無個性『筋肉』   作:ベルゼバビデブ

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ナイスバルク!(挨拶)

前回までのあらすじ
壊理ちゃんがモストマスキュラーした。

因みに治崎はマスクしてるので筋肉読心術無効です。

作者が個人的に好きなヴィラン登場回なのでそのヴィランは優遇します。


トレーニング25 そんなに食べたいなら拳を喰らえ

 ミリオから連絡を受けてため息を吐く。予知通り、か。オールマイトのツテで塚内警部に無理を言って捜査令状を持ってきてもらって正解だったな。

「その様子だと予知通りになっちゃったみたいですね。…こういうのはこれっきりにしてください。オールマイトの影響力とは言っても限度がありますからね」

 まさか単独で死穢八斎會に突撃とはな…オールマイトから注意を受けていたが予想以上だ。

「ウチの生徒がすみませんね」

「本当ですよイレイザーヘッド。…幸い緑谷がいれば戦力的には十分です。今直ぐ捜査令状持って行きましょう」

 本当はもっと準備してから向かうつもりだったが…こうなっては仕方あるまい。

 

〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜

 

 何がヒーローだ。病人どもめ…。それにしてもなんだ?屋敷に入ってからやけに騒がしいな?

「おい、何があった」

「へい、それが筋肉モリモリのパンイチの変質者がカチコミ掛けてきやがったんです!」

 …さっきのヒーローが?捜査令状も無しに単騎で突っ込んでくるなどどうなっている。常識が無いのか?…いや、無いんだろうな。くそ、これだから病人は…!

「時間を稼いでおけ!どうせ相手は一人だ!壊理もチンタラ歩くな!」

 隠し扉を通り、階段を降り地下室へ。すると後方から爆音が響いた。…どうやって隠し扉を…!?いや、そんなことはどうでも良い。

「おい!鉄砲玉『八斎衆』!!仕事だ!!」

 クソ…!こんなところで計画を潰されてたまるか…!!

 

〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜

 

「おい見ろよ。筋肉モリモリマッチョマンが降りて来やがった。不思議なこともあるもんだ」

「パンイチの変質者とはな。俺が相手する。」

「腹減った…」

 チッ、パンイチ野郎じゃ俺の個性は使え無ェじゃねえか。しかもゴリゴリの肉体派だ。

「落とし物を届けに来たんですけど、皆さんどうして僕に殴りかかってくるんです?」

 見え見えの嘘吐いてんじゃねぇよ…

「ヒーローか、見たところまだ若い。しかしながら…ナイスバルク!」

「貴方もナイスバルク!」

 まーた始まった。宝生の悪い癖だ。サイドチェストの宝生とアブドミナルアンドサイのパンイチくんね、どっちもキレてんな。

「お前のナイスバルクに敬意を評して一撃で決めさせてもらう!!」

 いきなり特大の結晶をお見舞いするとはな。流石のパンイチくんもアレで死んだだろ。

「この結晶…普通の結晶なんかよりも凄い硬度だ…!まさか僕の身体に傷をつけるなんて…!」

 あ?なんでかすり傷で済んでんだ?

「きっとこれだけの硬度になるまで鍛えたに違いない!」

 

 その瞬間、宝生は自身の腹部に結晶を展開していた。

 

 そして、パンイチくんはそれをブチ抜く殴打を宝生に叩き込み、宝生は壁まで吹っ飛んだ。…嘘だろ…?

「逃…げろ、2人とも…!」

 馬鹿言ってんじゃ無ェ!今更どこに逃げろってんだよ!

「行くぞ多部!」

「筋肉食ったら腹一杯になるかな?」

 カニバリズムに目覚めるなよな…だが、こいつの歯と顎ならもしかしたら…!

「かもしれねェ!やっちまえ多部!」

 

「硬ぁ…」

 

 だよなぁ…。多部の奴、腕に噛み付いてるが全く噛み切れて無い。

「むむ!僕の腕に歯形をつけられるなんて凄い顎の筋肉だね!ナイスバルク!」

 お前は人を褒める天才か?

「でも人を噛むのは良く無い!」

 パンイチくんはそういうと多部にデコピンをぶち込んで多部は壁に吹っ飛んでいった。

 

 そうはなんねぇよ。

 

「最後は…貴方だね!」

 勝てるかよ。だがまぁ、ここはそうだな。

「こ、降参するよ。大人しく捕まるからさ、許してくれよ」

 俺はマスクを外し、仕込んでおいたナイフを地面に置いた。

「これは…ナイフ?こんなものをマスクの中に仕込むなんて危ないじゃ無いか!」

 よし、拾い上げたな?今だ…!窃盗!

