衛宮君は消極的である   作:寝仔猫

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開幕の刻、謎の少女(2)

 

その男の見た目は三、四十代の何処にでもいる普通の神父だなという感じで、特に何とも思わなかった。いや、原作を知っている俺としては警戒すべき側の人間であるのは重々承知しているが、今は彼は意図して爪を隠しているのでこれ以上は何とも言えない感じだ。

 

 「私は言峰綺礼。君の名は何と言うのかな?七人目のマスター?」

 

 「…………衛宮士郎」

 

 「衛宮……」

 

だが俺が名前を告げた瞬間、彼に対する印象は一気に変わった。正確に言えば衛宮という苗字を復唱している時に浮かべられた笑みを見て、だった。それはほんの一瞬で、灯りが殆ど無く顔が不明瞭ではあったが確かに彼は笑みを浮かべたのだ。その笑みに俺は背筋が凍るような寒気を感じた。そして認識を改めた。地下のことと同じく、本能が警鐘を鳴らすのだ。コイツは警戒すべき人物であると。

 

 「君はセイバーのマスターで間違いないかな?」

 

 「確かに俺はセイバーと契約した」

 

そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、彼はそんなことを問い掛ける。警戒心を顕にして答えないというのはよろしくないだろうと考え、俺は肯定の言葉と俺の意見を口にする。

 

 「けど、マスターとか聖杯戦争とか言われても俺にはてんでわからない。マスターってのがちゃんとした魔術師がなるものなら、他にマスターを選び直した方が良い」

 

 「なるほど……これは重症だ」

 

俺の意見を聞いて、神父はそう口にする。

 

まぁ、そりゃあそうだよな。一番基礎の筈のマスターや聖杯戦争といった言葉の意味をしらず、更にはマスターの選び直しを望むんだから。もし俺が神父側の立場だったなら同じことを言ってる自信がある。

 

 「そこんところ、一から躾け直してあげて」

 

 「ほぉ、良かろう。お前が私を頼ったのはこれが初めてだ」

 

どこか面白そうに思っているように感じる声色で神父がそういうと、遠坂は罰が悪そうに顔を反らした。

 

 「衛宮士郎、マスターというものは他人に譲れるものではないしなってしまった以上、辞められるものではない」

 

そう言いながら神父はこちらに近付くと、1メートル程前で止まった。そしてそのまま説明を続ける。

 

 「マスターとはある種与えられた試練だ。その痛みからは聖杯を手に入れるまでは開放されない。衛宮士郎、君が巻き込まれたこの戦いは聖杯戦争と呼ばれるものだ」

 

 「七人のマスターで殺し合うっていうふざけた話だろ」

 

 「全ては聖杯に選ばれるに相応しい者を選抜する為の儀式だ」

 

 「聖杯って……まさか、本当にあの聖杯っていうんじゃないだろうな?」

 

 「この街に現れる聖杯は本物だ。その証拠の一つとして、サーヴァントなどという法外な奇跡が起きているだろう?これ程に法外な力を持つ聖杯ならば持ち主に無限の力を与える」

 

 「何故聖杯戦争なんてものをするんだ。それだけ凄いモノだというならば分け合うということは出来ないのか?」

 

俺がそう言うと、彼はこちらに背を向けながら左方向へ歩き出してこう言い放った。

 

 「尤もな意見だが、聖杯を手にする者は唯一人。それは私達が決めたものではなく、聖杯が決めたものなのだ」

 

再び、教会に入った時と同じくらいの距離で神父はただ淡々と説明をする。

 

 「聖杯が、決めた……?」

 

 「全ては聖杯自体が行うこと。選んだマスター達を競わせ、己を手にするに相応しい者を選定する。それが聖杯戦争だ」

 

記憶にある内容とほぼ相違無い説明だった。そして俺は原作の彼と同じように自らの左手にある令呪を見る。俺の手には令呪が三画全て宿っている。

 

 「…………納得いかないな」

 

この場合の納得いかない、とは衛宮士郎が抱いたものとは少し違う。俺の場合は神父の説明があくまでも表向きの聖杯戦争の説明しかされていないという事だ。だがこれは先を知っているが故の納得のいかなさなのでそれを知らない筈のこの場では彼の言葉を借りる。

 

 「一人だけしか選ばれないにしたって、他の人を殺すしかないってのが気に食わない」

 

