戦闘描写難しい……………いまいち伝わってなかったら申し訳ないです……
最悪アニメを見るか読み飛ばす等の対応をよろしくお願いします。
「カハっ………!げほッ、げほッ……!」
急な息苦しさを感じて、俺は目が覚めた。てっきり俺はバタフライエフェクトによって死んだもんだと思っていたので、まさか彼と同じく助かるとは思っていなかった。しかし、朦朧とする意識の中、遠坂らしき女性の声がぼんやりと聞き取れた気がする。もしかして、原作同様に彼女が助けてくれたのだろうか?
そう考えながら、自宅に帰るべく立ち上がろうとする。
「ぅ…、ぐ……!」
しかし、流石に一度死にかけた影響からか身体に全く力が入らない。なので一旦潔く諦めて仰向けになり、今の状況の整理とこれからについて考えることにした。
「はぁ……はぁ……!俺は、あの
厳密には既に“殺された”というのが正しいのだが、今確かに生きている以上は殺されかけた、と表現しても良いだろう。誤差の範疇だ。
「だけども死亡が確定しているであろうあの出血量で俺が生きているということは後から来た誰かに助けられた……ということだろう」
もし助けられたとするのなら、それを実行した相手は遠坂の可能性が高いだろう。原作では目撃者である俺を追いかけて死んでる俺に治療を施したのは彼女であったのだから。
そこまで考えて、ハッとした。遠坂が治療したのなら、それをした際に使った宝石が近くにあるのでは無かろうか?と。そう考えた俺はゆっくりと起き上がり、辺りを見回す。
「……あ、あった。きっとコレだ」
ルビーのように紅いハート型の宝石、もといペンダントが俺の直ぐ側に落ちていた。記憶の中での姿と変わりない宝石を見て、俺の治療を行ってくれたのは遠坂であったと確信する。
「っ、と。流石に家に帰らないと」
あまり学校に長居すると、今度は校内で自らの身一つで英霊と戦闘せねばならないという事態に陥ってしまう可能性がある。それに加えてセイバーの召喚も出来ない可能性も同時に出てくる為、俺はすぐに帰宅することにした。
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幸い、帰宅中に他のマスターと鉢合わせしたり、ランサーに襲われたりするといったバタフライエフェクトは発生しなかった。流石にそこまで運勢は悪くなかったかと、少し安心した。明日、もし穏便な形で遠坂と会うことが出来たならお礼を言っておこう。そう思いながら玄関の鍵を開け扉を開けようとしたその時、屋根裏方面から鈴の音が聞こえてきた。
「ん?鈴の音?ハッ……まさかっ!?」
顔スレスレにランサーの槍が迫ってきているのが見える。ほぼ条件反射的に俺は右に飛び、受け身を取りながら転がり避けた。
「ぃ゙っつ……」
まさか玄関にて襲われるとは。これもバタフライエフェクトなのか、それとも学校に滞在する時間が長かったが故の予定調和なのか。どちらなのかは分からないが、またもや原作とは少々異なることに焦りを覚えた。しかし、ただ何も出来ずにまた殺される訳にはいかない為、たまたま玄関先に立て掛けてあった箒を手に取り構える。
「あーあ、見えていれば痛かろうと、俺なりの配慮だったんだが……。一日に同じ人間を二度殺すハメになろうとはねぇ。いつになろうと人の世は血生臭いということか……」
「………
緊張を感じさせぬ声でランサーはそういうと、槍の先をこちらに向けて低姿勢を取りながら構えた。それを見て俺はすぐさま詠唱を行い、箒に強化の術を施す。起動した魔術回路が俺の右腕から箒に伝わって行き、箒に淡い青色の線が回路のように浮かび上がる。
「フッ……今度こそ迷うなよ?坊主」
その様子を見てランサーが一瞬怪訝そうな反応を浮かべたが、すぐに戦士の顔となった。そしてこちらに槍先を突き立ててきた。俺は咄嗟に槍先を外側にズラすように箒で受け止めたが、リーチの差を考えてなかった為に完全には槍先を反らしきれずに右腕を薄く切られてしまった。
「ぃ゙…!」
「ほぉ?変わった芸風だな?微弱だが魔力を感じる。心臓を穿たれて生きているってのはそういうことか」
