──人々が在る限り、無辜の怪物は現る。憐れむならば、罪を創る創造主にならんことを──
※別名義で別サイトに投稿済です。

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無辜の怪物たちの交響曲

 ■■■■■・■■■■が〝物語〟に()れる。

 ■■■■が〝(シロ)〟だと信じ、憐れみ、慈しむ物語に耳を傾ける。

 それらは一見(いっけん)、荒唐無稽で雑多なようにも思えるが、彼を想う気持ちは、人それぞれということ。

 

 なぜ、彼を憐れむのか。なぜ、彼を想うのか。

 なぜ。彼に惹かれるのか。

 

 その秘め事を暴くのは、はばかられる。だがしかし。

 

 無辜の怪物が他人事(たにんごと)ではないこと。

 無実の罪、という装束が、常に誰かのクローゼットに入っていて、ハンガーにかかっていることを忘れてはならない。

 着せようと思えば、おまえにいつでも着せられる。

 常にそばにある。

 

 それを。

 彼が想起させる。生ける警告。遅効性の警鐘。

 いずれはおまえも、こうなるかもしれないと。

 

 あるいは、もうすでに起こったこと。

 

 ゆえに、我らは彼を一層、憐れむのではないだろうか。

 共感──共鳴し合っている。今日(こんにち)も。

 

 ではなぜ、無辜の怪物は生まれる? なんのために。

 

 それは、我々が無辜の怪物となることを、()けるためであろう。

 贄に捧げられた、人間以下のヒト。

 

「オォ……マスター、あなただけは……罪を……着せられないように──」

 

 こうして、無辜の怪物は罪を望み、罪を被り、罪を呑み込んだ。

 

 ──人々が在る限り、無辜の怪物は現る。

 憐れむならば、罪を創る創造主にならんことを──

 

 ある者は四つの愛を、この世に見いだした。

 一つは家族愛。

 一つは、性愛。

 一つは友愛。

 最後は、神の愛。

 

 家族愛は自己犠牲のうえで成り立つもの。

 性愛は見返りを計算したうえで成り立つもの。

 友愛はお互いの性格を楽しむうえで成り立つもの。

 神の愛に成り立ちは不要。ただそこにある無条件の愛。どんなおまえでも愛してくれる、傲慢な愛。

 

 だが、条件を満たさなければ、神に愛されず、天国には行けぬという。

 

 神を信じるか。神の使徒を信じるか、板挟みになる信徒よ。

 

 あるいは、なにも──己自身さえも信じぬ者よ。

 

 迷うときは、罪を着せられた者を思い出せ。

 糸を紡がねば、布が、服が生まれないように。罪もまた、誰かが紡いだ作り物である。

 人が罪を作り出す。人が悪人を生み出す。そして、人が悪人を裁く。さらに、人はその悪人を善意で救いあげようとする。

 この醜さ、むごたらしさよ。まさに、滑稽。

 悪人がいなくなれば、人はまた、悪人を探す。

 悪人がいなければ、人は、罪を作り、着せる。

 そしてそしてそして──その罪を脱がせようとする。

 これぞ、救い。償い、とうそぶいて。

 罪を脱げ、と命じる。がんじがらめの鎖を。

 

 なんと、愚かなことか。しかし、もっとも愚かなのは、我である。

 我もまた、罪の創造主となってしまった。

 

 であれば、物言わぬ石となろう。(もく)




 読んでくださり、ありがとうございました。

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