 「ちょっと待って。殺すしかないってのは誤解よ、衛宮君」

 

 「殺し合いだ」

 

 「綺礼は黙ってて」

 

他のマスターに対する対応について遠坂と神父とで食い違いが生じ、言い合いになりかけたが遠坂が強い口調で神父の方を黙らせる。そして遠坂が訂正を述べた。

 

 「あのね、この街にある聖杯ってのは霊体なの。霊体である以上、私達には触れられない。この意味分かる?」

 

 「あ、あぁ」

 

 「聖杯戦争っていうのは、他のマスターのサーヴァントを撤去させることよ。だからマスターを殺さなければならないっていう決めつけは間違っているの」

 

 「衛宮士郎。一つ尋ねるが、君は自分のサーヴァントを倒せると思うかね?」

 

 「え?」

 

そう言われて脳裏を過ったのはセイバーとランサーの戦いの様子だ。互いが互いに持ち得る技量全てを持って相手に勝つために武器を交える様子は、普通の人間が太刀打ち出来るものではないだろう。仮に自分が魔術師として一人前だったとしても英霊相手に勝つ、というのは余程の才能かそれこそ()()といえる魔法でも使わなければ無理だと断言出来る。

 

 「サーヴァントはサーヴァントを持ってしても破り難い。ならばどうするか。実に単純な話だ。いかにサーヴァントが強力であろうがマスターが潰されればそのサーヴァントも消滅する。であれば?」

 

 「………………マスターを倒した方が早い」

 

 「そういうことだ」

 

これが主で神父は聖杯戦争を殺し合いと言ったのだろう。遠坂はサーヴァントを討ち倒すことを主とする為にこの考えを否定したのだ。そういった意味ではどちらも間違えてはいない。

 

 「それじゃあ、逆にサーヴァントが先にやられたら……。聖杯に触れられるのはサーヴァントだけなんだろう?なら、サーヴァントを失ったマスターには価値が無い……」

 

 「いや、令呪がある限りマスターの権利は残る。例えば主を失い、彷徨うサーヴァントが居れば再起の可能性があるということだ。だからこそ、マスターはマスターを殺すのだよ」

 

 「じゃあ、この令呪を今ここで使い切ったら?」

 

 「待って!それは!」

 

遠坂が焦りを顕にしたが、本当に令呪を使い切るつもりはない。令呪を失う危険性も十分知っているし、それは全く意味を成さないことは分かりきっているからだ。

 

 「確かに、マスターの権利は失われるな。尤も、強力な魔術を扱える令呪を無駄に使う、などという魔術師は居ないと思うがな。もし居るとするのなら、そいつは半人前どころかただの腑抜けということだろうがな」

 

腑抜けなままで居られたらどれだけ楽だったろうか。

 

 「……さて、納得はいったかな?それでは初めに戻ろうか、衛宮士郎」

 

そう言って神父は祭壇の方へ動き始める。

 

 「君がマスターを放棄すると言うのなら、それも良かろう。令呪を使い切って、セイバーとの契約を絶てばいい。その場合、聖杯戦争が終わるまで君の安全は私が保証する」

 

 「何だってアンタに安全を保証されなくちゃならないんだ」

 

 「・・・。私は“繰り返される”聖杯戦争を監督される為に派遣された。マスターでなくなった魔術師を保護するのは監督役の最優先事項だ」

 

 「繰り返される?まて、聖杯戦争ってのは今に始まったことじゃないのか?」

 

 「これで五度目だ」

 

俺の問いに神父は祭壇にて振り返ってそう答えた。

 

 「前回が十年前であるから、今までで最短のサイクルということにはなるが」

 

 「こんな事を今までで四度も……」

 

 「そう。過去に繰り返された聖杯戦争は尽く苛烈を極めてきた。マスター達は己が欲望に突き動かされて、ただ無差別に殺し合いを行った」

 

 「無差別に殺し合う……。じゃあ、聖杯を手に入れたマスターが最悪な奴だったらどうなんだ」

 

 「聖杯に選ばれたマスターを止める力など、私達には無い。何しろ、望みを叶える万能の杯だからな。それが嫌だと言うのなら……衛宮士郎、君が勝ち残れば良い話だ。君が勝ち残れば、少なくとも無差別な殺人者に聖杯が渡ることは無いだろう」

