「…ところでいつまでそうやって死んだフリを続けるつもりだ?オールフォーワン」
「…バレていたか、ふふ」
オールマイトが来なければ油断した爆豪勝己を背後から殺せたんだがね。
「貴様の事だ。やられたフリをして爆豪少年を背後から攻撃するつもりだったんだろう。」
…。そこまで見抜かれてるとはね…やはり厄介な相手だ、オールマイトは。全身を装甲で覆っているのは…緑谷出久に個性を譲渡し、神野で力を振り絞ったことで落ちた力を埋める為か、そこまでして平和の象徴の真似事とは健気だな。
しかし、オールマイトがまた前線に出てくるのは意外だった。そもそもボクがここでやられているのもボクにとっては計算違い。これではボクの計画は丸潰れだ。でもまぁ…
「誇ると良い、オールマイト。君の生徒は素晴らしい素質の持ち主だった。まさかただの子供にこのカードを切る事になるとは思っていなかったからね」
「何…!?」
何事も予備プランは作っておくものさ。爆豪勝己と緑谷出久を同時に相手することになった以上、ボクの計画は潰れてしまったも同然。だが、
まずはこの焼け爛れた皮膚を突き破るとしよう。
「ふふ…」
「馬…馬鹿な…!貴様、その姿は…!?」
おお、目が見える。髪もフサフサだ。生命維持装置をつける必要もない。素晴らしいことだ。
「驚いたかい?オールマイト。作り出すのに苦労したんだぜ?個性『復活』さ」
寿命や病気ではなくて、外部からの致死的衝撃のみに反応し、一度だけ肉体を再構築する個性…。元々は『脱皮』や『再生』等の個性だったが組み合わせはうまくいったらしい。ボクには無く、
「そんなに驚くなよオールマイト。魔王ってのに第二形態がある事なんてお約束だろう?ふふ…」
「…丁度いい、これは、貴様に引導を渡すのは私で無くてはならないという事だ…!」
やれるかな?果たして
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不気味なのっぺらぼう男では無く…私と戦った時よりも更に若い姿とは…!油断は出来ん…!ダツゴク達を相手にした後だから個性再現機構が一部使用不可になっているが問題無い…!サポートアイテムなしでもやってみせるさ…!私はヒーローなのだから!!
まずは…個性再現機構…テープ&帯電!!
「ワイヤーによる捕縛かい?無駄だよ」
ッ…!全身から刃が…!?このアーマーのワイヤーを切断する程とは…切れ味は侮れないな…!
「これは大阪に居たチンピラから奪った個性だったかな。元々はカッターナイフほどの刃しか出せない弱個性だったが肥大化と増殖を組み合わせればこの通りさ」
テープはもう使えないか、だが帯電の機構はまだ生きている…!
「フンッ!」
「電気を纏った殴打か、浅はかだな!『空気を押し出す!』」
お前が好むその攻撃への対策をしていないとでも思ったかオールフォーワン!個性再現機構『エンジン』そして『爆破』!貴様が押し出す力よりもより強い力で踏み込めばッ!!
「ほう?」
「SMASHッ!!」
…ッ!止められた…!
「ふふふ、個性『増電』…ボクに電気は効かないよオールマイト。そして、お返しだ!」
向こうも電気を纏った殴打だと…!?個性再現機構の『帯電』と『硬化』で受け止めるッ!…む…!?いかん、これは…!!
「ふふ、個性と違って機械には限界があるねオールマイト!」
電圧の許容値を超えてしまったか…!まずい…!
「これですでに二つの武器を失ったねオールマイト。次はどんな手を取る?それらをねじ伏せていけばいずれ君はただの無個性へと成り下がる!」
こうなれば…このアーマーを失う事になるが奥の手を使うしか無いようだ…!
「貴様は何と引き換えにしてでも私が倒す…!これ以上貴様に何も奪わせはしない…!!」
「ふふ、せいぜい無駄な抵抗をすると良い」
貴様こそ、その余裕ぶった態度…二度と取れないようにしてやる。残存個性再現機構、全動力接続。タービン全開…出力80…90…
「…何をする気か知らないが君が何かするまでボクが待つとでも?」
「無論貴様がそんな奴ではないことくらい知っているッ!!」
だから貴様には罠を仕掛けておいた。個性再現機構の生き物ボイス…つまり偵察用ドローンと貴様に破壊された『テープ』のワイヤーでな!一瞬、貴様の足止めさえできれば良い!