魔術に理解がある英霊故か、ただの箒が宝具でもある槍を受け止めたカラクリについては知られてしまったがそのお陰で生きている理由については勘違いしてくれたようだ。彼が対策を考えているであろう間に、槍の範囲外にゆっくりと後ろに離れる。
「ただのガキかと思えば……少しは楽しめそうじゃねえか」
が、その行動も虚しく開けた距離は一瞬にして詰められ心臓までゼロ距離ともいえる辺りまで槍先が来ていた。今度もなんとか箒で受け止めたが、力で押し負けてしまい大きく後ろに仰け反ってしまうという隙を晒してしまった。勿論その隙を彼が見逃す訳が無く、防御の空いた腹部に強力な蹴りを入れられてしまった。
「ガッ……!??」
受け身もまともに出来なかった俺は地面に強く叩きつけられる形で土蔵手前辺りまで吹き飛ばされてしまった。
「ハッ……機会をくれてやったってのに無駄な真似をしやがってよ。それでも男か?もっと根性を見せろよ」
それはあからさまな挑発ではあったが、それをあえて無視して立ち上がり、俺は土蔵を目指して走り出した。
「チッ……」
まだ怪我の疲労が回復しきっていない中の全力疾走により息が上がっていたが、何とか召喚陣のある場所まで誘導することが出来た。安堵の間を彼が与えてくれる筈も無く、再び心臓に向けて槍が突き立てられそうになる。それを俺は素早く強化の術を施した紙でガードすることによってその攻撃を防ぐことに成功する。その際に攻撃の衝撃に耐えきれなかった紙はバラバラに爆散した。その爆散の勢いで俺の身体は後ろに吹き飛ばされた。
「詰めだ。今のはワリと驚かされたぜ、坊主。」
そう言ってランサーは真っ直ぐ槍先をこちらに構える。
「クッ……」
「しかし分からねえな。機転はきくクセに魔術はカラッきしときた。筋は良いようだが……。もしやお前が七人目だったのかもな。ま、だとしてもコレで終わりなんだが」
「……け……な」
ふざけるな。コレで終わり?また呆気なく俺は死ぬというのか?彼女に、遠坂に、生かしてもらえた感謝を伝えることも出来ずにか?不本意で争いを目撃してしまっただけで?聖杯戦争なんていう大きな出来事なんか関わりたくなかったというのに?
「ふざけるな」
そんな理不尽があってたまるものか。俺にはまだやりたいことが沢山残ってる。何より俺には俺が
「俺はまだ、生きていたいんだよ」
もし、聖杯戦争に参加せざるを得なくなったのならば、絶対に生き残ってみせるという生存願望だ。
「それを……こんな、こんな訳の分からないまま……人殺しが当然だというお前なんかに……殺されてたまるかよ!!」
俺の意志に呼応するかのように不完全な令呪が浮かぶ左手の甲が熱を持ち始めた。それと同時に、召喚陣も光を放ち始める。
「なっ…!」
「お前なんかに、俺は殺されない。俺は!絶対に生きる!!」
「七人目のサーヴァントだと?!」
令呪が完成すると同時に召喚陣も強い光を放ち、中心から人影が現れる。そして中心に居た人物は俺の心臓に向かう槍を薙ぎ払うと、その勢いのままランサーを土蔵の外まで吹き飛ばした。そして、扉の間から降り注ぐ月明かりを背に彼女はこちらに口を開く。
「問おう。貴方が私のマスターか?」
そうこちらに問い掛けてきているのは、青と銀色の甲冑を身に纏う光を閉じ込めたかのような金色の髪と澄んだ青色の瞳を持つ、少女ともいえるかのような出で立ちの小柄な子だった。
「マス……ター?」
まさか本当にサーヴァントが召喚出来るとは思っていなかったので、ただ唖然と彼女に問われた言葉を力無く復唱するしか出来なかった。そんな様子の俺を暫く黙って見ていた彼女だったが、次の言葉を口にした。
「サーヴァント、セイバー。召喚に従い参上した。マスター、指示を」
その言葉に俺はハッとした。原作通りにセイバーの召喚に成功したというのなら、すぐに明確な指示をしなければランサーとの戦闘の後、治療も無しに遠坂のサーヴァントとの戦闘に移行して令呪を消費せねばならないという事態になってしまうだろう。それは何とか避けたい。令呪は出来るだけ温存しておきたいし、何よりも彼女との信頼関係に関わると考えたからだ。そう考えて俺はセイバーに指示を出す。
