僕が秘密基地で秘密の特訓をしていると、クソマッチョがやってきた。マンダレイにも言ってない俺の秘密基地なのにコイツどうやって…!「それはね、筋肉さ!」な、なんだと…コイツの心眼的筋肉と卓越した眼力によって僕が残した僅かな足跡や踏みしめた草葉、折れた枝を見つけ出してここまでやってきたってのかよ…!
「カレー、ここに置いておくね。鶏胸肉がふんだんに入ってるから筋肉にも良いよ。あ、ブロッコリー嫌いだったら残しても良いからね。あと飲み物置いておくから」
そういうとクソマッチョはカレーを地面に置き、スクワットをし始めた。…やめろよ!なんかむさ苦しい空間になっちゃうだろ!!
「出てけよ!ここは僕の秘密基地だぞ!せめてスクワットはやめろよ!」
「…どうしてそんなにヒーローが嫌いなんだい?」
スクワットは辞めたがコイツ中腰に…空気椅子トレーニングか…!
「そんなのお前に関係ないだろ!」
僕の両親はヒーローだったけど…僕を残して死んじまいやがった!みんな立派なヒーローだったとか言いやがって…!「そうか、それは辛い経験だったね」!?コイツ僕の心を!?
「ふざけんな!人の心に土足で入ってくるな!」
…いや、靴を脱ぐな靴下を脱ぐな!裸足で入ってくるのもやめろ!!なんかやだろ!ベタベタベタベタと汗でなんか、こう!
「僕もね、昔…君ほどじゃないけれど辛い事があったんだ。」
そうかよ。でもサイドトライセップスしながら言われても信憑性0だよ!
「そこから僕がどう立ち直ったか…それはね、筋肉さ!洸汰くん!君もレッツトレーニング!」
「うるせえ!!!」
思わず顔面に個性の水鉄砲をぶっ掛けちまった。
「…水の個性…。そうか、君の両親はウォーターホースだったのか」
「頼むからどっか行ってくれよ…!」
そう叫ぶとクソマッチョは崖からジャンプしてどっかにいった。…まぁあの筋肉なら死なないだろ。
カレーは…………美味かったけどまさか米なしで具材が鶏胸肉とブロッコリーだけって言うのは驚いたなぁ…………んで、飲み物…これプロテインじゃねぇかッ!!!
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「なぁ、坊主。良い帽子じゃねえか」
怖い。その体の輪郭から…最初はクソマッチョがまた昨日みたいにまた来たんだと思った。違った。コイツは…!僕の両親を殺したヴィランだ…!
「なぁ、おい。俺が話しかけてんだから何とか言えよ」
来るな、来るな…!怖い、足が動かない…!
「洸汰くんから…離れろ!」
「あ?」
悪マッチョに声をかけたのはあのクソマッチョだ。…ダブルバイセップスするなよ…こんな時に…。
「お前見たことあるぜ。緑谷だろ?ナイスバルク!」
いやお前もサイドチェストするのかよ
「ヴィランながら貴方もナイスバルク!」
何だこの空間。帰って良い?
「ははは!久しぶりに本気が出せそうだ…。緑谷ァ…!俺は血狂いマスキュラーって呼ばれてんだ!お前が死ぬまでの短い間だが…覚えておいてくれよな…!」
な、なんだこの悪マッチョ…!?全身から筋繊維が…!
「血狂いマスキュラーだと…!?ならば僕はモストマスキュラーだ!」
やめろよ。モストマスキュラーしながら馬鹿みたいなこと言うなよ。僕の命がかかってる場面なんだよ。
「洸汰くん、大丈夫だからね!僕が来た!」
取ってつけたように決め台詞吐くな。
「じゃあ行くぞ緑谷ァ…!!」
「来い!血狂いマスキュラー!真のマスキュラーとは何かを見せてやる!!」
いや、そんなん知らん。どうでも良い。僕の知らないところで勝手にやっててくれよ。
瞬間、クソマッチョと悪マッチョがぶつかった。
その爆進的筋肉同士のぶつかり合いは圧倒的衝撃波を放ち、瞬時に僕の前に壁となりに来たクソマッチョが居なければこの世界から消滅していただろうことは僕にもよく分かった。なんて事してくれてんの???
