ダンジョンに黒い沈黙を向かわせたのは間違いではないはず 作:ピグリツィア
口が軽そうなベルについては後で対策するとして、今後のダンジョン探索の予定を決めないといけない。
「ベルがランクアップしたからもっと下層まで行ける様になると思うんだけど、リリルカはどうするんだ?」
「ランクアップですか…できればこれからもサポーターとして雇って頂きたいですけど流石に力不足ですかね」
更に下の階層に行くにしてもベルとリリルカの二人だけだとベルの負担が大きすぎるか。まだ18階層に行くには力不足感が否めないな。
「僕はまだリリルカと一緒に居たいけど…ローランさんはどう考えてますか」
「ん“ん“っ」
「悶えるなリリルカ。俺としてはもう2、3人仲間が欲しいと思ってる。流石に非戦闘員を抱えながら中層に行くにはベルの負担が大きすぎるし経験も足りないからな」
身体能力でごり押し出来る程護衛ってのは甘くないんだ。何かあってからじゃ遅いし慎重すぎるくらいが良いだろう。
「3時間くらい継続的に全力戦闘できるなら十分だろうけど、流石に無理だろ?」
「1時間がギリギリですね…」
「ローラン様は何処を目指しているのですか…そんな3時間も連続で全力戦闘する事態になったら適正レベルの4人パーティーでも潰れてますよ」
…だそうだ。ふむ、そうかそうか。
「パーティーについてはリリに任せた!俺はベルを鍛えに鍛えまくるぞ!」
「ええ…」
「なんと言うか、本当なんなんですか、ローラン様って…」
流石に他のファミリアの人間に俺の内情を話すのは憚られる。信用していない訳じゃないけどな。
「新しい仲間を増やすとして…ベル様、冒険者を始めてどれ程経ちました?」
「1か月半くらいかな?」
「ですよねぇ…流石に早すぎるんですよね。かのアイズ・ヴァレンシュタインと違って大手ファミリア所属という訳でもありませんから、好ましくない輩が寄って来るでしょうね」
「そうだよなぁ…」
ベルは妬み嫉みを一身に受ける羽目になるだろうな。まだお上りさんの雰囲気が抜けてないベルをカモと見て甘い汁を啜ろうとする奴も出るだろうし…
「厄介だな」
「厄介ですね」
「?」
ベルはよく解っていなさそうだがそんな時のためのリリルカだ。なにも知らないわからないベルのために奔走して貰おう。
「なにか必要なものとかあったら教えてくれ。出来る限りは用意するから」
「はい、頼りにさせてもらいます」
その後は他愛もない話をして時間を潰し、バイトから帰ってきたヘスティアを含めて食事に行った。
「ほらベルくん!これ美味しいよ!はいあ~ん!」
「あっズルい!ベル様!こっちも美味しいですよ!どうぞ!」
「あわあわあわわ、ど、どうしたら良いんでしょう!?」
「自分の思うがままに行動すれば良いんじゃねーかな、しらんけど」
乳繰り合うのは構わないけど俺のいないところでやってくんないかな。こういうのを見ていると複雑な気分になる。
「随分と甘ったるいブラックコーヒーだなこれ」
深夜、ベルが寝た頃。本を読みながらヘスティアを待つ。
「ローラン君、起きてるかい?」
「ああ、起きてるよ」
「ごめんね、夜更かしさせちゃって。どうしても気になることがあって…」
「こういう事は慣れてるから大丈夫だ。で、相談ってなんだ?」
寝ずの番なんて都市で仕事をしていた時には何度もあったからな。血染めの夜の時は…あれはほぼ昼夜逆転してたから別か。
「それで、ベル君のステイタスの事なんだけどね」
「発展アビリティか?」
「それもあるんだけど…新しいスキルが発現したんだ」
新しいスキルか。強力なスキルであれば嬉しいが…
「どんなスキルなんだ?」
「それが何も分からないんだ。何をしたら良いかも何が起こるかも分からないんだよ」
何も分からないなんて事ある?全知零能とまで言われた神が?どんなスキルだよ。
