衛宮君は消極的である   作:寝仔猫

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お気に入り百人ありがとうございます!!嬉しくて筆が進みます!
それはそれとして、やっと原作アニメの四話目だよ。本当に書きたい所まで遠くて泣きそうだぜ……

読んでてなんか流石にこれ変じゃね?どうなん?とかありましたら、感想等で教えてください。全力で可能な限り直す努力をしますので。元ネタはあってもガッツリ一話からシリーズ作るのは初めてなもんで…(他サイトでは飛ばし飛ばし投稿やネタだけ投稿のみやってた)


戦意の在処(1)

 

 「ん……」

 

原作との明らかな差異を引き起こしてしまったあの日、俺は一体じいさんに何て伝えただろうかと考えた時、目が覚めた。額に手を当て思考にふけようとした時、近くから遠坂の声が聞こえた。

 

 「お目覚め?それは結構」

 

 「うわぁ?!!」

 

まさか遠坂が原作と同じく側に居るとは思っていなくて俺は驚いて遠坂から距離を取った。

 

 「あら?もう動けるのね」

 

 「と、遠坂……。どうしてアンタが…あ、いや、俺はあの後何を……」

 

動揺から遠坂の居る理由と昨日のその後について同時に尋ねようとすると遠坂は

 

 「聞くのなら一度にじゃなくて順を追って聞きなさいよ」

 

といって少し呆れた顔を浮かべていた。

 

 「あ、うん…………そっか、遠坂が気を失った俺をここまで運んでくれたんだな?」

 

俺が気絶したその後についてのことを推察して言うと、

 

 「へぇー?見た目より頭の回転は速いんだ。……うん。面白い面白い」

 

遠坂は、何処か感心したかの表情を浮かべて立ち上がった。

 

 「それじゃあね、衛宮君」

 

そして用は済んだと言わんばかりに外へ向かう遠坂に俺は感謝の言葉を口にする。

 

 「遠坂。今更だけど、ありがとな」

 

 「……待った」

 

そう言うと遠坂は一度立ち止まり、そしてこちらへ振り向いた。俺の言葉が気に触ったのか何処か表情は険しくなっている。

 

 「どうしてそこで礼なんか出るの?」

 

 「え、いや…だって、助けてもらっただろ?」

 

 「()()ありがとう、だなんて言わないで。聖杯戦争は殺し合いなんだから」

 

一応、昨日の今日いっぱいは見逃すという誓約外になったからか遠坂のこちらに対する態度は少し冷たいように感じた。しかし、そう言われたからと言ってこちらも引き返す訳にはいかない。助けてもらえたのならきちんと礼を言っておかないと気が済まないからだ。

 

 「なら、何で俺を殺さなかったんだ?」

 

それに、敵だと言う割にはこちらを攻撃する意思が見受けられないというのも疑問だった。それを声に出すと遠坂は

 

 「た、単に気分が乗らなかっただけよ。寝込みを襲うだなんてフェアじゃないもの」

 

腕を組み、ほんの少し顔を赤らめてそう吐き捨てた。そしてそのまま言葉を続けた。

 

 「これは私の失点。貴方より私の方が強いという油断から生じたものよ。ま、言うなれば心の贅肉ね」

 

 「そう、か……」

 

遠坂は俺を殺さなかった理由を自身の油断から生じたものだと言う。彼女の隠しきれない優しさに感謝しつつ、俺は納得の言葉を口にする。因みに原作の彼のように心の贅肉という言葉には一切反応しない。女性にこの手の発言はタブーであると知っているからだ。下手な事を言って遠坂を怒らせるのは流石に怖い。

 

 「それじゃあ、今度会った時は敵同士だから覚悟しておきなさい」

 

こちらに背を向けたままそう言い放つ彼女は扉を閉め、玄関方面へと歩き出して行ったのだった。

 

 「・・・・。とりあえず、着替えるか。いつまでも血まみれの服のままじゃ、流石にヤバイだろうし」

 

そう考えて血の付いたシャツを脱いだ時、心臓部辺りに変なモノが浮かび上がっているのを見つけた。

 

 「なんだコレ……()、なのか?それとも寝てる時にでも引っ掻いたか覚えてない時にぶつけでもしたかなぁ?」

 