「ハッハァ!!」
容赦無くラッシュをぶち込んでくる悪マッチョと僕を庇うようにそれを全て受け止めるクソマッチョ。
「俺はなぁ!お前に会えて嬉しいぜェ緑谷ァ…!お前をテレビで初めて見た時から…全身の筋肉が疼いて堪らなかったんだ!だが、油断はしない。ここまでの攻防で分かった。俺の個性を持ってしても油断ならない筋肉量だ…まずはアンチ筋肉読心術を使う!」
「くそっ!流石に対筋肉戦術を心得ているのか…!」
アンチ筋肉読心術って何???
「喰らえ緑谷ァ!!」
ただの殴打…?
「違うよ洸汰くん!このパンチは振動的筋肉による超高速微振動を孕んだパンチだ!」
「流石は緑谷…。俺が拳を振るう一瞬にそれを見抜いて超高速微振動を相殺する微振動を発生させて防ぐとはな!」
そ、そうか!筋肉を用いて拳を超高速微振動させることで重機のブレーカーの様に破壊力を増してるのか…!
「どうしたァ!?緑谷ァ!!守ってばっかじゃ勝てねェぞ!!」
そうは言っても悪マッチョのラッシュにクソマッチョはガードするので精一杯みたいだ。それに僕を守るように戦ってるから…
「守ってばかり?甘いな血狂いマスキュラー!」
「何!?…ッ壁面が急に!!」
何だ!?悪マッチョのすぐ隣の壁面が急に隆起して悪マッチョをぶっ飛ばしたぞ!?
「筋肉で直接殴るだけが攻撃じゃないぞ血狂いマスキュラー!」
ラットスプレッドフロントしながらじゃなきゃ格好いいんだけどなぁ…
「な、なるほど…俺の攻撃をガードしつつ驚愕的筋肉が齎す凄まじい踏み込みによって地面に圧力をかけ、力の解放のために壁面が隆起したって訳か…!」
なんだかよく分からないが凄いぞクソマッチョ!
「だがなァ…!」
「!」
「そんな小細工、圧倒的筋肉の前には無駄なんだよ、分かるだろ!?分かるよなァ!!緑谷ァ!!」
な、なんだよ!クソマッチョの攻撃全然効いてないじゃないか…!
「くっ…!個性の筋肉だけじゃ無い…!元の筋肉量も桁外れだ…!さぞかしトレーニングを積んだに違いない…ナイスバルク!」
戦闘中でもサイドトライセップスするんだな。お前。
「増幅系の個性じゃない癖にお前もナイスバルク!」
お前も律儀にアブドミナルアンドサイするんだな。本当はコイツ良い奴なんじゃ無いか?殺人鬼であることを除けば。
「でそんなに立派な筋肉があるのに何故ヴィランなんかになってるんだ!」
筋肉と関係あるそれ?
「俺はな…気付いちまったんだよ。この圧倒的筋肉で…相手をボコボコにするのが最高に気分がいいってな!俺は鍛えるのが好きなんじゃ無ェ…勝つのが好きなんだよ!!」
再度の圧倒的衝撃波…!もう僕の秘密基地なんて全部消し飛んでるよ。ふざけんな弁償しろ。
「そんな理由で身体を鍛えるなんて許せんッ!」
お前の怒るポイントそこなんだな。
「チィ…同等の筋肉量での殴打じゃラチが開かないか…こうなったら奥の手を使うしか無いな…!」
「奥の手だと…!?」
悪マッチョが右手を翳すと、筋繊維が鋭い爪のように伸びた…!?更に左手には幾層もの筋肉が連なりドリルのような形状になっていた。な、なんだあれ…!