「あれ?ナイフが…」

 その腹に突き立てて!!

「僕からナイフを奪うなんてなんて素早い動きなんだ!ナイスバルク!」

 違ェよ個性だよ!死ね!パンイチ野郎!

 

 あれぇナイフが砕けたなんでぇ?

 

「それはね…筋肉さ!」

 あっ、デコピン…………

 

〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜

 

 聞こえてくる!筋肉に溢れた男の堂々たる足音がッ!!

「乱波、何を興奮している。我々がオーバーホール様に言いつけられたのはこの通路の防衛だ。守りは私、攻めがお前、我々のコンビネーションで…」

 あぁ?ごちゃごちゃと煩い奴だ…!

「フンッ!」

「!」

 チッ、防がれたか

「どういうつもりだ喧嘩狂い」

 先に天蓋の奴を片付けようかと思ったがやめだ。アイツが来た…!

「今のパンチ…フォームこそテレフォンパンチだったけど凄いキレだった!ナイスバルク!」

 !!!見事なサイドチェストだ!!!

「お前もナイスバルク!!」

 どうだ!俺のモストマスキュラーは!!

「なんて力強いモストマスキュラーなんだ…!!」

「分かってくれたか!?良いパンイチだ!!」

「何をやっている乱波!」

 ごちゃごちゃ煩い奴は無視だ…!俺はアイツと早く殺し合いたい…!

「俺は乱波だ!!」

 まずは右の拳を叩き込むッ!

「僕はデクです!!」

 なんで奴だ!俺の右拳を右拳で相殺するとはな…!

「お前、良いなッ!!」

 続けての左拳ッ!!

「早いッ…!」

「これも防ぐのかッ!だが、そうだな…!まだ倒れてくれるなよ!?」

 まだまだこれからだからなッ!!っと、躱されたか…ッと!!

「蹴りか!良い動きだ!!」

「流石のステップワーク…簡単には攻撃を当てさせてくれない…!」

 パンイチで攻撃方法が殴りと蹴りか、良いなコイツ…!

「なぁ!俺は思うんだ、喧嘩に銃や刃物は無粋だってよ…!あったら誰だって勝てる。それじゃ意味がない!」

「そんなことはないよ!」

 何…?こいつ、分かってくれないのか…?

「何故なら…筋肉さ!相手が銃や刃物を持っていても勝てるくらい鍛えれば問題ないよ!」

 

 た、確かに!!!!!!!!

 

 こいつの言う通りだ。何故俺はそんな簡単なことに気が付かなかったんだ!?相手が銃や刃物、戦車に乗っていたってそれをブチのめせるくらい俺が鍛えていれば解決する話じゃないか!!

「デクと言ったな。良い話を聞かせてもらった。お前との勝負がついたら今度は銃や刃物、戦車や戦闘機に勝てるくらい鍛える事にする。」

「それが良いよ!」

 いいダブルバイセップスだ…!!

「行くぞデク!!今から俺が、今の俺の出せる全力の殴打をお前に浴びせる!!死なないでくれよ!!!」

「なら僕は…乱波さんの腕が上がらなくなるまで仁王立ちで耐える!!」

 こいつ正気か!?いや、そうこなくちゃ面白くない!!

 

「うおおおおおおおおおおおおお!!!!!」「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

「なんだこれ…」

 やっと肩があったまって来た!!まだまだ俺のラッシュは止まらないッ!!

 

「良いなァッ!!!お前ッ!!!!ナイスバルク!!!!」「貴方の拳も素晴らしい!!!ナイスバルク!!!!」

 

 本来はナイスバルクと言われたならナイスバルクなポーズで返すのが礼儀だが、今はこの仁王立ちと拳を振るう様こそがナイスバルクポーズ!!次のこの一撃でお前を、沈めるッ!!

 

「…まさか僕の圧縮筋肉を貫通して…肋骨をへし折られるとはね…!」

 

 !…俺の拳では…それが限界、か。

「…通るが良い、デク。お前の勝ちだ」

 全力をぶつけて骨を折った程度とはな、俺もまだまだ鍛え足りんらしい。

「何を言っている乱波!勝手な言動は許さんぞ!」

 チッ、まだ居やがったのか

「デク、こいつは天蓋だ。個性はバリアを張る」

「貴様乱波!裏切るのか!?」

 おいおい、俺に気を取られてて良いのか?天蓋

「バリアだって!?それなら僕の拳と貴方のバリア!どちらが強いか矛盾対決だ!!」

「なっ!?くそ!最大最硬防御ッ!!」

 ふん、俺でも本気を出せば破れる程度のバリアで何が最硬防御だ。

 

