本日二回目の投稿。
一時間前に投稿したヤツの続きです。
Side:アンリマユ
さて……と。■■の適応具合も順調なことも確認しましたし、そろそろ赤主従達に特ダネを大公開していきますか〜!
戦線離脱した時と同じく影から中庭に現れると、そこにはこちらを迎え討つ気満々な赤主従達が居た。全身がもうすぐ出きろうとした時、問答無用と言わんばかりに全方向から攻撃を向けられた。が、こうなることは想定していたので、オレは影と帯、そして投影魔術を用いて全てを無力化する。
「おいおい問答無用で容赦無しかよ。ちょっとは手加減してくんね?」
「全てを無力化しておいてよく言うわ」
「ま、そりゃあここで殺られるわけにゃ、いかないのでね」
「あっそ。それで?何で場所の移動なんかを提案したのよ」
「アンタらに面白いモノを見せてやろうと思ってな」
「面白いモノ?」
全員の視線が訝しげにこちらに向いたことを確認し、オレは足元に展開した泥の中から■■の入った硝子玉を引き出す。最初は粘度の高い泥によって中身が見えない状態であったが、やがてそれも滴り落ちたことによって全貌が明らかになった。黒く淀んだ硝子玉の中には首下辺りまで聖杯の泥に浸かりながら眠る■■の姿があった。
「「衛宮君!!?/シロウ!!?」」 「なっ……?!」
三人の顔が驚愕の色に染まった。その表情を見て、オレはさらなる愉悦感に浸る。
「貴様っ!一体シロウに何をした!」
セイバーが今にもこちらに襲い掛かろうとするかのような気迫でこちらに問いかけてくる。そんな様子にオレは口角が釣り上がるのを感じた。
「知りてぇか?なら教えてやるよ!」
■■の居る硝子玉の上に飛び乗り、かつて無いほど注目を浴びながらオレは名乗る。
「
「アンリマユだと?ゾロアスター教の悪神が何故あの小僧をマスターと呼ぶ」
「アーチャーよぉ……薄々気付いてたんじゃねぇか?マスターがアンタの知る衛宮士郎ではないことを。それが一つの理由さ」
「・・・・・・。」
オレの言葉を肯定するかのように
「ちょっとアーチャー!一体どういうことよ!」
「リンの言う通りです。貴方はシロウの何を知っているのですか」
二人に詰め寄られるアーチャーだが、確信が得れてないからかそれとも認めたくないのか黙ったままであった。
「アンリマユ!どういうことか答えなさい!」
頑なに語ろうとしないアーチャーに痺れを切らしたのか遠坂凛がこちらに話を振ってきた。なんとも
「良いぜ?教えてやるよ。そこに居るアーチャーが何故衛宮士郎の事を知っているのかをな。アーチャーは衛宮士郎の───」
「黙れっ!!」
冷静さに欠いたアーチャーがこれ以上オレが下手なことを喋らせない為に彼の主武器の一つとなった干将莫耶を用いて直接攻撃してきた。
「おいおい。いつもの鉄面皮と冷静さはどうしたよ。カッコいい顔が台無しだぜ?」
オレは
「五月蝿い。貴様、一体私の何を知っている」
「
「アーチャーが成そうとしていること……?」
「あぁ、そうさ。アンタのサーヴァントは記憶の摩耗はあれども抱き続けたタイムパラドックスを成すことを目的に、
「自分殺し……?それってつまり、アーチャーは衛宮君が英霊になった未来ってことなの……?」
「貴様ァ……!!」
オレの発言に遠坂凛とセイバーの目が驚きに見開かれた。明かされたアーチャーはというと親の仇と言わんばかりの殺意の籠もった目をこちらに向けながら、交えた刃にさらに力を入れてきた。
「何だよ、事実を言ったまでだろう?何故そこまで怒る必要がある?いずれバレる事なら今言っておいた方が良いだろうが」
「それとコレとは話が違う。私の口から語るのと貴様の口から語るのとではな……!」
「アッハ!それもそうか。だがまぁ、衝撃を受けている所申し訳ないがもう一つ、アンタにとって衝撃の真実を教えてやるよ」
「何だと?」
オレがそう言うと、アーチャーは一度距離を取った。
「アンタが殺す事を目的としている衛宮士郎は
「「「なっ?!!」」」
そうだよソレ!その驚きに歪む顔が見たかったんだよ、オレは!良いねぇ……もっとその顔を見せてくれや。そして聞かせてくれよ。それを踏まえた上でアンタは正義の味方を執行するのかどうかを、さ。
「一体どういう事だ!何故マスターが、シロウが既に死んでいるだなんて戯言を吐く!」
