三島財閥。
世界有数の財力をもち、世界に対する影響力の高さは下手な小国をはるかに凌駕するほど大きい組織である。
その本拠ビル、最上階の当主執務室。
床に敷かれた絨毯、党当主権限による決裁のための執務机。それらの質の高さは見るものが見れば……等というものではなく、最低限の教養を学んだものが見れば素材の時点で厳選された高級品だと理解できる程の質である。
平均的な経済レベルの常識で育った人間なら絨毯を踏むどころか、呼吸ひとつすることにすら気後れするほどの"格"の高さを見せるその一室。
しかし今、そこに居る人間に部屋の持つ格式に気後れしている者は一人もいない。
三島財閥当主である、三島平八。
当主の護衛も兼ねる側付きの黒服たち。
そして襲撃者。
若い男である。少年と言っても良いかもしれない。
身にまとうのはムエタイトランクス。
前腕から拳、下腿から足首の先までをテーピングで固めたその姿。
露出している肌に刻まれた大小様々な傷、そしてそれほど大柄ではない──おそらく180センチに届いていない──体躯で有りながらも、存在しているだけでギチギチと皮膚が弾け飛ぶのではないかと錯覚させるほどに発達した筋肉。
彼は部屋の中に散乱した割れたガラス片すらも気にしたそぶりも見せずに不敵な笑みを浮かべて見ている。
この部屋の、否、このビル……いや、この国の主である三島平八を。
昼日中、突然の襲撃に対しても当主を守護るべく平八と襲撃者の間に立ち塞がろうとする黒服たち。
しかし平八はそれを無言で手を払い下がれと命ずる。
この部屋に控える黒服であるからには、彼等は三島財閥の擁する私設戦闘集団、鉄拳衆の中でも高い戦闘力と多様な職務に対応するための能力を備えている。
が、その彼等でもこの襲撃者が相手では手に余るとわかっているからである。
平八は自身の指示を忠実に受けとり、襲撃者を囲むように広がりながらも前に出ることなく控える黒服たちの動きに満足し、襲撃者の正面に立つ。
この相手であればすでに間合いの内側であろう、しかし平八は構えることもせず尊大に腕を組み、仁王立ち。
自身の異名、鉄拳王の名が示すように王者の風格を持って言葉を吐く。
この言葉に対する一切の嘘偽り、誤魔化しは許さんという圧をこめて。
「貴様、何者じゃ」
並の人間なら心身ともにすくみあがる程の圧を受けても襲撃者の少年の表情は変わらない。
ふてぶてしい笑みを浮かべながら、ふふんと笑い、答える。
「俺の名は」
「浅草寺、雷門……と、まぁこれで良いだろ」
この時代、日本であっても捨て子は少なくない。
いや、むしろ近年の世界情勢の傾きは経済力にすぐれた国であればあるほどに負担を溜め込み、民衆の生活を圧迫しモラルが低下……その結果、様々な不幸を生むことになっていた。
だからその日のそれも、その雑多な不幸のひとつとして特に世界の注目を浴びることもなく、粛々と処理される。
捨て子など珍しくもない時代となった。
人工密集地である都市部分となれば年間どれだけあったかなど数えてもいられまい。
それだけの数の捨て子がいれば、名前すら付けられずに捨てられる子供も珍しくない。
むしろ死体として捨てられなかっただけでもその子の不幸は小さな不幸だったと言えるかもしれない。
その名無しの少年の名は、捨て子の報告を受け保護した国の職員が、捨てられた場所にちなんで付けられた。
浅草寺の雷門に捨てられていた子供なので、浅草寺雷門。
名前をつけた者にとっては年に何度も行った作業であるので、もはやいちいち覚えているようなものではない。明日にでも忘れているだろう。
この子供はこのまま国の施設に送られそれ以降は自分の人生と一切の関わりがなくなるのだから、と。
彼、浅草寺雷門と名付けられた少年の第二の人生はそこから始まった。
何の運命のいたずらか、彼には前世からの記憶があった。
だからこそ無責任な母親が自分を隠すように捨てたとき、母親が去ってから人の気配を感じるまで体力を温存し、人の気配を察知してから大声で泣き叫び助けを乞う事ができた。