「フンッ!!!」

「そんなッ!?グギャッ!!」

 

 ふむ、気絶したか。個性にかまけて身体を鍛えないからそうなる。

「よし、デク。俺はお前の筋肉に感服した。案内する。着いて来な。」

 デクなら俺をも瞬殺したオバホにも勝てるだろう。その後、俺は鍛え直しデクと再び殺し…いや、殴り合うのだ。デクの拳には常に殺意がなかった。だが、それなのに殴り合いは楽しかった。殺し合いはもうやめだ。

「オバホは俺が何されたかわからん内に俺を殺せるほどに強い。気をつけろよ」

「乱波さんを…!?わかりました。気をつけます!」

 …あ?地下通路ってこんなにぐにゃぐにゃしてたか?

『乱波!貴様裏切るとは…』

 この声は…入中とかいう奴か?

「確かこいつの個性は擬態、だったか?物に入り込んで自由に動かす個性のはずだ。この辺の何かに化けてるんだろう」

「擬態?…この地下通路の蠢きを見るとこの地下自体に擬態して操ってるに違いない!」

 こいつ、これだけの情報からそこまでわかるのか、頭良いな…!

「…そこかッ!!」

『は!?…グギャッ!!』

 なんて奴だ…!一撃で入中が何処にいるか見抜いて攻撃を当てるとは…!

「ば、馬鹿な…!な、何故俺の場所が…」

「それは…筋肉さ!」

 そうか!!筋肉か!!デクの全身の探索的筋肉が周囲の振動を細かに感知し、入中が喋った事でその振動を探知して場所を割り出したのか!!

 

 …!これは銃声!?まずい…!

 

「おっと危ない!」

 弾丸キャッチだと!?そうか!!これも筋肉か!!デクの積んだ圧倒的鍛錬によりその動体視力は弾丸をも容易に捉え、反射的筋肉を持つデクの腕部は爆速的速さで動き弾丸を掴んだと言うことか!!

「銃撃を防いだ!?くそ、『今何をした?答えろ』」

「『何って弾丸を掴んで止めただけだけど?』…あれ?…なるほど、問いかけたら本音を言わせる個性か!」

「こいつ私の個性を…!」

「そうだ。これお返ししますね」

 掴んだ弾丸をそのまま指で弾いて送り返すとはやるな…!デクの戦いは参考になる…!

「銃が弾かれた!?クソ…!酒木!お前も協力しろ!」

「あぁ?もうやってんらろ〜?」

 むっ…?これは、酔い、か?まずいな…!思わずふらついちまう…!デクの奴は平気か?

「っとと、これは…ふむ、慣れた!」

 慣れた!?そうか!デクほどの強靭的体幹と不動的三半規管を持ってすれば泥酔状態にあってもものの数秒で慣れると言うことか!!だったら俺も…!あ、慣れたわ。

「そこの飲んだくれの人!もしかして常に天井のパイプにぶら下がってるんですか?だとしたら、凄いトレーニングだ!ナイスバルク!!でも…!」

 

「お酒の飲み過ぎは体に悪い!!」

 

 酒木の奴…顔面にビンタを貰ったな?ありゃ数日は目覚めんな。お、音本は脛に蹴り貰ってやがる。ありゃもう立てんな。

 そういやヴィラン連合から出向してる奴らが何処かにいるはずだ。

「乱波さん危ない!」

 あ…?

 




何故か寝返って仲間になる乱波。これも筋肉のおかげだね。(???)

〜ちょっとしたオマケ「とあるヴィランの獄中生活」〜
 タルタロスの朝は早い。個性を悪用した凶悪犯として常に脳波を監視され個性を使おうと考えるだけで命を握られる。説明されたがアレは雄英のパワーローダーとか言うヒーローが作った対肉ダルマ鎮圧弾なるものらしい。極限まで貫通力に特化させた特殊弾頭で天井一面の銃口から放たれ回避も防御も不可能だとか。多分緑谷が開発に絡んでるに違い無い。
 俺たちみたいな凶悪犯は一生出られることはないだろう。だが、それがどうした?そんなことは関係ない。それは何故か?その答えは…筋肉だ。
「…そんなに激しい筋トレをしても支給される飯の量は変わらんぞ」
 頑丈な扉の向こうからタルタロス職員(名前も顔も知らねえ)から声をかけられるが関係ない話だ。鍛える事をやめれば人は獣と同じだ。

 だが、もし、ここを出られたなら…もう一度緑谷と手合わせがしたい…!

 「血狂い」などと言う二つ名なんざ必要無い。ただひたすらに己の身体を虐め抜くのだ。
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