無個性『筋肉』   作:ベルゼバビデブ

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ちょっと今回は文字を大きくする以外の特殊文字を導入しています。


トレーニング48 鍛えた筋肉は裏切らない!

『先生、あのガキマッチョにどんな個性を付与したんだ?』

 彼に付与した個性は二つある。その内の一つはドクターにも渡したものでね。長い寿命と引き換えに身体機能が落ちる『摂生』さ。

『…なるほど』

 この弔をベースにした肉体なら長い寿命など必要ないから渡してしまっても問題ない。あとは能力の落ちた緑谷出久を嬲り殺しにするだけだ。

「どうして急に体が重く…!」

 そりゃそれだけの筋肉なんて付けてたら重いだろ。普通に考えれば分かるでしょ。

「分かったぞ…!重力を操る個性だな…!?」

 違うよ。君の身体が重過ぎるだけだよ。

「ふふ、まぁなんでも良いじゃないか緑谷出久…今から君は死ぬ。安心したまえ、楽に殺してあげよう」

 最早ボクの最高の一撃を受ける能力など無い、トドメを…

『…!先生、上だ!!』

 何…?

 

高速徹甲榴弾(HVAPHEショット)ッ!!」

 

 あれは…確か爆破の少年か。なるほど、足の裏を爆破させて空を飛んでいるのか。だが無駄なことだ。『シールド』+『バリア』+『増殖』+『剛筋』+『耐久』+『頑丈』+硬質的筋肉!

「なっ…!?ガードされただと…!?」

 驚いたな…!あの歳でまさかシールドとバリアの二重防壁を突破した上に増殖して増やした肉壁までも突破されるとは。だが、本体のボクには届かない。

「かっちゃん…!」

「エンデヴァー達の避難は終わってる!あとはそこのクソをぶち殺せば終わりだ!!」

「ふふ、果たして殺せるかな?」

 イレイザーヘッドは…スピナーが抑えてくれているな。流石はステインの弟子だ。トガヒミコやコンプレスの撹乱でハイエンド達との戦いで消耗した他のヒーロー達もこちらに加勢できないようだ。つまりは…ボクの敵は摂生で動けない後継者と爆破の彼だけ。

「君の個性も中々便利そうだ。是非とも欲しいね」

「クソが!中々便利だと?ほざいてんじゃねぇ!!俺の個性が中々止まりな訳無ェだろうがッ!!」

『先生、あまり油断しない方がいい。』

 恐れる必要は無いよ弔。所詮は一つの個性、出来ることは限られる。

「ッ!筋肉濃霧ッ!!」

 …む、これは六代目の煙幕か、小賢しい真似を。だが、こうも濃くては爆破の彼も攻撃を当てられないだろうに

「かっちゃん!11時の方向から右に12度!!」

「うるせえ!!俺に指図してんじゃねェッ!!高速徹甲弾ッ!!」

 ッ!?当てられた…!?馬鹿な…!!

『流石はガキマッチョ…この濃霧の中でも筋肉探索によって俺と爆豪の位置を正確に割り出して瞬時に方向を伝達するとはな。それに爆豪も伝えられた情報に合わせた正確な攻撃だ。互いを信頼してるが故に成せる技だな』

 君はよく喋るね弔???

『先生、後だ』

 ッ!

「防がれた…!?」

 緑谷出久…まだ動く体力があったのか…!?だが、個性の発動すら必要ないこの程度の殴打、やはり与えた個性が効いている。

「くそ…!さっきから上手く噛み締めれない…!」

 ふふ、そうさ。緑谷出久…君に与えた個性のうち、一つは摂生。もう一つは『顎牙』、かつて心優しい青年から貰ったなんの役にも立たない、ただ普通の人よりちょっといかついだけの牙が生えるだけの個性だ。だが、緑谷出久にとっては大問題だろう?

 

 なにせその牙は噛み合わせが悪い!!