 

さぁ、ここが正念場だと俺は強く手を握り締める。誤った答えを言うことは出来ないのだから。

 

 「俺には…………戦う理由が無い」

 

 「ほぉ?では聖杯を手に入れた人間が何をするか、それによって最悪が起きたとしても興味が無いのだな?」

 

 「それは……」

 

興味が無い、といえば嘘になる。俺は、(衛宮士郎)のように全ての人間を助ける正義の味方に成りたいとは思っていない。けれど、それが行われると知っていて見捨てられる程、非情でもないのだ。

 

 「理由が無いのならそれも結構。君は、十年前の出来事にも関心を持たないということだな?」

 

 「十年前?」

 

 「そうだ。前回の聖杯戦争の最後に()()()()()()()()()()が聖杯に触れた。そのマスターが何を望んでいたのかは知らない。我々に分かるのは残された災害の“爪痕”だけだ」

 

 「待ってくれ……まさか、それって……」

 

十年前、災害、と来れば当て嵌まる出来事は一つだけだ。

 

 

────冬木大火災

 

 

■■士郎が衛宮士郎となり、彼に深いトラウマを刻み付けたあの出来事しかない。

 

 「そうだ。未だ原因不明とされる新都の火災こそが、前回の聖杯戦争の爪痕だ」

 

火災という言葉に身体の方が反応し、呼吸が荒くなった後にバランスを崩して近くの椅子に手をつく。

 

 「衛宮君?!」

 

 「はッ……大丈夫だ、遠坂」

 

遠坂が心配して駆け寄ろうとするが、俺はそれを手で制して大丈夫だと声を掛ける。何度か深呼吸をし、落ち着いた所で立ち上がる。

 

 「今回で五度目だって言ったな。今までに聖杯を手に入れた奴は居るのか」

 

 「一時的に本物の聖杯を手にした男は確かに居た」

 

 「そいつは一体、どうなったんだ」

 

 「どうにもならん。その聖杯は完成には至らなかった。馬鹿な男がつまらぬ感傷に流された結果だよ」

 

神父は自分の経験を他人事のように語る。いや、これを知っているのは俺だけだ。衛宮士郎は知らない。だからこの言い方はニアミスを誘うには上等の手段だ。それに、この男にだって多少の後悔の気持ちがあったことはアニメでの描写を見た俺は知っている。そう考えて湧き上がる怒りを必死に隠して話の続きを聞く。

 

 「聖杯を現すだけならば簡単だ。七人のサーヴァントが揃い、時が経てば聖杯は現われる。凛の言う通り確かに他のマスターを殺める必要はない。だがそれでは聖杯は完成しない。あれは自らを得るに相応しい者を選ぶ。故に戦いを回避した男に、聖杯は手に入らなかった」

 

 「フン……要するに、他のマスターと決着をつけずに聖杯を手に入れても無意味ってことでしょ?前回、一番初めに聖杯を手に入れたマスターは甘ちゃんだったのよ」

 

前回の聖杯の入手者に対して遠坂は怒りを顕にしながら辛口な評価を告げた。

 

 「話はここまでだ。聖杯戦争に参加するか否か、ここで決めろ。衛宮士郎」

 

もう、引き返せない所まで来てしまった。第一の目標であった“聖杯戦争に関わらない”は既に達成出来なくなっている。ならセイバー召喚時に誓った“生きる”という意志を貫こう。それが、俺に出来る精一杯の足掻きだ。

 

 「俺は、この聖杯戦争に参加する」

 

 「ほう?」

 

 「本気なのね?衛宮君」

 

 「あぁ。元より、ここでマスター権を放棄するってことはセイバーを裏切るってことだからな」

 

 「では、衛宮士郎。君を正式な聖杯戦争の参加者として登録しよう。最後まで頑張りたまえ」

 

 「言われなくてもそのつもりだ」

 

 「じゃ、帰りましょうか」

 

ここでの用事はもう済んだ。後は帰り際に遠坂に治療の礼を言って、()()()()()()()()()だけだ。

 

遠坂はもう先にセイバーが居る所へと向かっている。俺もそれに続いて教会を後にしようとしたが、ここで神父が原作に無いことを言い出した。

 