「えっと……、まずはあの槍を持った男をこの家から撤退させてくれ。その後は状況把握の為に一旦、アンタが持っている情報を出来れば全部話してくれないか?本当に何が何だかで……」
「分かりました、マスター。これより我が剣は貴方と共にあり、貴方の運命も私と共にある。ここに契約は完了した。では、指示を遂行して参ります」
そう言ってセイバーは、先程吹き飛ばしたランサーの元へ向かおうとする。
「あ!ちょっと待ってくれ!」
しかし、それをあえて俺は呼び止めることで中断させた。
「何でしょう、マスター。状況を鑑みるに、迅速な対応が望ましいと思うのですが」
「それについては悪い。まだ言い残しがあるからどうしても言いたくてな」
言い残し、というより念の為の保険というのが正しいだろう。めまぐるしく大きな出来事が押し寄せる聖杯戦争においては先を考えて指示を出すのが良いだろうという俺の勝手な判断だ。
「もし、交戦中や情報整理をしていた時に他の、えっと、サーヴァント?とか、人の気配がしたとしても無闇矢鱈に突っ込まないでくれるか?」
「ですが…!それではマスターの身に危険が及ぶ可能性が!」
「だからって戦ってばかりじゃ、アンタの身体に限界が来るかも知れないだろ?だから、頼む」
「……………分かりました」
完全に納得したという様子ではないが、何とか同意を得ることが出来た。返事をしたセイバーはこちらをもう一度見ると、外に居るランサーの元へ駆けていった。
これで遠坂のサーヴァントと交戦して令呪を一画消費するという事態は避けられただろうと思い、安堵の息を漏らす。そして土蔵の出入口に少し移動し、そこから二人の闘いを観戦する。
到着してすぐには両者の間で変わった動きは無く睨み合うだけの行動をしていたが、セイバーが両手剣を横に構える動作をした瞬間、ランサーが素早く攻撃をし始めた。
上下左右、はたまた斜めを含む全方位から目まぐるしく、際限無く繰り出される怒涛の攻撃にセイバーは難無く対応し、時には受け止め、時には正面からの刺突を地面ごと抉るように剣を振り翳すことでランサーを仰け反らせていた。
「ふっ…!ハァ!!」
彼を仰け反らせてからは
「クッ……!」
そしてセイバーの奮う力を利用して身軽に飛び上がると、そのまま最初の睨み合いの時のように距離を取った。
「チィ……!卑怯者め……自らの武器を隠すとは何事か!!」
怒りを顕にしてセイバーにそう問い掛けるが、セイバーの返答は不可視の剣を横に奮うという荒々しいものだった。再びランサーはセイバーから距離を取り、攻める機会を伺っているようだった。
「どうしたランサー。止まっていては槍兵の名が泣こう。そちらが来ないのなら私が行くが」
「その前に一つ聞かせろ。貴様の宝具、それは剣か?」
「さぁどうかな。斧かもしれぬし、槍かもしれぬ。いや、もしや弓の可能性もあるかもしれぬぞ?ランサー」
ランサーの問いにセイバーはハッキリとは明言しなかった。
「ケッ……抜かせ、剣使い!」
セイバーの答えにランサーはそう吐き捨てると、彼はある
「っ!あの構えは……!」
それは作中で見られた彼の宝具である『
「ついでにもう一つ聞いておこう。お互いに初見だしよぉ……ここらで分けって気はないか?」
「断る。貴方はここで倒れろ、ランサー」
「……そうかよ。こっちは元々様子見が目的だったんだがな……そっちがその気なら仕方ねぇ。必殺の我が槍、受けてみろ、セイバー!」
ランサーから提案された引き分けの誘いを聞く耳を持たないとでも言うように切り捨てたセイバー。次の瞬間、ランサーの槍に大量の魔力が流れ込むのが見て取れた。
「その心臓、貰い受ける!」
その言葉と共にランサーは地面を蹴り上げ、セイバーに迫る。
「
ランサー渾身の一撃が今、セイバーへと放たれた。その槍先は光の如く真っ直ぐ向かっていく。勝負あったかと思われたが、セイバーは自身の持つ剣で槍を受け止める。暫くの拮抗の末、斜め右方向へセイバーはコレを弾いた。これによりランサーの技を躱したかに思われたが……
「なっ!?」
何と弾いた筈の槍先が九十度曲がりセイバーの左肩を貫いたのだ。そして、貫かれたセイバーの身体は釣り餌の如くランサーによって振り回され、地面に叩きつけられた。
