鎮守府勤めの警備員さん   作:通りすがりの幻想

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皆さん、どーもです。
通りすがりの幻想です。

いやー、クリスマスですね。
皆さんは艦これのXmas限定任務、挑戦しているでしょうか?
ちなみに自分は、拡張任務以外はあまり旨味が無いと感じたのでやってません。(おい)
今は7-4攻略に専念しております。

今回は番外編という事で、祐輔が務める鎮守府のクリスマスの様子を書いてみました。
それでは、どうぞ。

Weigh Anchor!




Extra operation(という名の番外編)
第X次クリスマス作戦


 

 

祐輔「…もーういーくつ寝―るとー、クーリースーマースー…なんてね。」

 

今日は12月22日。

 

すっかり寒さも厳しくなり、クリスマスも近くなってきた。

雪も積もって、雰囲気も出ている。

 

鎮守府本館の食堂にも、妖精さんの協力で大きなクリスマスツリーが設置された。

駆逐艦の子たちを中心に、飾りつけが行われている。

 

祐輔「…ん?」

 

物思いにふけっていると、小屋においてある内線が鳴った。

 

祐輔「…はい、こちら警備室。」

 

提督「俺だ。」

 

連絡してきたのは、提督だった。

 

祐輔「おお、どうした?」

 

提督「ちょっと話があるんだ。すまないが執務室に来てくれないか?」

 

祐輔「うーい、了解。」

 

簡単な話を済ませた後、俺はコートを羽織って、小屋から本館へ向かった。

 

 

 

提督「…という訳で、お前にはクリスマス会で皆に料理を振舞って欲しい。」

 

執務室に入って開口一番、提督は俺にそう言った。

 

祐輔「うん、超断る。」

 

それを俺は、丁重にお断りした。

 

提督「いや即答かよ!?…なんでだ?」

 

祐輔「いや、お前、そんなことしてみろ。この鎮守府の調理の総本山であらせられる、間宮さんや鳳翔さんの面子が立たねえじゃねぇか。」

 

提督「ああ、それに関しては大丈夫だ。お二方にも料理を振舞ってもらいつつ、お前にも2,3品作ってもらうって事で合意は取れてるから。」

 

祐輔「…やけに根回しがいいじゃねぇか。」

 

提督「…あの二人も言ってたぞ。『この鎮守府の皆を虜にすると噂の料理、ぜひとも味わってみたいです。』って。」

 

祐輔「…うん、なんか想像できる。絶対その時の二人、顔が笑ってないよね?」

 

提督「クリスマスの料理対決か…こういうの一回見てみたかったんだよなぁ。…ま、あまり気張らずに頑張りたまえ。」

 

祐輔「てめぇ、他人事だと思いやがって…」

 

ニヤニヤ笑う提督にぶつくさボヤキながら、俺は執務室を後にした。

 

 

祐輔「あーあ、さて、どうしたものかね…」

 

とりあえずアイデアを見つけるために商店街へやってきた俺は、歩きながらボヤいた。

 

…クリスマス会という事で、クリスマスの料理を作ればいいのでは、と思うかもしれない。

だが、それこそ、鳳翔さんたちの出番だ。

見事なまでのケーキやチキンを作ってくるだろうから。

 

だから、俺に求められているのは、「クリスマス感がありながらも、オリジナリティーのある料理」と言った所か。

 

祐輔「…オリジナリティーねぇ…なーんか面倒なもん引き受けちまったなぁ…。」

 

うんうん唸ってる内に、ある店の前に来ていた。

 

祐輔「………ん?」

 

そこの軒先に置かれていた物と、そのキャッチフレーズを見て、俺に電流が走った。

 

祐輔「……!これだ!…すんません、これください!」

 

すぐさまそれを購入し、それを片手に俺は、今度はスーパーへ買い出しへ向かった。

 

 

~数日後~

 

 

そして、12月24日、クリスマス・イブの日が来た。

今日はいつもより早く、夕方にはすべての執務を終えて、夜から鎮守府のクリスマス会が始まる。

どことなく(特に駆逐艦を中心に)そわそわした空気が満ち溢れている気がする。

それを感じながら俺は、材料や手順などの最終確認に入る。

 

 

「それでは、鎮守府クリスマス会を開催します!」

 

 

ヒトハチマルマル。

 

妖精さんが突貫で作った特設ステージで提督が軽い挨拶を行い、クリスマス会が始まった。

 

