次は早く出せたら良いなと言っておきながら結局二週間も掛かっちゃった…
戦闘シーンは作者の文才不足でアッサリしたものになってます。本当に申し訳ない……
Side:遠坂凛
「貴様……!」
「リン!奴が件の影を操るサーヴァントですか!」
「えぇそうよ!」
突然の敵襲に全員が咄嗟に攻撃の体勢を取る。
『え〜?何も全員して攻撃体勢取る必要無くねー?ちょっと様子見に来ただけじゃんか〜?』
そんな様子にソイツは何か行動を起こす訳でもなく、こちらから一定の距離が離れた場所でただ嗤いながら立っているだけであった。ただ、相変わらず表情が分からないので実際は器用に声色だけ嗤って無表情だなんていうこともありえそうだけれども。
「様子見だと?何を観察する必要があると言うんだ」
『んー?ちゃんと役者が揃うかなって』
「役者……?」
「アンタ、昼間も同じ事を言っていたわよね。私達を役者だなんて呼んで、一体何をしでかすつもりなの」
『うっわ、ひっで〜。オレが何かしでかす前提かよ』
「当たり前じゃない。わざわざ人を役者と呼んでこちらの様子をニタニタと笑って伺う奴なんて碌なことをやらないって相場が決まってるわ」
『アッハハ!確かにそうだわな』
あっさりとこちらの意見を認めたことに少し拍子抜けする。コイツの事だからてっきりペラペラと何かを喋るなりなんなりして躱してくると思ったからだ。
『でもまぁ、オレが何かをするってのは半分は合っているな』
「何ですって?痛い目を見たくないのなら全部吐きなさい」
続け様に放たれた言葉に私は驚かされた。半分は合っているですって?一体、どういう事なの?その疑問を解決させるため、私は再びすぐにでも攻撃に移れる体勢を取る。
『おーおー、こわいこわい。何でも実力行使に移るのは優雅じゃないと思うぜ?』
「うるさい!そんな事、アンタに言われる筋合いは無いわ!」
「その通りです、リン。奴の戯言に耳をかす必要はありません」
「そもそもヤツが何かを喋ろうともどうせ核心に至る情報は得られん。セイバーの言う通り、耳をかすだけ無駄だという話だ」
『なんだよ~全員揃ってオレを虐めてくるのかよ。ひっでぇ奴らだなぁ?せっかく月が綺麗な夜なんだから仲良くおしゃべりしようぜ?そんぐらいの余裕は持ってるだろ?なぁ?』
明らかな人数差にも関わらず余裕の声色でこちらに語り掛けてくるサーヴァント。そのような余裕を持てる理由が分からず、ただただ不気味さを感じる。
「余裕を見せる程、私達は軽い気持ちでこの聖杯戦争に参加していない」
「えぇ、アーチャーの言う通りです。正体不明の敵を前にして警戒を解くだなんて愚行はしません」
『あ~あ、これだから真面目ちゃんは…………。気合入れてもらってる所悪ぃけど、オレは戦わねぇぜ?』
「どういう事よ」
『イヒヒ♪こういう事さ!』
ソイツが高らかな声を上げるとその声に呼応するかのように足元の影が大きく揺らぐ。そして揺らいだ影から長髪の男性と見られる黒い人影と、フードを被っているように見られる人影が現れたのだった。
「なっ!?」
「「アサシン!?/キャスター!?」」
現れた人影を見てセイバーとアーチャーが揃って驚きの声をあげていた。辛うじて聞き取れたのはアサシンとキャスターという私達が討伐を目的としていたクラスの名前だった。
「貴様、影やその帯だけでなく英霊を使役する術を持っていたのか!」
『イッヒヒ!あん時言っただろ?まだ馴染んでないってさ!これもあの時には出来なかった手段の一つだ。ま、正確には
「そうか、ならば一体いつその馴染むとやらが終わるんだ?」
『え〜?それ聞いちゃう?ま、別に教えてやっても良いけどさ。そうだなぁ……あと二日、いや、今日入れて三日って所が妥当か?』
「随分と余裕があるのですね。今ここで私達に倒されるとは考えないのですか」
『今ここで?オレが?アハハハハハハ!そりゃあ無ぇな!何の為にコイツらを喚び出したと思ってんだよ。オレの目的は初めから役者が揃うかどうかの確認となんてこと無いおしゃべりをしに来る事。戦闘する気なんて無ぇからとっとと逃げるわ!じゃあナ〜♪』
と言ってソイツは足元の影に溶け込むかのように消えてしまったのだった。
「あ!ちょっと待ちなさい!!」
「リン!危ない!!」
「きゃっ!??」
ここであっさりと逃げられる訳にはいかず私は急いで後を追おうとした。その事で召喚された影のサーヴァントがこちらを攻撃してきたが、セイバーによって距離を離されたことで危機を逃れることが出来た。