 「喜べ、少年。此度の聖杯戦争において君は()()()()()()()()()だろう。例え君がそれを容認しなくとも、な」

 

 「え……?」

 

原作に無い、それでいて全く意味が分からないことを言われ驚きに歩みが止まる。生まれ変わるってどういう事だ。何を喜べってんだよ。ただの主人公の役割を羽織った一般人がどう変わるっていうんだ。言われたことの意味が分からず、俺は振り返って神父に真意を尋ねる。

 

 「どういう事だよ」

 

 「なに、今はまだ知らなくてもいずれ知る時が来る。自分が()()であるか、そして己の()()()()()が何であるかをな」

 

 「俺の、本当の願い……?」

 

 「さて、今日はもう遅い。早く家に帰り、英気を養うと良い」

 

 

そう言って神父は教会の中へ入っていった。尋ねたは良いものの、何の情報も得られなかった。今日一番の爆弾を落とされた気分になりながら、俺はセイバー達の元へと向かう為教会を後にした。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

その後、敷地内にて待機していたセイバーに声を掛けられる。

 

 「シロウ、話は終わりましたか?」

 

 「……あぁ」

 

セイバーを背にしたまま、俺は肯定の言葉を口にする。その後、振り返ってセイバーと向き合う。

 

 「それでは……」

 

 「マスターとして戦うって決めた。俺がマスターってことで納得してくれるか?セイバー」

 

 「納得するも何もありません。貴方は初めから私のマスターです。この身は貴方の剣となると、誓ったではありませんか」

 

戦う意思を告げた俺にセイバーは何の反対もなく賛同する。それにほんの少し安心した。

 

 「そうか、なら……。俺は、お前のマスターになる。よろしく頼む。セイバー」

 

そう言って手をセイバーに差し伸べると、彼女はすこし呆気にとられたかのような反応を返す。

 

 「あれ?握手は、駄目か?」

 

流石にそこまでの信頼関係は築けて無かったのかと思っていると彼女は、

 

 「いえ、ただ突然だったので驚きました」

 

と言ってこちらの手を握り返してくれた。そして、誓いの言葉を口にする。

 

 「今一度誓いましょう。貴方の身に令呪がある限り、この身は貴方の剣となると」

 

 「ありがとう、セイバー。俺、精一杯頑張るから」

 

とりあえずこの聖杯戦争を通して俺が貫こうと思う目標は『生き残ること』だ。俺という異物が衛宮士郎である以上、どこかしらで死んでしまうという可能性が出てくる。主人公だからって安心は出来ない。だって、俺は衛宮士郎ではあるが(主人公)ではないのだから。

 

だからこそ常に心に思い浮かべる。この世界はゲームやアニメなんかじゃない、れっきとした“現実”なんだ、と。“逃げることはもう出来ない”のだ、と。

 

そう思いながら遠坂と共に来た道を戻っていると、急に遠坂が立ち止まった。

 

 「遠坂?」

 

 「悪いけど、ここからは一人で帰って?」

 

 「はぁ?」

 

あまりにも急な態度の変化に思わず困惑の声が漏れる。

 

 「ここまで連れてきてあげたのは、貴方がまだ敵にもなっていなかったからよ。けど、これで衛宮君もマスターの一人」

 

 「俺、遠坂と喧嘩するつもりは無いぞ?協力してくれるんじゃないのか?」

 

俺が遠坂の言われたことを理解できないといった感じにそう言うと、遠坂は頭に手を当てブツブツと何かを言い始めた。するとアーチャーが霊体化を解いて

 

 「……凛」

 

腕組みをしながら遠坂に呼び掛けた。

 

 「何?」

 

 「倒しやすい敵が居るのなら、遠慮なく叩くべきだ」

 

 「言われなくても分かってるわよ」

 

 「分かっているなら行動に移せ。それとも何か?君はまたその男に情けを掛けるのか?まさかとは思うが、そういう事情でもあるのか?」

 

 「な!そんな訳ないでしょう!」

 

自身のサーヴァントに遠回しに好意を持っているのかと指摘された遠坂は顔を赤らめてそれを否定していた。

 

このままの流れで行けば彼女の借りが云々という話に移行するのだが、遠坂達との戦闘を回避するために俺は令呪を使用していない。故にアーチャーがこのまま遠坂を説得してこちらに攻撃を仕掛けてくる可能性も無きにしもあらずなのだ。

