無個性『筋肉』   作:ベルゼバビデブ

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血ぺろナイフ(刀)マン登場回

※作者のミスで2日に投稿していますが、トレーニング11を見ていただかないと若干話が飛ぶことになります。


トレーニング12 血を舐めるよりプロテインを飲もう!

 やっと見つけたヒーロー殺しステイン。だが、俺は奴に敗れ何かの技…というか個性で身動きが取れなくなっていた。

「この偽物を始末したら次はお前だ。」

「やめろォ!」

 目の前で人殺しが行われようとしているのに…僕は叫ぶ事しかできない…!なんて無力なんだッ…!

 

「SMASCLE!!」

 

 聞こえてきたのは友の声だ。何故彼がここに…!

「!」

 ステインは緑谷くんの拳を刀で受け流すと大きく距離を取った。

「僕のパンチを受け流すなんて…!」

 僕の視界には見慣れた筋肉と筋肉と、筋肉が犇く…まさに筋肉が筋肉付けて鍛えてるを体現した友人、緑谷くんの逞し過ぎる背中が写っていた。こんな時になんだが、いつもながら凄いキレだ。肩に俺の兄さんでも乗っけてるのか?

「スーツを着た子供の次は………パンイチの変質者か。ハァ…論外!」

 友としては逃げろというべきなのだろうが…何故だろう?緑谷くんが負けるビジョンが浮かばない。彼は確かに2度爆豪くんに敗北しているが、二度ともルールの中での敗北であり、彼が勝負で負けたと言うわけでは無いのだ。

「僕は変質者じゃない…!ヒーローの卵だ!」

「ハァ…見事なアドミナブルアンドサイだが、公共の場でその格好は明らかに変質者だ。ヒーローとは皆の規範となるべき英雄だ。子供が貴様の真似をしたら母親は悲しむだろう!」

 確かに。否定できない。多分僕がプール等の一部の施設や状況を除いてパンイチで歩いていたら母さんや父さんはショックで気絶してしまうだろう。

「おかしなことを言う…!僕の母さんは立派に育った僕を見て喜んでいたよ!」

 そうなのか、まぁ…緑谷くんのお母上だものな!

「貴様のような変質者が平気な顔で跋扈する…このヒーロー社会は正さねばならん…!」

 …ヒーロー殺し…なんという殺気だ…!

「そこに倒れる偽物も!復讐を図る愚か者も!貴様の様な変質者も!…粛清対象だ!!」

 瞬間、奴はナイフを取り出すとそれを投擲していた。だが、緑谷くんはそれを人差し指と中指で挟む様に受け止めていた。流石と言うべきだろう。

「恐るべき反射神経と筋肉だ。だが、言われたことは無いか?目が良過ぎるのが貴様の弱点だと」

 …!?緑谷くんが刺された!?

「それほどの筋肉だ。さぞ努力したのだろう。だが、己が無敵だと勘違いした故の傲慢な行いが貴様の死の原因だ…!」

「さっきのナイフは視線誘導か…!」

「いかに身体に筋肉の装甲を纏っても筋肉…筋繊維…それらを作る細胞と細胞の間には必ず隙間がある。その隙間だけはどう鍛えても埋められない…!」

 緑谷くんが何言ってるのかいまいちよくわからないときがあるが、ステインも何言ってるのかよくわからないな???

「暫くぶりに感じる…筋トレと筋肉痛以外の痛み…!でも、普段の筋肉痛の痛みはこんなものじゃない…!」

 横腹にナイフをぶっ刺されるのより痛い筋肉痛ってなんだい緑谷くん???

「…チィ、刺したまでは良いが装甲的筋肉を引き締める事でナイフを固定したか、これでは抜けん…!」

 ステインは捕えようとする緑谷くんの腕から逃げる様に胴体を蹴って距離を取って居た。なんて素早い奴なんだ…!