子供を捨て去るような無責任な母親では、仮に目の前で泣き叫び一時的な心変わりを誘発できても、いつ子供を邪魔に、負担に思い。
捨てるならまだマシ、最悪殺害に走らないという保証など無いのだから、この母親の元で育ってはならないと確信した。
ならば親無し子として孤児院にでも入れられた方が未来は明るいと推察したのだ。
果たしてその考えが正解かどうか、そんな未来のことはわからないが、彼は、雷門は自分の生き方を自分で選ぶ。
そう決意した。
生後数年が経ち、彼はこの国は日本だけど、前世とは違うのでは? と思い始める。
生まれた年代、西暦が自分の前世から巻き戻っていることは、まぁいいだろう。
前世の死ぬ前はかなり発達した通信技術が国民に行き渡っていて、色々と便利なものがたくさんあったのだが、今生の今、この時にそういった便利な物がなくとても不便である。
だがそのくらいであれば、時間の経過でいつか前世に追い付くだろうと思えたのだが……彼の育つ孤児院にある世間よりやや古めの漫画雑誌。
それらが微妙に違うのである。
連載当時に産まれてすらいなかった子供でも知っているような名作、それらが無かったり、なんともパチもんくさい漫画になっていたりするのだ。
それに日本のはずだけど、やたらと治安が悪く思えるのだ。
そういった小さな違和感の積み重ねが、今の人生の世界は前世と違う世界なのでは? と、雷門に思わせる原因になっていた。
さらに数年後のある日。雷門は確信した。
この世界は前世とは違う世界だ、ただし俺はこの世界を知っている! と。
あらゆるメディアを使い大々的に宣伝される格闘技の大会。
世界最強の格闘家は誰か? 最強の称号を求めるもの達の集い、武の共演。
The King of Iron Fist Tournament
その宣伝を見たとき、雷門は
「レトロ格ゲーの謳い文句みてぇだな」
と鼻で笑い、次の瞬間ビビっと来た。
「この世界、鉄拳の世界だ!」
前世でプレイしたことのある格闘ゲームのシリーズタイトル、それが鉄拳である。
雷門の記憶では7までをプレイした記憶があり、鉄拳シリーズは格キャラのEDがユニークな所もあり、ゲームをプレイする上では特に意味のなかった世界観や各キャラクターの設定もそれなりに記憶していたのである。
その記憶を今の世界と繋げれば、多くのことに辻褄があうのだ。
やたらと治安の悪い日本、いろんなテレビ番組の提供欄で見かける三島財閥のスポンサー名など。
ということはこの世界は鉄拳の世界なのだと、雷門は確信した。
そして鉄拳というゲームでは優勝者が三島財閥を手にいれて次回作のラスボスや中ボスになるゲームだったと思い出す。
つまり、強くなって、鉄拳トーナメントに優勝すれば、俺は!
その日から雷門の修行の地獄旅が始まった。
今までは孤児院で養われる身であるということを考えて自重して生きてきた。
しかしそんなことに意味はない。
俺の目指す人生は人並みなんていう低次元のものではないのだから。
だが問題は山積みである。
孤児院の養われ子に過ぎない自分では格闘技を学ぶための道場に通えない。
金がないからだ。
町で喧嘩して鍛える……程度では戦いのレベルが低いうちに頭打ちになってしまうだろう。
鉄拳というゲーム、宇宙に浮かぶ衛星兵器を地上から撃ち落とすビーム、そしてそのビームを生身で跳ね返すタフネス。
それらがなくては最強の座に付けないのだ。
町のチンピラ相手の喧嘩自慢じゃ勝ち目なんてあるわけがない。
強くなるためには技と力が必要なである。
強さを求めるなら犬を飼って詠春拳を学べばなぁ、という思いがある。
鉄拳の世界では老齢から格闘技を始めて最強クラスのキャラになってるおじいさんが存在するからだ。
しかし技を学ぶための金がない。
それにあのキャラはたまたま才能がスゴかっただけなのでは? という疑惑もある。
ならばどうすれば良いのか?
