日本-冬木の街の11月某日
毎度訪れるこの雪は、本日は特に多く積もり細い道路は通せんぼされてしまうくらいの豪雪だ。
ここ、俺の住んでいる衛宮家も例外ではなくこの豪雪に果敢に立ち向かっている。
「士郎、次はどこの雪かきをすれば良いですか」
凛とした、それでいて覇気があって優しい声でセイバーは問う。
「ああ、次は___」
俺も一緒に取り組みながら庭と道路の雪をどかしていく。
雪の白さと吐く息の白さが混じり合い、空に溶けていく。
昔はじいさんと時々藤ねぇと一緒にやったもんだけど、今は2人だけ
でもその2人だけでもなんていうか胸が暖かい。
この胸の暖かさがつい今言うべきでもない、何でもないことを話してしまった。
「なぁ、セイバー」
あぁ、大丈夫だろうか、声は震えてなかっただろうか。きっと大丈夫。もし震えていても
それはこの雪の寒さから来る震えであり、決して緊張しているわけではない。
「はい、なんですか?士郎」
セイバーが俺に振り返ってくる。少し距離があったもんだからこちらに駆け寄ってきてくれる。
彼女は汗1つかいておらず、また呼吸も乱れていない。それでいて綺麗な声。
「あぁ__なんだ。いつもありがとう。一緒にいてくれて。」
それだけ、ただそれだけだったけど振り絞った言葉。
声の震えは寒さに溶けていくだろう。きっとバレてない。でも不思議と顔は熱くて
さっきまで凍り付いていたはずの顔なのに今はすっかり熱を帯びている。
「士郎、私も普段からずっと感じています。最初から今この時までずっと___」
セイバーが近寄る。俺も歩みを進める。さっきまでは3歩ほどの距離だったはずなのに
今は目の前に彼女がいる。
雪は今も降り続けている。それでも今はこの2人の間の雪は熱で溶けていくだろう。
すっかり元通りになった庭と道路を見て
______
セイバーと褥を共にする事は1度や2度じゃない。俺だってもう子供じゃないはずだが
セイバーの前では自分が子供に感じてしまうことがある。
想いと身体を重ねるたびにその細く傷1つ無い身体で国と民を引っ張ってきたのを何度も思い知った。
ある時聞いた事がある。セイバーの人生についての事。
彼女から語られる当時の様々な思い出は後の歴史となり、話している間は時に楽しく、最後は険しく切ない顔をした。
忠臣と裏切りの騎士、ランスロットと妻ギネヴィアの不倫。円卓の崩壊。
息子との相討ち。その後の世界との契約___
思わずセイバーの手を握った。
「今は俺がいる。皆がいる。だから__」
「あの時に、士郎がいてくれたらと何度も思いました。あの時は私を叱ってくれる人は少なかったものですから。」
自虐気味に言うその顔に俺は胸が痛かった。
過去より未来を生きよう。なんて言葉もある。いつまでも後ろめたく生きるのではなく先を見る事。
それは、俺には言えないだろう。正義の味方になること。これはじいさんの思いなのだから。
たまらず唇を重ねる。どうしていいか分からなかったのもあるが、そうした方が良いと思ったからだ。
「ごめん、なんて言えばいいか分からなくて。」
「ありがとう、士郎。嬉しいです。士郎を感じることができますから。」
そのあとはよく覚えてない。
ただ俺はこれからを守ろうと決めた。正義の味方として、1人の男として。
初めて小説書いてみましたがこれ1000文字からなんですね
ちょっと後半文字稼ぎみたいになってしまいました。