痣と言うには少し赤く、引っ掻き傷にも近いそれは見に覚えがないモノだった。そんなよくわからないモノがいつの間にか出来ていたことに疑問を覚えるが、その内無くなるだろうと深くは考えなかった。

 

 「いや、それよりもセイバーを見つけないと。道場に居るかな?」

 

自分の唯一のアドバンテージである原作知識を用いて俺は着替えを済ませてセイバーの元へと向かった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

案の定道場の鍵は開いており、道場の真ん中にてセイバーは目をつむって正座をして集中している様子だった。窓から差す日の光に当たるセイバーの様子は背筋が真っ直ぐ伸びている様子からまるで一本の剣であるかのように見えた。

 

 「セイバー?ここで何を?」

 

俺がそう呼び掛けると、彼女は顔をこちらに向けた後に立ち上がり、説明をしてくれた。

 

 「身体を休めていました。せめて自身を万全にしておこうと思いまして。シロウ、体調は大丈夫ですか?」

 

 「あぁ、もう大丈夫だ。心配をかけてすまないな、セイバー」

 

説明をした後にすぐさまこちらの体調を気にするセイバーに本当に気遣いの出来るいい人なんだなと思いつつ、大事は特に無いと伝える。それと同時に心配をかけたことに対する謝罪も付け足して。

 

 「それは良かったです。それにしても感心しました。血を吐いていたので内臓系にでも損傷があったのかと心配しておりましたが、()()()()()とは。()()()()()()()()を持っていたのですね」

 

セイバーに言われたことに俺は疑問を抱いた。今、セイバーは何て言った?自身を治療する術?それはきっと俺の中にある全て遠き理想郷(アヴァロン)による恩恵のことだろう。だが、何とも無い、とは一体どういう事なんだ?確かに原作のように包帯は巻かれていなかったが、だとしても何とも無いはあり得ないだろ。少なくともアニメの描写では傷が治る様子が描かれていた筈なのに。描写外ではあるが、とりあえず傷についてもう一回聞いてみるか。

 

 「えっと、本当に傷とか無かったのか?」

 

 「ええ。凛が治療を試みようとした際には目に見える外傷はどこにも無かったようですが……それがどうかしましたか?」

 

 「あぁ、いや、特には無いんだ。気にしないでくれ」

 

 「……そうですか」

 

セイバーは俺の返答に何処か腑に落ちない様子を見せたが、深くは踏み込まないことにしたようだった。今の俺の心境的にもその気遣いはありがたかった。今までも小さな差異は見られたが、ここまで違うのは初めてだった。特に今回の場合は俺自身から何か行動を起こしたという訳ではない為、本当に原因が分からなくて少し困惑している。

 

本当に傷が無かったのなら何故俺はあの時吐血したんだ?健康体であるはずの自分にはそのようなことになるような持病は持っていないというのに……

 

そんなことをグルグルと頭の中で考え、この調子でイレギュラーが積み重なればいずれはこの知識が役に立たなくなるのではないかと不安に思っていると、セイバーから昨日のことを持ち出された。

 

 「シロウ、昨晩のことなのですが……」

 

 「……ん?何だ?セイバー」

 

 「サーヴァントとして、貴方に言っておきたいことがあります」

 

そう言ってセイバーはこちらに真剣な眼差しを向ける。その瞳には少し怒りの色が見えた。

 

「マスターである貴方があのようなことをされると私が困ります」

 

 「あれは仕方がないだろう。あれは完全にセイバーも巻き込もうとしている攻撃だったんだ。あぁするのも当然だろ?」

 

俺がそう弁明するとセイバーは

 

 「貴方は会ったばかりのサーヴァントにそこまで心を許していたのですか」

 

と言ってこちらに強く視線を向けてきた。

 

 「だって、握手したじゃないか」

 

こう発言した(衛宮士郎)の考えには実は俺も賛成している。そもそも原作を知る俺としてはセイバーが信頼するに値する人物だと既に知っている。そして何よりも握手をした、という時点である程度の信頼を置いても大丈夫だろうと俺は考えているからだ。

 

 「っ!」

 