「ありがとう、セイバー。助かったわ」
「いえ、例には及びません。私は当たり前のことをしただけですので。それよりもあの影が召喚したアサシン達の対応をしなければ」
「ええ、そうね。アーチャー!キャスターの対応をお願い出来るかしら!」
「無論だ。以前は逃げられたとは言え、一度は対峙している」
そう言ってアーチャーはどこからともなく双剣を手元に出すとキャスターの方へ構える。
「リンは下がっていてください。アサシンは私が対応します」
「ありがとう、セイバー。アーチャー、キャスターの戦闘スタイルは?」
「七割というのがどれ程のものかは分からんが、少なくとも以前対峙した時は魔法の真似事をしていたな。そして並の術師の倍以上は魔法陣を展開する」
「何よそれ!!?反則じゃない!まぁ、いいわ。とにかくここにはキャスター達を倒す為に来たんだもの。七割程度に力が減っているのなら好都合。それじゃ、行くわよ!」
「「はい!/あぁ!」」
私の声を合図にセイバーはアサシンの方、アーチャーはキャスターへ、私は二人の様子が見れる所にまで可能な限り離れる形で三方向へ別れ、奇襲の如く駆け出す。私達が動き出すのと同時にキャスター達の方もこちらの動きに反応し、それぞれの武器を構え対峙してきた。
▶▶▶▶Side:アンリマユ
はいはーい!ここからはこのオレ、最弱英霊代表のアンリマユが司会進行を務めさせていただきまーす。よろしくな〜☆
何でこんな事を言うのかって?そりゃあ、暇潰しってわけよ!いやぁ、アイツらと戦いたくは無いから逃げたのは良いけど、
「
おっと、誰に聞かせるでもない言い訳をしている間に遠坂凛がポケットから宝石を取り出して空中に投げたな。投げられた宝石は空中で見事に粉々に砕け、柳洞寺を除いた正方形型の結界らしきものが展開された。恐らくはキャスター達との戦闘で柳洞寺が大規模に破壊されないようにするためにだろうな。いや〜律儀だねぇ。魔術の秘匿を守ろうとするだなんてさ。
「……それにしてもこの結界、被害を抑えるだけで視覚遮断の効果は無いのな」
まぁ、そのおかげでこうやって建物の影から戦況を覗き見るだなんていうことが出来ている訳なんだれけども。いやぁ、実態が無いってのはすんげぇ不便だけどもこういう時には便利だよな〜、ほんと。
さてさて、遠坂凛が結界を展開した瞬間、金属同士がぶつかり合う音が鳴り響く。言わずもがなセイバーとアサシンの剣がぶつかり合った音だ。二、三度セイバーは不可視の剣を用いてあらゆる方向からの攻撃を試みるが、影であっても本体が一度戦ったことがある故か彼女の攻撃が通ることは無かった。
「くっ……これで七割ですか……!」
オレだけじゃ、七割程度しか再現出来なかったけど……なんだよ。剣技程度なら全然やり合えるじゃん。今回召喚したヤツは宝具は使えねぇけども時間稼ぎくらいにはなれそうだな。実際、セイバーは苦戦しているようだし。ついでに言うとアサシンと剣を交える度に小さな傷ではあるが着実に負傷していっている。まぁ、これはマスターからの供給
それでキャスターの方は、今の所キャスター有利って感じかね?どちらも比較的遠距離戦法を元にしているからか、数十は越えるであろう魔法陣から展開される攻撃をアーチャーはそれを避け、隙があればすぐに矢を放つといったりすることで拮抗状態を保っていた。しかし、いまいち決定打を与えることが出来ていないからかいつもの余裕そうな顔は鳴りを潜め、若干眉間のシワが増えている。
「あ~もう!クールタイムが無さ過ぎる!!一体、どこからそんな魔力を補って来ているのよ!」
「ヤツは再現と言っていたが……街中の生命力を集めていた割にはこの攻撃方法は異常だな。出し惜しみする様子が見られない。別の供給源があると考えるべきだろう」
遠坂凛がキャスターの成すデタラメさに癇癪の声を上げていると、キャスターの攻撃を華麗に避けながらアーチャーは彼女に自身の経験からの考察を話す。
「うっわ、そんなのも分かるのかよ。よく見てるねぇー」
そうだよ、今のキャスターは本体が集めていた生命力による魔力の他に大聖杯からの供給がある。だからこそ七割程度の再現とは言え、出し惜しみをする必要が無いのでこういったゴリ押し戦法が成せていたのだ。
とは言え、それが知られた所で問題は無い。未だ攻略法は見つけられていないのだから。と思ったのも束の間、アーチャーの奴が遮蔽物も何も無い所で堂々と弓を構え、そして引くという行動を取った。