そこで雷門は閃いた。
鉄拳7のDLCキャラクターであるファーカムラムである。
ネット対戦で負ける度に何度モニターの向こうの対戦相手に向かって届きもしない罵声を投げかけたことか。
そのキャラクターは設定では子供の頃に雷に打たれ奇跡的に生還、その後2メートルを越える大男になり、最強のムエタイ戦士としてチャンピオンに君臨していたという設定がある。
雷門はそこに目をつけた。
ファーカムラムのフィジカルの才能は産まれ持ったものではなく、後付けで手に入れた才能なのだと。
この世界で才能とは後からでも手に入るのだと。
雷門はそのように信じきった。
それからの彼の行いはまさに狂人のそれである。
やたらと喧嘩っぱやくなり、殴る相手が居なければ木石を叩き体を鍛える。
そして雨が降ればパンツいっちょうで外に飛び出し、鉄パイプを振り回しながら「ファー・カム・ラム! ファー・カム・ラム!」と叫ぶのだ。
雷門は前世でゼルダの伝説をプレイした記憶も持っている転生者だったのだ。
だから雨の火に金属を装備していれば雷が直撃すると信じていた。
彼の奇行、周りの者は最初は止めようとしたのだけど、すっかり乱暴者になりそれまで年長者の言うことは素直に聞いていたのが嘘のように、人の言うことを聞き入れなくなってしまったことから、雨の日の奇行はすっかり誰からも止められることがなくなってしまった。
そんな雷門に天が呆れたのか? あるいは認めたのか。
念願の落雷の直撃を受けることとなった。
落雷の直撃により皮膚が引き付けを起こし破け、身体中に痛々しい火傷の痕が刻まれ、数週間死の縁をさ迷うことになった雷門。
しかし彼は生還した。
奇跡が起きたのである。
もし奇跡の総量が人類共有であったのなら彼による奇跡の無駄遣いで今ごろさぞ世界各地に不幸が巻き起こっている事だろう。
まぁそんなもしもの話に意味はない。
気にすべきは雷の直撃を生き延びた雷門の今後である。
彼の周囲の人間はこれに懲りてまともな人間になったら良いのになぁ、と期待した
しかしそっちの奇跡は起きなかった。
雨の中鉄パイプを振り回す奇行は止んだが相も変わらず木石を叩き、蹴りながら「ファー・カム・ラム! ファー・カム・ラム!」と叫ぶ日々。
フラリと数週間見かけなくなったと思ったら、腕や肩口になにやら貫通した怪我、その他にも長い切り傷などをこさえて帰ってきて一言。
「ちょっと指定暴力団をひとつ潰してきた」
その日の夕方に、国内の指定暴力団のひとつが謎の解体宣言をしていた事との関連性は誰も考えたくなかったという。
それから傷が塞がった頃に再びの失踪、数日後の帰還後に
「山奥で野犬の群れと戦ってきた」
と言い放つ。
その時雷門の血まみれの体に刻まれていた大型の獣の噛み跡や引っ掻き傷、それらと彼の発言内容が無関係と思える者は居なかった。
そんなことを繰り返すものだから、雷門は本来なら中学生になる年齢を待たずに孤児院を追放された。
普通なら中学生にすら届かない年齢で追い出されたのなら人生に絶望するだろう。
しかし雷門は人生に絶望しない。
産まれた瞬間に母親が自分を捨てることを選択する人間だった事以上の危機なんて有りはしない。
あえて気になることがあるとすれば、ファーカムラムは落雷を受けてから体が大きく育った筈なのだか雷門の身長は同年例の平均値とあまり変わらない、という事だけである。
「不思議だなぁ」
浅草寺雷門。
彼はバカであった。
しかし思い込みの力というものは侮れない。
孤児院を追い出され孤独となっても狼狽えることすらない。
自分の見据える望みの形がハッキリと見えているのだから。
雷門は鍛えた。
木石程度なら破壊できて当然となれば鉄骨を殴り鍛える。
捨ててあるのなら壊しても文句を言われる事もあるまいと、廃車の山を生身の拳足で破壊する。
イメージはストリートファイターのボーナスステージだ。
山奥で熊が暴れていると聞けば熊を殺しにいった。
外国で紛争が起きていると聞けば時に密航して、時に泳いでたどり着き、戦った。
海では鮫とも戦った。
強くなるために鍛え、鍛えた力や技が戦いで使えるのかどうかを試し、試行錯誤を繰り返した。
そしてどこかの国の扮装地帯。
侵略者も防衛隊も、第三勢力さえも全てをなぎ倒し無傷。
自分の強さに仕上がりを感じた。
「俺が世界最強だ」
でかい事を言ったとは思わない。
雷門は今なら薄れつつある記憶の中の鉄拳の化け物とだって戦える、勝てると自信をもって言える。
しかし今は第二回鉄拳トーナメントから10年がたった頃である。
次の鉄拳トーナメントまで記憶が確かなら10年待たねばならない。
確かに今から10年鍛え、今より強くなれる自信はある。
しかし、だ。
鉄拳トーナメントが開催してからの戦いとなれば多くの敵と戦わねばならないだろう。
だが、今戦えば?
