皆さん、突然ですが私のお話にお付き合いください。
私の名前はシエル。以前は「雪天気シエル」と呼ばれていました。
私は天気の妖精です。天気の妖精は特殊な絵の具を持っていて、お空に絵を描くことで天気を与える事ができます。
私は恐れながら雪天気という名をいただいていました。名前の通り、お空に雪を描くことが役目でした。私は末っ子でまだまだ未熟なので、筆ではなくスプレーで雪空の絵を描きます。
雪というのは不思議なもので、過酷な環境にしか降らないにも関わらず、みんなが喜んでくれます。雪を降らせばみんな笑顔で駆け回ります。
私はそんな役目を誇りに想っておりました。
他の天気の妖精の皆さんも優しく可愛がってくれました。
陽気なベンガーラ様、物知りのラズラ様、クールなスレット様、いたずらっこのターメル様、楽しいお姉さんのランブラ様。仲間がいっぱいいます。
特にアルシエル様はみんなのお母さんのような立場です。私にシエルという名前をくれたのもアルシエル様です。アルシエル様の名前にもシエルという単語が入っているので、特別な感じがあってとても嬉しかったのです。
そんな私にも悩みがありました。
雪は寒さの象徴です。雪を描くということは、地上を寒くするのと同義なのです。
みんな喜んでいるように見えますが、それはお空の上から見えている範囲だけです。他の見えない人達がどのように感じているのか分かりません。
もしかしたら、寒さが苦手な人を困らせているのではないでしょうか?
そのことをアルシエル様に相談したら、このような提案をしてくれました。
『しばらく地上を旅してみて、自分の目で見て周っては如何でしょう?』
それを妙案だと思った私は、めいっぱい同意しました。
きっとアルシエル様は私に勉強させて、見聞を広めようとしたのだと思います。それがとても嬉しかったのです。
初めての一人で遠出です。とっても緊張しましたが、それ以上に旅をしたい気持ちが強まったのです。
こうして私は旅をすることになりました。
しかし、旅は思っていたよりも大変なものでした。
地上の人達は空を見ていませんでした。
私達が笑顔にできていたのは、空を見上げた少数だけでした。
地上の人達は笑顔ばかりではありませんでした。
悲しい表情をする人たちもいっぱいいました。
寒さが苦手な人はたくさんいました。
私が気付かなかったのは、雪が降っている間、ずっと室内にいたからでした。
私を追いかけまわす人達がいました。
天気の妖精は珍しく、高く売れるのだと言っていました。
あの時は自分の役目に対する不安と、地上に対する恐怖でいっぱいだったのです。
でも今は違う!!(ギュッ
お空の上のアルシエル様、シエルはついに天職を見つけました!
地上を旅していた私は運命の出会いをしたのです!
あれは旅の途中で【六世壊】という場所を訪れた時のことでした。
普段のように雪を描いていると、ある人が声をかけてきたのです。
『俺のところで働いてみないか?』
私に声をかけてきたのはライズハート様(カッコいい!)です。
どうやらこの世界はライズハート様の率いる【クシャトリラ】という者達にとって住みにくいらしいのです。なので、彼らはこの辺りを住みやすい環境に改良するため頑張っているようなのです。
私はその提案を受けて、試しに六世壊で働くことにしました。
最初にライズハート様の洗礼を受けて、普段の青基調から赤基調にイメチェンしました。クシャトリラの皆様とお揃いの装いです!
クシャトリラの皆様は遠目にこちらを見ていますが、まだ受け入れてくれている様子はありません。
新しくもらったバズーカ型の『テラフォーミング装置』を運びます。普段使っている雪のスプレーよりも重たいですが、頑張って運びます!
目的地まで運んだら、地面に向けて装置を起動します。
「えいっ!」
赤い装置が起動すると、赤い光が辺りを包みました。みるみる周りの環境が変化していきます。
暗い黒の曇天と砂地。これがクシャトリラの皆様にとって過ごしやすい環境のようです。
私は他の妖精と比べて絵を描くのが下手なので、雪は少しの間しか振りません。
でも、このテラフォーミング装置はずっと効果が続くようなのです!
