石頭のトープス(知力乱数 筋力乱数)   作:蓼食う裕太さん

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性懲りもせずに新作を描いてしまった…

知力は乱数です。

拙作のトープスは褪せ人となりますのでご注意下さい。
また設定の捏造(ex:ユニーク武器にエンチャント)などもありますが、作者が不可能ではないと考えればどんどんやっていきますので、温かい目で見ていただけると幸いです。


鈍石(重厚派生)

 

 

 「……ぬっ」

 

 瞼が開き、空を仰ぐ

 全身を襲う浮遊感にも似た不思議な感覚。

 

 そして完全に意識が覚醒して、状況の把握を開始する。

 

 (───私は一体?そうだ!岩場で寝ていたところにやってきた飛竜スマラグに丸呑みにされてしまったのだった………)

 

 

 恐らくかの飛竜の縄張りだったのだろうか、そこで要を足して己の縄張りかと言わんばかりに堂々と寝ているトープスの姿を目撃した青き飛竜スマラグは咆哮を轟かせ、大いに激怒し一切の警告無しに、男を丸呑みしてしまったのだ。

 

 トープスは丸呑みされた事に気づくも、ひんやりとした環境の居心地の良さに心を打たれ、そのまま眠りついてしまう。

 リエーニエの湿気と夏場の熱気には、さしものトープスといえど疲労を隠しきれず、幸運にも意図せずスマラグという渡りに船という状況になっただけであった。

 

 寝床代わりにしていた竜の口腔内。

 ひんやりとして涼しい此処は輝石の魔術を扱う者、魔術師ならばパワースポットとして有効に活用できるのではないか?と当時のトープスは考えた。

 

 魔術師喰らいのスマラグ。

 

 その異名の通り、数多の魔術師を喰らい、その輝石を身に宿したスマラグは魔術を扱うことのできる数少ない飛竜であり、同時に内なる輝石に蝕まれる哀れな飛竜でもあった。

 

 古の時代より竜を知るものからすれば、古竜に比べれば飛竜なぞ惰弱な存在だ。

 

 そもそもの話、飛竜とは永遠なる古竜の末裔。古竜の成り損ないのようなもの。

 古竜(彼ら)と比較すれば圧倒的な弱者に他ならない。

 

 されりとて古竜(当時)と今は違う。

 

 古竜の多くは姿を消し、人が恐れ敬い崇め、焦がれる存在こそが飛竜なのだ。

 

 誰が言ったか、竜を狩るは騎士の誉。

 

 トープスは騎士ではなかったが、心は男児のそれであり、男は皆男児であった。

 

 故にスマラグの存在を認識した途端トープスはスマラグと触れ合い、そして己を高めようとした。

 

 そのまま眠りに入ったトープスを腑に納めたスマラグであったが、上空を舞う最中、異変が生じた。

 

 無理もなかろう、飛竜が喰らったのは総重量100キロを優に超える筋骨隆々のトープスとその装備品50キロ。

 その程度の重量、通常の獲物ならば問題はなかった。

 だが消化できないとなれば話は別だ。

 

 鍛え上げられた筋肉は無意識に魔力でバリア張っていたかのように全身を覆い、強力な消化力を有するスマラグの消火液をものともせず、トープスはただそこに在った。

 

 胃袋に乗しかかる150キロ近くの消化不良物である一人の人間の負担は計り知れず、如何に竜とてその臓物は繊細極まる。

 

 そんなものを腑に残したまま生活を続ける生物が果たしているだろうか?

 

 否、存在しない。

 

 ではどうするか、もとより複数回の咀嚼を経て消化する草食動物と異なり、飛竜には本能的に咀嚼するという行いはあり得ない。

 

 故に飛竜スマラグはトープスを上空から排泄物(・・・)として処理したのだ。

 

 たとえ崇高な飛竜であろうとも、スマラグとて生物。

 

 優雅に空を舞いながら脱糞するというのも、強者の特権なのだ。

 

 そしてトープス(弱者)は青い糞に包まれ、失墜するのみ。

 

 青い─恐らくは輝石の糞塊に包まれながらトープスは打開策を練り出す。

 

 抱え込んだルーンは4万。

 

 コツコツと稼いできた全財産だ。

 

 トープスの予測では此処で死亡すると、スマラグに飲み込まれたリエーニエの北部にルーンの枝が刻まれることになるだろう。

 

 ルーンの枝となり地に生えたルーンは本来の死亡者が再び死亡する事で、二度目の死亡地点と死亡時に所有していたルーンへと上書きされ存在を抹消される。

 