「ッ!小細工を…!」
緊急弁全閉鎖、リミッター解除!100…110…115…
「それは…まさか…!?」
「そうだ!これは、貴様が青山少年に与え、同時に『無個性でも己の力と努力だけで立派なヒーローになる』という道を奪った忌まわしき個性だ!!」
これで決める!個性再現機構…
「『ネビルレーザー』最大出力ッ!!!」
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ネビルレーザーね、ここに来てまさかそんな物を持ち出してくるとは。
「だが、無意味だ」
「ハァ…ハァ…!まさか…効いていないのか…!?」
渾身の一撃…まぁ機械から放たれるエネルギー砲なんて物は『電波』や幾つかの個性の応用で逸らしたり散らしたりする事は可能さ、その威力を全て無効化できないにしてもね。それに今のボクにはバリアなどの防御系の個性もある。
「空気を押し出すッ!」
「ぐぅッ…!?」
ふむ、この程度のパワーで簡単に体勢を崩せた。先ほどのネビルレーザーであのアーマーはガタが来ている。この勝負、勝ったな…!
「どうしたオールマイト。そんな大層なアーマーを背負ったんだ。ボクを今度こそ倒すんじゃなかったのかい?ふふふ…」
「貴様もわかっているのだろう…!最早今の私…『アーマードオールマイト』に戦う能力は残っていない…!」
…なんだ、やけにアッサリと認めてしまうんだな?「最期まで足掻かないなんて君らしくもない、か?」…!?こ、心を…!?
「若返って顔面が晒されている分心が読みやすいなオールフォーワン。」
「ッ…!心が読めたからってなんだと言うんだ…!最早ガラクタを身に纏っているだけの無個性の君が…!!」
そうだ、この弔と戦闘して疲弊している緑谷出久と爆豪勝己を始末しなくちゃならないんだ。さっさとオールマイトも始末して…
「始末?出来るものならやってみると良い!」
ふん…!そんなに死にたいのなら望み通りにしてやる!!
「『膂力増強』×8+『瞬発力』×8+『肥大化』+『増殖』+『鋲』+『筋骨発条化』+『槍骨』+『頑丈』+『剛筋』+『耐久』+『圧縮』ッ!!この圧倒的パワーを集約した一撃ならば多少の装甲を身に纏っていたとしても君を一撃で粉砕できるだろう!!終わりだッ!!」
痛ァ…。かった、何これ。骨砕けたんだけど???なんで????装甲はいとも簡単に砕けたと言うのに…!
「その答えは…筋肉さ!」
なんだと…?
「この私、『アーマードオールマイト』は私の教え子達の中でも雄英1-Aの生徒達の個性を再現する個性再現機構をアーマーとして身に纏っているものだ。」
何故いきなりこのタイミングでそんな解説をする…?
「だが、そのクラスの中には一人だけ…個性再現機構で再現できない少年がいた」
…?
「それは、『無個性』!故にその少年の分だけは個性再現機構以外の物で再現をしているのだ」
…まさか…!?
「アーマー・テイク・オフ!…フンッ!!」
ッ!?なんだ…!?アーマーの中から出てきたのは…!オールマイト…それも…!!
「ふん、驚いているようだなオールフォーワン。無理もないだろう。ここにいる私はかつての全盛期に匹敵するオールマイトそのものだからな!!」
「馬鹿な…!?あり得ない…!!そんなはずは…!!腹の傷はどうした!?」
「なんか筋トレしたら筋肉の超再生で内臓諸共治ったわ!!筋肉ってスゲェよな!!!」
そんなわけあるか!!!こちとらどんな苦労して『再生』とかでやってきたと思ってんだ!!!!
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貴様のその驚いた顔が見れて…なんだろうな、ヒーローとしてあるまじき感想かもしれないが、なんと言うか心がスッとしたぜ!ざまぁないな!HAHAHA!!!