そんな意味を含めながらセイバーにそう言うと、彼女は少し呆けた顔をした。その後、身体を少し斜めにてこちらに表情を見せない状態になった。

 

 「サーヴァントとして、シロウの言葉は喜ばしい……」

 

その言葉を聞いて俺は嬉しさに顔が綻びそうになったが、

 

 「ですが、今後は控えてください。貴方には聖杯を手に入れてもらいますので」

 

その言葉とセイバーの真剣な表情にすぐに現実に引き戻された。

 

 「聖杯が欲しいって、セイバーも?」

 

 「えぇ。私の望みを叶える為に」

 

俺がそう尋ねるとセイバーは肯定の言葉を口にした。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

その後、一度家に戻りお茶を飲みながら彼女の話を聞くことにした。原作通りであればサーヴァントと聖杯戦争についての詳しい説明をしてくれるだろう。ここは彼のセリフを借りながら流れをなぞることとしようか。

 

そう思いながらセイバーに暖かいお茶を出した。彼女は出されたお茶を一口飲んだ後、口を開いた。

 

 「私達サーヴァントは英霊です。英霊であるが故に正体を明かすということはその弱点を曝すということになります」

 

 「だからセイバーだなんて言う呼び名で本当の名前を隠しているんだな」

 

 「はい。聖杯に招かれたサーヴァントは七人居ますが、その全てがクラスに応じて選ばれているのです」

 

七人……ね。確かに通常の聖杯戦争であればそうだったのだろうな。本当は前回の聖杯戦争にて受肉したサーヴァントが一人現在まで残っているのが居るので今回は八人なのだが、セイバーは知らない事であるのでその時が来るまで黙っておこう。

 

 「クラスって、剣士とか弓兵とか?」

 

 「そうです。聖杯は予め七つの器を用意し、その器に適合する英雄をあらゆる時代から呼び寄せる。それが七つのクラス。セイバー、ランサー、アーチャー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカーです」

 

 「なるほど。セイバーは剣に優れた英雄だからセイバーとして呼ばれたのか」

 

 「ですが、裏を返せばそれはセイバークラスの欠点でもある」

 

 「欠点?」

 

俺の疑問にセイバーは以下のように問題を投げかけた。

 

 「敵が自身より白兵戦に優れている場合、シロウならどうしますか?」

 

 「えっと、正面から戦っても勝てないなら…………。っ!真っ当な戦いなんて仕掛けない」

 

セイバーの出した問題にハッと気付いた様子を見せ、俺の出した答えにセイバーは頷いて肯定の言葉を口にした。

 

 「そういうことです。加えて私達には宝具がある。ランサーの槍やアーチャーの弓、それに私の剣も宝具に該当します。宝具とはサーヴァント達の切り札です。ですが、宝具の発動には相当な魔力量が必要です。それはつまり───」

 

 「つまり、無闇矢鱈に宝具は使えないってことだな?」

 

セイバーの話を先読みして俺がそう言うと先程と同じく彼女は頷いた。

 

 「はい。また発動の際には宝具の真名を口にしなければなりません。そしてそれはサーヴァントの正体が判ってしまう危険性がある……」

 

 「セイバーが剣を見えなくしているのはその為だったんだな」

 

俺がそう言うと彼女は酷く申し訳なさそうな表情を浮かべた。

 

 「シロウ、その件についてお願いがあります。私の真名についてです」

 

そして俺に真名についての頼み事があるのだと言ってきた。

 

 「本来のサーヴァントはマスターにのみ真名を明かし、対策を練ります。ですがシロウは魔術師として未熟です」

 

 「・・・・。」

 

事実ではあるのだけれども、実際に未熟であると言われると少し心に来るものがあるな……

 

 「優れた魔術師ならば、シロウの思考を読むことも可能でしょう。ですから……」

 

 「名前を明かせないってことだろ?」

 

真名を明かせないことに相当な罪悪感を感じているのか、彼女はゆっくりと頷いた。表情は申し訳なさそうな表情を浮かべた時よりもかなり険しくなっている。

 

 「分かった。セイバーの宝具の使い所はセイバー自身が決めてくれ。俺はとやかく言わないさ。何なら令呪を使って誓おうか?」

 