今戦えば、トーナメントをやってないのだから、三島財閥当主の三島平八ひとりを倒せば三島財閥が手に入るのではないだろうか?
そう考えてしまった。
浅草寺雷門。
彼のIQは限りなく低かった。
「いちど三島財閥を手に入れたらもう鉄拳トーナメントは開かない、それで俺は一生三島財閥の当主だ!」
平八の主義主張を信じるなら、確かに最強の者が三島財閥を手に入れることに文句を言うまい。
しかし暴力で手に入れた物は他人もまた暴力で奪いに来ると、彼はまるきり考えてすらいないのである。
本物のバカである。
しかし行動力のあるバカほど厄介なものはない。
雷門を止めるものはなにもない。
三島財閥の本拠地である北海道を目指す。
第一回鉄拳トーナメントで優勝し三島財閥の当主となった時に北海道を掌握し独立国家と化す計画、それは平八が三島財閥を取り戻した時点で止まったかに思えたが、せっかく征服してる途中なら北海道くらいは征服しといても良かろうと、平八は北海道を独立国家として独裁に成功していたようなのだ。
そんなことをすれば世界中から非難の目が向けられそうなものだが、鉄拳衆を世界各地の扮装地帯に送り平和支援をすることで、世間からの印象操作に成功していたのである。
雷門はそういえばいつかの扮装地帯でゲームで見た鉄拳衆っぽい連中も倒した気がするな、とぼんやり思い出していた。
ともかく、独立国家となっていた北海道は訪れるためにパスポートが必要なのだが…雷門はそもそもパスポートどころか日本の住民件すら本人の知らないうちに失っていて法的には失踪した人物である。
いつものように泳いで渡りきった。
そしてどのように三島財閥を攻略し平八を倒すか? それを考えた結果、執務中に攻撃を仕掛ければ良かろうと考えた。
本社ビルから500メートル離れた、やや背の高いビルの屋上に立つ雷門。
その手には拳大の鉄の塊が握られている。
三島財閥の本社ビルだ、おそらく窓ガラスは防弾仕様だろう。
しかし、落雷の直撃から生還しパワーアップした俺の力なら!
