無個性『筋肉』   作:ベルゼバビデブ

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筋肉信じ崇めてる
君は最強で無敵のマッチョ
金輪際現れ(てほしく)ない
筋肉塊の生まれ変わり


今回は筋肉少なめ。


トレーニング21 僕の肉体は既に必殺技に相当するよ!

「緑谷少年には全て話したよ。今回の事件で恐らく彼は私の後継者だと思われているだろうからね」

「…そうかよ。」

 学校の一室で俺はオールマイト…の真の姿と話をしていた。

「…身体の方はどうだよ」

「ははは!いやぁ…事前に言われていたが全身凄い筋肉痛だよ。この腹の怪我よりもキツい。」

 よく見れば全身が痙攣している。それだけで激痛が今もなお身体を襲っているのだとわかる。

「…君が責任を感じる必要はないよ爆豪少年。遅かれ早かれこうなるのは決まっていたんだ。いや、寧ろ君が渡してくれた筋肉増幅装置のお陰で私の探索的筋肉を含めた全身の筋肉が爆発的に増加し、遠方でナイスバルクする緑谷少年の筋肉の波動を感じ取れたんだ。」

 クソ肉ダルマが攫われた後、すぐにオールマイトが駆け付けた。俺は事情を話して探してくれるように頼んだが断られた。すぐに俺が探そうとした…が、それも止められた。聞けば直ぐにでも探したいが『活動限界』なるもので無理だと…そこで初めて全てを知った。だから俺は渡した。メガネ女から渡された筋肉増幅器を。

 痩せ細った骸骨のようなオールマイト…トゥルーフォームは筋肉増幅器によりいつものオールマイトに変わり、すぐさまどこかへ飛び立った。その後怪我こそあったがクソ肉ダルマを無事保護し、ヴィランの親玉をぶっ倒した。だが、全身の筋肉痛のせいか、筋肉増幅器の後遺症のせいかは分からないがオールマイトはマッスルフォームに殆どなれなくなっていた。

 

 そしてオールマイトはヒーロー活動の休止を発表した。

 

 ほんの一瞬だけマッスルフォームになり、俺が回すカメラの前で

『私は暫くヒーロー活動を休止し、後進育成に励む!』

 と笑いながら宣言し、残りは直筆の文章を公開という形を取った。今回クソ肉ダルマが攫われ、ヴィラン連合に襲撃されたことを受け、現場はエンデヴァーを始めとする優秀なヒーロー達に託し、自分は有望な未来のヒーロー達を守り育てると宣言したのだ。雄英から渡されたプリントを見る限り全寮制も導入するらしい。

 不動のナンバーワンヒーロー、オールマイトは前線を退いたものの、人々は皆「何かあったらオールマイトが出てきてやっつけてくれる」と希望を残しているだろう。事情を知っている者からすれば事実上の引退だが、世間的には休業なので多くの人々から惜しまれながらも受け入れられた。聞けばお礼の手紙などが沢山届いてるらしい。

 

 突然、ドアがぶっ壊れるんじゃないかと思うほどの爆音のノックが3回鳴り響いた。こんなノックはクソ肉ダルマにしか出来ないだろう。

「緑谷少年、入りたまえ」

「失礼します!」

 スライドドアがレールから外れて吹っ飛ぶんじゃないかと思うほどに勢いよく開閉された。やめろ、壊れちまうだろ。

「…腹の傷はもう平気なのかよ」

「うん、すっかり完治したよかっちゃん」

 腹に空いた穴の傷がマジで1日で治ってるのはなんなんだ…?いや、そんなことはどうでいい。オールマイトがクソ肉ダルマを呼んだ理由はたった一つ。このクソ肉ダルマのオールマイトへの勘違い…『無個性だが筋肉だけでヒーロー活動をやっていた。』の訂正の為だ。オールマイトの説明をクソ肉ダルマは黙って聞いていた。

 

 まぁ、度々ポージングを変えやがるのにはムカついだがな。話を聞く時くらい大人しくしやがれ。

 

「…と言うことなんだ。君をずっと…騙していてすまない」

「気にする必要はありませんよ!オールマイト!」

 まぁ、こいつならそう言うと思っていた。

「オールマイトはワンフォーオール…つまりたくさんの人達の思いを継いで、その肉体に宿してたってことですよね!つまり、それらを耐え得るほど鍛えていたと言うこと!つまり、ナイスバルク!!」

 白い歯を輝かせ笑うクソ肉ダルマと、涙を流し手で顔を覆うオールマイト…なんだこの混沌とした空間は。俺この空間に必要か?