 

『なるほど、人間は何か動作をする時かならず奥歯を噛み締め体のバランスを取る。だが、あの悪い噛み合わせでは上手くバランスが取れないということか』

 この鬱陶しい煙幕は空気を押し出すで晴らすとして…まずは爆破の彼を始末するとしよう

 

〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜

 

 霧が晴れて見て見りゃ当たった場所が再生してやがる。ざけやがって…貫通力だけの高速徹甲弾じゃダメだ。榴弾を当てねぇと。それにしても…クソ肉ダルマは何やってんだ!だらしねぇ!

「おいクソ肉ダルマァ!!そのまま抑えてろ!!テメェごとぶっ殺す!!」

「おいおい、それがヒーローの言葉か?」

「任せてかっちゃん!抑え込むくらいなら…!!」

 そうだ、それでいい!何、どうせ当たったってお前は死にやしねぇ…そうだろ!?俺はもう…オールマイトを相手にした試験の時とも、I・アイランドの時とも違う…!やっとお前と…肩ァ並べて闘えんだ…!!

「そらよォッ!!」

 

「ふん、無駄だよ爆豪勝己」

 

「うわぁっ!?」

 クソ肉ダルマを放り投げて俺の攻撃の盾にするつもりか。だがな…

「クソ雑魚ヴィランの考えそうな事だァなァ!?」

「!?弾道が曲がった!?それに…二度もッ…!!」

 

「死に晒せ!!これが時限誘導高速徹甲榴弾(VTGSHVAPHEショット)だ…!!」

 

 俺の…新たな技だ!

「ナイスキャッチ。それに流石だねかっちゃん…!僕が熱感知で高速徹甲榴弾を避けた事の反省を生かして時限式の遅延爆破により相手の行動を先読みして軌道を変化させたんだね…!」

 なんでコイツ一回見ただけで分かるんだ…。ん?コイツの口ってこんな風だったか?

「おい、お前なんかされたか?」

「あ、うん…なんだか歯の噛み合わせが急に悪くなって…」

 なるほど、さっきまでのダラしなさはこれが原因か。オールマイトの話じゃオールフォーワンは個性を奪ったり逆に与えることも出来るらしい。変な個性を付けられたに違いない。

「おい、歯ァ食いしばれ」

「えっ?」

 腕力に加え肘を爆破させ、速度を増した掌底を顎にブチ込むッ!!

「死ねやッ!爆殺真拳ッ!!」

「ぐえっ!?…いきなり何するのさ!」

 よし、上手くいったな。

「矯正的筋肉と俺の爆破を合わせてテメェの顎をぶん殴った…これで歯の噛み合わせは治ったろ」

「あれ?本当だ!ありがとうかっちゃん!…でもやっぱり身体が重いままだ…!」

 何…?こいつ、まだ別に個性を与えられてんのか?…そういやイレイザーヘッドがあのクソ医者の個性を消した時急に老け込んだとか言ってたな。それにエンデヴァーが筋肉量を鑑みても明らかに身体機能が低いとも…。確か心臓ってのは一生において鼓動の回数がだいたい決まってるとかって聞く。心臓の鼓動…つまり身体機能を落とす代わりに長生きできるとしたら…?

「クソ肉ダルマ、多分テメェには寿命が長くなる代わりに身体機能が落ちる個性が付与されてやがる。あいつに触られたろ?」

「…確かに触られた。そんな個性があったなんて…」

 元の身体機能が高過ぎたからある程度動けるみてぇだがな…。

 

〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜

 

『先生、そろそろ代わろうぜ。アンタじゃ勝てねえよ』

 弔、君は引っ込んでいるんだ。この程度のダメージ問題はないよ。再生で回復するからね。しかし完全に不意を突かれたよ。常時発動の剛筋や耐久が無ければ死んでいたな。

 それにしても本当に歯を矯正したのか…?少し見てみるか『サーチ』!

 

【名前】緑谷 出久

【個性】摂生、顎牙

【状態】残り寿命999年

 

 なんだ。個性は残ったままじゃないか。…いや残りの寿命なっが!!

『あれカンストしてんじゃねぇのか?』

 

【名前】緑谷 出久

【個性】摂生、顎牙

【状態】残り寿命999年

 

 んん???顎牙が点滅してる!?なんだこれ!?初めて見たんだけど???

 

【名前】緑谷 出久

【個性】摂生

【状態】残り寿命999年

 

『…完全に消えたな。』

 そんな事ある!?

