例によって筋肉少なめ
流石はトップヒーローの家…あの金持ち女の家程じゃねぇが立派な日本家屋だな。
「…緑谷、爆豪、上がってくれ」
「お邪魔します」
「おう。邪魔するぞ」
デケェ屋敷の割に靴の数が少ねェな。使用人とか雇ってねェのか?
「どうもー!いつも弟がお世話になってます。姉の冬美です。」
態々弟の連れに対して正座で出迎えなんて丁寧な人だな…
「紹介する。冬美姉さんだ」
いや、今さっき自分で姉だって名乗ってただろ。紹介要らねえよ。
「君が爆豪くんで、そっちのムキムキな子が緑谷くんね?ふふ、ナイスバルク」
「ありがとうございます!」
やめろ、人様の玄関でモストマスキュラーするな。
「あれ、姉さん。夏兄は?」
「それがねぇ、まだ帰ってきてないのよ。あっ、夏っていうのは私の弟で夏雄って…」
あ?なんか後ろから音がすんな。
「悪い姉ちゃん遅くなった!…っと、焦凍の友達もう来てたんだ!いつも弟が世話になってます。兄の夏雄です。」
随分ガタイ良いな…まぁ、エンデヴァーの息子だし当然なのか…?いや、でも半分野郎はそうでも無いしな…
「夏雄さんですか、ナイスバルク!!」
「そういう君が緑谷くんだね?噂通りナイスバルク!!」
やめろ。人様の玄関でダブルバイセップスするな。アンタもアンタでサイドチェストするな。冬なのになんか暑くなってきたぞ。
「紹介する。夏雄兄さんだ」
このタイミングで紹介は要らねえよ。ワンテンポ…いや、ツーテンポくらい遅いんだよ。
「夏雄、遅かったけど何かあったの?」
「いやー、なんかいきなり道路の白線が襲いかかってきてさ、俺のことグルグル巻きにしてきたからムカついて無理矢理脱出して白線操ってるっぽい奴ぶん殴って警察に引き渡してたら時間食っちゃったんだよ」
しれっとヴィラン退治してんな…。しかも話聞くと筋力だけで対応してやがる。
「そうなの。大変だったわね…ささ!とりあえず上がって上がって!すぐにご飯用意しますから!」
…この匂い…麻婆があるな?辛いと良いんだがな。「安心しなよ爆豪くん、冬姉の四川麻婆は火を吹く辛さだぜ!」そうか、そりゃ楽しみだな。…ナチュラルに心に話しかけてくんな…!!!
「お前達どうした、早く上がれ。料理が冷める」
エンデヴァー…アンタ家着はタンクトップなんだな…。んで口元ォ!既に麻婆食ってたろ!!口周りに付いてんぞ!!「む、これは…味見だ。そう、味見」嘘つけいい歳した大人が恥ずかしい
「もう!お父さんったらまたつまみ食いして!」
「違うぞ冬美!これは!!」
違わねぇよ。
「紹介する。クソ親父の炎司だ」
今更エンデヴァーの紹介は要らねえよ!!…なんでしようと思ったんだよ…!!
〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜
「辛い…そして美味い…!!」
確かに火を吹く辛さだ…!そして美味い…!料理で感動したのはランチラッシュ以来だな…
「凄い、この竜田揚げ…鳥の胸肉を使っているのにジューシーだ…!こっちの料理もすごく美味しいのに使ってる食材は何れも低カロリー高タンパク…!僕なんか足元にも及ばない…!!」
悔しいが美味い、本当に美味い…美味いんだが…。
「?どうした爆豪」
なんでお前はこの期に及んでざる蕎麦食ってんだよ…!!
「あ…爆豪も食うか?ざる蕎麦。姉貴は蕎麦作りも上手いんだ」
なんで心底嫌そうな顔しながら渋々勧めてくんだよ…!要らねえよ!んで蕎麦も作れるんだな!すげえな!!お前の姉貴はよ!!
「今年はちょっとそばの実が不作であんまり量がないんだけどね…。やっぱ畑広げたほうがいいかなぁ」
まさか家で育ててんのか…!?
〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜
「なんだ夏雄!!父親に向かってその態度は!!!」
「うるせえクソ親父!!今更父親面すんじゃねぇ!!!」
なんか親子喧嘩が始まったな…。
「ふふ、二人ともいつもああなの。」
なんでこの人笑って見てんだよ。んで半分野郎は目もくれず蕎麦啜るのやめろ。そしてクソ肉ダルマは飯食いながら筋トレするのやめろ、人様の家だぞ。…なんだこの空間!!
「夏雄ッ!お前…父親を殴るとは何事だ!!」
「昔はお前だって焦凍のこと殴ってただろうが!!」
「あれは個性の訓練をしていただけだ!!」
口喧嘩の内容が笑えねぇんだよ。なんで竜田揚げの最後の一つの取り合いからそんな笑えねえ轟家の闇聞かされなくちゃならねーんだ。せめて俺がいない時にやってくれ。んでお前は自分の家庭の話なのに蕎麦を啜るな頭おかしいのか。
「今日はどっちが勝つかしら。ふふ」
なんでこの人…父親と弟が割とガチな殴り合いしてんのを笑いながら煎餅食って眺めてんだ???…俺がおかしいのか??家族ってそう言うもんなのか??
「二人とも!喧嘩はやめてださい!!」
どうしたクソ肉ダルマ。お前が常識的な発言なんてらしく無いぞ。
「ここは穏便に筋トレ対決で勝負をつけるべきです!」
あー……うん、まぁ常識的。うん。蕎麦を啜り続ける末弟と煎餅くってる長女よりゃマシ。
「あ、爆豪くん、四川麻婆気に入ったなら持って帰る?ちょっと作りすぎちゃってまだ余ってるの」
「あ、それはいただきます」
「良かった、10リットルくらいあるから待っててね」
何故そんなに作った?10リットルはちょっととは言わねぇんだよ。…貰うけどよ…
〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜
「1998…1999…どうした夏雄…ペースが落ちてるんじゃ無いか?」
「1996…1997…うるせえぞクソ親父…!話しかけんな…!」
「3996…3997…3998…3999…二人ともまだまだ筋肉が動きたいって叫んでますよ!さあほら!4000…4001…」
なんだこの地獄絵図は…!?
「姉貴、蕎麦お代わり」
「はーい。ちょっと待っててね」
ざる蕎麦53段目は流石に食い過ぎじゃねぇか?わんこ蕎麦じゃねぇんだぞ半分野郎
「2031…2032…ぐっ!?まずい…!」
「2030…2031…2032…!歳だなクソ親父!無理して張り合うからつるんだよ!2033…2034…ギブアップしちまえよ!」
「9996…9997…」
あー…この竜田揚げも美味いな。最後の一個になる前に食っときゃよかった。
「ただいまー!」
あ?今度は誰だ?
「お母さん!?また抜け出してきたの!?」
「冷…余り無理をするなよ。…2033…2034…」
アンタ腕立て伏せの姿勢のままよく妻の事迎えられたな?…んでだ。半分野郎達の母親ということは分かった。
なんでこの人患者衣なんだよ…。嫌な予感すんなぁ!!
「私も焦凍のお友達見たいから病院抜け出してきちゃった」
弾ける笑顔でアンタ何言ってんだ。入院しとけ…!!頭の方で…!!!しかしアレだな、流石に母親が病院抜け出したと聞いたからには半分野郎も蕎麦啜るの辞めるらしいな。
「紹介する。母さんだ。あと姉貴、今のうちに蕎麦お代わり」
…今この屋敷の中に常識人は俺だけなのか?
「あなたが焦凍のお友達の爆豪くんね?これからも仲良くしてあげてね」
別に友達じゃねえけどなんかそれ言ったら面倒臭いことになりそうだから黙っていよう。
「それであなたが緑谷くんね?焦凍から聞いた通り炎司さん並みの筋肉だわ。ナイスバルク」
「ありがとうございます!」
いちいち立ち上がってポージングすんな。人様の家だぞ。
「ところで焦凍、二人はなんで腕立て伏せしてるの?」
「クソ親父と夏兄がいつも通りの殴り合いの喧嘩始めたから緑谷がそれを止めて筋トレ対決を提案したんだ」
「へぇ、そうなの。…今どっちが勝ってるの?」
受け入れるの早すぎないか?この家では殴り合いの喧嘩は当たり前なのか?