「戯言じゃねぇよ。ガワや能力においては確かにアンタらの知る衛宮士郎と何ら変わりは無ぇ。だが明確に違うものがマスターにはある」
「違うもの……?」
「
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!そんな荒唐無稽な話、信じられるとでも?!」
遠坂凛の主張は最もである。だが、これは紛れもない真実なのだ。受け入れてもらわなくてはこの
「じゃあ聞くが、アンタ、変だとは思わなかったのか?」
「何がよ」
「亡き養父から魔術を教わったとはいえ、魔術師界隈にてんで関わりが無かった筈の人間が。あの神父に十年前の話題を出されたとはいえども、殺し合いと言われる戦争に、一日にも満たぬ期間で簡単に参加の意思を固められると思うか?同盟を組む前から戦う事を避ける様子を見せていたかと思えばそちらの静止を聞かずにサーヴァントに立ち向かったマスターのことを。なぁ、本当に変なヤツだと思わなかったのか?」
「それは……」
オレの質問に遠坂凛は否定しきれないのか目線を反らすだけでNOともYESとも答える事はなかった。傍から聞いていたセイバーにも似たような心当たりがあったのか、何やら考える素振りを見せている。
「今更違和感を抱くのも当たり前だ。何せアーチャーに斬りつけられる前まではこの世界が用意したシナリオ通りだったのだからなぁ!」
「用意されたシナリオだと?」
「あぁ、そうさ。この聖杯戦争の流れは全て、再現にも等しい程に同じ道を辿っていたのさ。このオレがマスターの中に居た事とマスターが要所要所でシナリオを回避しようとしていた事以外はな!」
「ちょっと待ちなさいよ、シナリオって何よ。それに、この世界って言い回しはどういうことよ」
「だからそのままさ。今、アンタらが現実だと思っている出来事は並行世界とも違う世界では一人のシナリオライターが作った物語として観測されていたってことさ。そしてアンタらはそれを自覚することなくそのシナリオ通りにこの聖杯戦争を戦っているのさ!」
「貴様、私達がそのシナリオの登場人物であると言いたいのか!」
「だーかーらー!そう言ってんだよ。理解しろって」
「巫山戯ないで!私達は確かに生きているわ!英霊とは言えども、確かにこの世界に存在している!」
遠坂凛の言葉に、オレは苛立ちを覚えた。
「生きている、だと?そんな訳あるか。この世界で明確に生きていると断言出来るのは
このオレが行動に移すまでシナリオ通りに動いてたヤツが生きているだなんて戯言、オレは断じて認めねぇ。んな戯言はオレの知識外の事をしてからにしやがれってんだ。
「っ……」
ヘラヘラした様子から一変して冷たく言い放つオレの気迫に押されたのか、遠坂凛の足が一本退いた。
「良いか?もう一度自分達は生きている、などとほざいてみろ。オレはお前らを
硝子玉の周りに展開していた泥の中から数多のシャドウサーヴァントの姿をチラつかせながらオレは遠坂凛に攻撃宣言をする。だが……少々熱くなりすぎたな。
そう思いオレは再び元のテンションに戻し、笑みを作る。
「まぁ、何だ。オレが言いたかったのはつまり、オレのマスターは衛宮士郎であってそうでない、別次元の魂を宿した代役の衛宮士郎だってことさ」
「そんな、別次元の他人の魂をそのまた別次元の他人の身体に入れるだなんて所業、魔法にも等しいじゃない……」
「良いところに気付くじゃねぇか、遠坂凛。そうさ、マスターが衛宮士郎として生きているのは聖杯の本来の機能とされる第三魔法が関わってきているのさ」
「そんなっ?!あり得ないわ!だって魔法は───」
「あり得ない事が実際に起きてるんだから認めろよ、魔術師。元々、聖杯はそれを目的に作られた魔法のようなものだ。出来ていても何ら変わりは無いだろう?あぁ、安心しな。コレはまた“別口から”だから聖杯の機能にゃ、問題は無ぇぜ」
「別口だと?」
衛宮士郎の真実に衝撃を受け、ブツブツと何かを呟いていた様子のアーチャーが冷静さを取り戻したのか、こちらに質問を投げ掛けてきた。その質問にオレは待ってましたと言わんばかりにテンションが上がった。
「そっ、別口。オレのマスターはまさに魔法にも近しい奇跡でこの世界に見初められたのさ!」
「見初められた?」
「そうさ!
