羂索とイチャラブしてたら世界が平和になった話   作:フロッグマン

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時系列としては仁と羂索がくっついたあと10年後くらい
短いですがどうぞ

あと、本作のHパートをR18の方で書きました。
リンクを貼るのは流石にあれなので貼りませんが、気になった方は是非。


ある夏の思い出

「はあ、こんなかわいい妻を置いてギャンブルに行くとは。相変わらず舐めたことをしてくれる」

 

 広いリビングのテーブルに腰掛けている羂索が一人そうつぶやく。

 はあ、ともう一度、今ここにいない旦那の姿を思い出し、ため息を付く。

 早く帰って来ないかなと。

 

 昨日から、仁が仲のよい友人たちと東京へボートレースを見に行っている。

 

 羂索の愛しの旦那の趣味は主に3つ、武道、アニメなどのサブカル、そしてギャンブルだ。

 

 3つのうち、武道は羂索もある長い人生の中で収めているので理解がある。何なら一緒にやっている。

 

 サブカルに関しては興味がなかったが、子育てや旦那の事業を通じて一緒に見ていくうちに面白さを理解できる様になってきていた。まだハマってはいないが。時間の問題な気もしている。

 

 ただ、3つ目、ギャンブルに関しては何が楽しいのか、羂索は未だに理解できずにいた。

 酒と女とギャンブルは男を狂わせるという。

 

 やめさせようかとも思ったが、聞くところによると競馬で大金何度も当ててるらしい。今の事業の元手もそこからだと聞く。

 

 まあ、仁の場合、学生時代は酒、女、ギャンブルにハマっている3アウト状態だった。そこから、未だに続けているのはギャンブルだけ。多少は見逃してやろう。旦那の趣味に理解を示す、それも良い女の条件だ。というのが羂索の意見だ。

 

 そうなると自分も仁に合わせて一緒にやろうかとも思ったがやめた。仁にも男友達とワイワイする時間が必要だろう。どこまでも妻である自分が出張ってくるのは仁からしても息苦しいはずだ。

 

 その結果、1年のうち数回、仁がギャンブルをやりによそへ出かける日は、仁と離れて過ごすことになる数少ない日になった。

 

 はあ、ほんの少し前まではまで一人で過ごす夜になんとも思わなかったというのに、今は仁がそばにいないと落ち着かんな。

 そう考え、また大きくため息を吐く。

 

「ねえ、お母さん、これなんだっけ。」

 

 声の方に視線を向けると、教科書を開き、うーんと唸っている息子、悠仁と視線が合う。

 今は夏休みも終盤だ。香凜が計画的に宿題をしていたのに対し、ほとんど手をつけず過ごしていた悠仁、ここに来て羂索にレッドカードを出され、一緒にお勉強と相成った。

 

 この子は地頭は良いはずなんだけどな。私と仁の子供だし。

 悠仁の手元を覗き込むと何やら歴史の勉強をしているようだ。はあ、つい最近まで地域の歴史とかやってたのに、悠仁もそんな年になったのか。

 

 うーん、どれどれ、鎌倉幕府成立時期だ?うーんいつ頃だったろうか?なかなか難しいことを勉強してるんだな。あの時代、明確に鎌倉幕府作ります、と宣言はしていない。あくまで未来でつけられた名称だ。となると頼朝の立場が盤石なものなったタイミングだよな、ということは義経を殺した頃か?となると建久3年か。いや、平氏を滅ぼしたタイミングか?となると元暦2年のころか?ん?元暦2年って西暦何年だ。

 

「ちょっと待てよ、今思い出す。少し待て、知らないわけじゃない。」

 

 そう言い、指折り何やら数え始めた母を疑わしげな目で見る悠仁。

 

「1185年だ、間違いない。どう?」

 

 そう言って嬉しそうに悠仁の方を見る羂索。

 

「あ、1192年だって」

 

「はあ、そんなわけない。なんでだ……、いや、待てよ。征夷大将軍になったのはその頃か。うん、じゃあまあいいのか。私は1185年でも良いと思うけどなあ。」

 

 そう言い、息子にいいところを見せられなかったことにしょんぼりと小さくなる。

 そんな母を見て、少し可哀想だと思い、悠仁が追加の質問をする。

 

 「ああ……あれ?これもわかんないやお母さん教えて。」

 

 本当は悠仁でもわかる、しかし母のためにあえてわからないふりをして質問する。

 悠仁が新しく指さした先には『本能寺の変で織田信長を殺したのは誰か?』という問題が書かれている。

 それを見た瞬間、羂索の顔がぱあっと明るくなる。そしてフンと、その大きな胸を自信ありげに突き出す。

 

「簡単だ、犯人は禪院直隆だ。当時、信長は朝廷、強いては…」

 

 そこまで自信満々に言い、そこからサーと、青ざめる。

 