 祝福の導きを失ったトープスが今命を失うと何処で蘇れるのか、はたまた存在自体が霧消するのか。

 

 前者としては道中には陸ダコに大ザリガニ、第二世代のしろがね人が無数に存在している。

 特に出不精の多い魔術師であるトープスにとって先述した敵対者との戦闘経験は多く無く、不覚をとる恐れがある事から、何としても生還する事が望ましい。

 

 後者は考えたくない事であるが、祝福を失った者の末路など総じて狭間の地から消え失せるのが道理だ。

 

 そんな状況での高所からの落下。

 

 いかなる強者とて25メートルを超える高さから墜落すれば、死は免れない。

 翼を持つ鳥類とて墜死するのこの狭間の地では、落下というものはそれだけリスクの高いもの。

 

 トープスには翼どころか空を舞う術はない。

 

 (───如何に高名な魔術師であれ、重力魔法を収めなければ、この状況から脱することは困難のはずでは?)

 

 脳裏によぎる重力魔法。

 ケイリッドの将軍ラダーンはかつて岩肌の師を仰ぎ、重力魔法を会得したされその巨大な肉体を浮かせたと聞く。

 

 確かに重力魔法ならば、この窮地を脱する可能性はあるだろう。

 

 だがトープスに仰げる岩肌の師はいない。

 

 岩肌の御仁は学院の水車付近に1人ほど居たが、トープスの言葉を聞いてくれる訳なぞない訳で…

 

 

 

 初めから結論は決まっていた。

 

 

 

 

トープスの知力999999が導き出した答えは一つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 YOU DIED

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 「──っは!?」

 

 再度の覚醒、場所は礼拝堂とでも言うべきだろうか?

 

 あまりに暗く、寂れた此処はまるで数日前の己の心象風景、その写鏡のようであり、トープスは幾許かノスタルジーに浸りたい気持ちを抱く。

 

 瞼を閉ざし周囲の空気を吸い込み、吐き出す。

 

 それを数回繰り返し、鼻腔に古ぼけた空気を取り込み、瞼を開く。

 

 ふと視線を横にすると血濡れの女性の姿が…

 

 「おい…!?お前さん大丈夫か?」

 

 巫女服を着た女性の元へと歩みを進める。

 

 ギシギシと悲鳴をあげる床を傍目にトープスは一歩ずつ歩みを進める。

 

 女性の手首を持ち脈を測ろうとするも、その腕から感じられる熱が無いことからトープスは巫女服の女性が絶命していることを理解する。

 

 大きく目を見開きながら死を迎えた彼女の末路は想像を絶するに違いない。

 トープスは暫し黙祷し、既に事切れていた彼女の足元に指のような物が落ちていることに気がつく。

 

 「これは……?」

 

 褪せ人の老指。

 

 骨皮だけとなってなお、残り続けた屍蝋の指。

 他世界に己の言葉を伝播させる為に用いる遺物だ。

 

 トープスは老指を拾い上げ、二本目(・・・)となった屍蝋の指を見つめる。

 

 「まさか…」

 

 部屋の隅、普通ならば目につかないような場所に白い光があった。

 

 「有り得ない。」

 

 かつて祝福に導かれ、導きが見えていた頃に己を助けてくれた同胞達の道標。

 

 時には騙し、嘲り、助け、慰め合ったあの伝言(メッセージ)が刻まれていたのだ。

 

 祝福を失ったトープスが二度と見ることがないと思っていた異世界の同胞(友の影)

 

 涙を流し、その伝言を読み取る。

 

 {頑張れよ!}

 

 道なりに続く伝言は扉へと続き外界へとトープスを誘う。

 

 覚束ない歩みで扉へと歩み寄り、視界を閉ざすソレを両手で押しのけ光が差し込む。

 

 石畳の上に群生する褪せた黄金の植物、獣をあしらった軍旗に倒壊した建物。

 戦場跡を思わせる風景はトープスが初めてこの地を訪れた時と一切変わらずそのままだ。

 

 数歩進み、崖に沿って作られた木製の階段を見やると白いサインが浮かび上がる。

 

 {まずはジャンプ}

 

 断崖絶壁、その場で飛び跳ねる事さえ足が竦み、躊躇うというのにこの伝言の主は飛び降りろというのだ。

 

 正気ではない。

 

 よく見ると足元には赤い血溜まりが出来ている。

 

 この血溜まりは異世界の褪せ人達の死因を示すもので有り、その死に様を観測することができるのだが……-

 

