまで4人で雑談を楽しんだ。

 

「んで、マジな話で兄貴はどうするつもりなんだ?親父の奴、今も見合い話を持ってきてんだろ。絶対に兄貴の意見なんざ無視するぜ」

「関係ねえよ。その為に親父の関係者とかいねえスポーツの道選んだんだからよ。プロになったら速攻で家出て結婚するつもり」

「へぇ、やっぱりそういう目的でバスケ選んだんだ。っていうか、やっぱり近い将来にこの人が私らの義姉さんになるのね」

「あっ、へへへ……、よろしくお願いします」

 

 真李の言葉にひとりは顔を赤らめながら媚びを売るように頭を下げる。

 

 それからも4人は他愛のない話を続けていき、時刻はもう夕方の5時になる。

 窓から覗く景色も夕暮れになっており、ひとりがそろそろ帰ろうかと提案すると、零士は飯ぐらい食って帰れと言って引き止める。

 それには真奈と真李も賛成し、今夜の晩飯は鬼龍院家でご馳走となることになった。

 

 ちなみに、晩御飯を用意してくれたのは零士君で、凄く美味しかったとここに記しておきます。




ごめんなさい!パロディ回は死にました!!

もし見たい人はこちらのリンクからどうぞhttps://syosetu.org/novel/358985/
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