「そんな訳でとりあえず見て貰おうと思ったんだ。君なら何かわかるとまでは言わないけど今後の指針くらいは相談して決めておきたかったからさ」
そう言って一枚の紙を差し出してくる。その内容はと言うと…
Lv:1
力:SS1032
耐久:SS1088
器用:SS1067
敏捷:SSS1108
魔力:A896
《魔法》
【ファイアボルト】
・速攻魔法
《スキル》
【憧憬一途】
・早熟する
・懸想が続く限り効果維持。
・懸想の丈により効果向上。
【光の種】
・憧憬を目指し続ける意志
「嘘だろ…」
俺は頭を抱えた。光の種ってアレだろ?EGO発現のきっかけになり、ねじれの原因にもなる…
「え、何、まさか…とんでもなくヤバい物?」
「下手すりゃオラリオが崩壊する程度には」
「…まっさか〜!この世界の最高戦力が集結していると言っても過言じゃないこのオラリオが崩壊するなんて…冗談だよね?」
自らが制御EGOが発現したならそれで良いが、もしねじれた時は…個体差はあれどどれも一般人が太刀打ちできる様な存在じゃない。
「ち、ちなみに最悪の場合どんな感じになるの?」
「…俺が見たのは街のど真ん中に急に現れて30万人を一掃してたな」
「さんっ!?」
ああ、とんでもなく嫌な気分だ。確かに利点もあるんだろうがあまりにもリスクが大きすぎる。
「クソッ!なんでこんな事になったんだ!?」
「わ、分からないよ…」
思わず溢れた叫びに怯えたヘスティアが目に映る。そうだ、今一番不安なのは彼女だった。
「…悪い、取り乱した。とりあえず対策を考えておくから、ヘスティアは今日のところはもう寝ると良い」
「う、うん…」
俺一人じゃどうしようもない。こんな時こそ仲間の力を借りるべきだろう。
アイズとベルが訓練した所に来た。ここなら人目も無いだろう。
「アンジェラ!」
(さっきの会話は私も見てたわ。言っておくわよ、私は何もやってないわ)「じゃああれは何なんだ!?」
(分からないわよ。こっちでも調べては見るけど期待はしないで)
きっとアンジェラの言葉は嘘じゃ無いんだろう。今更こんな事をする理由もないし、何よりアンジェラは光の種を集めていたんだ。ばら撒いたのは彼女の意思じゃないんだから。
「じゃあ俺はどうすれば良い?ベルがねじれる事態だけは絶対に回避しないと」
(光の種を回収するのは現実的じゃないわ。あの時の蘇生は集めた光の種をリソースにしたから、ベルを一度本にしても蘇生はできないの。かといって放置するのも良くはないわね)
「…EGOか」
(今のところはそれが一番現実的ね)
ベルをねじれさせずにEGOを発現させる。それしか手はない。
(こちらからゲブラーを送って話をさせるのも良いけれど、そちらに居るはずの赤い霧から助力を得るのも良いわね)
「つまりさっさと赤い霧を見つけろって事か」
場合によってはアイズに事情を説明してロキファミリアの力を借りられる様にしておきたいな。信じられるとは思わないが。
(私たちの方で出来る事があったら報告するわね)
「…ああ」
今までで一番とんでもない事が起こったな…いつ爆発するか分からない特大の時限爆弾を何とか解体しないと…
〜ローランの異世界見聞録〜
本格的にとんでもない事になってきたな…一ヶ月半でランクアップがしょぼく見える程度にはヤバいものが出てきた。
とにかく今は赤い霧を探そう、いざという時に頼りにできる戦力は多ければ多いほど良い。
『作者からのお知らせ』
赤い霧の方を書くためにこっちはしばらく休載します!社会人が一週間に一話はアホほどキツイんだね…僕学んだよ…
ここからは余談
なんかさぁ、LORがコンシューマー機で出るんだってさ。まあそれはわかるよ。名作だしストーリーは神だしな。純真無垢なお子様の多いSwitchでアレを出すのはちょっとどうかとも思わなくもないけども。
日本語ボイスが付くってマジ?もしかして星落ち詠唱もフルボイスで聴けるんですか!?期待しても良いんですよね!?ケツ振って待ってますよ!?