「ねぇ、さっきからちょくちょく出てきてる代役って、どういう事?」
「だから言ったろ?この世界の衛宮士郎は既に死んでいる、と。マスターはそのために世界に選ばれた
「根本だと?」
「この世界が認知している衛宮士郎の根本ってのは正義の味方になる為ならば、いや、正確に言えば人を助ける為ならば、自己犠牲をも厭わない異常性を持ったヤツだ。まぁ、一種の災害を経たが為の後天的な強迫観念を抱えた人間モドキってな。この世界はそういうヤツを主人公に添えた物語だったのさ。なぁ、自覚あったか?アーチャー」
煽るようにアーチャーに目線を向けるが、彼はなんでもないとでも言うかのように黙ってこちらを見るだけであった。ちぇ、つまらねぇな。ちょっとさっきみたいに青褪めるだとか狼狽えるだとか反応見せろよ。
「んで、まぁそういう人を助ける為ならばって言うのは同じさ。でもな、マスターの根本は良い意味で自分本位だ。非日常を目にして“死にたくない”と考えられるどこにでも居る奴だ。だが、身内が関われば別。世界が望むアイツと同じく自己犠牲を厭わなくなる。そこを世界は誤認したんだよ」
「衛宮君……彼にとっての身内って、誰になるの」
「んー?結構簡単に分かると思うが……。まぁ、特別サービスだ、教えてやるよ。まずは付き合いの長い藤村の姉ちゃんだろ?あとは学友の一成と後輩の桜、それから……あぁ!慎二の奴もそうだっけか。マスターは自覚してねぇけどな。んで、セイバー。えーっとこれで何人だ?五人か……んー、もう一人、二人居た気がしたんだがな……」
ま、身内なんて両手で数えられるくらいだわな!と言うと遠坂凛はセイバーと同じように何やら考え込む様子を見せた。そんなこんなで嘘か真か旗から見ればすぐには分からぬ会話でオレは■■が生まれ変わるまでの時間を稼いでいた。
「もう一つ質問良いかしら」
「何だ?言ってみな。今のオレは超絶機嫌が良いから、何でも答えてやるぜ?」
戦闘という労力を使わない時間稼ぎになるなら大歓迎ってもんだ。という言葉は飲み込み、全面的に受け入れるという態度をとる。
「どうして今になってなの?」
「今になってとは?」
「だっておかしいじゃない。貴方は第三次聖杯戦争で召喚されたサーヴァントなら何で前回の聖杯戦争で動かなかったの?」
「オレはサーヴァントだが、成り立ちが少し特殊でねぇ……。誰かの皮を被っていなければ現世に出てくる事さえもままならないのさ。三次では何とかしたが、四次は被れる皮すら無かったからな。行動出来なかったってワケ」
いや、本当はアイリスフィールの皮を被って一瞬だけ現界はしているのだが、遠坂凛は知らなくていい話だろう。
「どうして依代に衛宮君を選んだの」
おいおい、サラッと質問を増やすなよ。まぁ、良いけどさぁ。
「……衛宮士郎は
「異常?」
「そう、異常。衛宮士郎を事細かく分析すれば異常性は明らかになるが、人ってのは大抵そこまで深く他人を観察はしねぇ。表面だけみりゃ、たいそう綺麗な人物に見えるだろうよ。本人は余裕が無くてそういった好意にてんで鈍いのもそれに拍車を掛けるな。話が少し逸れたが、一言にまとめるなら隠れ蓑に丁度良かったってワケ」
「隠れ蓑という割には随分と執着しているように見えるが?」
執着……執着か。まぁ似たようなものか。オレの感覚的には依存が近いような気もするけどな。何せオレは■■が居るからこそ、ここまで活動出来るのだから。
「アッハ!そう見えるか?」
「小僧の話題になれば貴様の口数が明らかに増えていた」
「オレは元からおしゃべりだって言ったじゃねぇか。不明瞭な情報を与えて相手に混乱を招く……。弱い英霊が考えに考えた戦闘回避手段だぜ?」
「そうか……ならばお望み通りに戦闘に移してやろう」
「ハッ、冗談。んなのお断りだっての!」