「さっきまで身につけていたアーマーはいわゆる拘束具。貴様との闘いの直前まで己の肉体を抑えつけ負荷をかけるためのものさ!魔王だなんだと言っていたが、ヒーローはな、ピンチになれば強化フォームがあるものなのさ!!」
うーん、すこぶるほどに筋肉のキレが良い!
「…今更一体どうやってそんな力を…!!ワンフォーオールは譲渡され今の君には残りカスしか無いはずなのに!!」
…ん?何を言ってるんだ奴は?
「それに、ヒーロー科に無個性の少年がいるだと?そんなはずはない!入試試験は実技だってあったはず、無個性の少年なんかがそんなものを突破できるはずがない!!それに、無個性のヒーローだと?あり得ない!無個性でヒーローになどなれるはずがない!!」
「なれるさ!」
「何を馬鹿な!何を根拠に!!」
根拠?そりゃぁお前…
「その答えは…筋肉さ!!」
凝り固まった筋肉を動かすついでのダブルバイセップス!!うーん、我ながら惚れ惚れする上腕二頭筋だ!チョモランマかよ!HAHAHA!!!
「………………。まさか…。まさか!?ま、まさか…!!そんなはず…!!」
現実を受け入れられていないようだな。無理もないだろう。それはそれとしてアドミナブルアンドサイだ!!腹筋8LDKかよ!自分から見えないのが残念だがな!さて、そろそろ固まってるあいつにとどめを言おうか
「何を勘違いしてるのかは知らんが緑谷出久は無個性の少年だ。私は誰にも個性を譲渡なんてしてないぜ」
「…!ッ……!!…!?」
さて、それじゃあ始めるとするか…!
「ッ…!いくら全盛期の君だろうとこちらにだってあれから集めた幾多の個性がある…!!」
「そいつは奇遇だな!私もかつての自分と異なりいくつかの個性をマスターしたんだぜ!!」
「なっ…!?」
そう、今の私はただの『オールマイト』ではない。代々の想いを受け継いでここに再び立っている!!
『本当は9代目辺りだと思っていたんだけどね。これも筋肉が成せる技なのかな』『俊典、お前なら出来る。やってやれ!あとナイスバルク!』
初代に師匠…!ええ、任せてください…!!
「今の私は『パーフェクトオールマイト』!!喜べオールフォーワン!!今から貴様に放つ一撃は…パーフェクトオールマイトの記念すべき…最初で!そして最後の一撃だ!!」
「戯言を…!」
『浮遊』による機動力の上昇!
背面から『煙幕』を噴出させることによる速度上昇!
『黒鞭』で奴を捉え引き寄せる力!
『危機感知』によるカウンターの回避!
殴打数回の動きを『発勁』により上乗せ!
そして『変速』で私自身の速度を上昇させる!
さらに!『無個性』だった私の…この自慢の『筋肉』!!
紡がれし力と個性を今一つにッ!!これが…この私、パーフェクトオールマイトによる…ただ一度だけの殴打だッ!!
「S M A S H ッ!!!!」
「アーマー・テイク・オフ」と格好よく言っていますが筋肉の膨張で内側からパージしているだけだったりする。
○個性『復活』…その名の通り、寿命や病気では無く、死亡する程の負荷が肉体に掛かった際に1度だけ最盛期の肉体を取り戻し負荷に打ち勝つ個性。オリジナルのオールフォーワンだって魔王。魔王に第二形態があるのはお約束である。『脱皮』や『再生』などの複数の個性を組み合わせて作り上げたもの。
○パーフェクトオールマイト…筋肉増幅装置の副作用により神野で筋肉を失い、筋肉痛に悩まされたものの、その後米国のスター・アンド・ストライプのところで本気で鍛えた結果、全盛期並みの筋肉に戻ったオールマイト。更に筋肉の超回復でなんか内臓諸共怪我全部治った。何?そんなのおかしい?おかしくなんて無い。筋肉に不可能は無いのだから。そして圧倒的筋肉によりワンフォーオールの中に眠る先代との対話を行い全ての個性を引き出し扱えるようになっている。まさにパーフェクトなオールマイト。但し、本人はオールフォーワン相手以外にこれを使うつもりはない。
○スターアンドストライプちゃん…心と筋肉の師であるオールマイトからサインをもらったので泣いて喜んだらしい。可愛いね。ムキムキだけど。
次回、最終回!