『あるさ…なんたって筋肉だからな』

 うるさいよ弔。くそ…!だがまだ摂生があるんだ。彼はもう二度と前と同じようには動けない!

 

【名前】緑谷 出久

【個性】摂生

【状態】残り寿命100年

 

 …ん?あれれ?

「SMASCLE!!」

「ッ!?」

 『バリア』+『シールド』!!

「こんなものォ!!」

 まずい…!『増殖』+『耐久』+『剛筋』+硬質的筋肉の肉壁も追加だ!!

「くっ!防がれた…!」

 なんだ…!?何が起きた!?何故こんなにも動ける…!?

『…裏目に出たな、先生』

 何?弔、何を言って…

『もう一度サーチで見てみるんだな』

 

【名前】緑谷 出久

【個性】摂生生命変換

【状態】残り寿命99年

 

「こ、これは…!?何が起きている!?」

 摂生が消え掛かって…逆になんだ?別の個性だと…!?

「『その答えは…」』

 

「筋肉さ!」『筋肉だろ』

 

 馬鹿な…!?

『筋肉は常に変化し続け進化し、成長し続けるものだぜ先生。つまりその変質的筋肉によって個性が作り変えられ、摂生は寿命を差し出す事で逆に身体機能を高める個性に転じたんだよ。名付けるならそうだな…』

 そんなことある!?

『生命変換、とかな』

 

【名前】緑谷 出久

【個性】生命変換

【状態】残り寿命99年

 

 ッ…!こ、こんな…!

『聞けばワンフォーオールも…先生が弟に力をストックする個性を渡した事で力をストックする個性と個性を与える個性が混ざり合ってできたって言うじゃないか。先生、学習しろよなぁ…』

 ふ、ふざけている…!こんな馬鹿なことが…!

 

【名前】緑谷 出久

【個性】生命変換

【状態】残り寿命97年

 

 …!!!

『2年分の寿命を差し出したな。やばいんじゃないか先生。良いから代われって。なんとかしてやるから』

 

「1,000,000%… SMASCLE!!!!!」




時限誘導高速徹甲榴弾(VTGSHVAPHEショット)…爆豪が新たに取得した時限信管(放つ時に予め爆破タイミングが決められる遅延爆破)を搭載した事で、軌道が変化する高速徹甲榴弾。誘導弾ではあるがあくまで放つタイミングに決める為、相手の動きを予想しなければならない。
因みに、Variable Time guided style High Velocity Armor Piercing High Explosive ショットの略。(英語として正しいかは不明。雰囲気で伝われ)

爆殺真拳…爆豪が自身の体術に爆破装甲をプラスし、筋力+爆破の勢いで攻撃する技。なお、これを書いている時点では本作で今後爆豪が戦う相手はいずれも強敵なので爆殺真拳でダメージを与えられる事はないと思われる。(唐突なネタバレ)

『剛筋』『耐久』…ギガントマキアが持っていた個性の一部。

『頑丈』…オリキャラである願成寺の個性。ドクターによる複製個性。

『バリア』…天蓋の個性。治崎の腕を破壊した後、どさくさで天蓋をドクターに引き合わせ複製していた。

『顎牙』…アニメにてAFOが青年から取り除いて感謝されていた醜く不揃いな牙が生えるだけの個性。噛み合わせが悪い。(個性名はわからなかったのでオリジナル)

『摂生』…ドクターが貰っていた個性と同じもの。寿命が長くなる代わりに身体機能が落ちるというもの。

『生命変換』…『筋肉』という常に進化し続けるものにより、摂生を改変的筋肉により生まれ変わらせた個性。身体機能と引き換えに寿命が長くなるのであればその逆もまた然り、つまり、寿命と身体機能を等価交換する個性になった。因みに素の緑谷の残り寿命は100年、現在高校一年生なのでかなり長生きである。

生命変換1,000,000% SMASCLE…生命変換により寿命を2年差し出す代わりに得た身体機能によって放つ渾身の右ストレート。威力自体は1,000% SMASCLE止まりだが、圧縮ギガントマキアすら屠る一撃を喰らえばAFOも死ぬ。
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