「緑谷少年、爆豪少年、私は…再び身体を鍛え、かつての姿を取り戻すことにしたよ。本来はこの雄英には私の個性を譲渡するに相応しいヒーローの卵を探す為だったが…今や私の個性など必要とせず巨悪と戦える立派なヒーロー達ばかりだ。この力は誰にも譲渡はしない。代わりに私の代で全て終わらせる。」

 痩せ細った骸骨のようなオールマイトは…力強く拳を握り締めると強い意志を感じさせる瞳でそう告げた。まだオールマイトは終わっちゃ居無ぇって事だな。だが、そんなこと可能なのk「「可能さ!何故なら筋肉に不可能は無いからね!」」…俺がおかしいのか?

 

〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜

 

 爆豪の家もあっさりと承諾、しかしなんだ…爆豪の性格は母親譲りか。

「…次は緑谷の家だな。」

 ガスを扱うヴィランの個性で発生したガスを吸った事で一時気を失っていた葉隠達の親からはもう許可を貰っている。残りで考えられる…全寮制に反対を言いそうなのはヴィラン達に攫われた緑谷の家だろう。チャイムを押すと直ぐに扉が開いた。…時間を見計らって待機してたのか

「緑谷か、出迎えてもらって悪いな」

 八百万の家でも出迎えてもらったが………あれはなんだ、その、世間一般とはかけ離れてたな。うん…。

「狭い家ですがどうぞ」

 

 お前家でもパンイチなのか…?

 

「狭いのは出久が大きいからよ」

 緑谷の後ろから顔を出した女性…あれが母親なんだろう。父親は単身赴任で海外に居ると聞いている。今のやり取りを見るに…実質的な母子家庭だからか仲は良さそうだな。それにしても…

「あら?なんでしょう?」

「いえ、出会い頭に罵倒される覚悟もありましたので」

「普段出久がお世話になってる先生にそんなことしませんよ。」

 本音は別だ。耳郎や爆豪の母親もそうだったが…スタイルが良い。最近の主婦はみんなこんなものなのか…?

「どうぞ、先生も座ってください。」

 居間に案内され、緑谷の母親に促されて腰をかけるが…なんであの親子は空気椅子なんだ…?

「失礼します。」

「あ、先生もどうぞ。粗プロテインですが」

 

 いや人の家に招かれてる側で言うのもしのびないが粗プロテインってなんだ?????

 

「それで…お話は雄英の全寮制導入でしたね。親子の時間が少なくなるのは寂しいですが、これも出久のためです。…学校の方がより負荷の高いトレーニングに励めるでしょうし」

「それは保証します。」

 日夜パワーローダーが対緑谷鎮圧用マシンを開発せんと死に物狂いといった形相で開発室に篭っていると聞いている。結果は芳しく無いとのことだが。それでも、先程チラリと見えた大量のトレーニング機材に塗れた部屋よりも更に良いトレーニングが出来ることは保証できる。…僅差だが。