俺がそう言うと顔を伏せ気味だったセイバーはバッと顔を上げ、その表情は驚きに満ちていた。

 

 「令呪をその為だけに使おうというのですか?!」

 

 「ん?俺、何か変なこと言ったか?」

 

原作と違ってまだ三画フルに残っているし、一つくらいは良いかなと思うんだが……

 

 「令呪はサーヴァントへの絶対命令権です。それを誓いの為に消費するなど……」

 

 「あー!すまんすまん!使わない、使わないから!」

 

驚きを通り越して呆れた表情を見せるセイバーに心をグサグサと抉られた気がした俺はすぐさま言葉の訂正を口にした。

 

 「分かれば良いのです。令呪は本当に貴重なものですから」

 

 「そうみたいだな……。さて、そろそろ食事の支度でもしようか」

 

話が一段落付いた所で俺は立ち上がり、食事の準備に取り掛かろうとした。あ、そう言えば服のことについて聞いとかないと。

 

 「あ、そう言えばその服はどうしたんだ?」

 

 「これは、凛がくれたものです。霊体化出来ない以上、普段着は必要だろうと」

 

 「なるほど……」

 

両手を広げたりして服について説明していく彼女の仕草はとても可愛いものであった。遠坂の服のイメージとしては赤がメインな感じがあるのだが、こういった清楚系の服も好んで着たりしているのだろうか。何にせよこういうことはこちらからは言いづらかったのでとてもありがたかった。

 

そう思いながら俺は台所へ向かい、作り置きしてあったもので簡単に食事の用意を済ませた。

 

セイバーの前には主菜に下準備で既にタレに漬け込んでおいた鶏もも肉で作った唐揚げ、そして付け合わせのキャベツの細切りやゆで卵とキュウリ、ベーコンを加えたコンソメスープとご飯といった普段作る食事よりかは控えめではあるが十分食事として成り立つものを用意させてもらった。

 

俺の用意した食事をセイバーは嬉しいことに目を輝かして見てくれていた。

 

 「悪いな、本来ならばマスターから魔力を提供される筈なのに。俺が未熟なばっかりにこういったことでしか回復手段を用意出来なくて……」

 

 「いえ、大丈夫です。後は睡眠を取ることで消耗を防ぐことが出来ますので」

 

 「そっか」

 

一応蜘蛛の糸程度にはパスが繋がってはいるらしいが、やっぱり直接魔力を回復させるには至らなかったようで結局は原作と同じように過ごすのが最適らしい。

 

そういったことを考えていると、家の電話が鳴る音が聞こえた。誰からだと思い電話の元へと向かうと、学校の弓道場からの電話であった。

 

 「はいもしもし、衛宮ですけど」

 

 『はーい、もしもーし!藤村でーす!』

 

電話の相手は藤ねぇであった。

 

 「藤ねぇ?何だよ、俺は暇じゃないぞ」

 

 『私だって暇じゃないわよぉ!今日もお休みを返上して、教え子の面倒見てるんだからぁ。と言うことでお弁当を作って至急、弓道場まで届けられたし。以上!』

 

藤ねぇは俺の暇じゃない発言にこちらもだと言ったかと思うと今度はこちらが意見する隙を与えず要件だけを伝えると電話をすぐに切ってしまった。

 

 「……………は?」

 

 「シロウ……?どうかしましたか?」

 

玄関前で変な声をあげた俺をセイバーが心配してか、食事中であるだろうに声を掛けにきてくれた。

 

 「あぁ、いや。俺の知り合いが弁当を学校まで持ってきて欲しいといきなり言ってきてな。ちょっと唖然としてた」

 

 「シロウはこの後、お弁当とやらを用意したら学校へ?」

 

 「あぁ、まぁそうだな」

 

 「そうですか……」

 

何か含みのある言い方だなと思っていると、彼女は早歩きでテーブルまで戻ったかと思うと急に食べる速度を上げて一気に完食させた。そして丁寧に手を合わせ『ごちそうさま』と言うと、こんな事を言い出した。

 

 「シロウ、私も学校へ行きます」

 

 「………え?」

 

セイバーも学校へ行く……だって??

 

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