「当然俺だ。…3080…3081…」
「クソ…!お袋の前だからって張り切りやがって…!3078…3079…」
あ?どうしたんだ急に立ち上がって
「そう、炎司さんが勝ってるのね。じゃあ私応援しちゃおうかしら?炎司さん頑張れ〜」
「ッ!?冷、何故俺の背に…!?」
あー…なんだ?そういうプレイか?
「あら、どういう意味?もしかして…私のこと重いって言ってる?」
「ッ!?…3082………308…3……!!」
「3082…3083…3084…!」
半分野郎の天然は母親譲りか。うん、そういうことにしておこう。
「ご馳走様」
やっと半分野郎も蕎麦食い終えたな。120段か、バカじゃねぇのか。よく入ったなその華奢な腹によ。
「おい、半分野郎、クソ肉ダルマ。食ったもんくらい片付けるぞ」
「それもそうだね。轟くん、台所への案内頼んで良い?」
「あぁ」
やっとこのクソ空間から出られるな…。
「轟くんの家は賑やかで楽しい人たちばかりだね!」
「そうか?普通だろ」
お前の普通基準おかしいだろ。全員漏れ無く頭のネジ飛んでたぞ。
「僕の家お父さんが単身赴任でずっと留守だからずっと母さんと二人でさ。こうやってお家の中でワイワイ食事するなんて初めてかも」
「そうなのか。緑谷の母さんってどんな人だ?」
「うーん、普通のお母さんだよ?轟くんのお母さんみたいに」
病院脱走する母親は普通のお母さんとは言わねえ。
「そうなのか、やっぱ緑谷みたいに母さんもムキムキなのか?」
「ははは!そんなわけないでしょ、引き締まってはいるけどね。」
確かにクソ肉ダルマの母親はウチのババアと同じで痩せてたな。いや、どっちかっていうとウチのババアがクソ肉ダルマの母親からダイエット方法とか教わってたんだったか。
んでだ。親子の筋トレ対決は結果から言うとエンデヴァーが勝った。嫁なんて最後の方背中の上で飛び跳ねてたぞ。元気だな。なんで入院してんだ?実はもう頭の方で入院してんのか?ついでにその母親は病院お抱えの機動隊が突入してきて麻酔銃で眠らされて連れ戻された。…?普通の病院に機動隊なんていたか??
この世界線のエンディングさんはフィジカル強強夏雄くんによるただの殴打で敗北しました。これも筋肉のおかげだね
《地獄の轟一家》
父親:轟 炎司 暴力を振るうぞ!
母親: 冷 病院から脱走するぞ!
長男: 燈矢 故人。
長女: 冬美 趣味は親子喧嘩観戦だぞ!
次男: 夏雄 特技は親子喧嘩だぞ!
末弟: 焦凍 三度の飯より蕎麦が好きだぞ!
友人: 緑谷 出久 脳味噌まで筋肉だぞ!
級友:爆豪 勝己 苦労人だぞ!
通りすがり:荼毘 犯罪者だぞ!
〜ちょっとしたオマケ 頑張れ物間くん!〜
「なぁ拳藤、僕はこの前の対抗戦で自分に足りないものに気が付いたんだ」
「ん?そうなのか。寧ろ逆に何が足りてると思ってたのかを聞かせて欲しいよ私は」
「それは…筋肉さ。ほら、僕って個性がコピーだろ?その場にいる人なのか、相手なのかは兎も角…周りに依存していて活躍が安定しないと改めて思ってね」
「…そうだな。物間の個性ならまず蓄積的筋肉を鍛える事で多分コピーできる個性数を増やせると思う」
「やっぱり?」
「あとは…持続的筋肉だな。コピーした個性の時間制限を伸ばせるんじゃ無いかな。後は炎系個性って結構多いから耐熱的筋肉はあったほうがいいかもね。」
「筋肉って万能なんだな…」
「当たり前でしょ。筋肉だよ?」
「それもそうか」
「良かったらトレーニング付き合うよ?」
「本当かい?じゃあお願いしようかな」
その日物間は全身複雑骨折でリカバリーガールのもとへと届けられた。