東方傭兵譚 〜The Mercenary and the Sage Trail〜   作:文才の無い本の虫

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九十九「うーん・・・・・」

エディ「九十九、どうしたの?」

九十九「いや、ちょっと作者がスランプ気味な上に仕事が忙しいらしんだ」

エディ「あー・・・・・」






3「異変」

 

 

 

 

誰かの寝息で目が覚める。

 

視界の左端に艷やかな金の髪。

 

俺は左側に目を向ける。

 

其処には、絶世の美女と形容できる程の顔が。

 

 

「すぅ・・・・・」

 

 

横で寝ていたのは俺の雇い主である八雲紫。

 

はて、此処は俺の家だった筈だが?

 

『抱いてしまえ』

 

――黙っていろ。

 

お前は茶化すために表層まで出てきたのか?

 

『いや、時空の歪みを感知した。その忠告だ』

 

・・・・・また面倒事か。

 

忠告は有り難く受け取っておく。

 

朝になったことだ、飯でも作るか。

 

 

ふと紫の顔を見ると相変わらず色白い。

 

 

「・・・・・不摂生は心身に悪いと言ってるだろうに」

 

 

俺は紫を起こさぬ様に布団から出て、紫に薄い掛け布団を掛ける。

 

 

「肉は仕舞ってあるものを適当に使うか」

 

 

俺は朝飯を作り始める。

 

勿論、不摂生娘の為にも栄養価には気を使う。

 

白米、味噌汁、焼き魚にきんぴらごぼう。

 

 

・・・・・昔の癖できんぴらごぼうを作ってしまったがまぁ良しとする。

 

 

俺は二人分の食器に朝飯をよそい、机に並べる。

 

その後、寝室に戻り布団で寝ている紫に声をかけた。

 

 

「紫、起きろ」

 

 

「・・・・・うぅん?・・・・・ん??!」

 

 

「朝だ」

 

 

「・・・・・こほん、おはよう『黒い鳥』」

 

 

(不摂生娘)、飯は用意してある。食べるだろう?」

 

 

「頂くわ・・・・・って今私のこと不摂生娘って言わなかったかしら?!」

 

 

「・・・・・飯が冷める」

 

 

「何とか言いなさいよ?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・ん、ご馳走様」

 

 

「お粗末様」

 

 

「美味しかったわ(それにしても『黒い鳥』の割烹着姿って妙に様になってるわね・・・・・)」

 

 

「お前の為に作ったからな。それは兎も角、何故俺の布団で寝てたんだ?」

 

 

「(ご、誤魔化さなきゃ!)・・・・・つ、つい?」

 

 

「・・・・・」

 

 

「だ、駄目だったかしら・・・・・?」(汗)

 

 

「はぁ・・・・・好きにしろ」

 

 

「・・・・・(あら?これはもしかして私一緒に寝ても良いって言われたようなものじゃないかしら?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

朝。

 

今日は紫は西行寺の屋敷に行っている筈だが。

 

 

「・・・・・」

 

 

妙な気配を感じる。

 

――コレがお前の言っていたやつが原因か?

 

『わからん』

 

 

「・・・・・場所は西行寺の屋敷か。十中八九あの妖怪桜だな」

 

 

どうやらその近くに紫も居る様だ。

 

――急ぐか。

 

俺は羽織りと木刀を掴み家を出る。

 

走っていると屋敷の方からピリピリと慣れ親しんだ死の気配が漂ってくる。

 

垣根を飛び越え、屋敷の庭に向かうと、既に妖怪桜が猛威を振るっていた。

 

 

「くっ!!業風神閃斬!!」

 

 

「きちきちきちきち」

 

 

「手が足りぬ!!光芒一閃!!」

 

 

地面を蹴り、木刀を構える。

 

ぐるりと周囲を知覚する。

 

――把握した。

 

 

「手が足りんなら貸してやろう。無形・一閃(一刀の下に斬り捨てる)

 

 

周囲にある枝という枝を全て斬り落とす。

 

 

「『黒い鳥』殿!!」

 

 

「これで暫くは持つ。妖忌、説明を。それと紫は?」

 

 

「紫様は・・・・・幽々子様の遺体を抱えて屋敷の中にいらっしゃる」

 

 

「遺体?」

 

 

「突如として活発になったあの妖怪桜が幽々子様を害した。しかも奴はまだ咲き切っていないのだ」

 

 

俺は少し考える。

 

――紫の指示が必要だ。

 

 

「・・・・・妖忌、暫く頼めるか」

 

 

「承知いたした」

 

 

――雇い主の指示も必要だが、取り敢えずは紫に活を入れる必要があるかもな。

 

俺は妖忌と妖怪桜に背を向け――妖怪桜への警戒はしたまま――屋敷へと向かう。

 

暫くすると屋敷の広間で紫が幽々子の遺体を抱えて呆然としていた。

 

 

「紫」

 

 

「・・・・・・・・・・『黒い鳥』?」

 

 

その涙する彼女を、俺は美しく思った。

 

――ああ、勿体無い(・・・・)

 

俺は紫の前に立ち、問う。

 

 

「このまま哀しんでいても俺が守ろう。お前が後悔で嘆こうと俺は着いていこう。紫、お前はどうする?」

 

 

「・・・・・幽々子の遺言は、"私の骸を使ってでも西行妖を封印して"だったわ。だから、私は西行妖を封印しなくちゃいけない。哀しむのも、後悔するのも後にするわ・・・・・・・・・・『黒い鳥』、仕事よ」

 

 

「ああ、俺はお前の矛で盾だ。存分に使え」

 

 

紫が立ち上がる。

 

彼女は何時もの様に扇子を広げ、口元を隠す。

 

 

「『黒い鳥』、貴方はズルい(ヒト)ね。そこまで言われてしまったら、貴方を手放せ無くなってしまいますわ」

 

 

「くくく、お前が死ぬ迄は付き合うさ」

 

 

「あら、お上手ね。さて、行きましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

西行妖の前には魂魄妖忌、『黒い鳥』、そして西行寺幽々子の遺体を抱えた八雲紫。

 

 

「良い?作戦を説明するわ。作戦は三段階よ。先ずは西行妖を弱らせるわ。次に幽々子の遺体を西行妖の下に埋めて楔にする。最後に繋ぎ止めて封印よ。妖忌、貴方達には西行妖を任せるわ」

 

 

「承知いたした」

 

 

妖忌は頷き、腰の長刀――白楼剣を構える。

 

 

「『黒い鳥』は封印術の用意をする私を西行妖から守って頂戴」

 

 

「了解した」

 

 

『黒い鳥』は木刀を仕舞い(手加減を止め)、紫を守る為に拳を構える。

 

その様子に紫は口元を緩める、が直ぐ引き締めて号令を飛ばす。

 

 

「さあ、始めましょう。私達の戦争を!!」

 

 

そうして、戦いの火蓋が切られた。

 

 

 

 








・・・・・うん、あれ?『黒い鳥』さん、プロポーズしてません?



▷Material

・『黒い鳥』(Character)
久しぶりに笑った。――ああ、悪く無い。

・八雲紫(Character)
親友を喪った。――でも、私には彼が居る。

・白楼剣(Item)
魂魄家の家宝。迷いを断ち切る剣。




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