まるで一人前の妖精のように広く効果が出てとても嬉しくなりました。
『いい働きだシエル』
ライズハート様は満足そうに頷いて褒めてくれました。
その上、優しく頭を撫でてくれました。
嬉しくなって目を閉じていると、いつのまにか遠巻きに見ていたクシャトリラの皆様が集まっていました。
細身でちょっと強面のフェンリル様
背が高くて立派な角があるユニコーン様
身体が大きくてのっそりしたオーガ様
皆さんは言葉を喋れませんが、それでも感謝の気持ちが伝わってきました。
皆様の雰囲気も柔らかくなって、『おかげで住みやすい空気になった』という言葉が聞こえるようでした。
みんなに感謝されたことでとっても嬉しくなった私は、これが本当にやりたかったことなのだと気付きました。
雪を降らしている間はみんな笑顔になってくれますが、他の妖精以外に褒めてくれる人はいません。誰もシエルに気付かないからです。
でも、ここは違います。シエルの働きでみんなが感謝して、しかも褒めてくれるのです。
それがすごく嬉しくて、これが運命なのだと思いました。ここでいっぱい頑張ることを決めたのです!
なんと新しい名前もいただきました。アルシエル様からいただいたシエルの名は変えたくないと申し出ると、それを考慮してシエルの名を残してくれました!
新しい私の名前は【シエル・クシャトリラ】です!
ライズハート様の率いる方々は皆【クシャトリラ】の名をいただくようです。
つまり私も皆さんの仲間として認められたということになります!
シエル・クシャトリラ、これからもテラフォーミング頑張ります!
◆
某日某所、とあるデュエルフィールドで2人のデュエリストが対峙していた。
片方の少女のEXゾーンには「虹天気アルシエル」とフィールド魔法「天気予報」が存在しているが、アルシエルの特殊召喚と相手の妨害に注力した結果、メインモンスターゾーンががら空きとなっていた。
「どう、して……?」
少女は呆然と呟いた。
その相手が使用したカードを見たことで大きく動揺したのだ。
「手札の『六世壊の天気模様』を除外して『シエル・クシャトリラ』を特殊召喚だァ!!」
【シエル・クシャトリラ】
効果モンスター
星7/地属性/サイキック族/攻2200/守0
このカードはルール上「天気」カードとしても扱う。
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分・相手のメインフェイズに発動できる。
このカードを手札から特殊召喚し、自分の手札・墓地から「クシャトリラ」カードまたは「天気」カード1枚を選んで除外する。
(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
自分の墓地のカード及び除外されている自分のカードの中から「クシャトリラ」魔法・罠カードまたは「天気」魔法・罠カード1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンに表側表示で置く。
(3):このカードが「クシャトリラ」カードまたは「天気」カードの効果を発動するために除外された場合、次のターンのスタンバイフェイズに発動できる。
除外されているこのカードを特殊召喚する。
ソリッドビジョンを通してシエル・クシャトリラが姿を現す。そのカードの姿はよく見覚えがあった。「雪天気シエル」とそっくりだったのだ。
雪天気シエルは天気デッキにとって重要な初動カードであり、少女もよく使用する相棒カードだ。
対戦相手が使う【シエル・クシャトリラ】は髪と服が赤く、手に持つ武器はバズーカ型のテラフォーミング装置である。
シエルが六世壊に侵食されたような姿である。その姿を見たことで、まるで仲間が奪い取られたような感覚に陥った。
「シエル・クシャトリラの効果発動!除外した『六世壊の天気模様』をフィールドに設置する!」
【
永続罠
(1):「六世壊の天気模様」は自分フィールドに1枚しか表側表示で存在できない。
(2):このカードと同じ縦列の自分のメインモンスターゾーン及びその両隣の自分のメインモンスターゾーンに存在する「天気」効果モンスターは以下の効果を得る。
●このカードを除外して発動できる。
相手の手札をランダムに1枚選び、ターン終了時まで裏側表示で除外する。
このカードの効果により除外された相手カードが持ち主の手札に戻った時、相手はそのカードをフィールドにセットする事が出来る。(セットしたカードがモンスターの場合は特殊召喚として扱う)
この効果の発動後、ターン終了時まで自分の効果で相手の手札を除外することができない。
この効果は相手ターンでも発動できる。
シエル・クシャトリラがバズーカを放つと、空が『六世壊=パライゾス』に酷似した景色へと変貌していく。
