安守ミノリの苦痛、そしてその驚くべき解決法

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安守ミノリの分裂

 

 

 

~某日、モモトークにて~

 

 

ミノリ

「困ったことが起きた。助けてくれ」

 

先生

"何があったの?"

 

ミノリ

「あたしは遂にチェリノ元会長率いるレッドウィンター事務局員を退け、会長の座を手にしたんだ。しかし、この先どうすればいいのか悩んでいてな……」

 

先生

"というと?"

 

ミノリ

「ああ。どう自分にクーデターを起こせばいいのか考えているんだ」

 

先生

"……え?"

 

ミノリ

「権力を手にしたものは皆、欲へ溺れていく。そうならないように常日頃から気を配ってはいるが、いずれあたしもそうなるかもしれない。その時のために、どうすればいいのかを考えていた。その時に気が付いたのだ。クーデターを起こし、あたし自身を権力の座から引きずり下ろせばいいのだと」

 

先生

"…………???"

 

ミノリ

「だが、これには大きな問題がある。あたしが一人しかいないということだ。どうにか解決できないだろうか、先生?」

 

先生

"えっと……一応アテはあるから、聞いてみるね。少し待ってて。"

 

ミノリ

「了解だ。吉報を待っているぞ」

 

 

 

~山海経 錬丹術研究会・サヤの研究室~

 

 

先生

"……というわけなんだけど"

 

サヤ

「ふむふむ、それでぼく様のところに来たのか……英断なのだ」

 

先生

"それで……何か名案はある?"

 

サヤ

「一人の人を二人にする薬が確かこの棚に……あった。一応実験はして効果は確かめてあるから確実なのだ」

 

先生

"確かに問題は解決できそうだけど、安全なの……?"

 

サヤ

「身をもって体験はしたから大丈夫なのだ。ただ、刺激に弱いから現地で調合する必要がありそうなのだ」

 

先生

"身をもって体験……?"

 

サヤ

「うっかり躓いたら薬が自分にかかってぼく様が二人になったのだ。あの時は大変だったな……」

 

先生

"……本当に大丈夫?"

 

サヤ

「大丈夫なのだ……多分」

 

先生

"だといいけど……"

 

サヤ

「さて、それじゃ出発するのだ。大船に乗ったつもりでぼく様に任せるのだ」

 

先生

(心配だなぁ……)

 

 

 

~レッドウィンター連邦学園・中央通り~

 

 

ミノリ

「待っていたぞ、先生。……と、その隣にいるのは誰だ?いかにも怪しげなマスクを着けているが」

 

サヤ

「君がミノリ?ぼく様は天才錬丹術研究家の薬子サヤなのだ。今日は割と危険な薬を作るからちゃんとマスクを用意したのだ」

 

ミノリ

「……先生、何を頼んだんだ?あたしは自分を権力の座から降ろす方法を探していたんだが」

 

先生

"サヤがミノリを二人にしてくれるんだってさ。"

 

ミノリ

「……本当か?それなら確かに問題は解決だな!」

 

サヤ

「……そしたら成分をあえて不安定にして人格が分裂するようにして、完成!これで完璧なのだ!」

 

ミノリ

「これ、本当に飲んで大丈夫な薬か?緑色に輝いているんだが……」

 

サヤ

「なーに、いつもの事なのだ。だよね、先生?」

 

先生

"そ、そうだね……。"

 

ミノリ

「ならば仕方ない、か。……ええい、ままよ!」

 

(ミノリは瓶に入った緑色に輝いた液体を一息に飲み干した。するとミノリの体から煙が噴き出て、その中から二人のミノリが現れた)

 

サヤ

「さて。あとは経過観察をするのみなのだ」

 

ミノリ1

「けほっ、けほっ……一体どうなったんだ?」

 

ミノリ2

「これで私はクーデターを起こせるんだな!?」

 

ミノリ1

「何!?それよりも前に週3日労働を実現し、皆がプリンを2つずつ食べられるようにしなくてはならない!」

 

ミノリ2

「ぐっ……しかしレッドウィンターの寒さはどうする!?そもそも、会長の座が存在している時点で真の平等とは程遠いではないか!!」

 

ミノリ1

「それはだな……」

 

サヤ

「こうなるだろうと思ったのだ。どうせ同じ人が二人いても何も解決しないのだ。世の中は世知辛いな……」

 

先生

"サヤ、こうなるって分かってたならなんで止めなかったの……?"

 

サヤ

「実験をするためなのだ。彼女は自分と争うことができて、ぼく様は実験ができる。Win-Winの関係なのだ」

 

先生

"そうかなぁ……?"

 

(それからしばらくして……)

 

ミノリ1

「やはり……こうなるのか。残念だ」

 

ミノリ2

「ようやく本性を現したな、このブルジョワジーめ!こうなったら武力で解決を……」

 

チェリノ

「カムラッドから救援を求められたから様子を見に来てみれば……なんだ、これは?」

 

トモエ

「目の錯覚……ではないみたいですね」

 

マリナ

(なんで自分同士で争ってるんだ……?)

 

ミノリ1

「チェリノ会長……いや、チェリノ"元"会長とレッドウィンター事務局の面々ではないか。どうしてここに?」

 

ミノリ2

「よりにもよってこんな時に……!」

 

サヤ

「先生が呼んだのか?」

 

先生

"うん。このままだと決着がつかなさそうだったからね……こうするのが早いかなって。"

 

サヤ

「面白かったからもう少し見ていたかったのに残念なのだ」

 

チェリノ

「何が何やらよく分からんが……とにかく粛清だ!マリナ、やれ!」

 

マリナ

「分かりました!皆、前進だ!」

 

保安委員

「おおー!」

 

ミノリ1

「こうなったら……もう一人のあたし、この場は協力だ!」

 

ミノリ2

「ふっ、仕方がないな……この戦いが終わったら改めて決着をつけよう」

 

サヤ

「あ、そういうことならこの予備の薬も使う?この人数差だと大変だろうし」

 

先生

"サヤ?何してるの?"

 

サヤ

「何って、薬の予備をあげただけなのだ。ぼく様はこの争いにはなーんにも手を貸してないのだ。いいね?」

 

先生

"良くないよ!!!"

 

(あちこちで煙が出てはミノリが増えていった)

 

ミノリ3

「体が闘争を求めている……ここが今回の戦場か?」

 

ミノリ4

「やはりクーデター……!!クーデターは全てを解決する……!!」

 

ミノリ5

「プリン……プリン……」

 

ミノリ1

「全ての私に告げる!労働者の権利と自由、そして……何よりプリンのために、あたしたちはブルジョワジーには決して屈しない!」

 

ミノリたち

「そうだそうだー!」

 

チェリノ

「なんなのだこれはー!!!」

 

 

 

(その後、薬の効果が切れてミノリたちが消えるまで戦いは続いた)

 

(サヤにはきちんと叱っておいた)

 

 







 お久しぶりの方はお久ぶりです。リハビリ兼息抜きでショートストーリーを書きました。セリフ形式、いいですね。とても読みやすいし書きやすい。


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