 すると、チャイムが鳴った。

「あら、誰かしら?すみません、ちょっと出てきます」

「私のことはどうぞお気になさらず」

 母親が来客対応をしているので俺と緑谷の二人きりか。

「…守ってやれなくてすまなかったな、緑谷」

「いえ、元はと言えば僕が弱かったのが悪いので」

 まだ強くなる気なのか…流石だな。

「そうだ、洸汰くんから御礼の手紙を預かっている。…今後も励めよ」

「わぁ…!ありがとうございます!」

 俺に礼を言う必要はないんだがな。…背後から足音がしたので母親が帰ってきたのだろうと思い振り返るとそこにはトゥルーフォームのオールマイトが立っていた。

「なっ…」

「良いんだ相澤くん。私のことは緑谷少年の母君にも知る権利があると思ってね」

 オールマイトは自ら現在の姿こそが真の姿であり、ずっと皆を騙してきていたことを話していた。

「出久は貴方に憧れてヒーローを目指し、無個性であることに少しだけ挫折して…それからすぐ、また貴方の肉体を見て筋肉モリモリのマッチョマンを目指しました。出久を見れば今の貴方にも変わらず憧れや尊敬を持っているのが分かります。今後は平和の象徴であり続けた貴方の内面を出久に学ばせてあげてください」

 

「はい。必ずや!…彼は…私をも超える最高のヒーローになります。」

 

〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜

 

 仮免を控えた個性伸ばし訓練、必殺技の習得…。既に広範囲殲滅の極大爆破と狙い撃ちができるAPショットは必殺技と言っていい。空中移動の爆速ターボや体育祭で見せたクソ肉ダルマほどの質量すら投擲可能な爆発式カタパルト、相手の視力と聴力に対する攻撃である閃光弾、これらも系統こそ違うが必殺技と言ってもいいだろう。当たり前だ、あのなんでもやりやがるクソ肉ダルマに負けないようになんでもできるように俺は俺の個性を鍛えてきた。

 なら、今の俺に足りないものは何か?簡単だ。「それは筋肉さ!」違ェよ。いや、確かにより強固な肉体になればそれだけ放てる威力は上がる。そう言う意味では筋肉も足りて無ェが…。今無いものはしかた無ェ、それと新たな必殺技を作れないのには関係が無い。

「そうそう、見てよかっちゃん!僕も空中戦が出来るようになったんだ!」

 ドタバタと脚を超高速で動かしているのは滑稽なものの、このクソ肉ダルマが空中戦を会得したと言うのは正直恐怖を覚えた。また一つ俺にしか出来ないことが減った。そのうち遠距離攻撃すら会得しそうだ。

「そうだ、飯田くん達にも見せてこよう!」

 …行ったか。血狂いマスキュラーとかいう筋肉ヴィランの攻撃であいつの腹には風穴が確かに空いていたと言う。そしてコンプレスとか言う圧縮の個性であいつの筋肉は圧縮されより強固なものになったとも聞く。あいつに出来て俺に出来ないはずが無ェ…!今までは規模がそのまま破壊力だとひたすら火力を上げる方向性をとっていたが、一度発想を変える。

 あのクソ肉ダルマが筋肉を圧縮したなら俺だって汗や爆破を圧縮すりゃいい。汗を圧縮はまだ上手くいかないが、もう一つの方はAPショットを応用すれば出来るはずだ。俺が目指すべきはあいつの腹をも貫く圧倒的貫通力…!現時点で放てる極大爆破を圧縮し、圧縮し、収束させる…!対肉ダルマ専用弾…名付けて…

 

「HVAPショットッ!!」

 




オールマイトが緑谷を直ぐ助けようとしたのは生徒だからと言うのもありますが、仮に脳無に改造された場合を考えてのこともあります。

本世界戦では緑谷の逞しすぎる成長に後悔やストレスはなく、更に食生活を含めた生活スタイルの変化により若い頃のシュッとしたままの引子さんです。多分腹筋は割れてます。
怒らせると相手を個性で引き寄せ、拳でぶん殴る戦闘スタイルを披露します。

HVAPショット(高速徹甲弾)…極大爆破を一点に集約して放つ爆豪の新技。APショットと異なりタメが必要な上、連射も出来ないが極大爆破の爆破エネルギーが全て一点に集約されているため、その貫通力は極大爆破等とは比べ物にならない。なお、普通の人間に直撃させた場合その熱エネルギーで肉体内部に致命的な火傷を負わせるため、ほぼ死に至らしめる。

部屋王?緑谷の部屋がほぼトレーニングジムなだけでほぼ変わりがないのでバッサリカットですよ。

次回、緑谷の筋肉が敗北する
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