「俺の個性の筋肉をうまく使う事で貫く事に特化した超高速回転式筋肉貫手と、カッチカチの筋肉を鋭く伸ばして切断する事に特化した超高速微振動式筋肉手刀だ。これを俺に使わせて生き残った奴は居ない」
気持ち悪。
「さあ緑谷ァ…!血ィ!!見せろやッ!!!」
瞬間、悪マッチョの左手がクソマッチョの右脇腹を貫いた。
「ぐはっ!?」
…だ、大丈夫だよな…?死んで無いよな…?
「ハッ!なかなか楽しめたぜ緑谷。ナイスバル…クッ!?ぬ、抜けない!?こ、コイツまさか俺の超高速回転式筋肉貫手を超絶的な腹筋で固定してるのか!?馬鹿な!」
「フンッ!!」
クソマッチョが何か言いながら何かしたが全く見えなかった…!
「お、恐ろしく早い手刀ッ…!俺でなければ防げなかった…!だが、まだ俺にも超高速微振動式筋肉手刀が………んなっ!?」
気が付いたら悪マッチョの右手は折れていた。多分さっきの攻撃の時にへし折ってたんだ…!凄いぞクソマッチョ…!
「ば、馬鹿な…!この俺の筋肉が負けるだと…一体何故…!」
「何故お前が負けるか?それは簡単さ!」
クソマッチョが左拳を引き絞っている…!
「クッ!無駄だ!俺には筋繊維を幾層にも纏う防御形態がある!お前が幾ら殺戮的筋肉を鍛錬した殺人的殴打を放っても俺には届かないッ!」
悪マッチョの周りには幾層もの筋繊維が纏わり付いている…あれじゃどんな攻撃も効かないんじゃ…
「その答えは…筋肉さ!!」
人間同士のぶつかり合いのはずなのに何故か起こる爆発音。幾層もの筋繊維装甲へ捩じ込むように貫いたクソマッチョの拳はきっと悪マッチョへと到達したのだろう。凄い!
「は、ハハッ!ギリギリだ!ギリギリ俺の顔面の前でお前の拳は止まった!俺の勝ちだ!!」
そんな!届かなかったのか!?…いや、きっとクソマッチョならやってくれる…!頑張れ…!クソマッチョ!
「洸汰くん、応援ありがとう!そして甘いな血狂いマスキュラー!オールマイトが教えてくれたんだ!」
「…な、何ッ!?」
「圧倒的筋肉があれば思い切り指を開くだけでも攻撃になるってね!!血狂いマスキュラー、お前の敗因はたった一つ!」
どうせ筋肉だろ。
「それは…筋肉さ!!」
ほらやっぱり。
「な、なんだとォー!?」
再度の爆発音で悪マッチョは吹き飛んだ。
「お前の筋肉は泣いている。人を殺す為にしか使われない、そんな筋肉は筋肉にあらず!」
「ば…か…な」
多分気絶して個性も解除されたのだろう。筋繊維は無くなっていた。
「マスキュラー…しかしながら強敵だった。敵ながら…ナイスファイト!」
…僕も筋トレしよう。強くなって…誰かを守れる男になろう…!
洸汰くんの鶏胸肉をプロテインで煮込んだような語彙力
緑谷の筋肉化に伴い当然の如くキャラクター性が改変される血狂いマスキュラー。そしてとばっちりで筋肉に目覚める洸汰くん。
・超高速微振動式筋肉手刀…文字通り固い筋繊維を鋭く伸ばした事で腕から鉤爪のような形状に生える血狂いマスキュラーの奥の手(右)超高速微振動する手刀は鉄だろうが鋼だろうがスパスパと切れてしまう。
・超高速回転式筋肉貫手…文字通り個性で発生させる筋繊維を巧みに操り回転させ、貫通力を高めた血狂いマスキュラーの奥の手(左)超高速回転すら貫手は鉄だろうが鋼だろうが易々と貫通してしまう。