「そんな!?お願いシエル、目を覚まして!」
天気使いの少女が声を上げるが届かない。
シエル・クシャトリラは無邪気な笑顔を振り撒いてテラフォーミングを続ける。
「六世壊の天気模様により効果を与えられたシエル・クシャトリラの効果発動ゥ!自身を除外してお前の手札を一枚裏側で除外する!」
「ああっ!?」
少女の手札にいた「雪天気シエル」が除外されてしまう。
まるで決別のように手札から離れていく。
「お前のカードが除外されたことでクシャトリラ・シャングリラの効果発動!お前のフィールドをひとつ使用不可にする!」
「あっ……」
この効果により、既に4箇所のメインモンスターゾーンを封じられていた少女は、ついに最後のメインモンスターゾーンが使用不可になってしまう。
それはつまり、除外した天気モンスターが帰還出来ないことを指す。
「これが絶望だ!クハハハハ!!」
度重なる絶望に失意し、少女は膝を折る。
勝利を確信したクシャトリラ使いのデュエリストは笑う。
その空で、シエル・クシャトリラは無邪気に壊天気を振り撒いていた。
「あ、ガダーラ引きました」
「ゑ?」
瞬時に返されるのはまた別のお話である。
時系列順の派生モンスター
【雪天気シエル】→【旅の雪子 シエル】→【壊天気シエル】→【シエル・クシャトリラ】
【シエル・クシャトリラ】
効果モンスター
星7/地属性/サイキック族/攻2200/守0
このカードはルール上「天気」カードとしても扱う。
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分・相手のメインフェイズに発動できる。
このカードを手札から特殊召喚し、自分の手札・墓地から「クシャトリラ」カードまたは「天気」カード1枚を選んで除外する。
(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
自分の墓地のカード及び除外されている自分のカードの中から「クシャトリラ」魔法・罠カードまたは「天気」魔法・罠カード1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンに表側表示で置く。
(3):このカードが「クシャトリラ」カードまたは「天気」カードの効果を発動するために除外された場合、次のターンのスタンバイフェイズに発動できる。
除外されているこのカードを特殊召喚する。
『解説』
天気およびクシャトリラの両テーマに属するモンスター。
イラストは「雪天気シエル」と類似しているが、髪と服と目が真っ赤になり、手に持った装置がテラフォーミング装置に置き換わっている。
⑴効果はクシャトリラNTRモンスターに共通した自己特殊召喚能力である。同名の「シエル・クシャトリラ」を除外することも出来るが、この除外は発動コストではないため⑶効果には繋がらない。
⑵効果は⑴効果から繋げれば、コストとして使った「天気」「クシャトリラ」永続魔法・罠カードを無駄なく使える。
⑶効果は「天気」モンスターの共通効果に類似しているが、あちらと違ってフィールドからの除外に限らないため、「クシャトリラ・ライズハート」の除外からも帰還が可能となっている。
【
永続罠
(1):「六世壊の天気模様」は自分フィールドに1枚しか表側表示で存在できない。
(2):このカードと同じ縦列の自分のメインモンスターゾーン及びその両隣の自分のメインモンスターゾーンに存在する「天気」効果モンスターは以下の効果を得る。
●このカードを除外して発動できる。
相手の手札をランダムに1枚選び、ターン終了時まで裏側表示で除外する。
このカードの効果により除外された相手カードが持ち主の手札に戻った時、相手はそのカードをフィールドにセットする事が出来る。(セットしたカードがモンスターの場合は特殊召喚として扱う)
この効果の発動後、ターン終了時まで自分の効果で相手の手札を除外することができない。
この効果は相手ターンでも発動できる。
『解説』
イラストは「六世壊=パライゾス」に映る黒い曇天とテラフォーミング作業をする「シエル・クシャトリラ」が描かれている。
六世壊の名を冠しているが「むせかい」と読むためクシャトリラテーマには属さず「クシャトリラ・オーガ」でサーチできない。
相手の手札を除外する効果だが、ターン終了時に戻るため単純なアドバンテージには繋がらず、手札に戻るとセット可能なため返しのターンに速攻魔法・罠カードの発動を許してしまう。
裏側で除外するため「クシャトリラ・シャングリラ」の発動条件となる。また、「クシャトリラ・アライズハート」で取り込んでしまえば手札に戻らないため実質ハンデスとなる。