雷門は気合いとともに咆哮し、拳大の大きさの鉄塊を投げた。
「次は俺だ!」
そして次の瞬間には走りだし、跳躍した。
雷門の投げた鉄塊は人間が投擲したとは信じられない速度で飛び、三島財閥本社ビル、当主執務室の窓ガラスに突き刺さりクモの巣のような亀裂が走る。
しかし敵の多い三島財閥、その当主の勤める執務室の防弾がラスは強かった。
マッハで飛んでくる拳大の鉄塊による狙撃から中の人間を守護りきったのである。
だが。
「ファー!」
鉄塊が直撃し走った蜘蛛の巣状の亀裂。
そこに雷門の飛び蹴りが追い討ちをかけた。
ぱきん、ぱきんっ。
さらに深く、大きく走るガラスの亀裂。
雷門は飛び蹴りの直後に腕を振りかぶり、渾身の指一本抜き手を蹴りが刻んだ亀裂にねじり混む。
「カム!」
最後。ねじ込んだ指一本を支点に弓を引き絞るように全身を大きく反らし、直後に全霊を込めた膝蹴りを窓ガラスに叩き付けた。
「ラム!」
これが決定打となった。
三島財閥の当主を守護るべき防弾ガラスはその役目を終え、粉々に砕け散ったのである。
「あわわっ、やべっ、落ちる!」
ちなみに雷門はそのまま落ちそうになったが、なんとか窓の淵にしがみついて執務室への侵入を果たした。
本人は落ちたくらいで自分が死ぬとは思っていないが、いちど失敗すれば次は警戒されてもっと大変だろうと思っていたので、これでも本人なりに必死である。
こうして、多少かっこよくない所もあったが……産みの親から命以外の何も与えられず、なにも持たずに社会の底辺で産まれた少年は、世界の頂点に近い場所に立ったのである。
「ふん、聞かん名じゃのう……して小僧、何をしに来た?」
「全てを手に入れに来た」
何も持たずに、与えられずにただ産まれた。
産まれた瞬間からただ生きることだけを考えて、生きるために行動の選択を強いられた。
そのまま、ただ目の前の一つ一つの問題を生きるのに都合の良い選択を続けて生きていく。
そういう生き方も有ったかもしれない。
だが、知ってしまったのだ。
この世界は力で全てを手に入れられる世界だと。
ならば、良いはずだ。
何も与えられずに産まれたのだ。
人から与えられることがないのなら、自力で掴み取る。
奪い取る。
手に入れる。
与えてくれなかったのだから、自分で手にいれても良いはずだ。
金、地位、名声……全てを。
「全てを手に入れると来たか」
フン、と鼻で笑い飛ばす平八。
雷門の言葉を本気と思っているのかどうかはその態度からは推し測れない。
雷門の今の言葉が本心なのかどうか、関係ないからだ。
何故ならば、雷門の願いは叶わないと知っているのだから。
「その願いは叶わん。貴様は何も得ずに死ぬからな」
組んでいた腕を解き、腰を落とし構えを取る平八。
余裕の言葉とは裏腹にその構えに隙はない。
自身の強さに絶対の自信を持ちながらも目の前の相手の力量を過小評価もしない。
百戦錬磨の頂点に到達した者だけが放つ風格を平八はまとっていた。
「いいや、世界のすべては俺のモノだ。そうしてみせる……これは最初の一歩だ」
腕を高めに、そして爪先に重心を乗せ踵を浮かし素早く動けるよう構える雷門。
構えをとり平八と相対する雷門。
その姿に積み上げた風格は存在しない。
人の上に立つ資格もない、経済を操る知恵もない、社会の流れを見切る経験もない。
何も持たないがゆえに、全てを欲する底無しの欲望だけが有った。
勝利を、知恵を、経験を積み重ねた大きな山である平八。
人が与えられるべきもの、元から持っているもの、そして……手に入れるもの、何一つを持たない奈落の落とし穴である雷門。
正反対の二人は、しかし限りなく高いレベルで実力を拮抗させながら向き合う。
正反対でありながらも、奇しくも二人の戦いに対する心構えは一致していた。
我こそが最強!
己の最強を信じる二人は、咆哮とともに激突する。
『死ねぃ!』
目指すは己の勝利、最強。
相手を死を心底願う者だけが放てる殺気をもっての戦いがはじまった。
そして二人の最強の戦いは
「せっ」
執務室に備えられた落とし穴のスイッチを押した平八によって幕を閉じた。
「おまぇー」
「うわっはははー! これがワシの力よ!」
鉄拳2の設定で三島財閥当主になった一八は北海道を占拠して独立国家にするという鉄拳らしい無茶苦茶な設定があったけど、3で当主に返り咲いた平八がその計画をどうしたのか不明で、調べても分かりませんでした。
まぁ平八なら一八のやったことで手に入りそうな北海道でも手に入るなら自分のものにするかな? と思ったのでそういうことにしました。
もし違ってたら「この話ではそういうもん」として流してくださると助かります。