「多くのヒーローを討ち取っただけあって強い…!」

「み、緑谷くん!君だけでも逃げるんだ!」

 ようやく見えた緑谷くんの敗北し得る姿に咄嗟にその言葉を掛ける。しかし彼は首を振った。

「友達を見捨てるなんてヒーローのやる事じゃないよ。それに…」

 全身をバネの様に弾けさせた緑谷くんは一瞬のうちにステインへと接近していた。再度刀で殴打を受け流すステインだが、距離を取ることを更なる殴打が許さない。己を殺し得る相手を前に緑谷くんは全く恐れることなく立ち向かっている。…あれこそが…本物のヒーローの姿なのだろう。パンイチなことを除けば

「…見事なラッシュだ。だが!」

「ぐっ!?」

 ステインは突如刀で受け流すのをやめ、ナイフを構えていた。緑谷くんの超速的筋肉による爆速のパンチはナイフに突っ込んで行き、ナイフ諸共ステインの拳を砕いた。だが、ステインも全く怯まず緑谷くんを睨んでいる。

「正確過ぎるのも考えものだな変質者。今までカウンターを受けたことは無かったか?」

 まさか…ラッシュを受け流していた時にどこに拳が撃ち込まれるか読んで居たのか!?そしてそれを見越して細胞間に差し込める様にナイフを設置…自身の手を犠牲とはいえ、あの緑谷君に出血をさせるとは…!

 そして奴は…ぐしゃぐしゃになった手と辛うじて持っているナイフについた血を舐めていた。

「…!?」

 突如緑谷くんは動かなくなっていた。僕と同じ症状だ…!

「これは…………!まさかヒーロー殺しの個性!…そうか、血を舐める事で相手の自由を奪う個性なのか…!」

「ハァ…正解。まさか凝血の状態にありながら洞察力と全身の筋肉脳による高速思考で俺の戦法から個性を割り出すとはな…。変質者でなければ真の英雄たる素質があったのだが。」

 クソ…!友が、友が窮地なのに俺はこのまま地に伏せたまま無力にも傍観するだけなのかッ!……ん?なんだ…?指先が、いや、全身が…動く…?

「粛清は…まずは1番厄介な変質者、貴様からだ。貴様の様な素質がありながらそれをドブに捨て己の欲のために変質行為に走る輩は正さねばならん!」

「確かに緑谷くんの服装は…褒められたものでは無いが…!」

「ん?」

「彼は己の欲の為に肉体を披露しているのでは無い!その鍛えた肉体を惜しげもなく披露することで…こんな逞しい身体ならきっと大丈夫だと、安心させる為に!パンイチでヒーロー活動をせんとしているのだッ!」

 レシプロ……バースト!!一瞬だけで良い!!この蹴りで…!

「ほう、動ける様になっていたか。そのまま逃げれば良いものを」

 ッ!?刀で脚を刺された…!?ぐ…地面に刺さって抜けない…!

「ハァ…邪魔が入ったが………」

 

 その時だ。

 

「SMASCLE!!!!」

「!?」

 緑谷君の拳がステインの顔面を捉えたのは。

 

「ば、馬鹿な…凝血の効果は…いかに短くともまだ動けるはずが…!」

「何故僕が動けるのか、その答えは…」

 ふっ…流石だ緑谷くん。君はそういう男だったな。

 

「筋肉さッ!!自分の個性を打ち消す相手とは…戦って来なかったのか?」

「貴様…!」

 続けての中段蹴りはステインの腹にモロに入っていた。

「カハッ…!馬鹿な…!俺の凝血による全身の硬直を…根性的筋肉が跳ね除けただと…!?」

 そしてステインは気絶した様だった。…恐ろしい奴だった。後で聞いたことだが、緑谷くんの炸裂的筋肉による凄まじい殴打と蹴りによりステインの右肺と右腎臓と肝臓の半分と腸の大半は爆散していたらしい。骨も肋骨が全破損、顔面の骨も四分の一程が消し飛んでいたそうだ。…よく死んで無いな???

 

 結果から言うと、僕は監督責任者不在な状況での他人への個性使用を、緑谷くんは無個性なものの、単純な過剰防衛が罪となるところだったが、大量殺人犯であるヒーロー殺しステインが相手と言うことで全ての手柄がエンデヴァーの物となる代わりに不問となった。…自分もそうである手前言いにくいが…

 

 緑谷くんをこのまま世に解き放って良いものかは正直疑問だ。

 




何故かステインの性能が上方修正を受ける本作。
更に緑谷は論外認定。

空飛ぶ脳無による緑谷誘拐イベントは緑谷が重過ぎて未遂に終わりました。
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