 トープスが血溜まりに触れると血溜まりが巻き上がり、人の形を成す。

 

 赤い人型のソレは暫し動きを止めて、崖から飛び降り姿を消した。

 

 これが意味するのはこの伝言に騙されて命を落としたものが存在するという事だ。

 

 トープスは何処か懐かしいような感覚を覚えつつ、呆れた様にため息をつく。

 

 祝福に導かれた褪せ人は荒んでいたり、純粋であったりと多種多様な者がいる。

 

 中には態々、同胞の世界に血の指や背律者として侵入し、世界の主の邪魔をしに来る酔狂な褪せ人も存在する。

 世界の主を殺したとて得られるものはルーンの弧という、この世界を律するエルデンリング、その砕かれた欠片だけである。

 

 ルーンの弧は希少ではあるが必要不可欠なものではなく、祝福に導かれるままに旅を続けていれば大体余る代物だ。

 

 ちなみにトープスは一つも所持していない。

 

 大方侵入するの褪せ人の多くは、人との戦いに飢えている者ばかりというのが実情だ。

 

 トープスは祝福に導かれる褪せ人としての常識を再確認し、再び歩み始める。

 

 伝言を辿りながら階段を降り、橋を渡り、門を抜け、大きな広場へと立つ。

 

 {この先ボスあるぞ}

 

 眼前には巨大な永遠の女王マリカの像があり、トープスは嫌な予感を胸に抱えたまま先を急ぐ。

 

 すると行手を阻むかの如く、広場の出口に黄金の霧がかかり背後から衝撃音が響き渡り、土煙が視界が覆われる。

 

 

 「◼️◼️◼️◼️◼️◼️!!!!」

 

 鼓膜を犯す絶叫。

 

 その発生源はとても自然に生み出された生物とは言えぬ、悍ましき化生。

 

 かつて人だった肉体に無理矢理、継ぎ足された不自然な手足。

 腕から腕が生え、胴体から複数の足や腕が継がれた醜くき貴公子。

 

 リエーニエから南に位置するリムグレイブ。

 その土地を納める破片の君主ゴドリック。

 

 黄金の一族の末裔であったゴドリックの親類の成れの果て、悍ましき継ぎ贄の儀式によって変貌した蜘蛛。

 

 接ぎ木の貴公子。

 

 蜘蛛は獣の紋章をあしらった鈍い黄金の盾と、二振りの儀仗のような剣を構えたまま動かない。

 

 (私の出方を窺っているのか?)

 

 右腕に棍棒、左腕に巨大な触媒を己の内なるルーンから顕現させ、臨戦体制を整える。

 

 左手に添えられた触媒に魔力を込め、輝石が輝きを放ち8つの魔力弾がトープスを包む様にして展開される。

 

 一瞬の間を置いて魔弾が蜘蛛を感知し、次々と放たれる。

 

 強靭な精神力を有するトープスは魔力の消費が少なく、そして確かな命中精度と威力を保証するこの魔術を好んで使用する。

 

 その魔術の名は《錫杖の魔術》。

 

 知力が0()であっても使用できる魔術系統の戦技(・・)

 

 通常戦技を扱うにはその武器の要求する能力を満たす必要がある。

 魔術系の武器に込められた戦技を扱うのならば知力、炎や黄金樹にまつわる武器ならば信仰、高い膂力を求める重厚な武器ならば筋力、優れた技術を要求するのならば技量といった形で求められる能力が大きく異なる。

 

 自称知力999999のトープスでは魔術扱うための触媒の要求する能力値を満たすことは出来ず、筋力のみを要求する触媒である巨大な触媒《番犬の錫杖》を用いる必要があった。

 

 これを振るうには人並外れた膂力を要求されるが、トープスはこれを触媒として利用する事でデメリットを解消しているのであった。

 

「オォ゛オォ゛ォ゛ォ゛!!!」

 

 そして放たれた魔弾と共にトープスは石の棍棒を両の手で握りしめて、戦技『野蛮な咆哮』によって獣じみた咆哮を轟かせ、動揺し切った精神を昂らせ戦意へと変貌させる。

 

 対する蜘蛛は大盾を持って魔弾を凌ぎ切り、手を広げる様な独特な構えを取り、儀仗の直剣を突き出す。

 

 トープスはその刺突を辛うじ認識し、身を捩りながら全身の力を四肢に張り巡らせ、まるで知性を感じさせない連撃を蜘蛛の頭部へ叩き込む。

 

 いかに強大な蜘蛛とてその頭部は急所に他ならず、蜘蛛は僅かによろけながら後退を選択した。

 