「はぁ?何やってんのアイツ。キャスターの格好の的じゃんか」
影であるキャスターも同じ事を思ったのか彼女もそんなアーチャーを狙い撃ちするが、放たれた攻撃は彼に届くこと無く飛散していく。よくよく見てみると彼の数メートル前にバリアのようなものが展開されている。なるほどなー、キャスターの攻撃を飛散させる程の防御障壁を展開するなんて随分と優秀じゃねぇか。
「I am the bone of my sword─────」
「っ!?おいおい、マジかよ……」
聞き取れたアーチャーの詠唱と投影された武器に、オレはギョっとする。投影されたソレはバーサーカーに一発喰らわせ、更にはキャスターに一撃を与える際にも使用していた
「────『
高密度の魔力を纏った剣がキャスターに一撃を与えたあの時と同じように放たれた。影のキャスターは攻撃の手を止め咄嗟に魔力障壁を展開するが、僅かに間に合わず身体の半分を失う程の重症を負うこととなった。
うわぁ……つまらねぇ〜。いや、賢いと言うべきか?確かに再現と言ったから同じ手が有効ってのは正解なんだよ。でもなぁ……出来ればセイバーみたく苦戦して色んな攻撃出して少しは消耗して欲しかったなんて思ったりしてなー?でも、まぁ良いか。どうせ影だからすぐに復活するし。
そんな事を考えていると、キャスターの身体が霧のように霧散した。そして次の瞬間、致命傷を負った筈のキャスターの身体が何事も無かったかのように復活していた。
「嘘っ?!」
隠すこともなく驚きの声をあげる遠坂凛に、してやったりとニヤリと笑う。喚び出す前にちょっとした指示は必要だけど、基本的に完全に原型が無くなるか魔力供給が途絶えるまで半自動的に動いてくれるのは楽で良いね〜、ほんと。
「だがまぁ……中途半端に仕留め損ねたのは
誰にも届くことのない独り言を吐くと、キャスターの後ろに今までの比にならない魔法陣が展開された。そしてそこからアーチャーに向けて一点集中とも言えるかのように攻撃が放たれる。いち早く危機を察知した彼はバックステップをすることで直撃を回避した、かに思われたが……
「っ……!」
「っ!?アーチャー!!」
複数の光線の中に紛れていた追尾型の攻撃が彼の左腹部辺りを貫いていたのだ。予想外の被弾に彼の顔が痛みで歪む。
「フ───あはは!」
あ~いいネェー、その顔。いっつも
「楽しみだねェ……アンタが
おっと。誰も聞いてねぇからってちょっと独り言が過ぎたか。さぁて……セイバーの様子は、っと。
「おっとぉ…………こりゃあ、マズったか?」
マスターがこちら側に渡った事による慢性的な魔力不足が祟ったのか、今にも死にそうなセイバーが居たのだ。身体は切り傷だらけで現界する魔力すら尽きかけているのか、足元は少し透けていた。
うーん、どうしようかね?これは流石にちょっと計算外なんだわ。こうなることを見越してマスターとのパスはちょびっとだけ繋いでおいたんだけどなー……?仕方ねぇ。明らかな違和感を与えるだろうが、
などと考えながらセイバーに魔力を送る。送る魔力は現界を維持出来、『
「っ!!シロウ……?」
送られてきた魔力に、セイバーが反応を示した。
そして魔力を受け取ったセイバーの動きは目に見えて良いものとなっており、攻撃の主導権をアサシンから完全に取り返していた。アサシンによって付けれられていた筈の傷は送られた魔力によって治療することが出来たのか、見る影もなくなっている。
「ハァァァァァ……!!」
体調が万全と言える程まで回復した彼女はアサシンと二、三度剣を交えた後に、アサシンの剣を弾き飛ばし、ガラ空きとなった胴体へ『
「あーらら、殺られちった。流石最優と言われるセイバーなだけあるわ。魔力不足さえ解決させちまえばあっという間に殺っちまったぜ。あー、羨ましいなぁー。オレもそのくらいの強さがあればなー。世界は不平等だなぁー」
ま、そんなありもしないタラレバの話は置いておいて……。そろそろ退散するとしますかぁ。別にもう一回召喚し直したり今度はライダーを召喚したりしても良いけども、なんかまたセイバーが消えそうな気がするから止めとくわ。
そんなこんなで二人の戦闘を覗き見たオレは残っているキャスターを引き戻した。引き戻した瞬間、こちらの意図を理解出来ずにポカンと間抜け面をさらす遠坂凛達にちょっとした優越感を感じながらオレは柳洞寺を去った。