最初は、工作艦の明石主催のビンゴ大会や、艦娘達による余興(一航戦の加賀さんが演歌を歌ったり、白露型2番艦の夕立改二と同3番艦の村雨改二が髪を解いた状態で並び立ち、お互いの口調を交換して皆を惑わせたり)が行われ、大いに盛り上がった。

 

…そして、

 

 

「…それでは、ご登場いただきます!当鎮守府の警備員にして、隠れた名シェフ!…久遠祐輔さんです!」

 

 

大淀の簡単な紹介が入り、拍手が鳴り響く中、俺はステージに登壇する。

 

…ご丁寧に、コックコートにコック帽まで用意されていたので、仕方なく着ている。

 

ステージには、キッチン台が設置されている。

そこに立ち、俺は前を見た。

 

祐輔「…え、えー、皆さん、ビストロ久遠へ、ようこそ…なんてね。」

 

しどろもどろになりながらも、何とか挨拶をする。

 

祐輔「…えー、本日は、ご飯ものと、汁物の2品を作りたいと思います。…えー、至らぬ点はございますが、何卒お楽しみくださいませ。」

 

お辞儀をすると、駆逐艦や海防艦の子たちを筆頭に、大きな拍手が上がった。

それを聞きながら流しで手を洗い、一品目の準備に入る。

 

祐輔「…それでは、一品目に入ります。…まずはご飯ものです。主役となる食材が…こちらです。」

 

そういって俺は、こんがりと揚がった「フライドチキン」を取り出した。

 

祐輔「…クリスマスと言えばチキン。それは異論ございません。…ですが、わたくしは一言申し上げたい…。『チキンは旨いが、ただのチキンでは飽きる!』」

 

…なんのことやら分からず、皆ポカンとしている。

 

祐輔「…まずは、このフライドチキンを、全てほぐします。」

 

そう言いながら俺は、スプーンを使って、チキンをほぐしていく。

 

祐輔「…次に用意しますは、こちらの炊きたてご飯です。…ここに、さっきほぐしたチキンをぶち込みます。」

 

炊飯器のご飯をボウルに移し、そこにほぐしたフライドチキンを加える。

 

祐輔「そして、ここでポイント。普通、料理の味付けには、塩・こしょうや醤油なんかが使われるけど……今回は、こちらを使います。」

 

そして、俺が台の上に置いたものを見て、みんなが驚愕の声を上げる。

 

…唯一、鎮守府の厨房を管理する、鳳翔さんと間宮さんは感心した声を上げていた。

 

鳳翔「…なるほど、鰻のかば焼きのたれ、ですか。」

 

間宮「その手もありましたか。普通に醤油を使うよりも、味に深みが出ますからね。…たれは醤油と違って、香辛料がふんだんに含まれていますから。」

 

祐輔「ご名答です。…さらに、今のままだと、味のパンチが強すぎるので、まろやかさを出すためにバターも一かけら加えます。…あとはこれを味にムラが出ないようによく混ぜて、器に盛れば。」

 

味がまんべんなく染み渡ったご飯を、器に盛り、台の上において宣言する。

 

 

祐輔「一品目、『和風チキンライスMod.クリスマス』の完成です。」

 

 

―数日前、あの日商店街で見たのは、精肉店がフライドチキンを売っている場面だった。

 

『このチキン、ご飯が欲しくなる味です。』

 

そのシンプルなキャッチフレーズを見た瞬間、俺の脳裏に電流が走った。

 

それが「フライドチキンとご飯を組み合わせればいい」という物だった。

さらに、ただ組み合わせただけでは、味が単調なままだから、追加で調味料を加えて、混ぜご飯風にしてみよう。

 

そのアイデアの元生まれたのが、この料理だ。

 

 

祐輔「…えー、続いては、汁物に移りたいと思います。…突然ですが、皆さんは『クラムチャウダー』は、お好きでしょうか。」

 

目の前の艦娘達は、うんうんと頷いている。

 

祐輔「寒い冬に食べるクラムチャウダー、旨いですよね。…しかし、作るのがちょっと面倒でもあります。…そこで、手軽に作れる、クラムチャウダーっぽい料理を作りたいと思います。」

 

まずは、大鍋をコンロにかけ、牛乳とコンソメを入れる。

 