「今聞いたことは絶対他所で言っちゃだめ。今すぐ忘れる。いいね。」

 

 悠仁の胸ぐらを掴み、ゆすりながらそう言う。

 母の豹変に驚き、ただうんうんと頷く悠仁。

 

「ああ、仁は今頃ボート中かな」

 

 悠仁からぱっと手を離すと、羂索は時計を見てそうつぶやく。

 

「そ、そうだね。」

 

 あからさまな話題変更、しかし、悠仁はこれ幸いと話題に乗っかる。

 

「何事もなく、無事戻って来てくれるといいんだけどなあ」

 

 そう言って、唇を尖らせる。

 

「まあ、お父さんなら大丈夫じゃない」

 

 悠仁はそう答える。その答えは何も母の心配をほぐそうとして出たおべっかでは無い。

 悠仁が最も強い人は誰だと思うと聞かれたとき、答えは決まっている両親だと。これを学校の先生なんかに言うといつも微笑ましいものを見るような目で見られるが悠仁は本当にそう思っている。

 

 2年前の話になるが、仁が車に轢かれそうになった女の子をかばい車と衝突。結果車がぶっ壊れたが父親はピンピンしていた現場を目撃している。

 

 父の留守に忍び込んできた3人組の泥棒を母が半殺しにして警察に突き出したのも知っている。

 故に、悠仁は母の答えに驚くことになる。

 

「そうは言ってもなあ。お前がまだ小さいとき。あいつ喧嘩して入院するほどの大怪我したんだぞ。」

 

 思わず、悠仁があんぐりと口を開ける。

 その様子がよほど面白かったのか、羂索が話を続ける。

 

「あれは悠仁が3歳くらいの頃かなあ。今日みたいに友達とボートレース見に行ってたんだけど、お父さんの友達の徳道おじさんいるだろ、ラーメン好きの。あの人が他の人にぶつかって、そいつの態度があんまりなもんで喧嘩になったんだって。ただ、相手がとっても強かったみたいでボコボコだよ。今と違って、昔は少し喧嘩っ早かったからな。あいつが今みたいに本格的に体を鍛えるようになったのはあの頃からかな。私や子供を守るためだって。はあ、大好き、早く帰ってこないかな。」

 

 途中から惚気話が入ってきたが、何故か一連のエピソードは悠仁の心のなかに深く残った。

 あの父よりも強い人間がいること、世界の広さを思い知らされたようだった。

 少し真面目な、何か考えるような表情をしている悠仁の頭を、羂索はぽんと撫でる。

 

「悠仁、強くなりなね。なにも力だけじゃない、勉強も、人間関係も全部強さだよ。何かを守る、己が目標を達成するにはそれが必要になる。私はそうやってきた。」

 

 そう言ってポンポンと頭を撫でる。

 うんうんと、わかってるんだかわかってないんだか、何やら神妙そうな顔で悠仁が頷く。

 

 最初は実験動物みたいなものだった。仁は好きだ。ただ、悠仁は仁と私の子供だから、仁が好きだから好きだった。

 ただ今は純粋に、悠仁もかわいく思える。仁のほうが好きだが。

 

 子育てもなんだかんだ悪くないな。

 そう思い、羂索はもう一度悠二の頭を撫でた。

 




TIPS
 宮城県、資産家一家強盗未遂事件
 主人の留守を狙い、強盗に入った3人組の男を、香織が半殺しにし撃退した事件。
 女性が複数の男性を撃退して解決した事件のため、一時期注目を浴びたが、不可解な点が多数指摘されている。近所のコンビニの監視カメラに犯行直前の犯人グループと思わしき人物たちが写っているが、4人組であった。まだ捕まっていない共犯者の存在が予想されているが、逮捕されたのは3人のみ。逮捕された3人についても、心神喪失の状態であり、事情聴取ができない状態となっている。今なお謎が多く残る事件。関係のない話だが、事件後、虎杖家の庭の花が今まで以上にきれいに咲くようになった。

 仁の大喧嘩
 ギャンブル仲間と競艇中、メンバーの一人が他の客と接触。ラーメンをひっくり返されてしまう。接触相手の態度があまりに悪く、キレた仁と相手が殴り合いに発展。結果仁がボッコボコにされた。ただ仁もかなり強く、完全に油断していた相手は仁のパンチをガード越しに受けて腕を骨折している。結果仁は1ヶ月入院。喧嘩相手も全治1週間。喧嘩相手は何やら重要な仕事をケガのせいでパスすることになったらしい。


感想ありがとうございました。
自分はメンタルがゴミクズなので怖くて読めませんでが、読んだら元気が出ました。

また、誤字指摘ありがとうございます。
読む側だと知らなかったですけどあの機能すごいですね。
めちゃ感謝です。



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