「っ…!セイバー!!」
地面に叩きつけられたことによって生じた土煙が晴れるとそこには攻撃によって甲冑の一部を破壊され流血しているセイバーがいた。怪我の箇所を見る限り、心臓を穿たれた訳ではないようだ。
「躱したな、セイバー。我が必殺の一撃を」
「呪詛……いや、今のは
「チッ、ドジッたぜ……コイツを出すからには必殺じゃなけりゃ、マズイってのにな」
そういうとランサーは踵を返し、何処かへ行こうとする。
「うちの雇い主は臆病でなぁ。槍が躱されたのなら帰ってこいだなんて抜かしやがる」
「逃げるのか!」
セイバーのその一言にランサーの歩みが止まった。セイバーの挑発に乗ったものかと思われたがそうではなく、
「追ってくるのは構わんぞぉ……ただしその時は、決死の覚悟で挑んで来い」
告げられたのはこちらへの警告であった。そしてランサーはそれを告げ終わると人間離れした跳躍力にて屋根へ登り、そこから夜の町へ姿を消してしまった。
「待て!ランサー!」
「追い駆けなくて良い!まずはアンタの治療が先だ!」
夜の町へ姿を消したランサーを追い駆けようとしてセイバーが走り出そうとしていた為、俺は急いで大声で呼び掛けた。
「ご心配なく。外傷自体はすぐに治ります」
そう言うと破壊されていた筈の甲冑は召喚時と変わらない程にまで綺麗に直っており、貫かれた箇所の流血もまるで無かったかのように傷が消えていた。
「傷が……。アンタ、一体何なんだ?」
「見ての通りセイバーのサーヴァントです。ですので私のことはセイバーとお呼びください」
「あぁ、分かった。あ、自己紹介がまだだったな。俺の名は士郎。衛宮士郎だ」
「エミヤ……?」
衛宮の名を聞いた瞬間、セイバーの表情が一瞬変わった。原作を知っている俺は、前回のマスターである切嗣の苗字に反応したが故の表情なのだろうと推測する。
「えっと、この家の家主の……あぁ、いや、そういう事を言いたいんじゃなくて……」
「分かっています。貴方は正規のマスターではないのですね?」
「え、」
「それでも貴方は私のマスターです」
こちらの理解を無視したまま話を進めようとするセイバーに、俺はストップをかける。
「ちょ…!ちょっと待ってくれ。さっきもアンタが言ったようにこっちは正規のマスターじゃないんだよ。だからサーヴァントだのマスターだの言われても何が何だか分からないし、マスターと言われるのは凄い違和感がある」
「では、何とお呼びすれば?」
「士郎で良いよ」
「分かりました。それでは、シロウと。……ええ、私としてはこの発音の方が好ましい」
そう言って何処かへ行こうとするセイバーを静止しようとして、未だ熱を帯びている令呪のことを聞かねばならないなと思い、少々わざとらしく反応をとる。
「え、何だコレ?!」
「それは令呪と呼ばれる物です。無闇な使用は避けるように」
「令呪……」
そうしてこの令呪の使い道を一体どうするかと考えていると、セイバーが何かを見つけたようで、正門の方角を見ていた。
「セイバー?どうした?」
「すぐ近くに居る敵二名の気配を感知しました。交戦しますか?」
敵二名……原作の流れ的に遠坂達のことだろうか?いや、そうでない可能性もあるから油断は出来ないな。とりあえずは交戦するのは却下して、遠坂であるかどうかを確認してみよう。
「いや、待ってくれ。さっきも言ったけど知り合いの可能性がある。先手を打てなくて後手に回るのは癪だろうが……マスターを確認してからの交戦でも遅くはないとは思わないか?」
「……そうですね」
やはりあまり乗り気ではないようだが同意は得られたので、セイバーと共に正門へ向う。
そうして向かった正門前にはセイバーの言う通り二人の人影があった。片方は目測で身長180〜190cmくらいはありそうな大柄な赤い外套を身に纏う浅黒い肌の白髪の男性。そしてもう一人のマスターと思われる人物は───
「こんばんわ、衛宮君。いえ、こういった方が良いかしら?七人目のマスターさん?」
「と、遠坂?!」
穂群原学園のミス優等生と名高い遠坂凛だった。
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