 これを逃すまいと再度突貫したトープスは、突如縮こまった蜘蛛の様態に違和感を感じ一瞬遅れて背後へ飛び退く。

 

 「◼️◼️◼️◼️◼️◾️◾️◾️!!!!!!!」

 

 再度の絶叫。

 

 一瞬とはいえ至近距離で爆発的な衝撃を受け、トープスの耳からは血がダラリと垂れる。

 

 鼓膜が損傷した事で膝をついたトープスが激痛のあまり顔を歪めている隙に、蜘蛛は両の剣を交差させ戦技を発動する。

 

 『黄金の剣技』

 

 刹那、黄金樹を思わせる紋様が出現し、その刀身黄金に染め上げる。

 

 その輝きを目の当たりにしたトープスは、未だに己を襲う痛みを堪えて立ち上がる。

 

 「ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!」

 

 蜘蛛の頭部と水平に構えられた直剣から、直感的に蜘蛛が次の激突で全てを決しようとしている事を悟ったトープスも、蜘蛛に応える様にして内なるルーンから異なる戦灰が付与された石の棍棒を構え、雄叫びをあげる。

 

 『ウォークライ』

 

 野蛮な咆哮とは異なり、辛うじて人の範疇に収まった雄叫び。

 

 されの雄叫びとて侮るなかれ、その真価は雄叫びによって鼓舞され、隆起する筋肉にある。

 

 棍棒を下段に構えトープスは駆け出す。

 

 ほぼ同時に無数の刺突を持って迎え撃つ蜘蛛の連撃、その一閃一閃がトープスに命中し、彼の肩や太腿を貫き、その腑を抉る。

 

 だがトープスは止まらない。

 

 下段より勢いよく棍棒が振り抜かれ、蜘蛛の貴公子と呼ぶに相応しい端正な顔つきを歪める。

 

 振り抜かれた棍棒は蜘蛛の顎を砕き、そのまま頭部に思いっきり叩きつけられた。

 

 顎を打ち砕かれ、脳天をかち割られるような衝撃を受けた蜘蛛は地に倒れ伏す。

 

 大抵の生物は死した際に光の粒子となり、己を殺した存在のルーンへと還元される。

 

 地に倒れ伏した蜘蛛の存在はそこにあった。

 

 故にトープスは追撃として背負っていた番犬の錫杖を取り出し、蜘蛛に致命の一撃(トドメ)を繰り出した。

 

 全力で振り翳された特大武器である番犬の錫杖の威力は計り知れず、吹き飛ばされた接ぎ木の貴公子はそのまま崖外へと落下する。

 

 「ふぅーーーっ、何とかなった……。私でも案外何とかなるものだな。」

 

 錫杖を支えに両膝を地につけ、浅い呼吸を繰り返す。

 

 先の戦闘でトープスがあった負傷は軽くない。

 

 肩と太腿に穿たれた孔は彼の歩行を困難にするほどの深手であり、腹部に直撃した分は最早致命傷だ。

 

 トープスを含む祝福に導かれた褪せ人ならば、緋色の聖杯瓶という己の傷を癒す道具を持っている。

 彼らは戦いの中で傷を負い、聖杯瓶による治癒を持って旅を続けてきた。

 

 しかしトープスは聖杯瓶を持っていなかった。

 

 いや厳密には彼は聖杯瓶を所有している。

 

 そう聖杯瓶()()

 

 彼が有するのは空の聖杯瓶。

 

 聖杯瓶の中身を補充するには、祝福での休憩が必要だったのだ。

 此処に来るまでに祝福の導きを失い、その恩恵を失った彼は聖杯瓶の補充が叶わ無かったのである。

 

 そして今、彼の視界には祝福は無い。

 

 おそらく現在トープスのいる離島には祝福が存在しないのだ。

 

 だから今の彼には聖杯瓶を補充してその傷を癒す事が出来ない。

 

 「ぐっ………うぅ…」

 

 じわじわとやって来る死の予感にトープスは呻き、そしてその意識を暗闇へと沈めた。

 




 こんな私ですが周回時は毎回トープスを鈴玉に変えています。

 メッセージについてはなんとなく記憶にある範囲で書く予定となっております。
 そのままだと何か怒られそうなので……

 また拙作ではHPの概念を、ダメージを浅手に抑えれる数値だと余っています。
 ですからトープスと戦った貴公子がカンスト周回の個体、もしくはトープスの生命が極端に低いということです。

 ちなみに僕は侵入大好きです(なお勝率)
 チャンバラが好きなんじゃ〜
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