祐輔「少し一煮立ちしたら、塩・コショウで味を調えます。…これで、ベースとなるスープは完成です。」

 

提督「…ベース?どういう事だ?」

 

怪訝な顔をして聞き返す提督に、俺は説明する。

 

祐輔「具材はお好みで、って事。…あくまでも俺の自論だけど、とどのつまりクラムチャウダーってのは、味が濃いから、基本どんな食材入れても旨いと思ってる。…まあ、節度を守りつつってのはあるけど。とにかく、なんでもいい。野菜でも、肉でも、いっその事、シーフードを入れてもいいって、俺は思ってる。…という事でだ。」

 

そういって俺は、ステージ脇で待機させてた大きなテーブルを持ってこさせ、そこにかかっていた幕を取った。

テーブルの上には、生肉やソーセージ等の加工肉食品、ニンジンやジャガイモ等の野菜、牡蠣やホタテ等の海鮮等、さまざまな材料があった。

 

祐輔「…ここに色んな食材があります。人数も多いので、ここからいくつか食材を選んで、今回は鍋物風にしたいと考えています。具材を決めるのは皆さんです。…という事で、何か入れて欲しい具材がある人、手を挙げてください。」

 

少し静寂が訪れた後、食堂がほとんど全員の艦娘から手が挙がったのは言うまでもない。

 

少し離れたところで、鳳翔さんや間宮さんが驚きつつも、微笑んでいるのを遠目に確認しながら、俺は皆が希望する食材を投入していった。

 

 

祐輔「…さて、こんなもんですかね。…あとはこのまま一煮立ちさせます。」

 

皆の選んだ具材の投入が終わり、アクを取りつつ野菜や肉、海鮮にも火が通ったのを確認した俺は、最後の仕上げに入る。

 

祐輔「最後に、バターを一かけら入れて、風味とコクを出したら…」

 

そして、器に一人分を盛りつけ、

 

 

祐輔「二品目、『鎮守府謹製クラムチャウダー改』の完成です。」

 

 

台の上に置く。

 

祐輔「…では、味見を提督、お願いします。」

 

提督「おう、わかった。」

 

提督がステージに上がり、流しで手を洗った。

 

提督「…じゃあ、まずは、チキンライスの方から。いただきます。」

 

そう言って提督は、チキンライスを一口すくって食べた。

 

…と、同時に、頭を抱えた。

 

「て、提督!?」

 

祐輔(まさか、しくじったか…!?)

 

突然頭を抱えた提督に、俺を含め、全員が慌てる。

…だが、

 

提督「…ひとつ言わせてくれ。」

 

祐輔「…な、なんでしょう、か?」

 

 

提督「…世の中のチキンライスはもうこれでいい。」

 

 

その心配は、この言葉で杞憂に終わった。

 

祐輔「……は?」

 

提督「…いや、ホント、旨い。チキンライスとは言ってるけど、洋食屋には絶対にない発想だ。」

 

祐輔「さ、さようですか。」

 

提督「…じゃあ、こっちのクラムチャウダーも、頂きます。」

 

今度は、クラムチャウダーを一口パクリ。

…そして、唸り始めた。

 

祐輔「…ど、どうでしょうか?」

 

恐る恐る聞くと、突然提督が俺の肩に手を置いた。

 

提督「…祐輔。」

 

祐輔「な、何だ?」

 

 

提督「明日俺、大本営に掛け合って、お前の料理のレシピ本出せるか聞いてみる。」

 

 

祐輔「いやそれ国家機関!そこまでする必要ないでしょうに…」

 

提督「…いや、まあ確かに大本営は言い過ぎたけど、賭け値無しに旨いぞこれ。野菜の甘味、肉の旨味、海鮮の風味、全部喧嘩せずにまとまっている。」

 

…どうやら、提督の口には合ったみたいだ。

 

という事で俺は、艦娘全員分の料理を盛りつけた。

 

全員に料理が配られたところで、

 

祐輔「…では、どうぞお召し上がりください。」

 

艦娘たち「いただきます!」

 

そう言って全員が一心不乱に食べ始める。

 

暁「う~ん、おいし~!」

 

電「…身体が温まるのです。」

 

雷「やっぱり祐輔さんはさすがね!」

 

響「…ハラショー、スプーンが止まらない。」

 

 

赤城「…あの、チキンライス、まだありますか?」

 

加賀「こちらもおかわりお願いします。」

 