攻撃の意図は無いが、アーチャーの双剣の間合いに入るのは御免なので、泥を広めに展開して間合いを取らせる。
もう少し、あとほんのひと時、時計の短針がもう一周する程の時間があれば、■■はオレの元に堕ちてくれる。その時をうっそりと期待しながら、最後の時間稼ぎの為にオレはコイツらに最後の質問を投げ掛ける。
「さてさて……突然ですが、ここで問題です!」
「いきなり何よ、アンタの戯言に付き合っている暇は───」
「アンタらに有益な情報を与えてやるんだから少し黙れよ」
「っ……!!」
「
「な、それは一体どういう────」
遠坂凛に代わってセイバーが疑問の声をあげようとした時、取り出した時よりも遥かに黒く染まった硝子玉から『ピキッ……』と大きな罅が入る音が聞こえてきた。兄弟がこれから“生まれ変わる”合図に、オレはニヤリと口角を上げる。
「なんなの……一体何が起きてるってのよ……!?」
「さぁ?何でしょうねぇ?」
ピキピキと卵から雛が羽化するかのように硝子玉に少しづつ、それでいて着実に罅が硝子玉全体を覆うかのように増えていく。そして罅が大きくなるに連れて硝子玉から溢れ出る魔力も濃くなっていく。濃くなっていく魔力に直感力の高いセイバーはコレがよろしくないモノであると察したのか剣を抜こうとしていたが、オレはそれを見逃さず投影した剣で彼女の体勢を崩す。
「セイバーァ……邪魔をするなよ」
「アンリマユ!貴様、一体ソレが何だか分かっているのか!」
「オイオイ。アンタはマスターのサーヴァントなんだろう?ソレ、だなんて言い方は酷くねぇか?ナァ?それともなんだぁ?敵に捕らえられたマスターは人間じゃねぇってか?」
「貴様ァ!!!」
セイバーが怒りを顕に吠えてくるが、オレには負け犬の遠吠えにしか聞こえなかった。そんなことよりも兄弟の“生まれ直し”が楽しみで仕方がなかったからだ。
「さぁさぁ、そろそろ答え合わせといこうか。オレとマスターとの深〜い関係、それは────」
バキンッと、産声の如く大きな音を立てて硝子玉が粉々に砕け散る。そこから現れるは衛宮士郎であって衛宮士郎と断言するには程遠い者。太陽のような暖かみを持った赤銅色の髪は灰を被ったかのように白くなり点々と赤銅色の髪が残るのみに。服装は黒を基調としたシンプルな服装だが、上はノースリーブのハイネック型のニットでフリーハンドで線を引いたかのような赤黒い線が縦に入っている。下は一見するとアーチャーの物と似ているが、腰にある外套は彼の赤い外套とは違い、上と同じく黒を基調としたものになっている。それに加え先端は膝辺りから不規則に裂け、オレが用いる帯のようにゆらゆらと漂っていた。そしてさらに左頬と左腕には泥の侵食の影響か罅割れのような赤い線が刺繍のように浮かんでいる。
そんな変わり果てた衛宮士郎の姿に唖然とする者達に向け、歪んだ笑みを浮かべながらオレは答えを述べる。
「オレの
神秘的とも言える月灯りが新たな■聖杯の生誕を祝福するかのように■■を照らしていた。
おっかしいな?長くなるからーって分けた筈なのにこっちも長くなってるじゃんか。計画性無さ過ぎかよ。
アンリ君、めちゃめちゃ語ってるけど題名にある通り、一応嘘も吐いてるからね、彼。嘘を吐かないとは言ってるが、現時点で本当に吐いてないとは言ってないという意地悪な言い方なんですわ。(ただ、作者が書いたのだけども、具体的に何処を嘘にするかは決めてない……)
最後に出てきた主人公君の服装イメージはいつか絵にして投稿したいと思います。アナログでは書いたから後はデジタル化するだけなんだけども、しかしたら鉛筆のみの白黒で投稿するかも……(;^ω^)イメージとしては上は黒桜(ノースリーブver)で下はアーチャー(黒ver)みたいな混ぜ込ぜツギハギ衣装って感じです。