 

ということで俺はここで“あの話”を持ち出すことで軌道修正を試みる。

 

 「なぁ、一ついいか」

 

遠坂の注意がこちらに向いた。

 

 「何?衛宮君」

 

 「凛──」

 

 「アーチャーは少し引っ込んでなさい」

 

遠坂がこちらの話を聞く態度を示すとアーチャーがそれを注意しようとするが、遠坂はそれを許さなかった。

 

 「…………了解した。用が終わればすぐに呼べばいい」

 

その様子を見てアーチャーは説得は無理と判断したのか、霊体化していった。

 

 「さて、衛宮君。何を聞きたいのかしら?」

 

 「さっき、アーチャーの奴がまた情けを掛けるのかって、言ったよな?」

 

 「えぇ、そうね」

 

 「なら、アンタだったのか……」

 

 「何が?」

 

 「俺がランサーに二度殺されかけたのは知っているな?」

 

 「えぇ勿論。それが?」

 

 「実は殺されかけたってのは一度だけなんだ。本当は俺……ランサーに一回、殺されてる」

 

その言葉にセイバーの目が驚きに見開かれた。遠坂もまさか俺が自覚しているとは思わなかったようでセイバー程ではないが驚いている様子が見られる。

 

 「でも俺は確かにここに生きている。それはつまり、誰かが俺に治療を施してくれたってことだ」

 

 「それと私が情を掛けた話はどう関係があるのよ」

 

あくまでも核心を突くまでは自分は関係ないと言いたいらしい。

 

 「また、と言っていただろう?つまり、これは一度情を掛けたことがあるって証明なんじゃないか?」

 

 「反論の余地も無いわね……」

 

 「じゃあやっぱり、遠坂が俺を助けてくれたのか」

 

 「だったら何?文句でも言いたいのかしら?」

 

 「そんな訳ないだろ。俺はただ感謝を伝えたかっただけなんだからな。ありがとう、遠坂。俺、アンタみたいな(優しい)奴は好きだ」

 

 「なっ?!??」

 

そう言うと遠坂の顔が真っ赤に染まっていく。

 

あ、やらかした。このシチュエーションでこのセリフは完全に告白みたいじゃないか。何やってんだよ俺。と脳内で自分でツッコミを入れるが、結果的に原作のような動揺を誘えたから良いじゃねぇか。何ていう自分も居てカオスな状態だった。心做しか霊体化しているはずのアーチャーの溜め息までも聞こえた気がする。

 

 「あ~、えっと……俺は、アンタの邪魔にはならないように明日から過ごすようにするから。じゃあな、遠坂」

 

とてつもない気まずさから遠坂に別れを告げて早々にこの場から退散しようとした時、

 

 「ねぇ……、お話は終わった?」

 

この場に居る誰でもない少女の声が聞こえてきた。声のした方向へ振り向くと、そこには街灯に照らされる二つの人影。一つは推定年齢は二桁に行くかどうかくらいの少女と思われる人影。そしてもう一つは彼女が召喚したであろうサーヴァント。

 

そのサーヴァントの見た目は岩のように黒い肌が目を引く、巨人と見紛うほどの巨躯を持った巌のようであった。髪は無造作に伸ばされており、服装も腕輪と足輪、金属板で補強された腰巻き以外は身に着けていない野蛮人とも言えるかのような風貌であった。

 

他のサーヴァントとは明らかに程度が異なると思わせるような猛獣じみた容姿と威圧感を持つ彼は真っ赤な瞳をギラつかせてこちらを見つめていた。

 

 「嘘……まさか、バーサーカー……?」

 

遠坂がそのサーヴァントの見た目から想定したクラスの名を口にする。その言葉を聞いた少女は遠坂の予想を肯定するかのように、ニコリと小さく笑みを浮かべた。





下手に物語を改変しながら書くから長くなるんだと今更ながら学習したんで、もう次からは好きな長さで好きなように書こうと思います。
でもこの作品、戦闘シーンが多くて困るんだよなぁ…文才無くて全く書けないから(でも作品は好き)

次の日投稿出来てなかったら、『あ、コイツ、バーサーカー戦の表現に手間取ってるんだな』とでも思ってくださいな

✴バーサーカーの容姿云々の文章はpixiv百科事典より引用しました✴
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