夕立「おかわり一杯ほしいっぽい!」

 

…どうやら、皆の口にもあったようだ。

 

祐輔「…ふぅ。」

 

提督「どうした?」

 

祐輔「あ、いや、なんというか……ここまで皆に旨いって言われると、なんかこそばゆいというか…何というか…」

 

提督「謙遜するな。お前の料理の腕は、みんな知っている。」

 

祐輔「そ、そうか…」

 

「祐輔さん。」

 

声をかけられ振り向くと、鳳翔さんと間宮さんが立っていた。

 

鳳翔「祐輔さん、お手並み、拝見させていただきました。」

 

間宮「はい。料理もおいしいですし、何より、皆笑顔でした。…料理を作る上で大事な事の一つは、『食べる人が笑顔になるか』だと考えています。」

 

祐輔「…同感です。…でもお二人も、素晴らしい料理の腕前をお持ちだと思います。さすが、鎮守府の料理をまとめる方たちです。頭が上がりませんよ。」

 

その後、少し料理について三人で談笑した。

 

この二人にも、認められたのかな…と、勝手ながら思った。

 

 

最後に、鳳翔さん達が作った特製のクリスマスケーキを食べて、クリスマス会はお開きとなった。

…やはり美味しかった。

俺なんざ、まだまだ足元にも及ばないという事を痛感した。

 

 

提督「祐輔、今日はお疲れさん。」

 

祐輔「ああ…しっかし、いきなり料理作れって言われた時はどうしようかと思ったぜ…」

 

後片づけも滞りなく終わり、俺は提督と共に、小屋に向かっていた。

少し二人で、酒でも飲みながら二次会をしようと、提督から誘いがあったのだ。

 

提督「まあまあ、皆喜んでたからいいじゃないか。」

 

祐輔「…そう、だな。」

 

提督「…ほんと、サンタからプレゼントもらってもおかしくない働きだぞ。」

 

祐輔「よせやい。そんな歳じゃあるまいし。」

 

雪が積もっている道を提督と共に歩く。

 

……なぜか提督が少しニヤニヤしていたのが気にはなったが。

 

祐輔「…うー、寒い寒い。」

 

寒さに震えながら俺は小屋に入った。

 

祐輔「…あ?なんだこれ?」

 

だが、電気をつけると、机の上に、リボンでラッピングされた箱が置いてあった。

 

提督「…お、プレゼントじゃねぇのか?良かったな。早速もらえて。」

 

祐輔「…テメェ、何か知ってたな?」

 

提督の方を睨むも、提督はそっぽを向いて、チャルメラのBGMを口笛で流す始末。

…まんまと提督に誘導された気がするが、まあ、受け取っておく。

 

祐輔「何入ってんのかね。」

 

提督「開けてみろよ。」

 

提督に促されて、箱を開けてみる。

 

祐輔「…これは…」

 

中には、何枚かの手紙が入っていた。

 

提督「…今日の料理がおいしかったみたいでな。お前が片付けしている間に、何人かの艦娘がお前宛てに書いた手紙だ。」

 

祐輔「……!」

 

提督の言葉を聞きながら、手紙を読む。

 

…今日の料理に関する感謝以外にも、さまざまな事が書かれていた。

 

その文面に書かれた純粋な思いを感じ、思わず目頭が熱くなる。

 

提督「へぇ…お前も泣くんだな。」

 

祐輔「ち、ちげぇよ…これは、雨だ。」

 

提督「へいへい、そういう事にしとくよ。……ほれ。」

 

祐輔「…ん?」

 

眼を拭いて振り返ると、提督が缶ビールを差し出していた。

 

祐輔「…ああ。」

 

ビールを開けて、乾杯する。

 

提督「…今年も、もう終わりだな。」

 

祐輔「ああ。…ま、年が明けようと俺らのやる事は変わんねぇがな。」

 

提督「違いねぇ。」

 

 

小屋の窓に腰かけて酒を呑み、談笑する俺らを、粉雪が囲んでいた。

 

 

 





いかがだったでしょうか。
…余談ではございますが、本作に登場する料理は、料理の「り」も知らない作者がレシピ本や料理番組を参考にして適当に考えた料理です。

調理の際は、自己責任で。

皆さん、よいクリスマスを。

自分もクリスマスは、推しの時雨と共に過ごしたいと思います。

それでは、また。

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